『青春とは嘘であり悪である。
青春を謳歌せし者たちは常に自己と周囲を欺き、自らを取り巻く環境のすべてを肯定的にとらえる。
彼らは青春の二文字の前ならばどんな一般的な解釈も社会通念も捻じ曲げて見せる。
例えば万引きなどによる犯罪行為、警戒区域などへの進入。これらを若気の至りと言って済ませてしまおうとする。それがどれだけの人に迷惑をかけるか想像せずにだ。
彼らにかかれば嘘や失敗や罪科や危険行為さえも青春を楽しむためだけのスパイスに過ぎないのだ。
結論を言おう。青春を楽しむ愚か者ども砕け散れ!』
「比企谷、私が出した課題は何だった?」
とある県にある総武高校、そこの職員室で1人の女性がある作文の一部を取って呆れていた。
「高校生活を振り返って、ですね」
質問に答えたのは比企谷八幡、ボーダー最強の男である。
「君がサイドエフェクトで苦労したりしているのはわかっているが、もう少しまともなのは書けないのか?こんな考えだから腐った魚のような目をしてるんじゃないか?」
「なんだかDHA豊富そうですね、平塚先生」
彼を職員室に読んだのは国語担当の平塚女史である。
「まったく、君には友達や彼女はいないのかね?」
「ボーダーの仲間とはそれなりに……彼女はいないですが」
そう八幡が答えると
「そうだろそうだろ、確かに君に彼女がいるとは思えないがな!」
彼女がいないのを嬉しそうに言う平塚に
「先生は彼氏いないんですか?」
八幡が余計な事を言った瞬間に八幡に拳が飛んできた。あっさりかわしたが
「女性に余計な事を言うなと教わらなかったか?」
若干怒り気味の平塚を無視して八幡は
「まぁ作文は書き直します、それで良いですか?」
「それは当然として、君の心ない言葉で私の心は傷つけらた。君には奉仕活動をしてもらう」
そうして八幡はある教室まで連れて行かれ、そこには
「入るぞ、雪ノ下」
「先生、ノックくらいはしてくださいと毎回言っているのすが……」
「君は返事をしないじゃないか」
「する前に入ってくるからです。ところでそちらのヌボーっとした人は?」
中にいたのは八幡でも知っている美少女だった。入学式の時に代表挨拶を務め、学年主席だという雪ノ下雪乃である。
「こいつは比企谷八幡、入部希望者だ」
「は?俺は部活なんて入らないですよ?」
平塚の言葉にそう返すが
「うるさい、異論反論は受け付けない」
そう言い切ると教室を出て行く平塚にため息をつく八幡。
「よく分からないのだけれど、座ったらどうかしら?比企谷くん」
「お、おう」
八幡と雪ノ下は少なからず因縁がある。それは入学式の日に車に轢かれそうになった犬を助け八幡が代わりに車に轢かれたのだが、その車に乗っていたのが雪ノ下雪乃だったのである。
「久しぶりね……」
「そうだな」
雪ノ下家は轢いてしまった少年を調べて驚いた。一般のボーダー隊員ならまだ穏便に済むだろう……だが轢いてしまったのはボーダーの最高戦力であることはすぐに分かった。雪ノ下家は当主である雪ノ下雪乃の母親と雪乃も一緒に謝罪と見舞いに向かったのだが
『別に気にしなくて大丈夫ですよ、良い機会だから休めと言われたくらいですし』
さらにボーダー本部長や八幡の上司とも話したが、犬を助ける為とはいえ飛び出した八幡が悪いと逆に謝られたくらいだ。
「で?ここは何なんだ?訳も分からないまま連れて来られたんだが」
「全く、あの先生は……持つ者が持たざる者に慈悲の心を持ってこれを与える。人はそれをボランティアと呼ぶわ、途上国にはODAを、ホームレスには炊き出しを、モテない男子には女子との会話を。
困っている人には救いの手を差し伸べる……ようこそ奉仕部へ」
「一部変な単語が混じってた気がするが何となく分かったわ」
八幡が言うと再び扉が開き
「何をイチャついてるんだ!?青春の馬鹿野郎!!」
変な言葉を言いながら平塚が入ってきた。
「平塚先生、入る時はノックを」
それを無視して雪ノ下が淡々と言う。
「っぐ、さっきは説明を忘れてたが雪ノ下には入部という形でそいつの矯正を頼みたい」
八幡の捻くれた考えや腐った目は矯正しないと将来が危ういと平塚は語り
「では任せたぞ」
言うだけ言うと、平塚は教室から出て行った。
「どうするの?比企谷くん。貴方が必要ないと考えているのならこの件はなかったことにするわ」
「はぁ……全く知らない奴じゃないだけましか。まぁ、しばらく世話になるわ」
学校で1人なんじゃないかとか心配してた妹や上司であり親代わりでもらあるおっさんも、これで少しは安堵するか?と考える八幡だった。