特別S級隊員比企谷八幡 真説   作:ケンシシ

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奉仕部 ②

「うっす」

 

時は少し戻り、ある日の放課後。八幡は半分強制ではあったものの入部した奉仕部に顔をだした。

 

「比企谷くん。あと挨拶はちゃんとした方がいいわよ」

 

八幡が部室となっている教室に入ると少女がいた。奉仕部部長の雪ノ下雪乃である。

 

「あー、悪かったな。こんにちは、雪ノ下」

 

「はい、こんにちは。これで1つ矯正したわね」

 

「あ、それの効果あったのね」

 

八幡がため息をつきながら言うと

 

「任されたからには多少はね」

 

そして八幡は適当な椅子に腰掛けると

 

「聞きそびれてたんだが、奉仕部って具体的に何をするんだ?」

 

「平塚先生が生徒を連れてきて、悩みを聞いて対処するといった感じよ」

 

それまでは自由にして良いと雪ノ下が言うと、八幡そそくさとラノベを読みだした。

 

「雪ノ下、比企谷いるか?」

 

そうこうしていると平塚先生がノックせずに入ってきた。

 

「平塚先生、何度も言ってますがノックしてください」

 

「はっはっ、まぁいいじゃないか。今日は依頼人を連れてきたぞ」

 

そして平塚が入って来いと言うと1人の少女が入って来た。

 

「失礼しまーす……って何でヒッキーがいるし!?」

 

入って来た少女は八幡を見るなりそう叫ぶ。

 

「ヒッキーってまさか俺か?」

 

「そうだし」

 

八幡の疑問に答える少女。

 

「俺は引きこもりじゃないし、なんなら働いている。というか誰?」

 

「2年F組の由比ヶ浜結衣さんね。貴方と同じクラスよ」

 

八幡の疑問に雪ノ下が答えると

 

「え?クラスメイトなのに知らないとかありえないし!!」

 

「な、なんかすまん……」

 

「謝られるのも何かムカつく!!」

 

そう思わず由比ヶ浜が嘆いていると

 

「ところで由比ヶ浜さん、何か依頼があるのではないかしら?」

 

雪ノ下が仕切り直すように聞くと

 

「え、えーと?そのぉ……」

 

由比ヶ浜はチラチラと八幡を見ながら言いにくそうにしていると

 

「何か飲み物買ってくるわ」

 

八幡はそう告げると部室を後にした。

 

 

 

 

ガコンッ

 

自販機まで来た八幡が飲み物を買っていると

 

「あれ?せんぱぁーい、何してるんですか?」

 

1人の女子生徒が話しかけてきた。

 

「ん?一色か。学校で話しかけてくるなんて珍しいじゃねーか」

 

女子生徒の名は一色いろは。ボーダーの後輩の1人である。

 

「ボーダー本部以外で話さないのは先輩が姿をなかなか見せないからじゃないですかぁ」

 

頰を膨らませながら言う一色に

 

「あざとい」

 

そうばっさり切り捨てる八幡。

 

「あざとくないです!」

 

そうあざとく怒る一色いろは。

 

「で?おまえらのとこの隊は今日は防衛任務なんじゃないのか?」

 

「え?可愛い後輩のスケジュールはしっかり把握しているアピールですか?先輩が私のことを知ってくれてるのは嬉しいですがもっと時間の余裕があるときにアピールしてください、ごめんなさい」

 

「何だ、先輩アピールって……というかおまえのとこのオペレーターはあいつだぞ?知ってて当然だ」

 

そう言う八幡に

 

「まぁそうですよね。先輩みかけたから話しかけただけなんで、失礼しますね」

 

そう言い一色はその場を去っていった。

 

「やっぱりあざとい」

 

手を振りながら去ってくいく後輩を見ながら八幡はそう呟いたのだった。

 

 

 

『家庭科室にいます』

 

八幡が奉仕部に戻るとそう書き置きが残されていたので、家庭科室に向かうと

 

「なぜこうも失敗を重ねられるのかしら?」

 

「あ、あはは」

 

木炭のような何かを作っている由比ヶ浜とそれを見て頭を抱えている雪ノ下がいた。

 

「これはどういう状況なんだ?」

 

「ある人にお礼の手作りのクッキーを渡したいそうなのだけれど……」

 

雪ノ下の視線の先にはクッキーとは程遠い炭の塊があり

 

「もう一度作ってみましょう」

 

雪ノ下が声をかけ再度作るができたのは変わらず、炭の塊だった。

 

「どうしてこうなるのかしら……」

 

「やっぱり私には才能ないのかな?……」

 

再度頭を抱える雪ノ下の横で由比ヶ浜が呟いた時

 

「おい、由比ヶ浜。おまえ雪ノ下の教えをまともに聞く気はないのか?」

 

八幡の冷たい声が響いた。

 

「「え?」」

 

その声に驚く2人。

 

「さっきから見てたけど、雪ノ下が目を離した隙に調味料の分量とか勝手に変えたりしてるだろ」

 

「え、えーと……砂糖とか多い方が甘くて美味しいじゃん?」

 

八幡はため息を吐くと

 

「何の知識もないのに余計なことをするから失敗するんだろうが……教えてもらう立場なら、まず言われたことはちゃんとしろ。アレンジしたいならその後に聞きながらすれば良い」

 

八幡は一息つくと

 

「何にでも才能の有無とかはあるけどな由比ヶ浜……おまえはそんなレベルにすら立ってねーよ。もっと真剣にしないと時間を割いてる雪ノ下に失礼だろ」

 

そう八幡が言うと一瞬、家庭科室が静かになったが

 

「ごめん、雪ノ下さん。もう一度教えてください!!」

 

由比ヶ浜がそう言い、頭を下げる。

 

「言いたいことは全部、比企谷くんに言われたし……今度はしっかりしてもらうわよ、由比ヶ浜さん」

 

「うん!」

 

そうして再度クッキー作りが始まった。

 

「で、出来た……」

 

しばらくして由比ヶ浜の手作りのクッキーが出来た。今度のは多少不恰好ながらもちゃんとしたクッキーとなっていた。

 

「ありがとう!雪ノ下さん、ヒッキー!」

 

そう嬉しそうな笑顔を浮かべた由比ヶ浜に雪ノ下が

 

「それで?言わないといけないことがあるんじゃないかしら?」

 

由比ヶ浜にそう何かを促す。

 

「えと……ヒッキー……ううん、比企谷くん!1年前にサブレを助けてくれてありがとうございました!」

 

そう涙を流しながら礼を言う由比ヶ浜に

 

「ん?どういうことだ?」

 

疑問を浮かべる八幡に雪ノ下が1年前の事故の原因の犬の飼い主が由比ヶ浜であることを伝え

 

「なるほどな……まぁ俺の方は気にしなくていいぞ。これはそのお礼か……」

 

そう言うとクッキーを1つ手に取り食べる八幡。

 

「うん、美味しいぞ。由比ヶ浜」

 

その八幡の一言にこの日1番の笑顔を見せる由比ヶ浜だった。

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