ありふれた狩人《チート》と世界最強の友達《魔王》 作:Y.U.K
色々ひと段落ついて何か書きたくなり、始めました。
不定期ですがよろしくお願いします。
俺、
なぜこんなとこにいるのかと言うと……まあ、ある意味ではありふれた展開なのだが……
うだるような暑い夏。おれ、狩野 雷牙(高校1年 年齢イコール彼女いない歴)はリア充たちを横目に海の家でバイトをしていた。
なんでただでさえ立ってるだけで怠くなってくるような暑い日に「そんな気温、俺たちの熱に比べりゃ屁でもないぜ!!」的なリア充たちの熱い雰囲気を強制的に見せられるという苦行をしているのかというと、まあ簡単に言えばお熱いリア充たちの仲間入りをしようと思ったわけだ。
高校に入った当初はそれはもう、夢の高校生活に憧れたもんだ。
新しいクラスでは隣の席に可愛い女の子がいて、その子と仲良くなってゆくゆくは付き合ったり、通学路の曲がり角で女の子とぶつかって「危ないじゃない!!」とか言われつつ走っていった女の子が転入生で「君はっ!!」「あっ、さっきの!!」みたいな流れになったり、シンプルに告白されたりと、とにかく夢いっぱいで高校生活が始まったはずだった……。
しかし、現実はそう甘くなかったのだ。
「どうしてこうなった?」
これは1学期最期の日の帰り道に呟いた言葉だ。
まあ、いま考えれば当たり前なのだが何も行動しないのに周りが劇的に変わるはずもなく、何気なく過ごしていたらあっという間に1学期が終わっていたのだ。
その状況に「これはいかんぜよ!!」と考えたおれは海の家を経営している叔父さんにDOGEZAする勢いで頼み込み、海の家で夏休みの期間だけ手伝わせてもらっているのだ。
目標はモチのロンで彼女づくり。海という特別なシチュエーションで周りにリア充ばっかという環境ならばおれでもナンパできんじゃね?的な発想でおれは一世一代のチャンスを掴みにいったのだ。
しかし現実はそう甘くなかった。
「いっっっそがしすぎて、ナンパどころじゃねぇぇえ!!!!」
そうなのだ。海の家を完全に甘くみていたのだ。
まず、客が途切れることがない。本当に途切れないのだ。
「店員さん!注文頼むよ!」
「はい ただいま!!」
「店員さ〜ん!焼きそばまだこないんですけどー!」
「っ!すぐにお持ちします!」
「えっとね〜、ラーメンに〜アイスも食べたいなぁ〜。でも、太っちゃうかなぁ……。カズくん。アイス食べたら太っちゃうかなぁ……?」
「おれはどんなえりりんでも好きだよ♡」
「もうっ、カズくんたらっ♡じゃあ店員さん、ラーメン2つとアイス1つで。アイスはカズくんとはんぶんこしよっか♡」
「えりりんは優しいなぁ♡」
「………ラーメン2つにアイスですね」
こんなのが毎日続くのだ。ナンパしてる暇なんてあるわけがない。そればかりか目の前でイチャつかれて何度心が折られたことか。
そんな感じでおれには目標を達成するどころか、そのチャンスすらもらえない状況だったのだ。
「おら雷牙ぁ!!ぼけっとしてる暇があんなら働けや!!」
「っ!!すみません!」
おれを怒鳴りつけた人物は
今年で70歳にもなるはずなのにその身体は鎧の如き筋肉を纏っていた。
優作さんにどやされながらおれは海の家という戦場へ戻ったのだ。
(早く解放してくれ……。)
そこから解放されたのはもう日が傾きかけてて人もまばらな時間だった。
「疲れた……」
今のおれにはもうナンパする気力もない。人いないけど。
ただ、今更、頼み込んで入れてもらったのに抜けるわけにもいかないし、それなりに充実はしているのだ。ナンパできないけど。
解放されたとしてもやることのないおれは1人浜辺を歩いていた。「夕日が綺麗だなぁ……」とか「1人じゃなかったらロマンチックなのになぁ……」とか考えてるうちにいつのまにか、浜辺の端まで来ていた。
すると沖合に1つの影が見えた。最初は「魚か?」と思ったがよく見ると明らかに魚にしては大きかった。大きさ的にはちょうど人ぐらい……。そのことに気がついたおれはすぐさま海に飛び込み、人らしきものを助けようとしていた。
しかし近づくにつれそれが人ではないことに気がつく。
(なんだありゃ………。サメではなさそうだし……。一応緊急性はなさそうだから戻って優作さんに伝えるか)
そう思い、戻ろうとした。しかしそこで異変に気がついた。
おれの後ろに大きな、本当に大きな尻尾のようなものがあったのだ。大きさにして、水から出ているだけでも軽く5mは超える。その長さたるやドラゴンを彷彿とさせるようなレベルであった。
「………ん?」
おれは気づいた。ドラゴンを彷彿とさせるじゃない。ドラゴンなのだ。いやまじで。
恐る恐る前を見てみるとそこにはリヴァイアサンを思わせるかのような水龍がいたのだ。
ギャオオオォォォォォォオオ!!!!!
「えー………」
人間、予想外なことが起きるとこんな反応しかできないもんだ。
そしておれはそこから逃げようとする気を起こす前に………
パクッ
そのリヴァイアサン?にパクられて生涯を終えた……。
そして冒頭に戻る。
おれは一応ラノベとかにはある程度は精通している。よってこの状況も分かるのだ。
「にしても………テンプレだなぁ……」
どうせこのあと神様が出てきて「手違いで殺しちゃったっ。てへぺろ。だから転生してちょっ。」みたいなノリでスキルをもらって転生パターンだろう。俺たちの世界にリヴァイアサンがいるわけがないのだ。そんなもんはFFの世界で十分だ。
そんなことを考えていると突然、目の前から光が現れそこから勝気な雰囲気の燃えるような赤色の髪をした女神のように綺麗な人が出て来た。てか女神だろう。
「よう。突然だけどあんたは死んだ。その原因なんだが、悪いが実はわたs「私たちの手違いで殺しちゃったでしょ?」っ、そ、そうなんだが……なんで分かった?」
「テンプレだからね。このあとは転生か輪廻の輪に戻るかみたいな選択肢でしょ?それで現実には戻れないと。大方、死者が生き返るのはルール違反だからみたいなノリか?」
「話が早くて助かるんだが………なんかムカつくな。」
そんなことでムカつかれては理不尽だな。被害者はこっちだし。
「それで?あなたはどのパターン?人外なスキルを何個かくれるパターン?それともステータスチートパターン?何もなしに放り出すとかはやめてね?死にそうだから」
「お前……殺した原因の私たちが言うのもなんだが帰りたいとかないのか?」
そう思うくらいならミスするなよって思うけど。まあ、もしかしたら悪い神様が暴走してその後始末なのかも知んないな。この女神しっかりしてそうだし。姉御みたいな頼れる雰囲気がある。
「別に未練がないわけじゃないよ?むしろタラタラかもね。向こうで結局、彼女できなかったし親にもちゃんと別れを伝えてないし。優作さんにだって迷惑かけちゃってるし。だけど、多分女神さんに当たっても意味ないでしょ?元凶っぽくないし。」
「……本当にお前何者だ?確かに直接的な原因は私ではないが……」
「なら、あんたにはこーやって転生の機会をくれてることに感謝する気持ちはあっても恨んだりはしてないよ。」
この人に当たるのはなんか違う気がする。
「………こんな奴をあいつは殺したのか…。惜しい人材を地球から離してしまったな。」
そう言うと女神はフッと力を抜き、困ったような笑みをおれに向けた。
「確かに原因は私ではないがそれでもあいつを制御しきれなかったのも事実だ。謝罪をさせてくれ。」
「じゃあ、お詫びとして転生するからその時にチートスキルでもつけてくれ。転生先は剣と魔法の世界でしょ?」
「まったく、何から何まで先読みされてるな……。確かに行き先は剣と魔法の世界だ。チートスキルだが、普通なら転生に膨大なエネルギーを使うため、死なないようにちょっと強いスキルを1つつけるくらいが限界なのだが……。お前は運がいいのか悪いのか。ちょうどお前がいた地球とは別のパラレルワールドのような地球から今から向かう剣と魔法の世界より干渉を受けている。おそらく異世界転移というやつだろう。それに乗っかることでエネルギーを節約でき、普段より強いチートスキルを渡すことができそうだ。」
異世界転移か。またテンプレな。まあ、パラレルワールドとはいえ同郷の者がいるのはありがたい。
「じゃあそれで頼むよ。あっ、あとこれは興味本位なんだけど俺を殺した元凶ってやっぱり、悪い神様みたいなやつ?」
これは別に復讐したいとかじゃない。だが、あんな化け物を生み出した存在が神様じゃなかったら俺たちの地球がやばいってことになる。
「ああ。まあ、といっても私たちよりずっと格下の駄神なんだがな。そいつは私の手によって既にただのエネルギーとなっている。地球への被害も幸い…………というのは失礼だな。とにかく被害も最小限に済んだ。」
良かった。被害者は要するに俺だけだったということだろう。
「ならいいや。じゃ、転生お願いします。」
「うむ。本来ならもっと謝罪すべきなのだろうが、申し訳ない。せめてもの償いとしてチートスキルとプラスして一度だけ私と連絡を取れるようにしておこう。どうしようもない時に連絡してくれ。神が世界に干渉するのは許されたことではないが、今回は完全にこちらの非なのでな。特例で一度が限界じゃが認めてもらえるであろう。その時は力になろう。」
「いや、女神さんがやったことじゃないしそんなに気にしなくていいよ。むしろ特例を発動させてまで俺を助けようとしてくれてありがたい限りだ。出来るだけ有用に使うよ。」
そう伝えると女神はニッコリと誰もが見惚れる笑みを浮かべながら転生の言葉を紡いだ。
「汝の新たなる生に溢れんばかりの幸福があらんことを。"ジャンプ"」
その言葉を聞くと俺の意識は手放され………
目を開けるとそこには巨大な壁画と大聖堂という名にふさわしい広間。そして俺とともに見覚えのない高校生らしき集団一クラス分が幾何学模様の巨大な魔法陣の上に立っていた。