ありふれた狩人《チート》と世界最強の友達《魔王》   作:Y.U.K

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今回はおそらく最長になりました。Y.U.Kです。


嫌な予感とオルクス大迷宮

突然の白崎乱入に流石に驚きはしたものの、自分に対して要件があるわけではないことは分かったので俺は空気を読み自分の部屋を後にした。

部屋から出る際、白崎に「頑張って」と声をかけると初めはなんのことか分からなかったようだが次第に理解したのか、みるみるうちに顔が真っ赤になっていた。初々しいのう。ハジメは爆発しろ。

 

「ハンターさんはぼっちなんだニャ?」

「あ?うるせーよ。そーやって簡単に人のプライベートいい当てないの。そう言うノワールだってぼっちじゃねえか。コットンは同性だし。」

「ノワールは別にいいニャ!今は戦うことに夢中ニャー。」

「腐ってもアイルーか。」

「腐ってなんかないニャ!正真正銘ピチピチなアイルーだニャ!」

「そーいう意味じゃねーよ。てかピチピチは古い」

「ニャンだとー!」

「うおっ!?あぶねえなおい!」

いきなりノワールが飛んできやがった。しかもご丁寧にジンオウ武器を使いながら。

「乙女をけなした罪は重いニャ!覚悟ー!」

「お前は猫だろーが!てか、武器を使うな!」

「ダメですニャ暴れちゃ!」

ノワールに危うく切られる所だったが、コットンの仲裁のおかげでなんとかノワールも落ち着いてくれた。

 

「助かったぜ、ありがとなコットン。」

「いえいえですニャ。雷牙さん」

「……ん?ハンターさんじゃないのか?」

アイルーといえば「ハンターさん○○ですニャ!」が定番かと思っていたが。

「いえ、ハジメさんがハンターさんのことを雷牙って呼んでいたので少し羨ましくなりましたニャ。嫌でしたかニャ?」

そう言ってウルウル上目遣いで聞いてくる。お陰で何もしてないのに罪悪感がハンパない。

「い、いや、むしろそっちの方がいいかもな。うん。よく考えたら俺ハンターじゃないし。」

「じゃあノワールも雷牙って呼んであげるニャ!」

「え……」

「ニャ!?どう言うことニャー!シャー!!」

「うおっ!?」

「あーもう!暴れちゃダメですニャ!」

ノワールがまた怒り始めてしまった。まあ俺のせいなんだがな。

だが、出てきた時はどうなることかと思ったが案外、いい猫?だし上手くやれそうだな。

ノワールの攻撃を避け、コットンがあわあわしてるのを見ながら俺はふと、そんなことを考えた。

 

「だからうるせぇぞ!!いい加減寝ろ!」

「「「!?」」」

遠くからメルド団長の怒鳴り声が飛んできた。少し騒がしくしすぎたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんね?狩野くん。なんか騒がしかったけど大丈夫?」

「ああ、猫と戯れてた。」

「猫?…………って何この可愛い子たち!?」

「コットンですニャ」

「ノワールだニャ!」

「ま、こいつらの話は明日の探索中にでも話すよ。それより早く部屋に戻らないと狼に襲われちゃうよ?」

「まあいいけど……。てか狼ってのことなのさ。」

「さぁて、だれでしょう?」

檜山とかボロ雑巾予備軍とか檜山とか。

「もうっ。まあいいわ。おやすみなさい。また明日ね。」

「おうおやすみ」

 

部屋に戻るとハジメはベッドに座りながら何かを考えていた。

「ああ、雷牙悪かったな。」

「いいってことよ。それで?用件はなんだった?愛の告白?それとも愛の告白?」

「どっちも同じだし違うよ……。ただちょっとねーー

 

 

 

 

「ほー。要するに夢でハジメがでてきて、そのハジメが消えちゃったから嫌な予感がして、物凄い不安になって、いてもたってもいられず、ハジメに明日の探索は危険だから待っててって伝えにきたってわけか。なんともまあ、羨ましいほどに気にかけてもらってんなおい。殴っていいか?」

「いいわけないじゃん。それに男子が女子から心配されてる時点で嬉しくないよ…………。」

アニメなんかで良くある嫌な予感ってやつだな。こーいうのは大抵当たってしまうのだが……。

「雷牙には心配される人もいないニャ。」

「うるさいノワール。」

またこいつは余計なことを……。

 

話は戻るが、その件に関しての俺の見解というと……

「まあ、俺がついてるし大丈夫だろ」

こうなる。てか、俺がそんなことはさせない。大方、何かあったとしても檜山達が原因だろうし。もしそうなっても、あいつらがボロ雑巾になるだけだ。

 

「白崎も明日が初の実戦ってことで心配になったのかもな。」

「………考えすぎだね。うん、もう大丈夫。ありがとな雷牙。」

「おう。」

そうして、明日への不安を少しだけ抱きながら俺たちは眠りについた。

 

のちに、この判断を死ぬほど後悔するとは知らずに………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、光輝達が前に出ろ。他は下がれ! 交代で前に出てもらうからな、準備しておけ! あれはラットマンという魔物だ。すばしっこいが、たいした敵じゃない。冷静に行け!」

 

場所は変わって俺たちは【オルクス大迷宮】にきていた。

縦横五メートル以上ある通路は明かりもないのに薄ぼんやり発光しており、松明や明りの魔法具がなくてもある程度視認が可能だった。というのも、緑光石という特殊な鉱物が多数埋まっているらしく、【オルクス大迷宮】は、この巨大な緑光石の鉱脈を掘って出来ているらしい。

 

そして丁度、この迷宮に入って初めての戦闘タイムとなったのだ。相手はボディービルダーも真っ青なムキムキな筋肉を持つ二足歩行のネズミ。地球にいたら間違いなく大パニックであろう。

それに対し、対応するのは我らが誇る勇者様とその幼馴染's、そして《結界師》のロリ元気っ子の谷口 鈴、鈴の親友だと思われる《降霊術師》の中村 恵里だ。………谷口から睨まれたのは気のせいだろう。

因みにだが、龍太郎の天職は《拳士》。実にらしい天職だ。そして八重樫の天職は《剣士》。こちらもかっこいい女性である八重樫にはぴったりだろう。

 

「「「暗き炎渦巻いて、敵の尽く焼き払わん、灰となりて大地へ帰れ、“螺炎”」」」

「うわー、凄まじいほどにオーバーキル。」

広間にいたラットマンは瞬く間に灰燼と化した。流石のメルド団長もこの時ばかりは苦笑いだ。なんせ、G 1匹に対して殺虫剤一本とバルサン撒いたくらいのオーバーキルだ。どんだけ嫌いやねんって話だ。

 

「ああ~、うん、よくやったぞ! 次はお前等にもやってもらうからな、気を緩めるなよ!それとな……今回は訓練だからいいが、魔石の回収も念頭に置いておけよ?明らかなオーバーキルだからな?」

白崎率いる魔法支援組は恥ずかしそうに顔を赤らめた。

 

「団長!前方にラットマン二体を発見!」

おっ、今度は少ないな。流石にオーバーキルにはならないだろう。

「うーん、そうだな……。よし!雷牙!お前行ってこい!」

って、俺かい。

「俺1人だけですか?あっちは2匹ですよ?」

「いや、お前のレベルなら余裕だろう。それに万が一何かあってもすぐに助けに入るさ。……あと、昨日騒がしくした罰だな。」

「うっ。」

それを言われると弱い…。

 

「まあいいですけどねー。」

丁度、あの2匹の戦闘も見たかったことだし、いい機会だろう。

「てことでコットン、ノワール行ってこい!」

「他人任せだにゃ。ダメ人間だニャ。」

「もうっ。そんなこと言ってないで行くニャよノワール。」

「はーいニャ。雷牙には後でご褒美を要求するニャ。」

「ノワールがコットンのように素直になったら考えてやる。」

「それじゃあ一生無理だニャ。」

「おい。」

「ノワール!早く行くニャ!」

「………ご褒美は後で相談ニャ。」

「はいはい。」

一応俺が主人なはずなんだが……どう考えても一番しっかりしてるのはコットンだよな。猫に負けちゃったよ俺。

 

戦闘は難なく終わった。2匹とも刀に電気を帯電させて攻撃していたためちょっとカッコよかった。

「………雷牙。あの猫達はなんだ?やたらと強いが……。」

「メルド団長も知らないような魔物だと思ってくれていいですよ。今日のために使役しときました。」

「俺が知らない魔物がこの周辺で見つかるはずがないのだが……まあ深くは追求しまい。」

「あざっす。別に後ろめたいやり方なわけではないですのでそこはご安心を。」

 

戦闘が終わり(何もしてない)列へ戻ると、白崎が声を掛けてきた。

「狩野くん。昨日あの子達の説明してくれるって言ったよね?今聞いてもいいかな?すごく強くて気になっちゃって。」

そういえばそんなことも言ってたな。

「おっ、あいつらも丁度戻ってきたか。紹介するよ。こっちの白いフワフワした猫がコットン。んで、こっちの黒いサラサラした猫がノワールだ。」

「よろしくお願いしますニャ。白崎さん。」

「よろしくニャ!」

「こちらこそよろしくねっ。」

気に入ってくれたようで何よりだ。今もコットンを気持ちよさそうに撫で、ノワールの毛を手ぐししていた。

「んで、こいつらなんだがーーー

 

〜説明中〜

 

ってわけだ。」

「へー、《モンスターハンター》にそんな効果があったなんてねぇ。凄いじゃん狩野くん!」

「まあな。」

神様からもらったもんだし、強くなかったら………ねぇ?

 

「おっ、もう階を降りるらしいぞ。」

「あっ、ほんとだ。じゃあ私は戻るね。」

「おうっ。」

「ありがとねー。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後も順調に階を降りていき、ついに俺たちは一流か否かを分けると言われている二十階層に来ていた。

 

ここがなぜ一流か否かを分けると言われているのか。それは主に2つの理由だ。

 

1つ目はトラップのレベルが段違いに上がる点だ。今まではトラップと言っても嫌がらせ程度の可愛らしいものだったがここからは致死性のトラップがそこらじゅうにあり、トラップによる死者も増えるのだ。

 

因みに、トラップ対策として、フェアスコープというものがある。これは魔力の流れを感知してトラップを発見することができるという優れものだ。迷宮のトラップはほとんどが魔法を用いたものであるから八割以上はフェアスコープで発見できる。ただし、索敵範囲がかなり狭いのでスムーズに進もうと思えば使用者の経験による索敵範囲の選別が必要だ。

 

そして2つ目は単純に魔物のレベルが上がるのに加え、違う魔物同士で連携を取り複雑な攻撃をするようになる点だ。

 

まあこの点に関しては、"一般の冒険者"はなので、転生組や歴戦の戦士である騎士団からしてみればこの辺は注意深く行けばそこまで難所ではないだろう。

 

「おっ、俺のとこにも来たか。」

道の向こうから出て来たのは2mはあると思われる体躯に全身火ダルマになりながら、こっちを睨む大きな犬だった。名は"ホットドッグ"と言うらしい。滅茶滅茶、美味しそうな名前だった。

 

「ワォォォオン!!!!」

「ほぅ、なかなか速いな。だが!」

ホットドッグが俺に向かって切り裂こうと飛びかかって来たが、生憎俺のスペックはクラス内でもトップクラスでこの程度の速さなら反応出来なく

はない。

なので、少し余裕を持ちながら横に跳びそのまま支給された鉄の剣で切り裂いた。一瞬、「溶けるんじゃね?」と思ったが流石は王国の宝物庫にあった剣だ。難なく魔物を切り裂けた。

 

「ふぅ、まあまだ余裕か。」

「やっぱり雷牙はすごいな。」

「ん?……おう、ハジメか。まあ、たまたまステータスが優れてたってだけで俺の力じゃないんだがな。俺からしてみれば錬成を戦闘に生かしてるハジメの方がよっぽどすげえよ。」

ハジメはステータスと天職に恵まれないながらも、錬成を使い敵を地面に固定して確実に殺していくという地味だが、敵になると厄介な戦い方をしていた。なんせ、技術さえあれば繰り返し錬成をする事で抜け出したとしてもすぐに捕まえられるというやらしい戦い方ができる。

 

「まあ、みんなに比べれば全然使えないけどね。」

「そーかぁ?檜山とかは使えないっていってたがサポート役は必要不可欠な役目だと思うけど。実際、あいつらが使ってる剣もこの国の錬成師が造ったやつだろうしな。」

武器管理なんかには錬成師の力はピッタリだし。決して戦闘向けではないだけであって、重要な役職には変わらないのだ。サポート役を疎かにするパーティは早死にするのは鉄則だ。

「ま、ハジメにはハジメができることをすりゃいいさ。出来ないことは俺がサポートするし。だから、俺が出来ないことはハジメにバンバン回す。」

「いいこと言ってる風だけど要するに嫌なこと回そうとしてない………?まあ、任せてよ。」

そう言って俺たちは笑いあった。ハジメは自分を卑下するが、俺とハジメの形が一番理想的な形だと思うのは俺だけではないと思う。

 

戦闘もひと段落つき、俺たちはいい機会だと小休止に入った。特にやることもないためとりあえずハジメの方に行くとそこには白崎と見つめあっており、ラブコメ空間を生み出すリア充くそやr……もといハジメがいた。

「リア充は天誅!」

「うわ!いきなり何すんだよ!」

「うるせぇ!リア充は敵だ!神聖なる我が手刀の前に沈みやがれ!」

「別に俺リア充じゃないし!」

「いや認めん!いま、俺のリア充センサーがお前をビンビンに捉えているのだ!」

「意味わからんわ!」

「ちょ、狩野くん!気持ちはものすごくわかるけど今は抑えて!」

「止めるな八重樫!俺はいま全人類の非リアのために戦わなければならない!」

「全人類はそんなこと求めてないから!」

そのあと、ノワールにさらに煽られキレたり、ハジメの錬成に捕まったり数分に渡りドタバタしていたが結局はいつものメルド団長のゲンコツにより沈められた。

 

 

 

 

 

「…………なんだよあいつら……。()()()香織とイチャイチャしやがって………。」

ーーーそのため、どす黒く濁りきった目で俺たちを睨む目には気づくことができなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小休止(後半はほぼ気絶させられてた)を終え、先に進んだ俺たちはついに二十層の最奥に来ていた。二十層の最奥の部屋はまるで鍾乳洞のようにツララ状の壁が飛び出していたり、溶けたりしたような複雑な地形をしていた。この先を進むと二十一層への階段があるらしい。そこまで行けば今日の実戦訓練は終わりだ。意外とすんなり行けたもんだ。

 

すると、先頭を行く光輝達やメルド団長が立ち止まった。訝しそうなクラスメイトを尻目に戦闘態勢に入る。どうやら魔物のようだ。

「擬態しているぞ! 周りをよ~く注意しておけ!」

 メルド団長の忠告が飛ぶ。

 

 その直後、前方でせり出していた壁が突如変色しながら起き上がった。壁と同化していた体は、今は褐色となり、二本足で立ち上がる。そして胸を叩きドラミングを始めた。どうやらカメレオンのような擬態能力を持ったゴリラの魔物のようだ。なかなか面白い能力だな。流石は異世界か。

「ロックマウントだ! 二本の腕に注意しろ! 豪腕だぞ!」

 

メルド団長の声が響く。今回は勇者様&幼馴染み'sと俺が対応するらしい。今できる最強の布陣ってわけだ。飛びかかってきたロックマウントの豪腕を龍太郎が拳で弾き返す。そして光輝と八重樫が取り囲もうとするが、ここは慣れた地形で戦っている方に軍配があがる。鍾乳洞のような足場の悪い状況でうまく囲めなかったようだ。そして、足場によってうまく動けない八重樫に向かい、慣れた動きでロックマウントが襲いかかる。

「コットン!ノワール!」

「任せてくださいニャ!ええぃ!」

「シビれろニャ!とりゃぁぁぁ!!」

しかし、コットンとノワールの攻撃によりジンオウ装備の麻痺をくらい一瞬、動きが硬直しその間に八重樫はなんとか逃げられたようだ。

 

「ありがとう狩野くん!助かったわ。」

「いいってことよ。コットンとノワールもよくやった!助かったぞ!」

「これくらい当然ですニャ!」

「この程度のことノワールが出来ないはずがないニャ!」

そう言って2匹一緒にサムズアップをしてきた。頼もしい奴らだ。

 

直後、

「グゥガガガァァァァアアアアーーーー!!」

 部屋全体を震動させるような強烈な咆哮が発せられた。

「うおっ!?うるさっ!」

「「ニャ!?」」

「ぐっ!?」

「うわっ!?」

「きゃあ!?」

 体をビリビリと衝撃が走り、ダメージ自体はないものの硬直してしまう。ロックマウントの固有魔法“威圧の咆哮”だ。魔力を乗せた咆哮で一時的に相手を麻痺させる。さっきの仕返しのつもりだろうか。

 

その隙にロックマウントは白崎たち後衛組に対し大岩を投げた。とっさに助けに入ろうとしたが体がうまく動かない。コットンとノワールも今回は無理なようだ。

なんとかうまく防げるといいが……なんて考えているとしっかりと魔法を打ち込む準備をしていた。どうやら問題はなさそうだ。

 

なんて思っていると突然、白崎たちが硬直し魔法陣が解けてしまった。

何事だ!?と思っているとその原因が分かった。なんと投げられた大岩はロックマウントだったのだ。そりゃ、魔法で撃ち落そうとした岩が突然ロックマウントになり、さながら「ふ〜じこちゃ〜ん♡」とでも言ってそうな勢いで腕を広げ飛んできたら集中が切れてしまうのは仕方ないことだと思う。

 

「こらこら、戦闘中に何やってる!」

 慌ててメルド団長がダイブ中のロックマウントを切り捨てる。

流石は団長だ。とっさの事態にもすぐ対応するのと瞬時に決断するのはなかなか身につく勘ではない。歴戦の戦士はすごいな。

 

「貴様……よくも香織達を……許さない!」

ここで、ロックマウントに対しキレている人物がいた。皆さんご存知勇者様だ。どうやらルパンダイブしてきたロックマウントに対して白崎たちがその時に生まれてきた死の恐怖に怯えていると思ったようだ。確かにそう見えなくもないが、どちらかというとシンプルにキモかったんだと思う。

「勘違いを馬鹿にすべきかすぐに行動できる行動力をほめるべきか……。さしずめ光輝のなかで白崎と八重樫はヒロインさんかな?」

「「それはやめて。」」

「わぉ、光輝さん涙目。」

まさかの幼馴染2人からの断固拒否だった。

 

まあ、そんな事情もつゆ知らず光輝は()()()()()()ヒロインである白崎と八重樫を助けるため勇者様は戦っていた。

 

「万翔羽ばたき、天へと至れ、“天翔閃”!」

「はぁ!?」

「あっ、こら、馬鹿者!」

 

するといきなりロックマウントに大技を繰り出してきた。メルド団長の声を無視して、光輝は大上段に振りかぶった聖剣を一気に振り下ろした。

 

ドォゴゴゴォォォオン……

 

パラパラと部屋の壁から破片が落ちる。なんと、ロックマウントを通り越し、壁までぶっ壊していた。そして当の本人は「ふぅ~」と息を吐きイケメンスマイルで香織達へ振り返った光輝。どうやら香織達を怯えさせた魔物は自分が倒した。もう大丈夫だ! と言いたかったらしい。だからその物語は登場人物は光輝だけなんだよなぁ。そして、イケメンスマイルより100倍はいい笑顔で迫っていたメルド団長の拳骨を食らった。当たり前である。

 

「この馬鹿者が!気持ちはわかるがな、こんな狭いところで使う技じゃないだろうが! 崩落でもしたらどうすんだ!」

 

 メルド団長のお叱りに「うっ」と声を詰まらせ、バツが悪そうに謝罪する光輝。香織達が寄ってきて苦笑いしながら慰める。こういうとき憧れるよね幼馴染って。お互い男女関係なく支え合えて。俺にはいなかったよ……グスン。

 

その時、ふと香織が崩れた壁の方に視線を向けた。

「……あれ、何かな? キラキラしてる……」

 その言葉に、全員が香織の指差す方へ目を向けた。そしてそこにあったのはインディコライトが内包された水晶だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーそれがどれだけの悲劇を生むか知らずに俺たちは呑気に宝石の美しさに見惚れてしまったのだ。

 

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