戦闘シーンは文才なさすぎてどうにもならねえ。欲しいなあ文才。
3/10 ご指摘頂き戦闘シーンを改稿。ありがとうございます。
魔法陣から溢れる光が消えた後、そこには2人の姿はなく、転移が成功した事を示していた。キャスリングとは一言で言えば駒同士の転移だ。それを用いて一気に懐まで潜り込み、時間が止まった原因を見つけ、それを止める。それがイッセーとリアスに与えられたミッションだ。
転移から10数分後。突如として時間が動き出した。
これで形勢は一気に傾く。仮にも三大勢力を名乗る者たちだ。テロリストなどの烏合の衆に遅れをとる事などない。ただ、数の多さは厄介であるため、圧倒的力で叩き潰すことから始めた。
「ヴァーリ、外の奴らをぶっ飛ばしてこい」
「いいのか?」
「構わねえよ。相手はテロリストだ。加減なんざ必要ねえよ」
「了解した」
ヴァーリと呼ばれた青年はそう言って窓を開け放ち、そこから飛び降りる。瞬間、背中に白く輝く羽を展開する。
【
残念なことに戦闘狂という一面を持つが、それを差し引いても、戦うということに置いては、ほとんど完成の域に至った存在と言える。
もはや一方的。敵がひしめくグラウンドに降り立ったヴァーリは、白銀の鎧を纏い、その力を遺憾なく発揮して蹴散らしていく。いっそ暴虐的とも言うように一切の抵抗を許すことなく、全てを沈黙させた。新たな敵が続々と現れるが、もはやヴァーリにとっては暇つぶしにもならなかった。
そんな戦いの最中、ヴァーリがチラチラとメリオダスの方に視線を向けていることにメリオダスは気付いていた。メリオダスが強いと言うことに、勘で気付いたのだ。メリオダスには戦う気などこれっぽっちも無いので無視していたが。そもそもメリオダスから見れば、ヴァーリですらも子供のようなものだ。
その時だった。突如、メリオダスの背後に魔法陣が現れたのは。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ご機嫌よう、現魔王サーゼクス殿、セラフォルー殿」
「あ、貴方は!?」
魔法陣から現れたのは、眼鏡をかけた女性。だが、その身から発せられる力は明らかに異常だった。
「カテレアちゃん!?」
カテレアと呼ばれた女性は、その名を呼んだセラフォルーの方を見て忌々しげな顔をしたが、すぐにその感情に蓋をし元の表情に戻る。しかしやはり、そのオーラだけは隠しようがなかった。
「……なあアザゼル。あいつは?」
「カテレア・レヴィアタン。旧魔王『レヴィアタン』の血統を継ぐ悪魔だ。……チッ、この力の感じはなんだ?
「なんつーか、めんどくせえな」
悪魔社会にも色々ある。元々悪魔は血統を重んじる傾向が強い。その際たるものが72柱の悪魔一族の存在と言える。しかし現在の魔王は、名前こそ『レヴィアタン』や『ルシファー』を名乗ってはいるが、決してその血統を継いでいるわけではない。それに反発しているのが、いわゆる『旧魔王派』というわけだ。
現魔王であるサーゼクスやセラフォルーはその実力や功績から魔王に選ばれた経緯を持つ。故に、純粋な実力では彼らに勝てる悪魔は存在しないと言ってもいい。それは本来の魔王の血統であるカテレアとて例外ではない。だが、今の彼女が内包する力は明らかに、現時点においてサーゼクス達を上回っていた。
「どうしても戦うのか?」
サーゼクスは問う。その瞳には哀れみにも似た感情が流れる。だが、自身の立場がそれを許さない。故の問い。いわば、最後通告だ。
「ええ。サーゼクス、あなたは良き魔王でしたが…、残念ながら最高の魔王ではなかった!!」
そんなカテレアの相手は何故かアザゼルがする。彼は古から生きる堕天使。その証たる12枚の深い闇色の羽を広げる。そしてそのまま激しい戦闘が始まった。
「………帰るか」
正直言って、メリオダスは帰りたかった。だがむべなるかな、あのどこで○ドアは一度使うと1週間は使えないという謎の制限が付いているのだ。勿論、取説は読んだので知ってはいたし、エリザベスにも伝えてはあるので、『豚の帽子亭』は通常営業だ。
その時、自分のすぐ横の地面に魔力弾が着弾した。
「ちっ、ヴァーリ、お前もかよ」
「ああ。彼らに『アースガルズと戦わないか』と言われたら、断ることはできないさ」
「俺は戦争の火種になるような事はするなって言ったんだがなあ」
「関係ない。俺は戦えさえすればいい。さっきから気になっていたんだ。メリオダスと言ったかな?……俺と戦え」
「なあアザゼル。帰っていいか?」
「是非そうしてもらいたい所だが……、ここで帰られるとマズい。あいつが何しでかすか分かったもんじゃねえし。つー訳で頼む!あいつと戦ってくれ!」
「…………仕方ねえ。いっちょやるか」
アザゼルが手を合わせて懇願する。それを見たメリオダスは本当に面倒くさそうに校舎から飛び降り、剣を抜かずに、ヴァーリの前に立つ。
「我が名はヴァーリ・ルシファー。先代魔王ルシファーの子孫だ」
「ンなことはどうでも良いって。ほら、遊んでやるよ。かかって来い」
「ふっ、ならば行くぞ!!」
ヴァーリが爆ぜる。禁手状態である事が手伝って、最早視認も困難。並みの悪魔ならば、この突進で既に息絶えている。
メリオダスは身体を捻って力を逃し突進を受け流す。しかしヴァーリは即座に切り返して蹴りを放つ。パワーも桁外れ。風圧が、しゃがんだメリオダスの金髪を揺らす。そのままの勢いでもう一回転して、ローキックを回し蹴りで放つ。元々小柄なメリオダスがしゃがんでいるので、地面スレスレになっているその蹴りは、メリオダスのこめかみを的確に蹴り抜く────はずだった。
メリオダスはただ手でそれを防いだだけ。ヴァーリの渾身の一撃をメリオダスはなんの力も込めていないただの掌で受け止めた。やはり、とヴァーリは鎧の中で驚愕と喜色の笑みを浮かべた。そのまま鎧の足を片手で掴んだメリオダスは、力任せにヴァーリを地面に叩きつけたり振り回したりを繰り返し、上空に投げ飛ばす。近接戦は不利と思っていたヴァーリは、そのまま空中に静止した。それをメリオダスは特に何をする事なく見上げるだけだったが、徐に背中の剣を抜いた。
先ほどの魔術師達との戦いで『吸収』した魔力を注ぎ込んで、メリオダスへ向けて大量の魔力弾を生成する。
「この弾幕、躱せるか!!」
次の瞬間、一斉に弾丸がメリオダスへと殺到する。そして、ヴァーリはもう一つメリオダスに対して能力を発動する。
【Devide!Devide!Devide!】
「!?ぐふっ!がは……っ!ハハハ、…まさか、半減した力を…、吸収できないばかりか、…翼からの排出すら…っ、間に合わないとは…」
ヴァーリがヒビの入った鎧の中で血を吐いた。強大なメリオダスの力は、その半分ですら、ヴァーリの身に余るものだった。
一方メリオダスは、一瞬自身を襲った『半減』の感覚に目を見開いた。しかし、やはりメリオダスはこれといった事はしなかった。ただ一つやった事はと言えば──、ただ軽く剣を振り抜いただけ。
「────『
メリオダスの元で爆ぜるはずだった弾丸全てが、ヴァーリの元へ向かう。それにも驚いたが、何より驚愕したのは。
「!?…威力が上がっているだと!」
そう、ヴァーリが放ったものよりも遥かにその大きさ、速さ、威力が上だった。ヴァーリは何をしたのか見えなかった。先程のダメージが抜けきっていない中、ヴァーリはうまく回らない頭でとりあえず仮説を立てる。
(恐らく……、着弾の瞬間にあの巨大な魔力弾を一瞬で生成し発射したのか……?だとしても腑に落ちないな…、あの規模の魔力を一瞬で集めて放つなどという事が出来るのか……?それとも、何らかの能力か。考えても埒が開かないな)
メリオダスは退屈そうにあくびをする。
「なあ、ヴァーリって言ってたっけか?アザゼルから聞いたんだが…、お前ら2人が戦うべきじゃねえのか?」
そう言って指差したのは、ヴァーリと…、先ほど戻ってきたイッセー。見ればイッセーはヴァーリと似た真っ赤な鎧を纏っていた。そしてそれを聞いてヴァーリは嘲るように笑う。
「ハハハ、今代の赤龍帝は最弱なのに対し、今代の白龍皇は最強。その差は圧倒的だ。今の彼では話にならない」
「バーカ、ああいう奴が実は一番スゲーんだよ。お前は何もわかっちゃいねえ」
「なに……?……………くくっ、良いだろう。お前と戦うのは後だ、メリオダス。ならば俺と戦え、赤龍帝」
「は…っ!?なにを言って」
「俺とお前は元々そういう運命だ。この神器を持つもの同士は殺しあう運命にあるんだ」
赤龍帝と白龍皇。赤と白。古の昔、悪魔と堕天使、天界が争っていた時代から、この二体は争ってきた。二天龍と呼ばれた彼らは、この世界では無敵とも言える力を持ち、戦争があってようと無かろうと、常に戦い続けてきた。それは肉体を失って、魂だけになっても変わらず、二体の魂が封じられた神器──【
「俺にはそういう、戦う運命だとか、そういうのはよくわかんねえんだ!」
「君にその気がないというのなら、その気にさせてやろう。そうだな…、まずは君の両親を殺す」
「は……!?」
イッセーは固まる。親を殺すと言われた。イッセーはエロと熱血で生きる男ではあるが、決して親への感謝は忘れない。悪魔となっている事を伝えていない事に罪悪感を感じてしまうほどに、親を慕っているし、家族として愛している。そんな親を殺される…?イッセーにとってかつて、これほどまでにキレさせる言葉は無かった。
「てめえ……、ふざけんじゃねぇぞ!!!ヴァーリィィィ!!!!」
【Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!Boost!】
籠手から声が響く。それと共に、イッセーから感じられる力の波動が一瞬にして膨れ上がる。これこそがまさしく【赤龍帝の籠手】の能力。
【
今、キレたイッセーの力は倍加を続けられて、はるか格上の存在であるはずのヴァーリを圧倒していた。それこそ、『一般人に毛が生えた程度の力しかない悪魔なりたての元人間』が、『魔王ルシファーの末裔で、その身に龍と魔王の力を宿す最強クラスの悪魔』をボコボコにしているのだ。
殴り続けられたヴァーリの鎧はぼろぼろ。頭の部分は破損し、顔が見えるようになってしまった。口から血を滲ませながらも、その顔からは笑みが消えない。久々の戦いの緊張感に、興奮を隠しきれない。
メリオダスは口笛を吹いた。あの様子を見るに、ほとんど実戦の経験のない一般人だ。なるほど確かに、運命がどうのと言われても分からないというのも納得だ。それでも、ヴァーリを追い詰めている。
「ほーう、人間にも凄いヤツがいるもんだなあ」
「なに言ってやがる。お前が焚きつけたクセしやがって」
そう返したのは呆れたような表情のアザゼル。この2人、古い友人と言ってもいいくらいには親しくなっている。
「ん?お前片腕どうした?」
「切り捨てた」
アザゼルの左腕がないことに気づいたメリオダスだが、アザゼルの気にするなとでも言わんばかりの回答に、納得することにした。
とその時、ヴァーリから発せられていた力の波動の質が変わったことに気づいた。口から呪文を唱えていたヴァーリ。それを止めようとするアルビオン。側から見ると不思議な絵面だが、それだけその力が危険だということだろう。今でこそ完全に制御できているものの、メリオダス自身の闇の力もそう言った側面を持つためか、メリオダスはそういうものに敏感だった。
「『我、目覚めるは──』」
『自重しろヴァーリ!我が力に呑み込まれるのがお前の本懐か!?』
「『覇の理に全てを奪われし二天龍なり──』」
ヴァーリの力の波動がさらに膨れ上がる。禍々しさすら感じられるその波動が辺りを吞み込もうとしていた時。
「それまでだぜぃ、ヴァーリ」
とても軽い口調で乱入してきたのは、猿としか形容しようのない人物だった。
「……もう時間か、美猴」
「おう、アースガルズへ攻め込むんだとさ」
アザゼルはあの猿を知っているらしいが、メリオダスはもちろん知らない。
「まさか孫悟空とはな。いや、白い龍と孫悟空つったら、むしろお似合いか?」
「へっ、俺っちは初代と違って自由に生きるのさ」
「そ、孫悟空!!?」
イッセーが驚愕の声を上げる。メリオダスは知らないが、孫悟空と言えば、有名な『西遊記』の登場人物。美猴とは、その孫悟空が生まれた当初名乗った名前である『美猴王』から来ているのだろう。ちなみに白い龍とはもちろんヴァーリ、もとい『
「今回は決着がつかなかったが……、中々面白いぞ、兵藤一誠。次は決着をつけよう。…それとメリオダス。君もだ」
「やだね」
ヴァーリは美猴と共にその場から消えた。そのヴァーリの退場と共に、この戦いは終結した。後には大きな爪痕が残されたが、三大勢力が手を取り合って一つの敵を相手取ったという点において、大きな意味を持つ戦いになるだろう。しかし、大きな懸念事項が持ち上がった。
「『
アザゼルはその名前を1人、星が瞬く夜空へと零した。
ちょっとゴタゴタしてきたな…。
メリオダスの戦闘能力がどれくらいか…。作者的にはこのくらい強くてもいいかなと思います。