冒険に異世界を求めるのは間違っているだろうか   作:その辺の人

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短く一話を刻んでいきたい。

シヴァはff5から来た女シヴァとインド神話の男シヴァのからだを使い分けられるってことで一つ。アルカナム使用不可のルールに抵触するって?…確かに…

※一部記載もれを修正しました。


2話 女神の絶望

女神の絶望

 

ーーーーーーー

 

バッツとベルはめでたく冒険者登録を済ませ、そのまま朗らかに二人で今後の金策を練っていたその日、正確にはその前日の晩から、この空気を壊すまいと微笑みを絶やさなかった女神ヘスティアはその内心、下界に降りたことさえ後悔する程の衝撃を抱えていた。

 

原因はバッツにある。

時は三人が出会ったその日の晩、廃墟の地下の一室であるヘスティア・ファミリアのホームにて起こった。

 

「じゃあ君たち二人にファルナをあげよう。まずは背中の肌を見せて横になるんだ。とりあえずバッツからでいいかな。」

「わかった。」

 

経験に応じて積み上がっていくステータス、実績を積んでレベルが上がることでさらにステータスの限界を押し広げられること、その際特殊な能力を選んで発現出来ることなど、あらかたの説明を済ませた二人は静かにヘスティアの言葉に従った。

横になったバッツの上半身を見てヘスティアが何やらわなわなしていることに気付いたベルはこれから何が起こるのかと固唾を飲んで凝視した。

 

(これはなかなか、すばらしいカラダツキじゃないか…心の底からボクを受け入れてくれてるのも非常にそそ…いけない!ボクは楽しみは後にとっておきたくてバッツを先にしたっていうのに!早く済ませよう…)

 

針で指から血を落とし、バッツの背中にファルナを書き込む。神々の言語で刻まれた模様が出来上がる頃には、ヘスティアの顔が緊張を隠せなくなっていることにベルは気付いた。

 

「どうしたんですか神様?も、もしかして失敗しちゃったとか…?」

「い、いや…たぶん成功したよ。でも少しバッツくんとふたりきりで話がしたいから、ボクが呼ぶまで外にいてくれないかな…」

「わ、分かりました…」

 

神妙なヘスティアの頼みを聞き返すこともなく、心配そうな顔で部屋を出ていくベルを見送ったヘスティアは、すぐさまバッツに質問を始めた。

 

「バッツくん。君は私に会うまでにどんな経験を積んだんだい…?きみが許すなら聞かせてほしい。」

「隠すようなことじゃないから別にいいけど、信じてくれよ?」

「ああ。信じるとも。きみの話が終わったらきみのファルナについて話す。まずは何処からどうやって来たか教えてほしい。」

 

バッツはいたって冷静に自分の過去をまとめて話始めた。

シヴァとラムウに連れてきてもらったこと。

旅人になったきっかけは世界の危機を回避するためにクリスタルを巡ったあの冒険で知り合った人々のその後の顔を見るためだったこと。

その世界の危機について。

神々の力さえ届かない無と、それを生み出す巨悪ごとクリスタルと仲間たちのちからで消し去ったこと。

こんなところで終わってたまるかと無からの脱出と仲間の救出をやってのけたこと。

なにより人々との対立が辛かったこと。

それらを誰に覚えていてほしい訳ではないこと。

聞き終わる頃にはヘスティアの顔は涙を湛えていた。

 

「すべて信じるよ。疑うもんか。話してくれて本当にありがとう…ありがとう。」

「気にすんなよ。今が大事なんだ。昔のことは、まあいいだろ。」

「きみは強いんだね。その通りだよ。僕ら神々もいまを楽しむためにここにいる。じゃあボクの番だね。ボクも隠さずに全て話すよ。」

 

ヘスティアは涙を拭いながら紙にバッツのファルナの内容を翻訳した。

 

「この通り、全てのステータスはゼロ。まあこれは説明した通り、ファルナがついてから何も経験を積んでないんだし当然だよね。見てほしいのはここだ。」

 

ヘスティアが指でなぞったスキルの欄にはすでに二つの項目が完成していた。

 

「一つ目は、きっときみの精神がすでに完成しているから発現したんだと思う。」

 

・超集中(ルート・アライヴ)

 ・集中行為の完全なコントロール権

 ・集中行為による疲労の無効

 ・集中時の完全記憶保管

 

「これどういうことだ?もう試してもいいか?」

「うん。すでに効果は発揮されていると思うよ。例えばボクがいまからやることをちゃんと見ててね。」

 

そう言うが早いかヘスティアは右手をバッツの前へ出し、指をべったり畳んだりした。

 

「なるほどわかった。よくわかんないことに集中すると飽きたりしてたのがなくなったのと、目が固まったりしなくなってる。」

「さすがに飲み込みが早いね。」

「じゃあ、次のスキルを見ようぜ。」

 

・流握閃魂(オーバーボルテージ)

 ・肉体の安定

 ・精神への高負荷時自身の肉体への全補正を強制解除

 ・レベルに応じた自身の周囲の魔力制御権

 

「またわかりずらいな…」

「そうだよね。でも一つ目の効果。これは僕ら神ならみんな分かることが書いてある。」

「じゃあ俺は神様みたいになってるってのか?そんなことないだろ。俺は俺だ。」

「そう。きみはきみだ。それは忘れないでくれ。見てほしいのは肉体の補正ってところだよ。普通の子は自分の体に補正なんてかかってない。」

「そりゃそうだよな。じゃあ俺の体が鈍ってるのがこの補正ってやつなのか。それがそのまま変わらなくなってるかもしれないんだな。」

「ものわかりが良いね。そういうことなんだ。ここの神はみんな子供たちと同じような体に補正して生きてる。きみの体もそうやって押さえつけられてるか作り替えられてるかもしれない。」

「でも解除出来るってことなら、深く考えなくても良いだろ?何が心配なんだ?」

「きみは日常生活じゃあもう年を取れないかもしれないってこと。肉体の成長は擬似的にファルナがやってくれるだろうけど…」

「なるほどな…わかったよ。覚悟はしておく。」

「自分のことなんだぞ!そんな簡単に…!」

「大丈夫だから落ち着いてくれよ。それこそ考える時間はいくらでもあるってことだろ。ヘスティアも付き合ってくれるだろ?」

「もちろんさ!1万年かかっても絶対にきみを見捨てるもんか!」

「だったら今日はこの話はおしまい。他に俺のファルナで言いたいことは?」

「とりあえずはないよ…うん。落ち着いた。ごめんよ、君に諭されるなんてね。これじゃ神失格だよ…」

「今度は気を落としすぎだ!もうベル呼んでくるからな。ベルにはそんな顔すんなよ。」

「…ああ、約束するとも!」

 

その後は疲れと夜風で風邪を引きかけたベルにファルナを授け、特にスキルもなかったのであっさり終わることとなる。

バッツへ不老の呪いをかけてしまった罪悪感を消し去れないヘスティアを残し、明日は朝一で金策を練ることだけ決めたバッツとベルはお休みの挨拶だけしてさっさと眠ってしまった。

 

これが昨晩の顛末である。

ヘスティアはバッツとの約束を律儀に守ってベルの前では罪悪感を出さない。

それに気づかないバッツではなかった。

ベルにちょっと待ってろと告げたあとバッツはヘスティアにある提案をした。

 

「俺をよく知ってる神様って言えばシヴァだ。今は息子のガネーシャファミリアに世話になってるはずだから、あってきてくれよ。俺が心配すんなっていってもそんな顔するんだから同じ神様に相談でもしてスッキリしてきてくれよ。正直これが続くのは辛いからさ。」

「うっ…ごめんよ。今のボクじゃなんにも思い付かないし、きみの言う通りガネーシャファミリアにいってくるとするよ…あ、金策については僕も絶対混ぜてよ!仲間はずれの置物扱いなんて絶対にごめんだからね。」

「わかったわかった。なんか考えとくから、じゃあまた夜な。」

「うん!じゃあベルくん、バッツくん!行ってきます!」

「あ、神様!どちらへ行かれるんですか?」

「ちょっとガネーシャ・ファミリアにね。」

「分かりました!お気をつけて!」

 

こうしてバッツの提案したシヴァとヘスティアの面会が実現した。後にバッツを見守る会結成の日と制定される今日の重大さを、当のバッツは知るよしもない。

 

 

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