比企谷八幡は兄弟を大切に思っている 作:三叉路でまた会おう!
六花を起こしてきた八幡は現在小町が作ってくれた朝御飯を食べている。因みに八幡の隣には金剛姉さんが座っている。小町と六花は八幡達の対面である。
ぴょこんぴょこん、とアホ毛が四本動いている食卓というのも珍しいだろう。だが四人は何も気にせずにご飯を食べ進める。
「そろそろ時間デスネー。残念ですが私は先に行きますネー!フォルミー!!」
「いやいや金剛姉さん。俺達は一緒に行けませんから」
「あっ!そうだったネー!」
朝から台風のように大学に向けて出掛けた金剛姉さんを見届けた八幡は朝食を終えて着替えるために二階に上がる。
着替えを済ませて外に出るとそこには。
「レッツゴー!」「お兄ちゃん遅い。このままでは闇の者に捕まってしまう。うう!目が、目がぁぁ....」
小町は自転車の後ろに乗っており六花は掴まっている。高校生になっても六花は、眼帯をしてローラーシューズを履いて登校している。良いのか?と聞かれればアウトと答えるだろうが本人の意思を尊重するのが比企谷家の家訓だったりするわけで。用は本人主義でありめんどくさいから放置という言い方もある。そんな二人に声をかけるとしたらこの一言で充分だろう。
「このアホ...」
かれこれ30分は漕いだだろうか。坂道も登り道も関係なく漕がされた俺は色々と限界だったりする。肩で息をしながら自転車を漕ぎ進めていると小町の通っている中学校。そして俺や六花も通っていた中学校が見えてきた。
「あ、お兄ちゃんここまでで良いよ!じゃあねお姉ちゃん、お兄ちゃん」
そう言って走って行く小町。自転車の中に鞄を置いたことも忘れながら友達の枠の中に入っていく。どうして兄妹でここまで違うのだろうか。そっと後ろを見ると六花は別段興味なさそうな表情だった。
「お兄ちゃぁぁあん!」
泣きながら戻ってきた小町に鞄を渡して総武高校に向けて少し軽くなったペダルを漕ぎ出した。
「自転車置いてくるから六花は先に教室に行ってて良いぞ」
「なに?どうしたんだお兄ちゃん。昨日まで一緒に行っていたのに....はっ!まさか!遂に深淵の底から来たあいたっ」
「やめい」
学校の校門付近で中二病全快で騒ぐ妹と一緒にいるのは、ボッチである八幡にとって難易度が高い。確かに俺も昔は中二病だった頃もある。だが今は違う。ああいうのは卒業したのだ。黒マントだって中学の時に買った木刀だって封印してある。別に捨てられなかった訳じゃない。勿体無かっただけだ。ほ、ほんとだよ?
「あうう。お兄ちゃん痛い..」
「あー悪かったよ」
つい流れるようにチョップしてしまったがそんなに強かったか?半泣きになっている六花の頭を優しく撫でる。
「それじゃ先に行ってろよ」
「む、了解した」
出来る限り六花と一緒にいる所を学校にいる奴には見られたくなかった。六花は中二病を養っているが顔だけは整っている。顔だけは。まだ幼さを残してはいるが可愛いと言われる類いに入るだろう。そんな妹がボッチであり、クラスで虐められている兄と一緒に登下校しているなんて噂を流された日には、申しわけなくて頭が下がるばかりだ。妹に迷惑をかけたくないって意味もあるが。八幡のようにはなってほしくはなかった。
金剛姉さんも六花も小町も八幡とは違うのだから。
自転車を置いて教室に入る。騒がしかった雰囲気は一瞬無くなり八幡に視線が集まる。だがそれも一瞬だ。何事も無かったように話は継続され、まるで初めから八幡が来ていなかったような錯覚にさえ陥りそうになる。
ふっ完璧だな。
八幡は自称気味に心の中で答える。今の自分が最も優れているかのように。
自分の席に座りイヤホンを耳にさして音楽を流す。因みに曲は、金剛姉さんと一緒にカラオケに行ったときに録音したものだったりする。うん、なんだろう一言でいうと気持ち悪いな俺。そんなことを考えながら机に突っ伏していつも通り寝たふりを始める。
本当に寝てしまっていたのか起きたときには1時限目の数学が終わっていた。SHRで欠席の確認の有無をしているはずだが...と考えてもたまに何故か八幡の名前を呼ばれなかったりするので深く考えないようにしている。
さて次の授業は、と考えて予定表を見ると国語だった。国語の授業まで寝てなくて良かったーと思いながら教科書とノートを用意する。得意科目は国語だが苦手な先生は国語担当でもあった。他の先生は八幡を認識しているかどうかすら怪しいが国語担当の先生だけは八幡を忘れたことが無かった。むしろ寝たりなんかしたら一分もしないで鉄拳制裁が飛んでくるレベル。
「皆、おはよう。それじゃあ授業を始める。今日の授業は君達に作文を書いてもらう」
今入ってきた教師こそ平塚静先生。生活指導の先生でもあり教師にしてはかなり美人だと思う。思うが何故か男の話がまるで出ない。噂に聞いた話では、合コンにはよく行っているが捕まえられた試しがないとのこと。
「えー先生どうして作文なんですかー?」
「つーか高校生にもなって作文とか笑えるでしょー」
クラスの奴等が騒いでいるが気にしない。実際作文は必要な要素だろう。国語教師が求めている作文を書ける高校生は何人いるのか。それこそ少ないだろう。中には小学生のような書き方をしている奴もいるかもしれない。作文は書き方は何種類かあるが基本的には、起承転結をしっかりと考えて書けばそれなりの物になると言われている。だがこれが中々難しいのである。起承転結の起で書くことは内容のファクターの一部であり始まりだ。この時に起承転結の承まで書いてしまったら中身がボロボロになってしまう。書くとするなら、そうだな。今回のテーマは学校生活を振り返ってらしいから。
『青春とは嘘であり、悪である。
青春を謳歌せし者達は常に自己と周囲を欺き自らの環境の全てを肯定的に捉える。
彼等は青春の二文字の前ならばどんな一般的な解釈も社会通念もねじ曲げてみせる、彼等にかかれば嘘も秘密も罪とがも失敗さえも青春のスパイスでしかないのだ。
仮に失敗することが青春の証であるのなら友達作りに失敗した人間もまた青春のど真ん中でなければおかしいではないか。しかし彼等はそれを認めないだろう。
全ては彼等の御都合主義でしかないのだ。
そんな中で非リア充が暮らしていくには姉と妹達に癒しを求めるしか無いのではないか。彼等とは違うがこの生き方だって青春していると自分自身が感じていれば青春なのではないだろうか?
結論を言おう。
青春を楽しむ愚か者ども砕け散れ。姉と妹達に幸あれ』
そして八幡は放課後に放送により生徒指導室に呼び出された。