ゆるキャン△ 〜岸辺露伴は止まらない〜   作:苗根杏

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大変お待たせした割にはみっっっじかいですが、なんとか書き上げました。いやホントにごめんなさい。失踪してません。

予想以上に勉強やら部活が忙しいです。演劇の台本とか書いてたり、キャストもやってたり、音響もいじってたり、二次関数でつまづいたり。ラジバンダリ。


エピソード#√51:番外コウヘン

 ぼくの名前は、岸辺露伴。職はマンガ家、趣味は取材と……これは本当につい最近のことなのだが、『キャンプ』にハマっている。

 

「…………人造人間、インフレしすぎじゃあないか」

「だよねー……超サイヤ人のベジータとトランクスを軽くあしらって……」

「お前ら、いつの間にZの138話まで見たんだ?」

「えへへ、先生の家に置いてあって……」

「……なでしこ、お前…………」

「先生の家に行ったん?」

「うん! 近くにあるし、見に行こうと思ったら泊まりになっちゃって……」

 

 引っ越してから少し経って、年明け早々に野クルからキャンプに誘われた。勿論仕事も済ませていたのでのこのこ取材……いや、今回は普通にキャンプをしに来た。

 

 今回は野クルのみが参加。リンくんや斎藤さんはおらず、あおい、千明、なでしこの3人だ。

 

 ちなみに新居には買い戻したDVD(先述のドラゴンボールZとかはマンガもある)やら仕事道具は一式揃えてあるが、前に比べると少し殺風景な気がする。写真でも飾ってみるか? 最近ドラゴンボールを見直したからな……どうせならセルのポスターなんかがいいな。確か甲府のらしんばんにあったはずだ、今度貼ってみるか。

 

「一人暮らしになったからな。今度はどこかの誰かさんが看病に来ても安心だ」

「じゃあ個人的に遊びに行くで〜」

「それとこれとは別な気がする」

「あたしも行くー! マンガ家のウチ見てみたいし!」

「私はもう一回行きたいなー♪」

 

 こ、こいつら……図に乗りやがって……。

 

「……週末は取材に行かなければ、大体は空いている。来るならそこにするんだな」

「お、おお……これは『デレ』と認識していいのか?」

「馬鹿言えッ! 最近のラノベみたいな言葉を使うな! 君たちを読者……というよりかは、一人の友人として、認めただけさ。ふ……普通の事だろッ」

「せんせーっ!!」

 

 叫ぶやいなや、なでしこが身体に引っ付いて、嬉しそうに頬をすりすりと擦り付けてくる。それにしても、意外に力が強い。

 

「ちょ、くっつくなッ! 犬かお前は!!」

「やっぱりデレやな」

「デレデレずら」

「国木田さん?」

「甲州弁だよ。ああ、なでしこはあまり知らないか……」

「静岡住みなら、まあそういう発想になるよな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キャンプ場とうちゃーく」

「ついたー!! えいごリアーン!!」

「なつかしっ!」

「お前ら、よく外でそんな大声出せるよな。恥を持て恥を」

「そんなもの、山へ行けば誰でも捨てられるんだぜ。ほら、山登ったらやるやつ」

「やまびこ?」

「そう、それ!」

 

 やらないやつ、割といるけどな。

 

 今回キャンプ地に選んだのは、久しぶりの本栖湖。ぼくとリンくん、それとなでしこが互いに初めて出会った所。これがマンガや小説だとしたら、『聖地』って扱いになったりするのかな……そしたら現実の本栖湖には、リンくんやなでしこのステッカーを貼った車が沢山停まってそうだな。

 

 まあ、この物語をマンガにするなら、間違いなくぼくは描くのに向いていない。

 

 ホラー、ミステリ、スプラッタ。バトルものさえ入れている『ピンクダークの少年』や、昔描いた『ゴージャス☆ジョリーン』、『武装マージャン』、『魔少女ユーティ』などの作風が、ぼくの特徴だ。アイデンティティと言ってもいい。

 

 今現在ぼくが体験しているぼんやりぬくぬくキャンプなんかは、描いたらクレームが来るほどに合わなさすぎる。絵からしてダメだ。それこそ、まんがタイムとやらの、最先端の『萌え』を取り入れないとな……。

 

「せんせー! ペグ刺すの手伝ってー!」

「折れやすいから気をつけてな」

「ちょーどいい石ころ見つけたでー」

「……今行く」

 

 ぼくのイメージと違うからこそ、こんな趣味にハマったのかもしれんがな。

 

「マハリクマハリタ……ヤンバラヤンヤンヤン……」

「なんか、呪文みたいな歌やね」

「呪文なんだよ。正確に言えば、魔法の言葉。テクマクマヤコンやピリカピリララと同じ部類だ」

「ええ……何ひとつとして分からん……」

「……ジェネレーションギャップってやつか」

 

 

 

 

 

 

「億泰! おっきい石持ってこい! 露伴がウンチク垂れてたぜ〜! ペグを刺すにはでけえ石だってな!」

 

 

 

 

 

 

 

 ふと、背中に悪寒が走った。例えるなら、朝起きてケータイのアラームがかけられておらず、予定より少し遅れて起きた時の『ヤバい……』感。

 

 いや、そんなチャチなもんじゃ断じてない。もっと恐ろしいものの片鱗を味わった……吉良吉影に爆破される瞬間まではいかないが、少なくともトンネルの中の部屋に閉じ込められた時ぐらいには……。

 

「康一! そこ押さえてくれ!」

「こ、こう?」

「仗助ェ〜! でけぇ石持ってきたぜ〜!」

「あっぶな!? ちょ、それ岩だろ!」

「………………」

「露伴せんせー、どうしたの?」

「テントに入る。寒くなってきた。色んな意味で」

「スケッチはせえへんの?」

「夜やる。じゃ、仮眠」

「やーけにササッとテントに入ってったな……」

 

 ほっとけ。クソっ、ぼくは絶対に顔も合わせないからな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………で、テントを張ったはいいものの」

「どうやってあの『女子高生』をくぐりぬけるか、だよね」

「いろいろ心配してるようだけどよぉ〜〜……オレらも高校生だぜ? 余裕だろ?」

「……うちの学校の女子にも『殺される』だとか『命の危機』だとか言われてたヤツは誰だっけ?」

「そっ、それは仗助も一緒じゃあねーか」

「いやいやいやいや! その前に男の人が女だらけのテントに突っ込むのがヤバい!」

「康一はビビりすぎだ! お前は平凡な見た目だし(褒めてるんだぞ?)! それに隣のテントに話しかけるのは、キャンプ場では日常茶飯事ッ! ……たぶん」

「ちょっと待って! 今小さくたぶんって付け足さなかった!? たぶんッ!?」

「釣れてますか? みたいなモンなんだよッ! ホラホラ! 思えば、オレらならまだしも、康一なら喜んで受け入れてくれるぜ?」

「………………そう?」

「健闘を祈るぜ康一!」

「骨は拾うぞ康一ィ!」

「な、なんでぼくが行くコトになってんの! ねえッ! ちょっとッ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「す、スイませェん」

「ん〜? ああ、隣のテントですか?」

「ま、まあ。どうも……」

 

 テントの中で、身体が反射的にビクッと動く。ナマで聞くのは久しぶりだな……ガマンできずに一旦杜王町に戻ろうかとまで思った、この声。ぼくの親友、『広瀬康一くん』の声だ。100メートル離れたところでも間違えない。幼さを残しながらも、修羅場を乗り越えて少し張りのある声になった、この高校一年生の声……フフッ。改めて成長したなと感じるよ。

 

 じゃなくて! やっぱり来てたんじゃあないかッ!! 

 

 しかもだッ!! あの『ハンバーグとアホ』も連れてッ!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 To be continued……




番外の後編はこれで終わりですが、本文自体は続くような描写ですね。ここから普通に本編に繋がります。ややこしくてスイませェん。

最近、執筆の楽しさに改めて気づきました。前みたいなボリュームは書けませんが、このくらいの短い連載ならペースも上げられそうですわ。これ以上遊戯王にハマらなければの話ですが。ドラゴンメイド、マジかわいい。

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