A級4人組のお話。 作:うにょんぽつ
空は快晴。天気も上々。
だがこの3人の機嫌はすごく悪い
悠介は言わずもがな不機嫌そうだし、遼は口は笑っているが目が怖い。
そして翔はというと、眉間に皺を寄せて口を尖らしている
これは拗ねているのだろうか。
放課後だというのに3人からは黒いオーラが発せられていて誰も迂闊に近寄れない
そんな気まずい空気の中、不意に翔の携帯が鳴る
掛かってきた手前、無視する訳にも行かず眉をしかめたまま電話に出た
「もしもし」
『あ、翔?見たよあれ。中止になったんでしょ?』
「…うん、ごめん」
そう、水曜日の約束が取りやめになってしまったのだ
理由は簡単。
城戸司令から黒トリガーの奪還に協力せよ、との事。
詳しい日付はまだ決まっていないが詳細を聞いたところ、様々なことが重なり水曜日に事が起きると巻が告げていたのだ
一応、悠介にも聞いてみたがやはり同意見らしく3人の機嫌は急降下した
『何で翔があやまんの。また今度いこう?な?』
「うん。じゃあね勉強頑張って」
『ありがと翔もだぞ?』
「うんばいばい」
そう言って電話を切る
隼人と話したことにより少し雰囲気が柔らかくなったがそれでもどこか刺々しい
「隼人、なんて?」
「また今度いこ、だってさ」
「っ!俺は明日行きたかったのに!!!」
その一言と同時に悠介の波長が一気に大きくなる
取り敢えず宥めるが行きたかったのはみんな同じだ
やるせない悔しさと行き場のない怒りで強く拳を握り締めていると、
「…あ」
翔が不意に顔を上げる
その目には輝きが取り戻され心無しか表情も明るい
「いーこと思い付いちゃった」
そこからは早かった
怪訝そうな遼と悠介を引っ張り出し理由を話す
それを聞いた二人はニヤリと笑い一目散に学校を飛び出す。
翔は城戸指令の命令から1つの抜け道を見つけたのだった
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「というかよくそんなこと思い付いたよね」
「城戸指令も翔に一杯食わされるなんてビックリだろうよ」
「おい、どういう意味だそれは」
「そのまんまの意味だよバーカ」
そう言い残し悠介は走り去る
条件反射で駆け出した翔の手を引き、その場に留める
恨みがましい目線を向けられるが遼は至って涼しい顔だ
いつもの経験から遼には効かないと分かったのか口を尖らせながら不貞腐れている
そんな翔を見て満足そうに笑いながら手を離す
「今追いかけるより後でボコボコにしたほうがよくないか?」
そんな悪魔な囁きに翔はまんまと乗ってしまい、遼の事を尊敬の意で見つめる
また遼は尊敬の意で見てくる翔を横目にまた満足気に笑うのであった