1
テオスカルディアの王宮で待つこと10分ほどで、謁見室の外からばらばらと足音が聞こえてきた。
思わず私は王様の前であることを忘れて立ち上がって入口の方に顔を向け、またすぐに王様の方に戻す。この部屋で唯一の椅子に座るその人は、目を瞑ってうっすら微笑んでくれた。
行ってもいいってことなのかな?
みんなの姿が見える前に軽く王様に向かってお辞儀をすると、私とコタローは出入り口の方に駆け出した。
「レックス!」
「アサヒ! 王様との話は終わった?」
「う、うん。終わった、けど……」
レックスの目尻が赤く腫れているのに気が付いて、私は言葉を濁した。
泣いてたのかな、と頭の隅で考えるけど本人はそれを指摘されたくないだろう。
でも、この距離で話してわかるくらいなんだから、多分これから対面する王様にも気付かれてしまう。まさか、王様がそれをわざわざ言うなんてことはしないと思うけど……。
背中の先にいるその人の気配を探りながら、私は回復アーツをレックスに向かってこっそり発動させた。
緑色の淡い光の粒がレックスの周りを舞い、かすかに残ってた目の赤さと腫れを引かせる。ただ、何の断りもなく突然アーツを撃ったためか、レックスは目を白黒とさせてこちらを見ていた。もしかしたら、目が腫れてる自覚もなかったのかもしれない。
尋ねられたら誤魔化せそうにないので、私はレックスと顔を合わせないように腰にコタローのボールを戻して笑いかける。
「ほら、行こう? 王様が待ってるよ」
「あ、あぁ」
まだ納得してなさそうな顔だけど、さすがに王様の前だし聞くに聞けなかったみたいだ。
みんなの中に混ざるようにレックスの後を追って、王様の御前に再び戻る。
「――傷は、もういいのか」
「はい。もう大丈夫です」
先頭に立つレックスは、王様の言葉にしっかりと頷いた。
「すまなかったな。私が天の聖杯を消し去ろうとしなければ、彼奴らは……」
「放っておいても、あいつらはホムラの前に現れた。王様のせいじゃありません。……オレの、せいです」
やっぱり、ホムラさん達を連れて行かれたのはレックスにとってすごいショックだったみたいだ。
あの目の腫れも、それが理由なのかな。と俯くレックスに手が伸びそうになったのを王様の声でギリギリ自制ができた。
「500年の昔、この国は二つに割れようとしていた」
そこから王様が語ったのはこのルクスリアの歴史だった。
巨神獣やブレイドとの自然的共存を目指すアデル派と、あくまで人間による統治を掲げ巨神獣を利用せんとする反アデル派。
アデルが姿を消した以降、反アデル派、つまりこの国の始祖の人たちは偶然得られたサーペントの制御コア
自分たちが、英雄アデルの始祖だと国民たちに偽ることによって。
アデルの名を利用して国を統治することに成功した当時の王様は、やがて自分たちがアデルの血脈ではないという歴史を隠すために、ゲンブを雲海に潜らせ他国の干渉を避けることにしたらしい。
「そして、アーケディア法王庁はそれを黙認した」
「あっ、そっか。確か法王様って500年前から生きてるんだっけ……」
「そうだ。楽園の子よ、なぜ法王庁がそれを黙認したかわかるか?」
突然の質問に、私はぶんぶんと首を横に振る。
法王様が500歳だってことも今まで忘れてたくらいだったので、その人が500年前に何を考えてたかなんて私が分かるはずもない。
「法王庁は、黙認する代わりにルクスリアが雲海から得る富、コアチップを毎年一定量献納させることを約束させたのだ」
コアチップ、というのはブレイドにつける装備品のようなものだ。武器にそれをつけることで、武器の威力が上がったり特殊な効果が付与されたりする。
それが、ルクスリアでは豊富に採れたのかな?
いまいち想像ができない私たちに、国王様はそれを実際見せてくれた。
謁見の間の壁の一部が下にスライドして、その中には五本の太いエーテルラインが走っているのが見えた。
煌々と海の様に青い、ブレイドのコアと同じ色のエーテルが上から下へと吸い込まれていく。
「巨神獣は雲海を摂取することで、その活動エネルギーとしている。活動エネルギーはエーテル流となり巨神獣の全身を駆け巡る。それを精錬し、結晶化したものがコアチップだ。この階下が、その生産施設となっている」
「巨神獣の活動に必要なエネルギーの一部を取り出しているということか」
「ルクスリアの気温が低く、作物が育ちにくい主因がこれなのだ」
メレフさんの言葉に王様が頷く。
分かりやすくイメージするなら、ゲンブはずっと栄養不足兼貧血状態だということだ。取り込んだ先からエネルギーをコアチップにされてしまうのでゲンブの体温は上がらないし、体温が上がらないから気温も上がらないままで、更に作物が育てにくい。まさに負のスパイラルという感じだった。
「コアチップは国家のエネルギー政策、軍事政策に欠かせないものだ。法王庁は、それを欲した」
「なんのために?」
「聖杯大戦後のアルストは限りなく疲弊していた。反面、自国の影響力の拡大を狙うには絶好の機会とも言えた」
「法王庁は、ルクスリアからコアチップを献納させることで自国の軍事力の強化と、ルクスリアの衰退を狙ったということですね」
「結果、ルクスリアは慢性的なコアチップ不足に陥った。……あとは、そなた達が見てきた通りだ」
今や法王庁はブレイドのコアの供給を制御するまでに至った。でもそれは、ルクスリアのコアチップを献納させたからできたことであって、奪われてきた側であるルクスリアの人たちはゲンブが潜行して日も当たらない雲海の深く、作物も育たない極寒の地でずっと貧しい暮らしを強いられてきた。それでも鎖国までして他国との接触を避けたのは、ルクスリアに伝わるアデルの伝承が偽りだと国民に知られるのを恐れたから。
法王庁に国力をコアチップという形で削がれたルクスリアの人たちは、英雄アデルの始祖であるという誇りだけが心の寄る辺だったんだと思う。
でも――
「それから500年、天の聖杯の目覚めを受けアーケディア法王庁は
「アーケディアが? そんな……」
「あの親書の中身、そういうことやったんか……」
私はその場にいなかったけれど、法王様が用意した親書をこの王様が破いたことはみんなから伝え聞いていた。
つまりは、マルベーニ聖下がルクスリアの国王様を脅していたことになる。
これには、私もなんて反応したらいいか分からなかった。私の中の法王様の印象は優しく、誠実な人という感じだったのだけれど最近法王庁が絡んだ事件が多すぎる。
「もう沢山だ! これ以上、このルクスリアが、民が困窮することには耐えられない。だから、私は決断したのだ」
「それで、王様はホムラを……」
「天の聖杯は、法王庁の剣として使われる可能性がある。しかし、その力を封じてしまえば抗することも可能かもしれない……。今の生活からの脱却を掲げれば、過去の王家の罪も許されるに違いない、とな」
「聖杯の力を利用しようとは思わなかったの?」とニアちゃんが王様に向かって尋ねると、ルクスリアの王様はそれに首を横に振って「我らには過ぎたる力。その資格がないことくらいはわかる」と答えた。
それから、顔を上げてレックスに向かってその人はこう言った。
「だが、果たしてそなたにとってもそうなのか。……あのとき、そなたの瞳を見た時、私は確信した。そなたにならば、天の聖杯の力を託せるのではないか、と。だが、結果的に事態を更に悪化させてしまった」
俯く王様から視線をずらして、私はレックスの顔を盗み見る。
これまでもレックスの瞳が何かを暗示していることは、何度か聞いたことがある。
私には普通の綺麗な金色の瞳に見えるけど、見ただけで特になにかが分かるわけもなく、再び王様に視線を戻した。
王様は、腰に手を回すと一冊の分厚い本を取り出した。みんなの注目がその本に集まる。
「この書は、英雄アデルに関することが記されたものだ。これによれば、アデルは白い剣によって世界を滅亡から救い、赤の剣と共に姿を消したと書かれている」
「白と赤……。ヒカリとホムラの剣のことか」
「書を記した者は、アデルに近しい者だったのだろう。この者は好奇心から、アデルが姿を消した後、あるものを探しに旅に出ている」
「あるもの、とは?」
首を傾げるビャッコさんに対して、王様はじっと言葉が溜まるのを待つように黙り込むと、厳かにゆっくりとそれの正体を口にした。
「――天の聖杯、第三の剣」
「第三の、剣?」
「その剣は、金剛石の様に透明で、澄んだ輝きを放つ剣であったそうだ。だが、アデルは終生、この剣を使うことは無かった。――否、使えなかったのだ。それは、英雄アデルをもってしても、その凄まじき力の本流に耐えられなかったそうなのだ」
そうして、剣の力を恐れた英雄アデルは、どこかにその剣を封印したと王様は語った。
天の聖杯の第三の剣について綴った書にはさらに著者によってこう書かれていた。曰く『その剣こそ、本当の天の聖杯の剣である』と。
「レックスよ、そなたはシンに敗北した。確かにあの男の力は強大だ。だが、本当にそうなのか? 天の聖杯とは、一人のブレイドにも劣る程度のものなのか? ――こうは、考えられないだろうか。そなたは
レックスが、二人の力を引き出せてない……。
彼自身も何か思うことがあったのか、王様の言葉を繰り返して何かを考え込むように下を向いて、すぐに顔を上げた。
「王様! その剣はどこに!? オレ、その剣を手に入れたい! 手に入れて、ホムラとヒカリを助けたい!」
「残念ながら、この書にも剣の所在は書かれていない。だが、リベラリタス島嶼群のどこかに封じられたのでは――。と推測めいたことは書かれている。困難だろうが、もし探し当てることができたなら……」
と、王様が話す中で、その続きを遮るように、レックスのヘルメットに収まっていたじっちゃんから「覚悟はあるか?」と問う声がした。
「え?」
「あの子の本当のドライバーになる覚悟はあるのか? と聞いておる」
「じっちゃん……」
「どっちじゃ、レックス」
「――あるさ。当たり前だろ! オレはホムラとヒカリの、本当のドライバーになりたい。なって、二人を楽園に連れて行ってやりたい!」
その言葉を疑う人はここには一人もいなかった。
さっきまで目を赤くさせていた同い年の男の子だったのに、目の前で一歩先に踏み出されてしまった気持ちになった。私にはレックスが踏み出したその一歩が、とても眩しくて、遠い。
「ならばついてこい。ワシが案内してやる。本来ならばカイに任せるべきなんじゃろうが、今どこにおるか知らんしのぉ……」
「え、カイ? なんでカイが――」
「あやつが恐らく
説明しているようでまるで説明になってない。
カイさんと第三の天の聖杯の剣とがどんな関りがあるのかよくわからないけれど、それでも今カイさんの居場所が重要なことだけはわかった。
難しい顔をするみんなの中でおずおずと、私は小さく手を挙げる。すると、それに気づいたレックスとじっちゃんがこちらに視線を向けた。
「……あの、カイさんなら、インヴィディアにいるかも」
「アサヒ、それ本当?」
「う、うん。レックスと合流するためにカイさんについて来て欲しいってお願いしたら、カイさん条件があるって言われたの」
「条件? そういや、ワイらと会った時もそんなこと言うてた気がするな。んで、なんて言われたんや?」
「あ、えっと、『女の子が喜ぶような、景色が綺麗な場所を教えてほしい』って。だから私、ローネの大木のことを教えたんです。だから、たぶんいるならそこじゃないかな、って」
もちろん移動している可能性もあるし、そもそもそこに向かってない可能性もある。だからじっちゃんに案内してもらってもいいと思うんだけど――。と続けると、巨神獣の幼体だという姿のじっちゃんがフルフルと首を横に振った。
「ワシは場所だけしか知らん。アデルでさえも終生使わなかった天の聖杯の第三の剣が、そんな簡単な方法で封印されていることはないじゃろう。多少遠回りとなっても、カイと合流した方が確実じゃ」
「なら決まりやな」
「あぁ、インヴィディアに行こう!」
行き先は決まった。
私たちは王様に一礼すると、待ちきれずに謁見室から外に向けて駆け出した。
同じように一分、一秒だって惜しいと思っているはずのレックスの背中を追って。
2
インヴィディア烈王国の首都フォンスマイム唯一の劇場であるパジェナ劇場。その一番奥まった部屋の書き物机で一人のフードを被った老人は背中を丸め一心にペンを走らせていた。
自分に残された時間はそう多くはない。そう自覚があるからこそ、己の命から湧き出た物語を一文字たりとも取りこぼすことのないように、紙へと文字を刻み付ける。書けば書くだけ、そこに自分がいた証明になる。
そんな彼の崇高な行為を止めたのは、この劇場で養っている戦争孤児の少女の声だった。
「おじいちゃん、お客さんが来てるよ」
「客ぅ? はて、誰か訪ねてくる予定なんぞあったか……?」
フードを外しながらこの劇場の座長であるコールことミノチは首を傾げた。
若い頃に伸ばしていた髪はずいぶん前にばっさりと切った。だが、事あるごとに頭の後ろに手を回しそうになるのは、もはや治らない彼の癖だ。未練がましい、と心の隅で考えながらも、今は突然の来客について思考を割かなければならない。
「イオン、その客というのはどういう奴だった?」
「えっとね、カイって名前の白い髪のお兄さんだったよ」
「カイ……?」
ミノチの数百年に及ぶ記憶の中で、その名前が該当するのは一人だけだ。だが一方で、そんなはずがないと脳が即座に否定した。もしもそれが彼の知るその人物ならば、こんなところに来るはずが――。
「よっ! やっぱりお前だったんだな、ミノチ。あーっと、今はコールって名乗ってんだったか?」
「あっ、お兄ちゃん! 入口で待っててって言ったのに!」
「アッハハハハ、悪い悪い。兄ちゃん、寂しがり屋なんだ。冗談だけど」
「……相変わらずだな、カイ」
「お前はだいぶ変わっちまったな」
発作が出ないように開け放たれたままの扉の前に、頭からつま先まで真っ白な男が立っていた。
白い髪を下の方で一つに結い、若々しい青年の姿の彼は腰に二本の剣を提げている。同じ混じり物であるにも関わらず、自分のような失敗作ではない、ある意味真反対な存在はにこやかにミノチ、いやコールに話しかけた。まるで、昨日別れたばかりの友のように。500年の時間の隔たりさえ微塵も感じさせずに。
とりあえず、ここまで来て追い返すのもなんなのでコールはカイを自室に招き入れた。
まだ微妙に警戒するイオンにカイがフォンスマイム特産のチョコットを渡すと、幼い彼女は警戒心を吹き飛ばし満面の笑みでお菓子の礼を言って部屋から去っていく。
さすがの手腕である。
イオンが去ったのを見届けてカイに来客用の椅子を勧ると、薄暗い部屋の中で男二人が向き合って座った。
「それで、何の用だ?」
「いいや? たまたま近くに来て、その時たまたまこの国には劇場があるってことを知ったんでな。興味本位で覗いてみたんだが……。どうも事実とかけ離れ過ぎた脚本だったから、気になって主催者の顔を拝みに来たんだよ。けど、まぁ、お前があれを書いたんなら納得だ。あそこまで徹底的に事実とは違うことを書くことができる奴は、正しく事実を知ってる奴だけだからな」
「ふん。口が良く回るのも変わらず、か」
「お前も妙にカッコつける癖治ってないんだな。俺たちの中で一番熱血漢だったくせにって――悪かった悪かった、だから殴りかかろうとしないでくれ」
無言で振り上げた利き手にカイは大げさなほどに慄くふりをして見せる。
例えこの拳が当たったとしても、こんなおいぼれの力では怪我一つしないだろうに。500年前からこの男はこんな調子だと思い出し、コールは再びふん、と鼻を鳴らすとゆっくりと拳を机の上に戻した。
「本当に何の用だ? お前さんがあの王子様の言いつけを破るなんて、よっぽどのことだろう?」
「あー、いや。まぁ、心境の変化って奴かねえ。……なぁ、ミノチ。ヒカリが目覚めたのお前は知ってたか?」
「……! まさか、ヒカリに会ったのか? よく無事だったな……!」
「アッハッハ、無事な訳ないだろ。出会い頭に一発お見舞いされたよ。いやぁ、あれは強烈な右ストレートだった……!」
「馬鹿もん、お前さんがしでかしたことを鑑みれば、その程度で済んでむしろ幸運だったと思わんか」
「だよなぁ……」
件のストレートを食らったであろう右頬を押さえながら、カイは力なく笑った。
流石に、直近でできたその傷を抉るほどコールは無遠慮ではない。しかし、500年のことであれば時効だろうかと思い、彼はずっと聞けなかった疑問を口にした。
「なぁ、カイ。なぜあの時一緒に来なかった? メツと対峙するあの対決の直前に、なぜあんただけ姿を消した?」
二人は500年前に起こった聖杯大戦の渦中で共にメツを倒すために旅をした仲間だった。
そして来る最終決戦。イーラの巨神獣を司る制御コアを奪い返すという名目で各々が装備を整え、大切な人に出立を告げ、いざメツの待つ遺跡へ行くという時に、カイは姿を現さなかった。
困惑する仲間たちに対して、当時彼と一番仲の良かったイーラの王位継承権第四位の王子。今は英雄と呼ばれるアデルだけが事情を知っていたようで、その彼からたった一言『カイは来ない』と告げられた。
コールは今もあの時のことを納得していない。カイがいれば何かが変わっていたかもしれないことがあった。仲間の暴走も、その死も。
しかし、500年という時間は自分を冷静にし、当時のカイの心情を推察するにはあまりあるほどの時間だった。
今、カイに抱く怒りはない。これは、コールなりに導き出した結論の答え合わせのつもりだった。
カイは先ほどから沈黙を続けている。対するコールは、カイが喋り出すまで何時間でも付き合うつもりでいた。やがて、根負けしたかのようにカイの表情が崩れる。その顔は自嘲に塗れた笑みだった。
「世界よりも、守りたい約束があった。それだけさ」
理由としてはシンプル、だがそれ故にその思いの強さを感じられた。
かつてシヤの宝剣と呼ばれ王族に名を連ねる一族の次女をドライバーに持った騎士風の元ブレイドは、ずっと詰まっていた何かをようやく吐き出せたというように、大きく深呼吸をした。
「それは、お前さんのドライバーだった姫君との約束か?」
「あぁ。――姫君は死ぬ前に『誰も恨むな』って言ったんだ。『皆、愛して生きて』ともな。姫君が愛せと言ったからには、俺はこの世界に在るすべてを愛して生きる。だから俺はメツを殺せなかった。殺したく、なかったんだ……」
それで、コールは納得すると同時に長らく置かれた緊張状態が解除されて、力の抜けた体を椅子の背もたれに預けた。そうして、コールは目を閉じた。
「何なんだろうなぁ、俺たちは……」
暗闇に包まれたコールの耳にカイの泣き笑いのような声が聞こえて来る。
「
その言葉をきっかけに瞼の裏に浮かび上がったのは、己の元ドライバーの姿だった。
彼はミノチであった頃の自分を
そしてもう一人。志同じくして共に旅をした仲間であり、今は自分たちの救えなかった国の名を組織の名に掲げ、かつての仇敵と世界の敵になってしまった心優しきそのブレイドの姿を。
過去に固執する者、現在に停滞する者、未来を閉ざそうとする者。自分を含めた
その道は、今後きっと混じり合うことは無い。
第四章『理由』完
次話第五章『決意』
コールとカイのやりとりが書いてて楽しかったです。
次話『インヴィディア烈王国行 巨神獣船船内』
誤字脱字報告ありがとうございます!!
反映させていただきました。