『豚の帽子亭』in 冥界   作:けし

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他の七つの大罪の登場を望む声がありましたので、閑話として投稿します。

本編にいつ出てくるかは不明。まあそう遠くないうちには。

設定はガバガバ。まあタグ(ご都合主義)付けてるし、是非もないよネ!


10,閑話 〈強欲の罪〉と〈聖女〉

「なあマーリン、団長たちの居場所わかんねーのかよ♪」

「まあ待てバン。もうすぐ分かる」

 

石づくりのとある一室で、そんな会話があった。2m近い大男と、蠱惑的な服をまとった印象的な雰囲気の女。バンと呼ばれた男は、その部屋のソファーに寝そべって、アルビノの髪を掻いた。

 

「なあマーリン」

「少し待てと言っている。彼女の家にでも行っていろ」

 

そう言って、マーリンと呼ばれた女が指揮をするように腕を振る。すると、ソファーにいたはずのバンの姿が消えていた。

 

転移魔術。ただ腕を振るだけで、任意の対象を好きな所に飛ばす。魔法陣も何も必要としないそれは、彼女──マーリンが、名実ともにこの世界最高の魔術士である事の証左だろう。

 

「ふう。さて、流石の私にも()()には手こずったな…。久々に楽しくもあったがな…」

 

彼女の目の前にあったのは、水晶。手のひらサイズのそれが、10ほど。水晶の中は透明──ではなく、ぱっと見て黒い玉のようなものが浮かんでいた。

 

「試運転も済ませていないが、まあ奴ならば問題あるまい。……不死身だし」

 

電気も火も、光が一切差さないその部屋に彼女の言の葉が響く。そのまま彼女は歩いて部屋を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スズメが囀る。雲一つない蒼天の空に、眩い太陽が昇る。思わず目を細め、手庇をする。

 

ここはブリタニアの一国、リオネス王国。南方のキャメロットと並び、今やブリタニアの中心とまで言われる大国だ。

 

王のいる城を中心に、民の暮らす町が広がる。かつて大災厄に見舞われたにも関わらず見事な復興を見せたこの国には、いや、この国のみならず、このブリタニアにはとある伝説が存在する。

 

 

 

《七つの大罪》

 

 

 

人が持つ七つの罪をそれぞれ冠した聖騎士団。たった7人ながら、その力は一国を落とす事すらも可能という、まさしく伝説。彼らは、罪の名を冠しながらも英雄として語り継がれる存在だ。今となっては、その存在の真偽すらも定かではなく、人々の間では、子供達への語りに、或いは酒の肴になっていたりする。

 

曰く、彼らは元々リオネスの聖騎士団だ。彼らは文字通りの大罪人だ。彼らは世界を救った大英雄だ。真偽が定かではない故に、様々な憶測が飛び交っているが、それらは全て事実。

 

そんな、当の《七つの大罪》は現在、王のお膝元で悠々と過ごしていたりする。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たくよ〜、いきなり転移はねえだろ〜♪」

「私の研究室にズカズカと入ってきたお前が悪いのではないか?」

「あー、悪うございました♪」

 

窓から刺しこんでくるのは、正午近くになって高く登った太陽の光。石で組まれた建物は、その光に組まなく照らされ、影ができる余地もない。先ほどの部屋とはまるで違ったその部屋は、リオネス城の一室だ。

 

「で、アレは出来たのかよ♪」

「安心しろ。私を誰だと思っている?あんなもの、時間さえあれば作り上げることはできる。ただ、試運転など出来るはずもないからな。ぶっつけ本番ということになるが……、まあいいだろう」

「よかねえよ」

 

バンのツッコミに、コホンと咳を一つ。マーリンは腕を組んで、また別の話題を取り上げる。

 

「聖女様のことは良いのか?」

「エレインのことか?心配はいらねえよ♪あいつは強えからな」

「ふん、恋人と親友を天秤にかけて、今回は親友を取ったのか」

 

全く、と手を上げて呆れた素振りをするマーリン。しかしバンは、それを否定もしなかったが、認めもしなかった。

 

「あの時の俺にとっちゃ、エレインを生き返らせるのが生きる目的だった。それで、てめえのお陰でエレインも生き返った。それに森が成長して、生命の泉がようやく湧き出た今、俺が妖精王の森に行く理由もねえ。俺はまた、失くしたものを探しに行くだけだ」

「不死身……か。まだ50年程しか生きていないのだろうが…。それでも目的のない生というのは辛いのだな」

「うるせえよ♪それによ、俺1人で行くとも言ってねえだろ?」

「なに…?──ふっ、なるほどそういう事か。ははは、流石は《強欲の罪(フォックス・シン)》だ。だが…いいのか?」

「どういう事だよ♪」

 

マーリンのその言葉に、バンは目を細めて訝しげに問う。

 

「言っただろう、『試運転など済ませていない』と。ぶっつけ本番では、何があるか分かったものではない。だからこそ実験をするわけだが…。何せ今回は結果の確認などしようがないからな」

「…………」

「それでもいいのか?バン」

「構わねえよ♪」

 

即答。一節も間を置かずの返事。それはマーリンに対する信頼でもあり、自分ならなんとでもなるという自信でもあり、それは、親友を見つけ出したい焦りでもあった。

 

「ほう、その覚悟、本物のようだな…。いいだろう、そう言うと思っていた」

 

マーリンは不敵な笑みを浮かべ、その足を再び自身の研究室へ向ける。

 

「最後の微調整をする。やるとしたら明後日だ。それまで準備をしておけ」

「了解♪」

 

振り返る事なくそう言うとマーリンはまた自身を転移。バンもまた、こちらは城の玄関からちゃんと出て行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、結局私も連れて行くことにしたのね?」

「まあな♪」

「あなたは大丈夫なんでしょうけど…、私は死ぬんじゃないのソレ!?」

「あー、まあそこはアレだ。マーリンのことだし、大丈夫だろ」

「もう……」

 

リオネスのはずれにある、とある一軒家。そこにはバンと、1人の少女が住んでいた。こぢんまりした家ではあるが、2人で住むには十分な大きさだろう。

 

「結局、それはいつなの?一応兄さんにも言っておかないと…」

「遅くても明後日だとさ♪」

「へえ、じゃあまだ時間あるのね。買い出しとかに行っておこうかしら」

「なんだかんだで楽しそうにしてんじゃねーか♪」

「それはそうよ。なんたってあなたと一緒に旅行(?)できて、それにエリザベスに会えるんだもの」

「そーかよ♪つかエレイン、こっちに戻れない可能性もあるんだぞ?」

「森のことはゲラードに任せてあるわ。『生命の泉』も復活して、魔神族もいない今なら、妖精王の森は安泰よ」

「キング…お前の兄貴はどうなんだよ」

「兄さんは……、うん、心配ないわ」

 

振り返って少し困った顔でそう言ったエレイン。着ていた白いワンピースの裾が翻り、真っ白な足が顔を覗かせる。その方面の人たちから見ればご褒美とも言わんばかりの光景だったが、当のバンは一切の興味を見せずに近くの椅子にどかっと座り込んだ。

 

その瞬間、先ほどまで微塵もなかった緊迫感が漂う。

 

「冗談抜きで、だ。ホントにいいんだな?」

「いいって言ってるじゃない。兄さんはディアンヌと一緒にいるし、森も大丈夫よ」

「分かった。明後日だ、それまでに準備しとけよ」

 

その言葉を最後に、バンは家を出た。日は傾き、赤い光が空を染めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから3日。バンとエレインはそれぞれで必要なものの準備をしてリオネス城に入る。この3日間、特に恋人らしいなにかをしたわけではなかった。もしかすると最後の3日間になるかもしれないのにも関わらず、2人を分かつものなど存在し得ないと言わんばかりの自信だった。

 

2人は元々あまり物を持たないため、持っていく荷物も大して多くはない。元が盗賊のバンにしてみれば、むしろ現地調達バッチコイな感じだ。広間からマーリンの案内で彼女の研究室に向かう。

 

「必要ないかもしれんが一応聞いておこうか」

「あ?何をだよ♪」

「これからお前らは、私の実験に付き合うことになるが、何が起こっても私は知らんからな」

「けっ、今更じゃねえか♪」

「ホントね」

「…ふっ、良いだろう。もう何も言わないでおこう」

 

長い階段を降りていくうちに、窓は無くなり、明かりは壁に据え付けられた蝋燭のみとなった。魔術士然としたこの空間に何かを感じたのか、エレインがバンの服の袖を掴む。

 

「…エレイン」

「何かイヤな感じがするの」

「ふむ、それは恐らくこの地下にある()()が原因だろう。特に害はないから、無視してもらって構わない」

「そ、そう…」

 

そうは言われても、本能的な恐怖は無視できるモノでは無く、額に冷や汗を滲ませながら長い廊下を進む。そうして着いたのは一際重厚そうな扉の前。

 

「こんな扉あったかよ♪」

「お前は興味のないものには無頓着だから気づかなかったのだろう」

 

マーリンが扉を開く。同時に中の明かりが灯り、闇をかき消す。

 

その部屋は、一際天井が高く、床には大きな魔法陣が描かれており、その陣の中心には台のようなものが置かれ、それには小さな水晶のようなものが置かれていた。

 

「さて、あれが今回の目玉だ」

「へえ…。いかにもって感じだな♪」

「そうだろう。魔導具というにはあまりに大がかりすぎるのでな……、名付けるのなら、マーリンの魔法装置(マジックマシーン)No.1『次元魔法陣(ディメンションジャンプ)』と言ったところか」

 

そう言ってマーリンは魔法陣の外に立つ。そのままバンたちに中心に行くよう促す。マーリンの指示通り、台の上の2つの水晶をそれぞれ手に取る。

 

「その水晶は絶対に放すなよ?それを使ってお前たちの間に魔力のパスをつなぎ、離れ離れにならないようにしているからな」

 

マーリンが呪文を唱え始める。それと共に魔法陣が光り始め、空間に魔力が満ち始める。バンとエレインはその光景に、水晶を握る手に力が入る。

 

その輝きが一層増し、視界が霞む。わずかな浮遊感と共にそのまま目の前が真っ白になる。光が収まった時、魔法陣の上には、台以外の何も残っていなかった。

 

 

 

 

 





マーリン「流石の私も『並行世界』の存在は考えなかったな…」

マーリン「あの老人……一体何者だ…?」

謎の老人(?)が ログイン した!

誰かわかった人はホントにスゴイ。あ、タグ追加しますね。
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