ありふれた狩人《チート》と世界最強の友達《魔王》   作:Y.U.K

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無双と後悔

ベヒモスと俺が対峙する。その行為だけで緊張感に包まれ、まるで風が突如として無くなるような錯覚をした。

みんなにああ言ったが、今までの戦いとベヒモスとの戦いは明らかに違う。これは命で命を削る戦いなのだ。

(ああ…そうか……。俺は怖いのか……。)

死ぬのが怖い。ハジメや光輝達に会えなくなるのが怖い。コットンとノワールを悲しませてしまうのが怖い。

それらの恐怖が身体を強張らせ、息を苦しくさせる。

「まあだからと言って……負けるわけにはいかないがな。」

そう決意を新たにし、気合いを入れるため、頰を2回ほど叩いた。俺はあいつらのため、負けるわけにはいかないのだ。

 

ベヒモスは俺を自分の脅威となる敵だと認識したようだ。

兜のような角を赤熱化させ、俺に向かって突進してきた。勢いは車ほどの速さだが、脅威はその兜だ。恐ろしく熱が高く、数百mはあるはずなのにまるで溶岩の近くを通っているかのような暑さだった。おそらく、10000℃はあると思われる。そんなのに突かれたらひとたまりもない。

なので橋から落ちない程度に横に跳び回避をする。

 

すると、ベヒモスは突如として直角に曲がり再びその脅威を俺に向けた。

まさか対応されるとは思わず、完全に虚を突かれたため、反応しきれずに接近を許してしまった。

「雷牙さん!」

「死んじゃいやニャ!?」

(やべっ!?死ぬ!?)

その脅威の餌食となってしまうかと思われたとき、突如として近くから聞き覚えのある声が聞こえた。

"雷撃!!"

すると、突如何もない空間から雷が発生し、ベヒモスへと落ちた。それによって、一瞬ベヒモスの動きが硬直し、その隙になんとか距離を取ることができた。

 

"しっかりしなさい。あなたは今、私がついているのよ?あの程度の攻撃は反応しきれるはずだわ。落ち着きなさい。大丈夫よ。"

「………そうだな。悪い。もう大丈夫だ。」

そう半ば自分に言い聞かせるともう一度ベヒモスを見合った。

ベヒモスは再びその兜を俺に向け、死の矛先を向けてきた。だが、今回は先ほどよりもベヒモスの動きを把握することができ、それにより、余裕を持って反応ができた。そして、先ほどと同じようにベヒモスは直角に曲がる。しかし、今回は難なく反応ができそれ以降も避け続け、やがて兜の赤熱が収まるまで一切、攻撃を受けることはなかった。

 

すると、俺にはこの攻撃は効かないと判断したのか突進をやめ、今度はその大木のごとき豪腕を振り下ろしてきた。

攻撃自体は避け続けることができる。しかしその一撃一撃が俺を即死させるほどの力を秘め、それが何十、何百と繰り返される。それなのに、攻撃の間で反撃を試みるが小さな切り傷こそつくれるものの、ダメージを与えることは叶わない。先程の助言と攻撃の際の剣の雷属性のスタンにより落ち着いて対応はできるため、この先も避け続けることは出来るだろう。だが、俺にはじりじりと近づく憑依のタイムリミットがある。そのため、このままではジリ貧になってしまう。

 

(体感では残り2分強か……。このまま避けてても意味がない。何か打開できる方法は……。)

その時、ふと地球にいた頃を思い出していた。すると直後にピンと来る、この状況を打破する案を見つけることができたのだ。

(これだ!!)

 

「雷撃!!」

ベヒモスに雷を落とし、即座に距離を取る。俺の考えがあっていれば少なくともこの状況を打破することができるのだ。

(どうにかうまくいってくれよ……)

そして俺はもう一度雷撃を生み出し、今度は()()()()()雷を落とした。

 

 

そしてそこには雷に打たれ感電死をした………なんてことはなく、落とした雷撃を身体に纏った雷牙がそこにはいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(予想通り、なんとかうまくいったな。)

そう、俺がおこなったのはHUNTER×HUNTERのキルアの念能力、神速(カンムル)の疑似再現だ。

HUNTER×HUNTERの中でキルアは小さい頃から訓練してやっと、あの強力な念能力を手に入れたと言っていた。

だが、キリンは元々強い耐雷性を持っているためこの点はクリアをできると読んだ。そして次に出て来た問題は雷を帯電させることが出来るかというところだったがこれはキリンに丸投げした。キリン曰く、雷は自分の一部のようなものなのでそれくらいは余裕だったらしい。それにより帯電することで電撃により常に肉体に負担をかけ、今までよりも更に速く動くことができ、全ての攻撃に電撃による攻撃とスタンをプラスして付けることができた。

 

ベヒモスが俺の変化に違和感を覚えつつも、様子見を兼ね先ほどと同様に腕を振り下ろして来ていた。

しかし、今の俺にそんなものが当たるはずもなく、片方の剣で攻撃をいなし、剣に触れたことによりベヒモスの動きが硬直する。そして、その隙にベヒモスの懐に入り込みもう片方の剣で切り裂いていく。

そこからはもう俺の独壇場だった。神速(カンムル)により相乗的に双剣の雷属性も強化され、スタンの時間も長くなった。そのため、今まではヒット&アウェイだったが速さと手数を生かし一方的な攻撃となっていた。

 

左手の剣で脇腹を切り裂き、身体を捻り勢いをつけながら右手の剣で腹を切り裂く。そしてそのままの勢いで乱撃を繰り返す。

胴体、首、腕、脚、健など………。あらゆる場所へ1秒間に何十もの斬撃を繰り出していく。一撃の強さはさっきより少し上がったくらいの変化だが、手数を圧倒的に増やしたことにより確実にダメージが蓄積していくのがわかる。

このままいければやがてはベヒモスを倒すことが出来る。誰もがそう確信していた。

 

(よし、このままいければ……)

雷牙自身もそう思った。ベヒモスはスタンによって全く身動きが取れず、未だに命を落としていないという生命力の強さと防御力の高さに流石と思いこそするものの、自身の速さについてこれていないことからどこか勝ったと確信をしていたのだ。

 

だが、雷牙は忘れていた。相手は最強と呼ばれたパーティですら勝てなかった伝説の魔物だということを。

 

一方的な乱撃を繰り返す。最早、単調作業と化していた戦いだったがベヒモスの方に変化が訪れた。なんと、スタンの効果が薄くなって来ていたのだ。

「グガァァァア!!!」

「!?」

突如として動き出したベヒモスの横薙ぎの攻撃にゼロ距離からの攻撃ということもあり、先ほどのように対応できず咄嗟に腕でガードするだけにとどまった。

「ゴァ!? ガハッ!」

その一撃は凄まじく、俺を橋を越え、階段側の壁まで吹き飛ばした。まるで今までの俺の攻撃をあざ笑うかのように1発で形勢を逆転させたのだ。咄嗟にガードした両腕は骨が粉々になり、動かすことすらできなくなった。また、身体のダメージもひどく、肋骨は確実に何本か逝った。吐血をしたことから内臓にもダメージがいってるであろう。

 

そして、悪いことは続くもので………。

"!?まずいわ!憑依が…"

「まじか……このタイミングでタイムリミットかよ……。」

憑依が解け、隣にキリンが現れた。ダメージが多少リンクするのだろう。キリンにも大きな怪我は見られないがあちこちにダメージを食らっていた。

また、嫌な予想が当たってしまい、反動なのか全身の筋肉が悲鳴を上げており、とても動ける状態ではない。さっきの一撃のダメージと合わせてなかなかグロッキーな気分になっていた。

 

"とにかく、逃げるわよ。"

「雷牙さん!気を確かに!」

「雷牙!しっかりするニャ!」

オトモ2人にキリンの背中に乗せられ、なんとかその場を逃げ出した俺は他の奴らがいるところまで戻っていた。不幸中の幸いで、光輝の登場により士気を取り戻したお陰でトラウマソルジャーの軍団は倒したようだ。

「ありがとな…。悪い、倒しきれなかった。」

「謝らないでください!雷牙さんは頑張りましたよ!」

「そうニャ!雷牙が褒められることはあっても怒られることなんて何1つないニャ!そんなのノワールが許さないニャ!」

"そうよ。あなたが一番頑張っているわ。胸を張りなさい。"

そう言われ、安心したのか急激に眠気が襲って来て、戦場の真ん中で俺は意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ん、ここは……洞窟?……はっ!ベヒモスは!?」

次に眼を覚ますとそこはどうやら階段の踊り場のようなスペースで周りを見るとどこか緊張している転生組がいた。

「狩野くん!?起きたんだね!」

声の方を向くと《治癒師》である白崎が俺のそばに寄り添い、怪我を治してくれていた。

「心配したんだからね………。それで、怪我の方なんだけど腕の骨と肋骨がやられてたから多少強引だけど治しといたよ。ただ、筋肉の疲労までは治せなくて……」

「ああ、大丈夫だ。ぶっちゃけ全くもって動けないけどあいつらに運んでもらうし……。それで、ベヒモスは?」

 

そう問うと白崎が突如として泣きそうな顔になり、ある方向を指差した。その方向を見ると………

「え………ハジメ?……なんで……。なんであいつがベヒモスと戦ってるんだよ!しかも1人で!」

そこには1人でベヒモスと懸命に戦うハジメの姿があった。

「なんでハジメなんだ!?あいつは戦闘職じゃないんだぞ!?……まさか、あいつを囮にして逃げるって作戦じゃ……」

「違うの!これには訳があってね……。」

そういうと白崎が、ハジメが心配なのか泣きそうになりながらも懸命に言葉を紡ぎ、説明をしてくれた。

 

曰く、ハジメの錬成を使いベヒモスの上半身を埋めることで拘束し、ハジメの魔力が尽きた瞬間に安全地帯にいる俺たちが一斉射撃を繰り出すというものだった。周りが緊張感に包まれているのはそういう理由だろう。

しかも、この作戦はハジメ自身が提案したらしい。

どうやら、本来であればこんな作戦は無理だが、俺との戦いでかなり消耗しているベヒモスならば……ということで苦渋の決断でメルド団長も許可したようだ。

 

すると、メルド団長の声が響く。

「全員、配置につけ!間も無く坊主の魔力が尽きる!坊主が離脱した瞬間に全員で魔法を打ち込みベヒモスを倒すんだ!いいか!ここを逃したら死ぬと思え!」

どうやら、そろそろハジメの魔力が尽きるようだ。白崎も加わり全員が横に広がりベヒモスの方を向いた。俺も魔法こそさっきの戦いにより使えないがなんとか結果だけでも見るため、悲鳴をあげる身体に鞭を打ちなんとか壁に寄りかかりながらも並んでいた。

 

改めてベヒモスを見ると既に上半身は完全に埋まっており、身動きすら取れないであろう。錬成という決して戦闘向けではない力でここまでベヒモスを封じ込めるハジメは本当に尊敬する。

 

そしてーーーーー

「総員!打てぇぇえ!!!!」

その掛け声とともに無数の魔法がベヒモスに向かい飛んでいく。

その様はさながら流星群のようでこんな状況ながら幻想的と思ってしまった。

しかし、攻撃を食らっているベヒモスは堪ったものではなく、既に拘束からは逃れているものの魔法の雨で防戦一方となっている。

 

誰もがこの戦いの勝利を確信した時、悲劇が起こった。

避難中であったハジメに向かって1つの火球が()()()()()。明らかに故意に軌道が変わっていたのだ。

「ハジメ!!!」

ハジメは反応できず着弾した衝撃波により来た道を戻るかのようにゴロゴロと転がっていった。

ハジメはそれでもフラフラしながら少しでも前に進もうと立ち上がるが……。またもや悪いことが重なってしまった。

ベヒモスも何時までも一方的にやられっぱなしではなかったのだ。ハジメが立ち上がった直後、咆哮が鳴り響く。そして赤熱化をしたベヒモスがハジメに向かって突進をしていたのだ。

 

直後、怒りの全てを集束したような激烈な衝撃が橋全体を襲った。ベヒモスの攻撃で橋全体が震動する。着弾点を中心に物凄い勢いで亀裂が走る。メキメキと橋が悲鳴を上げる。そして遂に……橋が崩壊を始めたのだ。

 

俺は必死に身体を動かそうとするが思うように動かず、階段から転げ落ちた。それでも諦めず懸命にハジメに向かって手を伸ばし続けた。

 

まあ、俺がついてるし大丈夫だろ。

 

宿場町で俺がハジメに対し言った言葉だ。この時はチートもある俺なら本気を出せばなんでも解決できると思っていた。

 

だが、現状は守られているのは俺自身で、俺はというと奈落に落ちそうになっているハジメに対してを伸ばすことしかできていない。

 

何が大丈夫だ。何が俺がついているだ。守られているのは俺自身じゃないか。

 

俺はあの時を激しく後悔した。もし、あの時白崎にも協力してもらうようにしていれば。もし、ハジメを置いていくことができていれば。こんなことにはならなかっただろう。

 

それでも、俺が犠牲になってでもあいつを助けるため。あいつの手を掴むため。懸命に身体を動かした。

 

 

そしてーーーーー

伸ばした手は届くことはなく、ハジメは光も届かない奈落へとおちていった。

 




戦闘描写がうまく書ける気がしない……。
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