暗殺教室ー水面に映る月の如くー   作:星音カケル

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第1話 始まりの時間

side如月(きさらぎ)

 

 人生は不公平だ、とオレはつくづく思う。たかだか階級が上にあるというだけでそいつらは下の人々を見下し、人としてすら扱わないこともある。オレはこの椚ヶ丘中学校がそんな人生の縮図のようで気に入らなかった。

 

 だからE組行きが決定した時、オレは心の底から清々しさを感じた。人の上に立って人を見下すくらいなら、同じ場所に立って互いに支え合えるような人間になりたい。

 

─────────────────────────

 

 学校からの帰り道、オレはとても憂鬱(ゆううつ)な気分になる。それはこの学校の本当の姿が見えるからだ。

 帰宅時間はほとんどどのクラスも同じ。故にD組以上のクラス、特にA組の連中はE組連中と出くわしては皮肉を言ったり、陰口を叩いたりする。

 

 ただ今日は気分が悪くなるどころではなかった。

 

 「へぇ、可愛い顔してんじゃん。ちょっと付き合えよ。」

 

 不意にそんな声が聞こえ、振り向くと1人の少女が男に絡まれていた。見るからにチンピラだ。A組連中は少女がE組とわかると自分は関わりたくないとでもいうようにスルーしていた。

 

 「やめろよ、彼女が困ってるだろ」

 

 オレはチンピラに声をかけた。

 

 「なんだてめぇ、ひっこんでろ。言っとくけどな、オレは椚ヶ丘の教師に多少顔がきくんだ。痛い目見ないうちに帰った方がいいぜ?」

 

 「警告しておく、すぐに彼女を離さなければ武力行使をするのでそのつもりで。」

 

 そう告げて身構える。

 

 「調子乗ってんじゃねぇぞガキが」

 

 逆上した男が殴りかかってくるが全くのテレフォンパンチだ。拳をかわしその勢いを利用して投げ飛ばす。

 そのまま動く気配がないのでチンピラはほっといて、絡まれていた少女、神崎有希子に向き直る。

 

 「大丈夫か?有希子(ゆきこ)

 

 「あ、ありがとうみっくん。」

 

 「気にすんなよ。また何かされたらすぐ呼んでくれ。有希子はオレが守るから。」

 

 我ながらキザなセリフだと思ったがそれでも今はそれが正直な気持ちだった。

 

 「うん。頼りにしてる」

 

 彼女はそういうと俯いたまま帰って行った。

 

 

 

翌朝、A組の中はやけに騒がしくて

オレが教室に入った途端皆がヒソヒソと話し始めた。見るとオレの机の上には職員室へ来いという内容のメモがあった。周りの話してることはこうだった。

 

 「如月くん、E組行きらしいよ」

 

 「うわ、マジかよww 終わったなアイツ」

 

 「なんかE組の女子なんか庇って校長の息子を投げ飛ばしたらしいよ」

 

 なるほど、昨日のチンピラは校長の息子だったのか。職員室へ向かうと予想通り担任からE組行きを言い渡された。

 

 転入は明日からだそうだ。別にA組にいることにこだわりはなかったし、むしろ嫌悪感すら抱いていたので清々した。それに...E組に行けばいつどんなときでも彼女を守り、彼女と一緒にいられる。そう、思った。

 

 

 

 

 

その日の夜、現在E組の担当をしているもいう烏間という先生が家を訪ねてきた。

 

 「早速で悪いが現状のE組の説明をさせてもらう。」

 

 「明日じゃダメなんですか?」

 

 「いや、君には今日のうちから現状を理解してもらい、明日から訓練に参加してもらう」

 

 訓練とは一体なんなんだろうと思ったがとりあえず話を聞いておくことにした。

 

 「率直に言おう。君には明日からE組でクラスメイトと共にその担任を暗殺してもらいたい。」

 

 「.................はァーーっ?」

 

 数秒の間、この人は何を言っているのかわからなかった。この反応も予想済みだったようで、烏間先生はさらに詳しいことを説明してくれた。

 

 「つまり今のE組の担任は月を破壊した張本人で3月に地球を破壊する前に暗殺をしてほしい、と」

 

 「思いのほか簡単に信じてもらえたようだな」

 

 「そりゃこんな嘘つくメリットなんてないでしょうし」

 

 「それでこの件に参加するにあたってほかの人間には暗殺のことは口外しないでいただきたい。」

 

 「いいですよ。」

 

 「感謝する。ではこちらを渡しておく。対ターゲット用のナイフと銃弾及び銃一式だ。」

 

 烏間先生が緑色のゴムのようなナイフとエアガン、そして銃を渡してきた。

 

 「こんなんでほんとに殺せるんですか?」

 

 「それは政府が開発した対奴用物質で出来ている。そして君にはこれだ」

 

 今度は緑色のグローブを取り出して言った。

 

 「君は合気道や護身術を学んでいると聞いている。そこで同じ機関の知り合いに開発してもらった。君専用の対ターゲット用グローブだ」

 

 試しにつけてみると手によくフィットする。

 

 「ありがとうございます」

 

 「礼には及ばない。それと一度君の実力を知りたい。明日の朝、7:00に旧校舎に来れるか?」

 

 「手合わせってやつですか?いいですよ。受けて立ちます。」

 

 「そうか。では、今日はお暇しよう。」

 

 「えぇ。さようなら先生。」

 

 そう言って烏間先生は戻っていった。

 

 

 

 

side烏間

 

 彼が予想外に早く納得してくれたので正直少し安堵していた。彼は今のE組には無いものを持っている。

 

 「しかし驚いたな。中学生でこのような数値を出す人間がいるとは。」

 

 彼の身体測定結果は総合学年トップ、特にシャトルランは計測不能。つまり授業中ずっと走り続けてなお体力が残っていたということだ。筋力は平均的だが、それを補ってあまりある敏捷性と持久力、瞬発力は、現時点で既に俺の一歩手前の所まで迫っている。

 

 教師としてだけでなく、同じ格闘家として、彼との手合わせはとても楽しめそうだ。

 

 

 

 

side如月

 

 「おはようございます。烏間先生」

 

 「あぁ、おはよう」

 

 「ターゲットの先生はいないんですね。」

 

 「いや、君のすぐそばにいるぞ」

 

 「はい?すぐそばって...ってうわぁ」

 

 見ると職員室の天井に見たことも無い黄色い生物が張り付いていた。

 

 「ヌルフフフフ、おはようございます。そしてはじめまして、如月水面(みなも)君」

 

 静かに降りてきたその生物は一言で言えば、

 

 「まるでタコですね。あなたがターゲットですか。」

 

 「ヌルフフフフ、殺せんせーと呼んでください。」

 

 殺せんせーの触手と握手(?)を交わし本題に移る。

 

 「で、どこで手合わせするんですか?」

 

 「グラウンドへ行こう」

 

 オレたち3人はグラウンドへ移動した。

 

 「意外です、旧校舎のグラウンドがこんなに手入れされているなんて」

 

 「それはこの前コイツが竜巻を起こして平らにならしたからだ。」

 

 「ヌルフフフフ、生徒達が学ぶ環境は、私たち教師が作らなければ教師失格ですから。」

 

 「だからって竜巻なんぞ起こしやがって、どれだけ周りに不自然に思われたと思う。」

 

 「まあまあ、とりあえずはじめましょう。時間が無くなりますから。」

 

 殺せんせーがそう言ってグラウンドの端に移動した。

 

 「制限時間は10分間、その間に何回ナイフを相手に当てられるかで勝敗を決めよう。もちろん体術を使っても構わない。」

 

 「了解です。」

 

 「ヌルフフフフ、では双方準備はいいですね?勝負、スタート!!」

 

 

 side渚

 

 E組になってから、僕はいつも7:30には学校につくようにしていた。殺せんせーが弱点を出すのは基本的に朝が多いからだ。でも今日は殺せんせー所ではなかった。

 

旧校舎に着くとグラウンドで烏間先生と見知らぬ生徒が倒れていた。

 

 「おはよう渚。どうしたんだ?」

 

 「おはよう杉野。ほら、グラウンドで烏間先生と誰かが倒れてる。」

 

 「ん?あれって、如月じゃねぇか。」

 

 「杉野、知ってるの?」

 

 「1年の頃から成績優秀、スポーツテストではトップの成績をとってたA組の如月水面だよ。なんであいつが」

 

 

 side如月

 

 「化け物ですか、先生は」

 

 「君こそ、本当に中学生か」

 

 結果はオレが7回先生が11回だった。

 

 「正直(あなど)っていたよ。1回でも当てればいい方だと思ったんだが」

 

 「先生こそこっちは一発も当たるつもりはなかったんですけどね」

 

 「謙遜するな。後半3分なんか俺の動きについてくるだけじゃなく攻撃をすべて躱したじゃないか。将来が楽しみだ。」

 

 「こっちこそ久しぶりに思いっきり動いて楽しかったです。」

 

 こうしてオレと烏間先生の手合わせは幕を閉じた。

 

 

 

 side渚

 

 「皆さんおはようございます、今日からみなさんとともに学ぶ転入生が入ることになりました。」

 

 殺せんせーは嬉しそうに笑っている。

 

 「では、如月君入ってください。」

 

 教室の前扉が開き、今朝烏間先生と戦っていた男子が入ってきた。近くでみると磯貝君に並ぶほどの爽やか系イケメンだ。

 

 「みっくん!?」

 

 いきなりそんな声が聞こえ、そちらを見ると神崎さんが顔を赤くして口元を抑えていた。

 

 「今日からこのE組でみんなと学ぶことになりました、如月水面(きさらぎみなも)と言います。体力には自信があるので少しでも暗殺の役に立てたら嬉しいです。」

 

 「では如月君、君は廊下側2列目の一番後ろの席です。」

 

 「ありがとうございます。殺せんせー」

 

 彼が席につく前、神崎さんの横を通り過ぎる時、如月君がちらっと神崎さんの方を見たような気がした。

 

 

 side如月

 

 今日は1日中休み時にみんなの質問攻めに会い、有希子と話す機会がなかった。一日の授業が終わり、やっと開放されたような気分になり、有希子に聞いてみた。

 

 「ゆ、じゃなくて神崎、一緒に帰らないか?」

 

 「いいよ、如月君」

 

 何故(なぜ)か杉野から呪いめいた視線を向けられたが構わず一緒に帰ることにした。

 

 「み、如月君がE組に来たのってやっぱり...」

 

 「みっくんでいいよ。別に有希子のせいじゃない。言ったろ?お前はオレが守るって」

 

 それは紛れもない本心だった。

 

有希子は顔を赤くしながら、それでも嬉しそうに頷いた。

 

 こうして今日から、オレのE組での生活が始まった。




はじめまして!!
天音カケルと言います!!
今回初めての小説投稿をやってみました。
処女作なので、誤字脱字なども多いと思いますが、
どうか暖かい目で見守って頂けるととても嬉しいです。
2週に1話位の感じであげたいと思っていますが、
間が空いたときはご了承ください。
では、また次回お会い出来ることを期待しています!!
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