ゆるキャン△ 〜岸辺露伴は止まらない〜   作:苗根杏

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家族と過ごすクリスマスって良いですね。シュガーラッシュとか見てきました。


エピソード#(∑1/n^2=π^2/6):神聖ナルヨル

 まず、椎茸。卵のねばついた白身が絡んだ、それでいて清らかな茸が、舌に、腹に入り込んでくる。

 

 次に焼き豆腐。ホロっと、砕けるとはまた違った…解ける。そう、自然にヒモの両側を引っ張って互いが離れゆくような感触だ。

 

 そして肉、単品で行くぞ。

 

「んー!!」

「肉うまーっ!!」

 

 ……こいつらのリアクションで大体分かるだろう。美味すぎる。

 

 全身で表現するタイプ、黙々と味わうタイプと反応が7人の中でバッチシ別れている。そして顧問こと鳥羽先生は、すき焼きに合う日本酒を忘れて号泣している。

 

「こうやってお鍋囲んでると、日本の年末!ってカンジするよねえ」

「全くないってわけじゃあないが、珍しい経験ではあるな…」

「女子高生とご飯?」

「…まあ珍しくはあるが、違う」

「じゃあ女子高生とキャンプ?」

「……そういうことでいいよ」

「あ、先生のサンタさん衣装忘れちゃった」

「着せる気だったのか!?」

「やだなあ、冗談ですよお」

 

 ほっ、と胸を撫で下ろすぼくの予想とは裏腹に、斎藤がカバンから取り出したのは、トナカイの衣装だった。

 

 しぶしぶ。と言葉に出そうなぐらいにしぶしぶ、ぼくはトナカイの衣装を身にまとう。

 

「っはははwwwwww」

「くくっ、く……んふふ」

「写真!みんな写真撮って!」

「やめてくれェ〜ッ…」

 

 そうこうしている間にも、すき焼きの具が無くなってきた。

 

 そこで登場するのが、『トマト』だ。先程炒めた玉ねぎをバジルと一緒に、トマトを火にかける。そして鍋に加えれば…『トマトすき焼き』が完成する。

 

 まさに和洋折衷。同じ空間にさくらももこと尾田栄一郎が一緒に居るような、しかし違和感はない。切り分けた果実の片方だったかのような、『ベストマッチ』。

 

「反則的だっ……!」

「ワインが合うのにィィィ」

「また忘れたんすか」

「あ、チーズパスタあるで?」

「はーい!!私!私まだ食べれるよ!」

「すごいなお前…」

「一口だけにしとこー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ガスある?」

「あっ!?替えのガス持ってくるの忘れたッ」

「先生のバーナーのガスは?」

 

 アウトドアに使われるガス缶は、ふたつ。2種類ある。

 

 カセットボンベ缶(CB缶)。

 

 アウトドア缶(OD缶)。

 

 カセットボンベ缶の方は、スーパーや百均なんかにも売っている。ようは、手に入りやすく、安価だ。

 

 アウトドア缶はというと、ランタンなどのアウトドア用品には大体対応できる。クッカーにも収まるし、携行性もメリットのひとつだ。

 

 問題は、対応していても、もうひとつの方もガス切れしていた場合のことだ。

 

「明日の朝ごはん、作れない…!?」

「なんだとッ」

 

 ヤバい……本格的にヤバいぜッ!

 

 ハッキリ言うが、なでしこの料理はマジに美味い!上手いのだッ!

 

 それが食えないとなれば、死活問題でもあるし、第一キャンプの魅力が半減じゃあないかッ!

 

「じゃあ…」

「……はぁ」

「「ちょっとコンビニ行ってくるよ」」

「………ん?」

「はぇ?」

「えっ?」

 

 リンくんと同時に立ち上がり、なんとなく気まずい空気に。

 

「…FORZA siは2人乗りだ」

「じ、じゃあ……行きましょう」

「ありがとー2人とも…ひぐぅぅ」

「泣くなよ。朝ごはんのために行くんだからなッ。別にお前のためじゃあ…」

「あ、じゃあチューブ生姜も!勿論お金は出すからねっ!」

「はいよ」

「じゃ、あたしグミー」

「ミント系のガムお願い」

「板チョコ食べたいなあ」

「調子に乗るなよお前ら」

「あってしにほんしゅうー!!」

「買えないことは無いが…ふむ」

 

 皆のいってらっしゃいの声援を背中に受け、リンくんを後ろの席に乗せる。ビーノならば往復20分はかかるだろうが、これなら少しは時間短縮になるだろう。

 そして無事、買い物終了。ヘルメットを再び被る前に、リンくんに訊いてみる。

 

「なあ」

「何でしょう」

「どうだい、大勢のキャンプは」

 

 意図はほぼ無いと言っていい。無言が気まずかった訳でもなく、興味本位だ。取材でもあった。

 

「……悪くは、無いです。先生やなでしことキャンプをするようになってから、自分の中でも…何かが変わった気がします。なかなかどうして、皆でッ!とか、一緒にッ!っていうのが、前までは苦手…嫌いでした」

「というと?」

「気を使ったり、ずっと話してなければダメだって思っちゃったりするんですよ。でも、『さっきのみんなは違ったんです』」

「……違いっていうのは、どういう?」

「それが、私にもよく分からないんです。何故あのメンバーだと良いのか、よく────」

 

 ぼくだって、分からない。人を好きになる理由。人を嫌いになる理由。寄り添っていたい理由。距離を置いていたい理由。

 

「それは、『気を使わずに喋れたり、話すことが沢山あるから』じゃあないか?」

「!!」

 

 それは、『理由なんて無いからだ。』

 

 そんなものは無い。存在しえるものではない。しても、認識などできないだろうから。

 

「苦じゃない。嫌いじゃない。ただそれだけなんじゃあないのか?リンくん」

「………………単純、ですね」

「単純でもいい。それが、納得できる結果ならな」

 

 至極シンプル。たったひとつ。それは、惹かれあったからだ。それからなんだ。自然に好きになっていくのは。

 

 ぼく達は、まるで『スタンド使い』かのように、惹かれあったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………漫画……かかなきゃなあ……」

「先生が酔ってる!?」

「日本酒買ったの、失敗でしたかねえ」

「なんだとー!酒は百薬の長だぞー!」

「別に薬使わなくても良かったんだけどなあ、先生」

「ハハハ…ぼくの漫画が、日本一なんだ……」

「ちょっ、それ箸!」

「おぉりゃぁぁぁッ」

「……………………!?」

「どっ!ドリッピング画法!?コーヒーで!」

「しかもこれ、『ピンクダークの少年』の…!」

「ふへへぇ、リンくん…」

「な、なんすか……ってか酒くさっ」

「あけましておめでとう」

「はええよ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 温泉に入り、ある程度酔いを覚ました。

 

「リンくんが、沢山いる…?」

「いーなー!私もやりたーい!」

「露伴先生もしまりん団子、やります?」

「いや、いい。それより何だそれ」

「しーっ。しまりんサボテン作ってるの」

「何だそれ」

 

 笑いを堪えながらも写真を撮ると、ドヤ顔のなでしこが真ん前に写っていた。

 

「はーダメ!もう無理っ!」

「破壊力やべーなコレ!」

「なんじゃこりゃぁぁーっ!!」

 

 いくつか写真を撮り、その後焚き火を囲んでココアを飲む。

 

 こうして全員がいるのは、また全員がかかわり合い、まじわり合い、そして惹かれ合ったからなのだ。感慨深さを心から実感し、そして運命という壮大なスケールの、漠然とした。しかし体感できるようなものに触れていることを感じる。

 

「よしお前ら!夜はこれからだぞ!月額1280円の力を見せてやるー!」

「何見るー?」

「ニセコイ!」

「時計じかけのオレンジ!」

「アマゾンズー」

「鉄血のオルフェンズッ」

「よし、間をとって水曜どうでしょうだ」

「おいパイ食わねえか」

「それグミだよ」

「きくねりー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 朝日が昇る。

 富士山の右肩から顔を出し、さっきまでなでしこの絶品料理に向いていた7人の視線が、一斉に向けられる。

 

「まぶし」

「だねえ。あったかい」

「…よし、食べ切っちゃうぞー」

「片付けがんばろ!」

「年明けのバイトもね」

「テスト……」

「原稿…(実は余裕)」

「…………あー!おみそしるおいしいー!」

「納豆おいしー!」

「逃げるな」

「ふぇぇええええ〜〜………」

 

 年が明けて、程なくして僕に助けを求める旨のメッセージが来た。

 

 勉強会、かあ。

 

 

 

 ←テレビアニメ1期篇

 

 ゆる岸△オリジナルエピソード篇→

 

 To be continued…




平ジェネ行きたい。いや、ピクサーオタなのでシュガーラッシュオンラインも楽しみましたけどね。
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