ゆるキャン△ 〜岸辺露伴は止まらない〜   作:苗根杏

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2020年初投稿です。今年こそは月イチで更新したい。

ゆるキャン△のショートアニメ、及び実写ドラマが始まりましたね。供給が思ったよりあって幸せです。2期も楽しみ。


エピソード#2↑↑3=2²²:番外ノツヅキ

 

 

ぼくの名前は、岸辺露伴。職業はマンガ家。趣味は取材、主にキャンプによって着想を得ている。富士河口湖町に自宅を持ち、最近では新しく杜王町に家も買った。要するに、杜王町の方を別荘にしている。あの町も、手放すには少し惜しい所だったしな。移動も苦ではない。ドライブやツーリングは元から好きな方だ。

 

これは特に関係の無い宣伝だが、最近「ピンクダークの少年」第7部を連載し始めた。以上、自己紹介だ。

 

さて、今のぼくはというと、割と面倒くさいことになっている。『危機』という程でもない。だから、丁度いい感じに面倒くさいのだ。

 

年明け早々、何なんだ。面倒が過ぎる。

 

状況を掻い摘んで説明しよう。ぼくは『女子高校生』の『野外活動サークル』とキャンプに来ている。そこに、偶然なのか会いに来たのか知らんが、前にぼくが住んでいた杜王町の友人とその知り合いが来ている。『広瀬康一』、『虹村億泰』、『東方仗助』。

 

野外活動サークルと康一くん達の一行が出会うことによって、ぼくは割と面倒くさい事になる。

 

野クルからは確実に、ええ…こんなやべー奴らと知り合いなの?みたいな目で見られる。だって、あんな馬鹿みたいな髪型と、いかにもヤクやってそーな顔してる不良が来るんだぜ?

 

それに、多分、今回も学ランで来てると思うし。怖いだろ。こんなのが友人の周りにいたらさ。康一くんを除くとしても、ハンバーグとバカだけで、アスカが量産機に食われるシーンぐらいのインパクトはあるだろ。いや、フリーザ戦で悟空が既に十倍界王拳を使っていることを知らされたぐらい…それは絶望感に近いか。

 

康一くん一行の方は…どちらかというとこっちの方が面倒くさい。康一くんに関しては、『知っている』からいいのだ。ぼくが女子高校生とわりかしの頻度でキャンプに来ていたり、何だかんだやってる事を知っている。

 

しかしどうだ、あのハンバーグとバカに知らせてみろ。面白がって杜王町に広めるに違いない。まだ広めないにしろ、『弱みを握られる』コトにはなる。いつでも出版社やネットに、ぼくのスキャンダル(?)を拡散できますよなんて羽目になるってことだ。いざと言う時に、いいように使われる、なんて役回りはぼくのイメージじゃあない。

 

絶対にテントから出てやるもんか。

 

「僕達、M県の杜王町ってとこから来たんです。だから、あんまりここらの事は知らなくて…」

 

こ、康一くんの声で一旦落ち着こう…そうだ、その方がいい。

 

「あ、私達ここら辺出身だから詳しいよ!」

「向こうの人達も一緒?」

「……あ〜、一応」

 

いるんだな!やっぱり!うっすらとした希望が今、全て崩れ落ちた!

 

「学ランってことは、同じ高校生かな?」

「それも一応」

「ガタイいいなあ、あっちの2人」

「こ、高校生に見えないぐらいですよね…あはは…」

 

ホントだよ。あの承太郎さん達、『ジョースター家』の血を引いている仗助はまだしも、同じくらいの体の大きさの億泰は何なんだ。虹村家は謎が多い。

 

「えと………さっき、そこのテントに『岸辺露伴先生』、いましたよね?(仗助くん達、パパラッチだの何だの言ってた割には、露伴先生を引きずり出してからの事は言及していなかったなあ…まあいいや、後で写真を撮るぐらいだろう)」

「露伴せんせー?いるよ!おーい、せんせー!」

「バカなでしこ!お前ってやつは!」

 

そんな正直に呼ぶやつがいるか!今ばかりは、そいつが康一くんで良かったわ!ストーカーか誰かだったらどうするんだッ!(自意識過剰ってんじゃあないが)

 

「あッ、やっぱりいた」

「先生、プライベートって『てい』でキャンプに来とるんやけど…大丈夫なんか?」

「いやあ、僕と露伴先生はちょっとした知り合いなので」

「………否定はしないよ、康一くん。何の用だ」

「あ、顔だけ出てきた!」

「会いに来た…って事じゃないんですけど、今さっき姿を見かけたので」

「ぼくはテントから出ないぞ」

「また引っ込んだ!」

「何でですか?」

「察しが悪いなあ。あっちのバカに写真でも撮られたらどうするんだ」

「……大丈夫ですよ?仗助くん達はテントを建てるのに夢中です」

「じゃあそこにある特徴的な(髪型の)シルエットは誰なんだろーなあ!!」

「やべっ、バレた!」

 

テントから顔だけ出すと、案の定スマホを構えた仗助と億泰がいた。

 

「くだらない事をするんなら帰れ、あおいが言っているようにぼくはプライベートって『てい』でキャンプしに来てるんだ!」

「そんな固いこと言うなよ〜ッ!ホラ、もう隣にテント建てちまったぜ?」

「そうだよー、康一さん達もいていいじゃん」

「仲が悪いようには見えねーけどな」

「おう!オレたちと露伴先生はナカヨシッ!だよな、先生!」

「仗助……お前、割と演技派だよな…」

「ン?」

 

無邪気な犬みたいな首のかしげ方をするな!殴るぞ!グーで!

 

前から知ってはいたが、こいつには、犬みたいな人懐こさがある。偏見だが、ハーフだからコミュ力も高い。

 

「じゃ、露伴先生!晩メシとか一緒に食べましょうね〜」

「そうしようぜ!そうした方がいいッ!」

「お前ら面白がってるだろ!!」

「な、何のことっスかねェ〜」

「急にとぼけるのが下手だなあ!」

「やっぱ仲良いずら」

「やんね〜」

「うんうん」

「微笑ましい表情で見てるんじゃあない!」

 

……ややこしいなあ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ってことは、露伴先生の故郷の友達?」

「友達……ってことにしておこう」

「さっきからちょっとムスッとしてんなあ」

「早く会いたいんじゃない?」

「そういう事にしといてくれ」

 

そういえば、さっき晩メシを一緒にだとか言っていたが、あいつらキチンと材料なり持ってきてんだろうな…中途半端なメシだったら、めちゃくちゃ上から目線でキャンプのイロハを教えてやる。ライブの現場で後方彼氏面してる奴くらい上から目線で教えてやる。

 

「あ、仗助さん達、こっちに来た」

「おーい!先生ー!」

「やかましい!」

「賑やかで楽しいじゃないか」

「せやでせやで、こういうのもキャンプの醍醐味ってやつやで」

「野クルも全体的にコミュ力が高いことを忘れていたッ」

「そうそう、晩メシ晩メシ〜っと」

 

そう言うと、億泰はリュックの中に手を入れてゴソゴソと何かを探し始めた。仗助と康一は、億泰のぶんまでイスを広げ、早速ぼくと野クルの輪の中にすんなり入ってしまう。

 

野クルの机の上に億泰が出したのは、カップめんだった。しかも全てカレー味。

 

「……舐めてるのか」

「いやあ、オギノってとこで安く売ってたからよォ〜。露伴先生のぶんもあるぜ」

「いらん!ぼくは千明に用意して貰っている」

「…露伴先生、実はな」

「あ……?」

 

申し訳なさそうに千明が取り出したのは、4つのカップめんだった。こちらも全てカレー味。

 

「おいおいおいおいおいおいおいおいおいおい…」

「うちもオギノで買った!」

「なんで少し得意げなんだよッ!」

「7人分、お湯沸かそか〜」

「うおお、壮観…」

 

うん、一周まわって壮観だよな。

 

なでしこは、身体ごと弾ませてうきうきしている。身体からワクワクという音が漏れだしている。

 

「カップめん♪カップめんっ♪」

「嘘かと思うぐらい喜ぶよな、お前」

「だって、初めてリンちゃんと先生に会った時も、カレーめんだったじゃん!だから私にとって、カレーめんは思い出の食べものなんだ!」

「………ふぅん」

「露伴せんせー!」

「なんだよ」

「楽しいねっ」

 

少しばかり、仗助に似た人懐こいオーラを放ち、なでしこは微笑む。仗助もこのくらい可愛かったらいいのに。このくらいキレイな髪をして、いい匂いで、笑顔が可愛くて…。

 

「ああ」

「………………」

「写真を撮るな!!」

「チッ、せっかくSNOWで撮ろうと思ったのに」

「シャッター音が鳴らないとか、確信犯じゃあないか!」

「いや、顔を盛ってやろうかと」

「余計たちが悪いな!?」

「せんせー、一緒にSNOW撮る?」

「それいいなぁ!撮ろうやせんせー!」

「やだよ!」

「え、じゃあビューティープラス…」

「古ッ!康一くん何歳!?」

 

結局この後、仗助達も野クルもキャンプを楽しく過ごした。もちろん、ぼくも例外ではなく、思ったよりは!だが、楽しくキャンプできた…かな。決して仗助達といるのが楽しいってんじゃあない。ホントだぞ。

 

 

 

to be continued…




露伴先生可愛い!をテーマに書きました。やさしい世界なので、仗助と露伴先生はそこまで仲が悪い訳じゃないです。

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