不死鳥──the immortal──   作:カモシカ

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四話 再会

 寧々と服を買いに行った翌日。私は山の家に向かっていた。この家に置いておいた荷物を取りに来たのだ。

 霊力強化・・・・・今風に言うなら魔力放出で身体能力を強化し、手付かずの山域を駆ける。とは言えここは私の庭も同然だから、迷う事も無いし私にとっては安全だ。危険でもそんな変わんないけど。

 

 と、我が家に近付くと誰かいるのに気付いた。注意はすれど警戒はせず、また速度も緩めず近付く。

 

「誰だ不法侵入したのはーっと。あれ?黒乃か」

「妹紅・・・・・ごめんなさい。勝手に入って」

「いやいや。別に黒乃なら大歓迎さね。こっちも侵入者扱いして悪かったよ」

「ううん。悪いのは私だから」

「じゃ、お互い様ってことで」

 

 黒乃にお茶を出してやる。わざわざこんな山奥まで来てくれたんだ。おもてなししてやらなきゃな。

 

「ねえ。妹紅は何処行ってたの?」

「あー・・・・・ちょっと拾い者してな。これから当分は街で暮らす事になった」

「そうなの!?じゃあ、山奥まで来なくても会える!?」

 

 黒乃は興奮気味に捲し立てる。落ち着いているように見えても、こういう所は見た目相応の少女なのだなと感じた。

 

「多分な。っとそうだ!私は荷物を街の家に移すんだが、ついでにお前に会わせたい奴が居るんだ。着いてくるかい?」

「・・・・・それって誰?」

「西京寧々って言う女の子だよ。お前と同じかちょっと小さいくらいの」

「・・・・・行く」

 

 数秒悩んだ様子だが、黒乃は寧々に会ってくれるらしい。これで二人とも仲良くなってくれればいいんだがな。

 

 私は家に置いてあった骨董品や七輪なんかに【不老不死】の概念から応用して【不壊】の概要をくっ付け、適当に袋に放り込んで担ぐ。

 そして黒乃と手を繋いで山を降りていった。

 

 

 ****

 

 

「たっだいまー、っと」

「ママおかえり!」

「ただいま。出迎えありがとな」

 

 寅の坊主の道場の扉を開けると、寧々が飛び付いてきた。なので一度荷物を置き、寧々を抱きしめ返す。本当に寧々は可愛い。目に入れても痛くないなんて表現があるが、あれは事実なのだと共感しそうだ。

 

「ママママ!これ見てこれ!寧々も《固有霊装》出せたんだよ!」

 

 そう言って寧々は二つの扇を・・・・・いや、鉄扇を見せてきた。

 

「はあ!?おい寅の坊主!こりゃどういう事だ!?」

「ほっほっほ、いやぁ『寧々もママみたいに《伐刀者》になりたい!』なんて言われてしまってのぉ。ちょっとコツを教えたら自力で《固有霊装》を出しちまったわい」

「あ、ああ?まじか・・・・・寧々、お前すげえな。ママは娘の成長が嬉しいぞ」

 

 寅の坊主が何かやらかしたらしいが、これも寧々の才能と気持ちの成長だろう。それを喜ばない親は居ないさ。

 

「うん!寧々もママや寅爺みたいな《伐刀者》になるんだ!」

「お、言ったな?なら寅の坊主に鍛えてもらえ。お前なら寅の坊主なんて直ぐに追い抜けるよ」

「うん!」

「ほ、ほほ・・・・・やりそうだから怖いのう」

 

 寅の坊主が震えてやがる。確かにこの時代の人間にしちゃあ大分強いが、五百年くらい前は《魔人》なんて割と普通に居たからなあ。まあそれでも五百人に一人くらいだったから、希少は希少だったんだろうけど。

 

「あの、妹紅?この娘が寧々ちゃん?」

「ん、ああ。悪いねほっといちまって。そうだよ。こいつは西京寧々、私の義娘(むすめ)だ。ほら寧々、ご挨拶しな」

 

 そこでようやく黒乃を認識した寧々は、恐る恐る自己紹介を始める。

 

「西京 寧々です。えっと、ママのむすめです」

「こんにちは。滝沢 黒乃です。よろしくね、寧々ちゃん」

「うん!」

 

 どうやら無事に友達(暫定)が出来たらしい。しかしこうして並んで立つと、寧々も黒乃も、背の高さはほぼ同じだ。案外同い年だったりするのかもしれない。

 

「ねえねえ、黒乃って何歳?」

「私?私は七歳よ」

「じゃあ寧々と一緒だ!」

 

 ・・・・・え?まじか。黒乃七歳なのか?

 

「ねえ妹紅、寧々ちゃん、また来ていい?」

「おう。いつでも来なよ。黒乃なら大歓迎だ」

「寧々も大歓迎!」

「・・・・・ありがと」

 

 話を聞くと、どうやら黒乃はここから歩いて三十分位の場所に家があるらしい。七歳の足にはちとキツいが、まあ《伐刀者》なら問題無いだろう。

 

 そしてそれから子供二人は遊びに遊び、日が傾き始めた頃に、黒乃はようやく帰って行った。

 

 

 ****

 

 

 帰って行った黒乃を見守る為、烏を式にして飛ばす。私は様々な組織から狙われる身だ。自分のことは自分でどうにでもなるが、流石に遠くに居てはどうしようも無い。【不死鳥】の繋がりで鳥全般は半分私の式みたいな物なので、魔力を報酬として渡せば私の目となり手足となってくれる。

 

 折角久しぶりに繋がりを持てた人間だ。小娘二人程度、何があろうと守り切ってやるよ。だから安心してすくすく育ってくれよ。寧々、黒乃。

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