ありふれた狩人《チート》と世界最強の友達《魔王》   作:Y.U.K

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イジメとオトモ

転生してから丸2週間。俺たちは順調に力をつけていた。

最初こそイレギュラー扱いだったが、2週間も経てば俺がいるという環境にも慣れてくれたのか、親友とは言えないだろうが友達や知り合い程度には仲良くなれたと思う。

 

そんな俺の最近の悩みだが……

「よぉ、南雲。何してんの? お前が剣持っても意味ないだろが。マジ無能なんだしよ~。」

「ちょっ、檜山言い過ぎ! いくら本当だからってさ~、ギャハハハ。」

「なんで毎回訓練に出てくるわけ? 俺なら恥ずかしくて無理だわ! ヒヒヒ。」

「なぁ、大介。こいつさぁ、何かもう哀れだから、俺らで稽古つけてやんね?」

「また始まった……。」

そうなのだ。俺の友達……てか親友のハジメがイジメられてるのだ。

 

どうやら、ハジメはクラスメイトの檜山(ひやま) 大介(だいすけ)斎藤(さいとう) 良樹(よしき)近藤(こんどう) 礼一(れいいち)中野(なかの) 信治(しんじ)の4人にイジメられているらしい。

このいじめはどうやら転移する前から起こっていたようで、しかもその原因はハジメが白崎にどうやら好かれてるらしく、それが気にくわないというなんともくだらねえ理由だった。

この理由は八重樫から聞いたものなのだが、それを聞いた時は「リア充氏ね」と思わず言ってしまった。しかし、流石にそれが原因で好かれてる側を虐めるのはあまりに幼稚すぎる。

「オエッ」

「おいおい、やり過ぎだぞあれは……」

ついにあいつらは魔法まで使い始めた。地球じゃイジメで済んだものでも力を得てしまったら、シャレにならない。

「おいコラ檜山。それ以上ハジメに手を出すんなら……相応の覚悟はしろよ?」

「げっ………狩野。」

「なんだよ……お前には関係ないだろっ」

「それがあるんだなぁ〜。まあ、胸糞悪いってだけなんだけど。くっだらねえ理由でイジメんなら反撃するぞ?」

そういうと、4人は渋々魔法を抑えた。

努力の甲斐あってか、俺のステータスは今ではクラスでも光輝の次くらいには高いレベルにあった。

 

狩野 雷牙 17歳 男 レベル:8

天職:調教師

筋力:120

体力:120

耐性:160

敏捷:170

魔力:190

魔耐:190

技能:調教・言語理解・モンスターハンター

MP:130

 

これが俺のステータスだ。だいぶ上がり幅が大きく、正直助かっている。まだ、戦う機会はないがこういう争いごとに仲裁に入ると大抵収まってくれるため、何かと便利なわけだ。

因みにMPはギリギリまでとって置くつもりだ。いざって時にジャギィとかケルビとかに出てこられた日には死ぬ未来しか見えない。

 

「なにやってるの!?」

いい加減こいつらには痛い目を見てもらうべきか…?と考えていると、遠くからこっちの事態に気づいたようで白崎が走ってやってきた。

惚れてる相手に見られるのはまずいと思ったのか檜山たちが言い訳をしていたが白崎は聞く耳を持たずハジメを介抱し始め、更にセットの如くやってきた光輝、龍太郎、八重樫に言い寄られ、ごまかし笑いをしながらそそくさと逃げていった。小物感がハンパない。

 

「いま癒すからね」と言うと白崎の天職《治癒師》の力によりみるみるうちに怪我が治っていた。慣れたつもりであってもいざ見ると本当に魔法はすごい力だと思う。

 

「あ、ありがとう白崎さん。助かったよ。雷牙も助けてくれてありがと。」

「別にこれくらいはするさ。むしろ、そろそろあいつらにお仕置きしちゃダメか?いい加減キレそうなんだが。お前のストップがなかったら2秒でボロ雑巾にする自信がある。」

「そこまでか……。怒ってくれるのはありがたいけどやっぱりストップのままで。流石にクラスメイトのボロ雑巾は見たくない。」

「お前が言うなら我慢するが……ほんと優しすぎるなお前は。イジメられてる奴にすら優しさを向けるなんて。」

「ははっ。」

いつかその優しさで身を滅ぼさなきゃいいんだが……。

 

「いつもあんな事されてたの? それなら、私が……。」

「いや、そんないつもってわけじゃないから! 大丈夫だから、ホント気にしないで!」

「でも……。」

今も、さっきまでいじめられてたやつを庇ってる。その優しさは間違いなく美点だが、あいつらにまでは流石にいらないだろ……。

 

「南雲君、何かあれば遠慮なく言ってちょうだい。香織もその方が納得するわ。」

八重樫はなんとなくわかっているようでハジメに助けを出しつつ、「何かあったら言いなさい」と暗に伝えている。流石できる女はフォローの仕方が違う。

 

だが、ここに見当違いな意見を持つ奴が1人いた。

「だが、南雲自身ももっと努力すべきだ。弱さを言い訳にしていては強くなれないだろう? 聞けば、訓練のないときは図書館で読書に耽っているそうじゃないか。俺なら少しでも強くなるために空いている時間も鍛錬に充てるよ。南雲も、もう少し真面目になった方がいい。檜山達も、南雲の不真面目さをどうにかしようとしたのかもしれないだろ?」

我らが勇者様、天之河 光輝さんだ。なにを言っているんだろうか勇者様は。

 

「………八重樫。これはまさか真面目に言っているのか?それともこいつもハジメを虐めているのか?」

「信じたくないでしょうけど、真面目なのよ……。光輝は昔から自分の都合のいい解釈をすることがあって……。」

「タチ悪っ」

しかも大真面目ときたもんだ。下手すれば檜山なんかよりよっぽど対処しづらい。なんせ、本人は100%善意で言ってるらしいから。

 

「あー、光輝?」

「ん?なんだい?雷牙」

「お前それ本気で言ってんの?まさか、檜山達が善意でやってるかもしれないって思ってんの?」

「そうだけど?むしろ、それ以外あんなことをする理由がないだろう?」

「………じゃあ、あんなことされるのは不真面目にもハジメが強くなる努力をせず、図書館に行ってたり、自主的に訓練をしないのが悪いと?」

「そういうことになるね。」

「oh……」

本気で耳を疑った。あれを見てよく特訓だと思えるもんだ。こいつは馬鹿なのだろうか。なんだその意味不明な理論は。

「あー、図書館に行くことが不真面目だって言うけど、俺たちはこの世界のことをなにも知らないわけだしこの世界を知ろうとするのはむしろ勤勉だとは思わないのか?」

「ふむ、確かにそうやって考えることも出来るがそれは南雲がすべきことではないだろう?そういうことは俺とか雷牙とか強い奴にやってもらって南雲は少しでも強くなろうと努力すべきだ。」

「………」(話にならねぇ………)

しかも、自分の意見を貫き通して意地でも人の意見を聞かないタイプときた。自分の正義を信じて疑わないらしい。

 

俺は思わず幼馴染'sの方を向いた。「なんで、こんな性格になるまで誰も指摘しなかったのか」という視線を込めながら。

すると白崎はアハハ……と苦笑いを浮かべ、八重樫は申し訳なさそうに頭を少し下げていた。龍太郎?「はやく訓練始まんねーかなー」とかまず話を聞いてなかったよ。コンチクショウ。

そして、ハジメですら苦笑いを浮かべ「もういいよ」と言われた。どうやら、この正義の理不尽には慣れてしまったらしい。

 

「ほら、もう訓練が始まるよ。行こう?」

ハジメのこの言葉によって話は打ち切られた。納得はしてないがハジメ自身に切られてしまったら引くしかない。

「この先どうなることやら…」と先の不安に思わずため息をついてしまったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「明日から、実戦訓練の一環として【オルクス大迷宮】へ遠征に行く。必要なものはこちらで用意してあるが、今までの王都外での魔物との実戦訓練とは一線を画すと思ってくれ! まぁ、要するに気合入れろってことだ! 今日はゆっくり休めよ! では、解散!」

 

これは昨日の訓練が終わった後の指示だ。ついにメルド団長から実戦訓練の指示が出た。

因みに、訓練中にも檜山達はハジメに恨めしそうな視線を向けていたがその度におれが「やんのかコラ?」とヤンキーばりのメンチをきかせてたらいつのまにか視線は無くなっていた。

 

そして翌日、おれらは実戦訓練となる会場近くの宿場町【ホルアド】にきていた。

「それにしてもついに実戦訓練か。」

「ついにきたね……場所は【オルクス大迷宮】だってさ。」

 

【オルクス大迷宮】

 

 それは、全百階層からなると言われている大迷宮である。七大迷宮の一つで、階層が深くなるにつれ強力な魔物が出現する。にもかかわらず、この迷宮は冒険者や傭兵、新兵の訓練に非常に人気がある。それは、階層により魔物の強さを測りやすいからということと、出現する魔物が地上の魔物に比べ遥かに良質の魔石を体内に抱えているからだ。

 

 魔石とは、魔物を魔物たらしめる力の核をいう。強力な魔物ほど良質で大きな核を備えており、この魔石は魔法陣を作成する際の原料となる。魔法陣はただ描くだけでも発動するが、魔石を粉末にし、刻み込むなり染料として使うなりした場合と比較すると、その効果は三分の一程度にまで減退する。

 

 要するに魔石を使う方が魔力の通りがよく効率的ということだ。その他にも、日常生活用の魔法具などには魔石が原動力として使われる。魔石は軍関係だけでなく、日常生活にも必要な大変需要の高い品なのである。

 

 ちなみに、良質な魔石を持つ魔物ほど強力な固有魔法を使う。固有魔法とは、詠唱や魔法陣を使えないため魔力はあっても多彩な魔法を使えない魔物が使う唯一の魔法である。一種類しか使えない代わりに詠唱も魔法陣もなしに放つことができる。魔物が油断ならない最大の理由だ。 by ハジメ

 

因みに、ホルアドの宿場は2人部屋でおれとハジメは同じ部屋となった。おれがもしいなかったらと思うと……哀れ、ぼっちなハジメである。

 

そしておれはついに、明日に備えしようと思っていたことがある。

MP使用によるモンスター召喚だ。

 

ついにこの時がやってきた。未だ150程しか溜まっていないが10で下位のジャギィと考えるとまあ、悪くても下位の大型モンスター。運が良ければ上位のリオレイア辺りは狙えるかもしれない。

もちろん、大型モンスターだった場合は直前になって憑依させる。だが、もしかしたら迷宮の大きさによってはそのまま連れて行けるかもしれないな。

 

「てことで……ハジメ。今からおれはついにあることをする。」

「どうしたいきなり……。あることって?」

「それは………モンスター召喚だ!!」

おれは声を大にして発表した。しかし反応は……

「………モンスター召喚?」

となんとも薄いものであった。当たり前だ。モンスター召喚について説明してなかったんだから。恥ずかしすぎる。

 

〜説明中〜

 

「てことだ。理解した?」

「なんとなくは。にしても《モンスターハンター》にそんな効果があっただなんて……凄いスキルじゃないか!」

まあ、正確には説明してない。流石にモンハンのモンスターって言っても分からないだろうし。「ポイント貯まったらモンスターが召喚できる」くらいに伝えておいた。

……いや、パラレルワールドだからもしかしたらモンハンあるのか?まあいいや。

 

「よし、じゃあ始めるぞ。」

「おー!」

場所は変わって宿舎の庭。流石に部屋の中ではできないと考え、移動してきたのだ。

 

「"モンスター召喚"」

おれが詠唱すると地面に魔法陣が形成された。

ーーーん?案外魔法陣が小さい……。まあもしかしたら本来はもっと貯めて使うべきものなのかもな。まあ今回は実戦とはいえ訓練だし、ある程度戦えればいいか。

そう思いつつ、魔法陣を眺めているとついにモンスターが出てきた。そこから出てきたのは……

「ハンターさんどうもニャ!」

「仕方なく来てやったニャ!感謝しろニャ!」

まさかのアイルーだった。しかも二匹。片方は真っ白な毛色でふわふわとした印象を持たせる。そしてもう片方は真逆で真っ黒な毛色にサラサラとした毛を持っていた。あれだろうか。オトモアイルー扱いなのだろうか。やけに装備が整ってる。二匹とも一丁前にジンオウガ装備をしていた。生意気な。

 

「これは……随分と可愛らしいモンスターだねえ」

ハジメがニヤニヤしながらこっちを向いている。

「おま、絶対馬鹿にしてるだろ!猫様の力なめるなよ!?」

「いやぁ、こんな可愛いモンスターがいたとは。知らなかったなぁ。」

「だから馬鹿にすんなって!こいつらはオトモといってな、ぶっちゃけハジメより強いかもだぞ!」

「流石にそれはないでしょ笑笑」

「あー!また馬鹿にしやがった!」

この後も俺たちの弄り弄られあいは続き、メルド団長に「うるせえ!」とキレられるまで続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ったく、ひでえ目にあった……。」

「ほんとだよ……。」

あの後メルド団長からゲンコツをくらい、説教をされた。

あの人のゲンコツったら痛いのなんの。マジで割れたかと思った。

「ハンターさん大丈夫ですかニャ?」

「ああ、心配ありがとうな、コットン」

「プププ、おばかなハンターさんなのニャ。」

「うるせーよ、ノワール。」

そういえば、こいつらの名前が決まった。真っ白な方が『コットン』。名前の由来はまあ、なんかふわふわしてるからだな。で、黒の方が『ノワール』。これはフランス語で黒を指す意味だ。要するにそのまんま。

 

安直だと思うかもしれないが最初の案が『シロ』と『クロ』だったんだから少しは捻ったと褒めて欲しい。二匹ともメスらしく、シロとクロは許せなかったらしい。猛烈に反対された。

 

部屋に帰り、ハジメに「いい加減寝ようぜ」と言われたため、素直に従いベットに入ると扉をノックする音が響いた。

「ん?誰だこんな時間に」

「まさか………檜山たちかな?」

「もしそうだとしたら、いい加減ボコす。ボロ雑巾確定。」

「容赦ないな…。」

そんなことを言いながら、内心「マジで檜山たち来ねえかな。そしたらボコせんのに」とかマジで思いつつ扉を開けるとそこには……

 

「あー、ごめんね?狩野くん、南雲くん。ちょっといいかな?」

そこには純白のネグリジェにカーディガンを羽織っただけの香織が立っていた。

 

「「なんでやねん」」

「2人揃って!?」

 

図らずともこの時、ハジメとおれは同じ感想を持った。

 

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