比企谷八幡は兄弟を大切に思っている 作:三叉路でまた会おう!
今は中々姿を見ることが少なくなった雀の鳴き声で目を覚ました。
総武高校二年生、比企谷八幡。それが彼の名前だ。
「ハチマン!そろそろ朝ですよぉー!一緒にモーニングをブレイクするデース!!」
朝早くから八幡の部屋に入ってきたのは、八幡の姉でありこの家の長女に辺る人物。名前は比企谷金剛。八幡とは3つ歳が離れており現在は大学生で中学でも高校でも一緒にはなれなかった。因みに帰国子女という訳ではない。何故か成長していく過程でこのようなしゃべり方をするようになってしまったのだ。チャームポイントのアホ毛をぴょこんぴょこんと揺らしながら跳び跳ねている。我が姉ながら整った顔立ちとスレンダーな体。そして人を惹き付ける優しさを兼ね備えている。一見アホっぽく見えるが実はかなり勉強は出来、頑張りや。国語以外では、八幡が勝てる教科は無い。
「ほんと金剛姉さんが家族じゃなかったら告白してフラれるレベル」
「ふぇっ!?は、ハチマン!?こ、告白っていいましたカ?」
顔を赤面させながら金剛姉さんは聞いてくる。どうやら声に出てしまっていたようだ。うわそれ気持ち悪いな...金剛姉さんに嫌われるとか、もう死ねる。
「ああ、ごめん。金剛姉さん。気のせいだから気にしないでくれ」
「そ、そうでしたカ。ふぅ...いやー焦りましたヨ!!」
あはは、と笑って誤魔化して朝食を食べるために一階に降りる。あ、言い忘れていたが八幡の部屋は二階にある。ん?誰に説明してるんだ?まあいいか。
あー、あと。金剛姉さんには料理だけは作らせてはいけない。
「あ、お兄ちゃんおはよー」
「おう小町、おはよ」
リビングに立って料理を作っているのは比企谷小町。年は八幡より2つ下で現在中学生。ぴょこんぴょこんと跳ねるアホ毛はもはや、うちの人間である事を証明しているかのようだ。因みに小町は料理が得意。勉強は...少し苦手だ。正直総武高校に入れるかどうか怪しいレベル。だが八幡にとって小町と同じ高校に通えるか通えないかは死活問題に直結する。なので日頃から少しだか勉強を教えている。数学以外を。
「コマチーそろそろ私にもクッキングを手伝わせて欲しいネー!」
「あーと...それじゃ金剛お姉ちゃんは、お皿だしてくれるかな?人数分の」
金剛姉さんは、料理をしたがる。だがどこの闇鍋料理だよ。と突っ込みが飛び出るレベルなので控えてもらっている。ていうか金剛姉さんの作った料理を食べると次の日は1日腹痛で動けなくなるのだ。だが...作ってしまったときの金剛姉さんの食べて欲しそうなあの哀しげな顔を見てしまったら食べるしか無くなる。そして愛しの小町や--------が翌日腹痛で倒れないように一人で食べきるのだ。
「う~...分かりましたネ」
渋々皿を取り出す金剛姉さん...うんめっちゃ可愛い!
「あ、でも金剛お姉ちゃん」
「?」
「今週の土曜日なら作っても良いよ。お兄ちゃんの分だけ」
小町が爆弾を落としてきた。いや確かに哀しげに皿を並べる金剛姉さんを見て思ったことはあるよ?あるけどさ...そして小町ちゃん?ちゃっかり一人分って言ったよね?そしてお兄ちゃんって言ったかな?
「what!?それは本当デスカ!?コマチ!」
「うん!ねー!お・に・い・ちゃ・ん♪」
キラキラと輝かせた瞳で此方を見る金剛姉さんと有無を言わせない圧力で此方を見る小町。断れる奴がいるなら変わってくれ。
「ああ、楽しみにしてる」
「ハチマン!ありがとネー!」
「うおっ!?こ、こんぎょうねえせぇん!?」
金剛姉さんに抱き着かれて戸惑いを隠せず噛み噛みになった八幡を見て悪い笑みを浮かべる妹の小町。まさか策士か!?くそ!あの孔明よりもか!?いやそれはないな。そして小町ちゃん。グッチョブ!
暫く金剛姉さんの、柔らかい抱擁を堪能した八幡はソファーの上に座ってテレビを付けた。
「あ、お兄ちゃん。暇ならお姉ちゃん起こしてきてー。多分まだ寝てると思うから」
「.....小町。お前のお姉ちゃんはそこにいるだろ?」
むしろこっちを見習ってくださいお願いします。
「お兄ちゃん、毎朝同じ返ししてないでさっさと起こしてきてよ」
「ういー」
慣れたことなのでソファーから立ち上がり二階に上がる。八幡の妹であり小町の姉である部屋の前まで来てノックをする。
コンコン。
返事がない。
コンコン。コンコン。
返事がない。ただの屍のようだ。
「はあ...仕方ない」
毎朝の事だ妹であるのだが一応女であるので部屋に入りたくは無い。だがドアノックを100回繰り返そうが起きてこない妹を起こすには入るしかない。
「スー....スー」
入った瞬間に目に入ったのはベット。カーテンをどうやったかは分からないが飾りお姫様?が寝るようなベットに見えなくもないベットになっている。そして部屋を見渡せば、何かのオカルトグッツや賞品なのか分からないが異彩を放っている。てかあれなんだよ?はにわ?
はー...と。ため息をはきながら肩を揺すりながら妹の名前を呼ぶ。
「おい六花起きろ」
「....。.........スー」
こいつ。起きて寝たふりしやがった。
八幡の一つ下で同じ総武高校に通っている比企谷六花。彼女は病気だ。何も悪い病気で手術しなければ治らない!なんて病気ではない。むしろ一過性のものだが、その効力は恐ろしく未だに有効な医療術が無い。下手な病気よりたちが悪いかもしれない。
「おい六花起きろって」
「私は現在魔の者によって封印されている。その封印を解かなければ起きることは不可能」
おい完全に起きてるじゃねーか。
そして俺は声高らかに叫ぶのだ。いつもの朝のように。いっそ清々しく。
「ふっ邪王真眼よ!!今こそ貴様の目覚めの時だ!!この無名の神の名の元に貴様の封印を解除する。さあ邪王真眼よ目覚めるが良いっ!」
「目覚めた。ありがとう無名の神お兄ちゃん」
「止めて本当にその呼び方だけは勘弁してくれ」
「どうして?カッコいい!!」
「カッコよくない!」
そうこの目の前で瞳をキラキラと輝かせているのが最後の妹で、中2病という病をわずらっているのだ。
あれ?目キラキラしてないの俺だけじゃね?むしろ腐ってるし....。