『豚の帽子亭』in 冥界   作:けし

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リアルで時間がなくて、なかなか投稿出来ませんでした。申し訳ない。
これからも時間がある時にちょこちょこ書いて行くために投稿ペースはクソ遅い。それでも良い方はよろしく。



11,店主 visits 「グレモリー領」

「ん?」

 

営業が終わり、「close」の看板をぶら下げた『豚の帽子亭』。従業員のエリザベス、白音、黒歌がテーブルを、ホークが床を綺麗にしている中、食器を黙々と洗い続けていたメリオダスは突然顔を上げて動きを止めた。

 

「メリオダス様?」

 

それに気づいたエリザベスが、わずかな心配を滲ませた声で問う。

 

「──いや、何でもねえ」

 

メリオダスはそう答えた。彼はほんの一瞬だけ、懐かしい感覚を覚えた。それは、自分の生きてきた時間に比べたら短い間だったが、何よりも充実した時間。その時に、自分の「親友」を名乗ってくれた、そんな男の感覚だった。

 

 

 

 

 

 

 

冥界に明確な四季があるかどうかは分からないが、以前より気温が上がる時期になった。いわゆる夏というものだが、太陽がない冥界ではたいした変化も特徴も無い。つまりは、いつも通りの日常という事だ。

 

そんな中、『豚の帽子亭』は数週間営業を続けたとある町から移動する事になった。今回の移動先はグレモリー領。その近場にある町に落ち着くことにした。ホークママが久々の外に上機嫌なのか、いつもよりペースが速く、外の風が心地よく感じられる。

 

メリオダスはそんなホークママの上にある店の屋上のテラスで、考え事をしていた。手すりの上に座り、その金髪が風に揺れる。その翡翠の眼は、どこか遠くを映していた。

 

「……メリオダス様…」

「…エリザベスか」

 

感傷的になったきっかけはさっき感じた感覚だった。

 

「どうしたんですか?先程から、心ここに在らずというような…」

「そうか……。まあ、懐かしい感覚がしたもんだからな。すこし昔を思い出してたんだ」

「ディアンヌやバン様たちですか?」

「ああ。……やっぱお前には敵わねえな」

 

元から隠す気もなかったが、言いだす前に言い当てられたことに苦笑する。伊達に長い付き合いではない。その魂は三千年もの間の付き合いだ。相手の考えていることなどすぐにわかる。

 

「もしかして、こちらに来ているのですか?」

「かもな。マーリンとかならやりかねねえな」

 

次元を超えるなどといったぶっ飛んだ考えが浮かぶかどうかはさておき、そのような事が可能なのは、彼の知る限りではマーリンしかいない。

 

「ま、分からねえ事を考えてたって答えは出ねえよ。今はまあ、俺にできる事をやるさ」

「そうですね…」

「…もしバン達にまた会えたなら、『豚の帽子亭』で、世界を旅するとしようぜ」

 

先ほどと違い、どこか吹っ切れた様子のメリオダスを見て、エリザベスは微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

それから数日をかけて、目的地に到着した。今回の土地はサーゼクスの生家にあたるグレモリー家の所領にあたるグレモリー領。魔王を輩出したということから、それなりの街並を想像していたのだが…。

 

「マジかよ」

「お、来たな。…なんかがっかりしてねえか?」

 

目の前に広がる地面の広いことと言ったらこの上ない。地平線の果てまで広がってるように錯覚してしまう。愕然とするメリオダスを見て、迎えに来たアザゼルが不思議に思っている。

 

「おいおいアザゼル、グレモリー領ってのはこんな辺鄙なとこなのか?」

「悪魔の事情を俺に聞くんじゃねえ。なんでもサーゼクス曰く『土地が腐るほど余って困っている』そうだぜ?」

「んな事はどうでもいいんだよ。街とかねえのかよ」

「そう言われてもな…」

 

思わず溜息をつくメリオダス。お偉いさんは大体街の一等地に豪邸作ってるイメージがあったので、その街で酒場を営業するつもりだったのだが、こうも人気が無いと酒場をやる意味などない。ちなみに彼の知るお偉いさんとは、リオネス国王ただ1人なので比べるのはどうかというのは別の話である。

 

「…仕方ねえ。ホークママには悪いが、しばらく酒場は休みだな」

「いいのか?」

「誰のせいだ。別にここから出て行ってもいいんだぜ?…実のところ、お前のところの人間にすこし気になる奴がいてな」

「悪魔だけどな。つーか、お前が気にするやつって…」

 

顎に手をあてうなるアザゼル。前回の戦いで計り知れない力を見せたメリオダス。そんな彼が気にしている人物が果たして自分の生徒に居たかと考え込む。

 

「別にそんな考えこむこたねえだろ。ほら、赤い鎧みたいなの着てた奴だよ」

「ああ、イッセーの事か」

「イッセーって言うのか。いや、なかなか面白い奴だなと思ってよ」

「へえ」

 

ここでアザゼルは元々メリオダスを呼んだ目的を思い出した。色々と規格外のメリオダスにイッセーの修行相手になってもらう、と言うのが呼んだ目的なのだ。その相手がイッセーに興味を持っているのは好都合だ。

 

「そういや、お前なんで俺を呼んだんだ?」

「おお、忘れてた。実はな、お前に修行をつけてもらいたいんだよ」

「修行?」

「ああ、そのイッセーの修行だ」

「へぇ、…面白そうだな」

 

にやりとメリオダスが口角を上げる。なにか面白いものを見つけたかのような笑みに、アザゼルは内心でイッセーに謝った。

 

(すまんイッセー。…頑張ってくれ)

 

と、そこでふと思いついたようにメリオダスが口を開いた。

 

「アザゼル、イッセーの修行相手は俺だけってわけじゃないんだろ?」

「ああ、一応タンニーンっていうドラゴンにも声かけた。向こうも承諾してくれたし、楽しみにしてるみたいだぜ?何せ、相手はあの赤龍帝だからな」

 

何というか、人に教えるのに向いていそうなドラゴンだとメリオダスは思ったが、それは一瞬のことだった。それよりも彼が気になったのはまた別のところだ。

 

「そのドラゴンってのが修行つけてくれるんなら、俺は何を教えれば良いんだ?」

「んー、まあ大体は徒手戦闘だろうなぁ。タンニーンのおっさんじゃ、力任せに殴るとかそういう事になるだろうからな」

「ふむふむ、分かった。ま、テキトーに鍛えてやるさ」

 

そう言って、メリオダスは踵を返して去っていく。

 

「おう。じゃ、イッセーの事頼んだぜ」

 

そのアザゼルの言葉に、メリオダスは片手を振って返事を返した。

 

 

 

 

 






同CVのあいつらが修行をするぞ…!

ちなみに
タンニーン→担任という連想ゲームのような下らない思いつきです。
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