冒険に異世界を求めるのは間違っているだろうか   作:その辺の人

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タイピングのリハビリとして5000文字にチャレンジ。
いつかの妄想を書き起こしてみた。

異世界で冒険する直前までの話であり。冗長の駄文。

推敲や誤字脱字のチェックもなし。
プロットさえ無し。


旅立ち あるいは第0話

 少年はいつか勝ち取った平和を眺めに気楽な旅をしていた。

 いつもと変わらぬ風のように白い軽装、自由と旅を愛する彼はある日、ともに戦ってきた神に異世界を聞かされる。

 新たな世界に躊躇なく一人飛び込む彼の名は、バッツ・クラウザー。

 

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 突然のことだった。髭の長い男は言った。

 「そろそろ我々は帰る。もう何度か我が子に顔を出せと呼ばれている者もいることだ、ここにはまた顔を出す。」

 

 バッツは少し驚いた。

 「ちょっと待ってくれよ、お前たち家とか国とか持ってたのか。」

 

 青く冷たい彼女は言った。

 「ない。が、神々のよく集まる世界で私の息子が、我が子と同じ目線で愛を注ぐのだとうるさくてな。そこへ行く。ここも随分平和になったことだし今がいいと決めた。」

 

 新しい世界。バッツはその響きに抗えるほどの使命も心配も執着も無かった。

彼は英雄であったが、名声など明日の飯にもならないどころか、それを知る人に気を遣わせるしがらみだとさえ感じる価値観があった。

そんな彼には知らない場所で1からの冒険がまたできる日が来るとは思ってもいなかった。

 

 「ちょっと待ってくれ。俺も準備するから。あとあいつらにちょっと行ってくるって手紙書かせてくれ」

 

 微笑む2神。決して人には向けないその表情には尋常ならざる経験と理解と絆があった。

 「やはりこいつ付いて来るぞ。シヴァ。」

 「ラムウのいう通りになったが、知ってて話すと決めたじゃないか。私はガネーシャへのいい刺激になるだろうし連れていきたいと思っていた。」

 

 彼の支度は余計な荷物を捨て、手紙を書くのみだった。すでに楽しみで染まり切っていた彼には、かつての長旅に付きまとった必死さと心配などかけらも無かった。

 「じゃ、この手紙出したら行くか。留守はよろしくな。ボコ。」

 クェっと一鳴きしたバッツの相棒は、いつもの放浪癖がまた出ただけだと理解していた。

放っておけば満足げに楽しい話とポーチ一つ分のお土産を持ってふらっと帰って来る。ボコはその笑顔が好きだった。

慣れた様子で首に手紙入りのバッツの荷物を掛け、そそくさと走って行った。

 

 ラムウには一つ心配があった。

 「バッツよ、帰りはどうするのだ」

 

 「連れて帰ってくれないのか?」 

 

 「そんなことだろうと思ったが、向こうで我々は人と同じ目線で生活してみようと思っている。そうガネーシャに誘われたのだ。」

 

 「故に一人でいつでも帰れることはないと思え。タイミングは我々と同じということだ。」

 

 「要は神の力を封印して同じ飯食って生活するってことか。時々お前らは何考えてんだか分かんないな」

 

 「まあ、お前も神と大して差のない力があるし、誰もなし得なかった無からの生還もやってのけた。今更止めることもないさ。」

 

 「ふむ。確かにこやつに心配は似合わんか。いざとなれば我々の真似事でどうとでもなるだろう。」

 

 「じゃ行こう。」

 

 「一つだけ心得よ。バッツ。世界の移動で生身の体は鈍るぞ。だがクリスタルの加護はその程度で消えはせんだろう。」

 

 「そうなのか。わかった。じゃ行こう。」

 

 急かすバッツに背中を押され、彼らはさも当然のように世界をとんだ。

 

 ーーーーー

 

 聞いていた体の鈍りはバッツの想像以上だった。

 「いたっ!」

 

 「出会った頃のような軟弱さじゃないか。」

 

 「ラムウは?」

 

 「好きにさせてもらうと残し、どこかへいってしまった。気にするな。」

 

 「ここどこだ?」

 

 「息子の気配を追って適当に出たが、町は近いようだ」

 

 「家の中とかにしてくれよ」

 

 「盗賊の根城やら牢屋かもしれんのにか?ここのことは何もわからないから仕方なく開けた場所にした。」

 

 「まあ逃げ道は大事だよな」

 

 「そうだな。化け物もいることだし。守ってくれ。」

 

 「いやだ。隠れて逃げるぞ。ちゃんと足で走れよ」

 

 「久しぶりに足で歩いたな…」

 

 「言ってる場合かよ。なんか俺も子供の頃に戻ったみたいだ。ナイフが重い」

 

 慣れた様子で隠れながら談笑する2人は、体の調子を見ながら会話できる現地人を待った。

 

 「む。」

 

 「お?誰か来たか?」

 

 「ああ、息子の気配を感じる。」

 

 「良し、今日の宿は何とかなりそうだな」

 

 皮のカバンを背負った小人と杖持ち、獣顔の斧持ちの3人組。

願わくば追剥出ないことを祈りつつバッツは冒険者一行へ話しかけた。

 

 「なあ、ガネーシャってわかるか?」

 

 「はあ?俺はガネーシャファミリアだが、なんでナイフ一つでダンジョンにいるんだ?」

 

 スムーズに会話の行きそうにない事を悟ったシヴァはバッツの代わりに口を開けた。

 

 「突然だが話を聞いて欲しい。私はシヴァ。ガネーシャは私の子だ。たった今この地にこいつと降りたばかりで道がわからないのだ。助けて欲しい。」

 

 シヴァはできうる限り抑えて神独特の気配を放ちながら話しかけた。

しかし冒険者一行はそのシヴァの非常識な姿に当てられて惚けている。

まるで要領を得ない返事の斧持ちたちからカバンの小人に話し相手を変え、シヴァは再度のお願いをした。

 

 「出口までの地図をくれ。手書きでいい。」

 

 こちらは女性だったからか特に事を詰まらせることもなく。

 「わかりました。少々お待ちください。」

 

 「なあ、名前教えてくれよ。俺はバッツ」

 

 「リリ…リリーナです。」

 

 「リリーナ。あいつらいっつもぼーっとしてるのか?」

 

 「シヴァ様のお姿があまりにも刺激的すぎるんじゃないですか?」

 

 「なるほど」

 

 神を神としか見ていなかったバッツには、せいぜいきれいな人型としか思っていなかったが、改めてシヴァを見た。

今は確かに背も人並みの高さで、あの高圧的な魔力や凍える空気はなかった。普通の人にしか見えない。

 

 「シヴァ。お前綺麗だったんだな」

 

 「!」

  

 「危ないからちゃんと身を守る服ぐらい着ろよ」

 

 「!!」

 

 「何驚いてるんだ?」

 

 「…確かに服を着ていなかったな。これで町へ出て行けるか?」

 

 「無理そうだな。ちょっと腹ごしらえに肉取って、毛皮でも剥ぐから待ってろ」

 

 ようやく意識を戻した斧持ちがまともに話した。

 「顕現なさったばかりなんですよね?ここのモンスターは殺すと消えてしまうことをご存じないのですか?」

 

 バッツは大して驚くことこそなかったが、困ってしまった。

 「魔物しかいないってことか…獣は出ないのか?腹も減ったし一人分服が欲しいんだ」

 

 思わずシヴァを視界に入れた斧持ちはまた正気を手放した。

 「そ、そのお姿も魅力的ですから、も、問題ないかと…」

 

 さすがのシヴァも顔をしかめた。

 「これで往来は歩くわけにはいかない…」

 

 飯も毛皮も手に入らないここで、周りには岩ばかりで植物もないのを確認したバッツは、応急処置だけでガネーシャに会いに行くことを決めた。

 「このマント使ってくれ。今のシヴァなら余裕あるだろ。」

 

 「マント一つか…仕方ないな。ガネーシャへ急ごう」

 

 「地図、写し終わりましたよ」

 

 「ありがとう。町まで歩いてどれくらいかかる?」

 

 「今からまっすぐ戻れば夕方でしょうか」

 

 「君たちも気を付けて」

 

 「ありがとうございます神様」

 

 「じゃあなリリーナ。また会ったらお礼は必ずする。」

 

 「忘れませんよ。さようなら。」

 

 ようやく町へと向かうことになったバッツとシヴァ。

しかし長すぎた休憩はダンジョンに新たなモンスターを吐き出させるには十分だった。

リリーナたちの歩いてきた道だから安全だとタカをくくったバッツは、

真っ先にシヴァを狙うモンスターに面食らった。

 

 「初陣だぞ。守ってくれ。」

 

 「戦えないのか!?」

 

 「このマントの重さで精いっぱいだな。」

 

 「俺だってこのナイフしかないんだ。魔法も魔力が足りない!くそ!ゴブリンの1体くらいさっさとやって隠れるぞ。」

 

 動き出したバッツは速かった。

襲われるシヴァの前へ出ることはなく、迷わず背後からの一突きを選んだ。

シヴァが一歩下がる。それで十分安全な距離であることは彼の戦闘を見守り続けた経験で確信していた。

たとえ今の彼が年相応の少年の身体能力しかなくとも、その淀みない風のような立ち回りは何も変わらなかった。

 

 「さあ行くぞバッツ。」

 

 「お礼くらいしろよ。」

 

 首への一突きに倒れこむゴブリンがふっと消えるのを見て、何かが残ったことに気付いたバッツは、その石を拾ってシヴァの後を追った。

 

 

 -----

 

 「もうこっちのゴブリンには慣れてきたな。魔法使ったり変なパンチはしてこないみたいだ。」

 

 「ここが出口のようだぞ」

 

 「良し、さっさとガネーシャに会おう」

 

 町の中出会った人々にガネーシャ・ファミリアの場所を教えてもらった。

 ここはオラリオ、冒険者の町。魔物の湧き出る世界の大穴。そして神々の寵愛と道楽のるつぼ。

バッツのテンションは岩だらけの穴倉から抜け出しとどまるところを知らなかった。

 

 「シヴァ。ガネーシャに会ったらそこからは好きにしてもいいか?」

 

 「もちろん。死ぬなよ?」

 

 「ああ。まあちょこちょこ会いに行くとは思うから」

 

 「そうか。 ついたぞ…?」

 

 「金の像の股くぐるのか?悪趣味じゃないか?」

 

 シヴァは何をしているのかさっぱり教えてくれなかったが言うことは立派なガネーシャの趣味が、まさかこんなものだとは想像もしていなかった。

まずは本人と会ってから考えようなどと思考を放棄する程度にはシヴァへダメージを与えた。

 

 「待たれよ。ここガネーシャ・ファミリアへ何の用だ」

 

 「ガネーシャにシヴァがその友と来たと伝えてくれ。」

 

 「なあおっちゃん。俺たち丸腰なんだ。この武器預けるから早く入れてくれよ」

 

 「何? おい、お前がガネーシャ様へ伝えてくれ。おれは2人をあらためる」

 

 「分かった。」

 

 「では武器を預かる。他に魔法の触媒や薬もないようだな。次。マントを預かります。…!」

 

 服装についてはもうあきらめた2人だったが、やはり門番は固まってしまった。

 「見せ物ではない。マントを返してもらうぞ。丸腰なのはわかってもらえただろう。」

 

 「腰…」

 

 「おっちゃん!しっかりしてくれ。」

 

 「は!シヴァ。あなたは…」

 

 慣れない男が直視するとまともに話せなくなることを覚えたバッツは代わりに返事した。

 「ガネーシャの親なんだってよ。服はこの世界に来るときに、持って来るのを忘れた。」

 

 「!!シヴァ様!失礼いたしました!」

 

 「よい。あの程度は何も失礼でない。慣れない仕事をよくやってくれた。」

 

 「シヴァ様。感謝いたします。一生の誇りです。」

 

 「裸見て一生の誇りってのもどうなんだ?」

 

 「そのようなつもりはありません!」

 

 「バッツ。からかうのはよせ。」

 

 「ごめんよおっちゃん。お堅いのは嫌いなんだ。だからリラックスしてほしかった。」

 

 「…始めましてなのに気を遣わせたな。バッツ。ありがとう。」

 

 門が空き、向こうからの迎えが見えた。

 「じゃあなおっちゃん。ちゃんと力抜かないと疲れちゃうぞ。」

 

 バッツは案内されながら、この建物を無駄にでかいなと思ったが、冒険者たちが気楽そうにしているのを見かけ、

緊張を抜くために変な建物なのかもしれないなどと妙な考えに至るころにようやく目的の人物が現れた。

 

 勢いよくこちらへ歩き出した金の像をかぶっている男を見て、バッツはああやっぱり変な趣味なだけなんだなと認識を固めた。

口しか見えず正直重くないのかなと聞きたくなった。

 「よく来た!本当によく!来た!」

 

 「私が!ガネーシャだ!」

 

 バッツはこれまであってきたお堅い代表者の挨拶よりもずっといいと思い安心した。

 「俺はバッツ。ここに冒険しに来た。」

 

 「母の友と聞いている!ここまでよく母を守ってくれた!感謝する!」

 

 「そして母よ!会いたかった!」

 

 「元気そうでよかった。まずは服をくれないか。」

 

 部屋にいる周囲の従者が驚きの表情を隠せなかった。しかしさすがガネーシャの母だと全員が思った。

 「!母よ!裸でここまで歩いてきたのか!」

 

 「息子よ。お前はそういうやつだったな。なんでもはっきりと声に出さないと気が済まないか。」

 

 「ああ!服はすぐに用意させる。それと2人共今夜はここでゆっくりしていってくれ。ずっとでも構わないが。」

 

 「俺は明日には出ていくよ。なんでも見て回りたいんだ。」

 

 「バッツ!冒険者志望か!母とともに来たから神かと思ったが。では母の眷属か!」

  

 「あいつは神なんかよりもっと自由で強いさ。それに対等だ。間違っても眷属や家族ではない。前の世界ではともに戦った。」

 

 「なんと!心強いな!だがここに来たからにはレベル1!明日は登録からだな!」

 

 「登録ってなんだ?」

 

 「まあ休んでからでいいだろう!明日は案内をつける。さあ食事だ!皆杯を持て!今日の平和と!母と!その偉大なる友人に!」

 

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手の調子が良ければ、隔週更新の予定です。

正直面白がってやれてはいますが、本当に自己満足のためにやっているので、
指摘、感想の類はつくだけで非常にうれしいです。
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