錬鉄のルイズ   作:歪なカリフラわ

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続きは期待しないでね。


錬鉄のルイズ

 

ある世界にて一人の男が死にかけていた。「コジマ粒子」の大量吸引によって体の隅々まで汚染され尽くしていた為だった。

 

「…あぁ、面白かった…良い人生だった…。世界はクソだったが、最後までこうして羽ばたいて入られたのは良いものだったよ。光栄だなぁ…。あぁ、強敵《とも》よ、今そっちにいく。楽しみ待っていろ。もう一度倒してやらぁ…!アハハハハハ…!」

 

男は名の知れたAC乗りで、不死鳥の二つ名がつけられる程生還率が高かった。だから、今こうして戦場ではなく寿命と汚染による死を迎えようとしているのだ。

 

 

 

変わってある世界ににて、一人の少女が奮闘していた。その少女の名をルイズという。

ルイズはいま、所属しているトリスタン魔法学院の昇格試験を行っていた。

 

(まずい、まずいまずいまずい!まずいいいいいい!)

「早くしろールイズ〜!」

《野次》

「早くしろワンのルイズ!」

(くぅ〜私が「錬金」以外の魔法をつかえないからって…馬鹿にしてぇ!私の方がずっと凄いのよ!)

 

もうお分かりだと思うが、ルイズは「錬金」以外の魔法をつかえない。それ以外の魔法を使おうとすると何故か爆発する。馬鹿の一つ覚えというわけか、ワンのルイズと呼ばれている。最も、座学もワンなので馬鹿という事はないのだが…

 

「ミスルイズ…もう流石にお辞めになられては…」

「すみません…ミスタコルベール…ですが最後に一度だけ…!」

「いいでしょう…しかし、出来なければそれまでですからね。」

「ッ!ありがとうございます!」

 

許可をもらい最後の一回の呪文を唱え始める。幾度の失敗を乗り越えてまだ挑戦した努力が報われたのか、ド派手な『緑色の爆発』が生じた。

 

 

その頃、男はベットで横になりもう死ぬ寸前だった。もう瞼を開くのも辛くなってきた最後。唐突に黄金色の光が見えた。

 

「へへっ…本当に迎えが来たようだな…今までありがとよ。クソッタレども…」

 

そうして、男は静かに息を引き取った。

が、これが不味かった。

 

 

戻ってルイズ。今までなかった緑色の爆発に成功したと感じた。

薄く影が見える。しっかり成功したのだと確信したルイズはその元へと駆けつける。そこには黄金色の光があった。ゴクリと唾を飲み込む。そして一歩近づき顔を近づける。

まだ、契約の義をした訳でないが、なんとなく、義が完了したのだとルイズは本能的に理解した。

だが、現実は悲しきかな。本当に召喚に応じたのは、あの男でもう死んだ人間だ。結果は目に見えている。当然だが、イレギュラー発生した。

 

(やった!成功した!どんな使い魔かしら?たのしみだわ!)

 

そのワクワクに応えたのは頭痛だった。

頭痛はまるで世界を引き千切っているのような痛さで、ルイズが耐えられるはずもなく。ルイズは絶叫した。

 

コルベールやその他の生徒、教師は突然のルイズの悲鳴に背筋が凍る。未だ緑色の爆発の煙が立ち込めているせいでルイズは見えていない。この場にいる全員が硬直する中コルベールが最も早く行動した。

 

「ミス・ヴァリアエール!大丈夫ですか!」

 

自身にフライと自身の移動速度を上げる二つの呪文をを同時に行う凄まじい技術を見せ、他がぽかんとしてる間にルイズに駆け寄る。既にルイズの悲鳴は途絶え、もうだめじゃないのかと御通夜如き雰囲気になる。が、そんなことも気にせずコルベールは緑色の煙の中に突っ込む。そこには倒れているルイズの姿が、コルベールは五体満足のルイズに少々安心するも油断はせず。呼び出された使い魔に気をつけながら、ルイズを抱え脱出する。急いで救護班の教師がいる方へ向かう。

 

「救護班!ミス・ヴァリアエールの治療を!」

 

コルベールは叫び場は慌ただしいが、一人の生徒の命がかかっているためだれも彼が行動が早かった。

 

 

ルイズの体にはなにも異常が無いことが判明した。だが、一つ可笑しな事があった。それは、ルイズの手に使い魔のルーンがあった事だ。教師たちは原因究明をしようとしたが、コルベールの冷静な判断によってそれは後日に回すことに。まずはルイズの治療を優先させた。

 

倒れたルイズは夢の中にいた。

それは男との出会い。

 

「貴方は誰?」

「あ?嬢ちゃんこそ誰だよ。俺ァもう死んだ。これから地獄へ強敵たちに会いに行くんだ。邪魔しないでくれないか?」

「…ちょっと待って?え、貴方死んだの?」

「そうだが、という事はお前さんもか?新米のAC乗りだったのか?」

「死んでないわよ!私はルイズ!トリスタン学院の生徒で昇格試験を受けていたのだけど…頭が割れるような頭痛がしたら此処にいたの。」

「へぇそうだったのか、昇格試験で…あの世界にも学校なんてあったんだな。俺はスラム出身だがらわかんねぇや。」

絶妙に食い違う。

「なに、あんた学院のこともしらないとかどんな田舎のやつよ。」

「わかんねぇなぁ、そらスラム出身だからなぁ。まぁ、なかったらなかったで可笑しな話ではあったなぁ。オペーレーターとか学校がなきゃなれねぇか…ハハハ!」

「ハハ…」

自分で納得している男に呆気を取られから笑いする。

「とは言え嬢ちゃん…お前さんは若いだろ。俺ァもう年寄りだからいいけどよぉ。嬢ちゃんが此処にいるのは駄目だ。帰った方がいいぜ。」

「で、でも、使い魔が…」

「使い魔?なにが大切なものなのか?」

「ええ…使い魔がいないと昇格が出来ないの…」

「そうか、その使い魔ってのは決まりがあるのか?」

「いいえ、特にないわ。サモン・サーヴァントっていう魔法で出逢った生物と契約の義を交わして使い魔にするの。だから、そうね。例えば、鷹とか、ネズミとか、時には龍を従える生徒もいるわ。」

「…魔法?龍?なぁ、嬢ちゃん『AC』ってきいたことねぇか?」

「『えーしー』?なによそれ。知らないわ。というか、私はなんでこんな事を見ず知らずの平民に話しているのよ…」ブツブツ

「…まさか。」

男は不死鳥の二つ名が付けられるほど勘が鋭かった為か、すぐにこの異常な空間についてあたりがついた。

(『AC』を知らないなんて可笑しい。更に魔法や、竜が実在するのはあたりまえの様な感じだ。竜なんて空想の生物であってエンブレムぐらいにしか使われない。ついで最後に『コジマ粒子』を聴いて知らないと答えたならば『異世界の人間』だ。最近SF小説を読んだお陰かねぇ…昔から、ああいうのはあり得ないことだから面白くて読んできたのだけれども、まさかこんな死んでから役に立つとはなぁ…本当、人生何があったかわかったもんじゃないな。)

大体の状況に一人で納得する男。

「そう言えば貴方は『死んで』此処にいるって言っていたわよね。なんで死んだってわかるのよ?私は確実に『生きてる』わ。理由はわからないけど確かに生きているの。」

「…そうか、だったら三途の河って知ってるか?」

「えぇ、知ってるわよ。」

「なら、多分此処がそんなんじゃねぇかなぁ。」

「…あぁ!そういう事ね。って私かなりあぶないじゃない!」

「ハハハ!」

「笑ってる場合じゃないわよ!むぅ、なんかずらされたような…」

 

死ぬ寸前だったからっていうのと、勘だ。

 

「所で嬢ちゃん『コジマ粒子』を知ってるか?」

「知らないわよ。何よそれ。さっき言ってた『えーしー』とやらに関係でもあるの?」

「まぁな。実際かなり深く関係するのだけれど、それはさておき。嬢ちゃん、お前さんと俺ァ多分違う世界の人間だ。」

「はぁ?何を言いだすかと思えば違う世界の人間ですって?まぁ、確かにこうして生者と死者が会っているのだし、確かにそういう風に捉える事ができるわね。」

「あー、それもあるが俺が言いたいのは、俺がいた世界とお前がいる世界は違うって事だ。俺の世界からしたら『AC』や『コジマ粒子』知ってて当然の代物だ。だが、育ち良さそうな嬢ちゃんが知らないなんて可笑しい。

更に言えば、お前さんは魔法と言ったな。魔法なんて実在してるのか?」

「当たり前じゃない。だから言ったじゃない『私は昇格試験でサモン・サーヴァントの魔法を使った』のよ。それにあともう一つ錬金が使えるわ。」

「そうか、俺たちは魔法なんて使える奴は一人もいねぇ。更に言えば竜なんて存在しない。居たとしても緑色の煙を吹くゴーレムぐらいだ…まぁ、大体分かったと思うがこういう事だ俺たちは『異世界の人間同士』なんだ」

「…!そういう事ね。確かに此処までくれば可笑しいわよね。確かに貴方の言う通り『異世界の人間同士』なのかもしれないわね…」

 

男の言い分を理解するも、まだ微かに信じられないルイズ。

 

「でも、可笑しいわ。出会う切っ掛けがないわよ。それにこうして言葉が通じるのも可笑しいわ。」

「それもそうだなぁ…まぁ、切っ掛けは多分サモン・サーヴァントって奴だろうな。」

「どうしてそう思うのよ。」

「勘だ。まぁ、理由としては俺はなにもできない体、まぁ、死に体だったわけで、何か出るわけも無い。だが、嬢ちゃんはそれを行なっていたら此処に居たんだろ。」

「まぁ、理屈は通っているわね。」

「だろ?だがまだ詳しい理由は掴めてない。」

 

理由がわからず頭を悩ませる二人。

 

「そう言えば、貴方は此処に来る前は何かなかったの?」

「ん?あぁ、死ぬ前は、そう言えば本当に死ぬって前に黄金色の光を見たかな。」

「黄金色の光?それなら私も見たわよ。」

「本当か?もしかしたらそれが原因かもな。と、俺もひとつ聞きたいサモン・サーヴァントってどんな魔法なんだ?」

「サモン・サーヴァント?簡単に言えば世界のどこかにいる生物が術者の呼びかけに応えてくれれば出会う事ができる。それから、契約の義…まぁ、口付けなんだけれどそれをすれば使い魔になってもらえるの。」

「へぇ…」

「なによ、せっかく教えたのにその素っ気ない反応は…」

「いやな、世界のどこかがもしかして異世界の俺だったら、なんて思ってな。」

「ないない。今まで人間を使い魔にした人なんていない…わ……よ…?」

「よーし、心当たりがあるんだな?」

 

男がイイ笑顔になる。

 

「…始祖ブリミル様。ああ、言ってもわからないわよね。昔のとんでもなく凄いお方よ。」

「…そうか、なぁ。大体この状況が掴めてきたんだが?」

「奇遇ね…私も大体掴めたわ。」

「じゃぁ、せーので。」

 

「「異世界の俺《貴方》がサモン・サーヴァントに応じた使い魔で、応えたのが死んだ直後だった。」」

 

二人の考えが一致し両者ともに落胆する。

 

「…どうすんのよこれぇ…」

「…なんか、すまんかった。」

 

本当にどうしようもなく壊れたACの様に動かない二人。御通夜ムードだ。その沈黙を破ったのは男だった。

 

「なぁ、俺は死んだけどよ。嬢ちゃんは生きてるよな。」

「えぇ、そうよ。今更それがどうかしたの?」

「使い魔になってやるよ。それだったら此処から帰れるか?いやそれで帰りな。」

「嫌よ!死んだ人間が使い魔なんて…吸血鬼みたいじゃない…それに、貴方を使い魔にしたらなにが起こるかわからないわよ…だったら、ここで貴方と一緒に死んだ方がマシよ!」

「駄目だ。つーか、自暴自棄になるな。推測だが、俺を使い魔にしたら多分この魂が使い魔になるじゃないだろうか。つまり、死体でもなく、魂が使い魔になる。それだったら大丈夫じゃねぇか?」

「いやいや、なにも解決してないわよ。それに死者の魂を使い魔にする方が人間を使い魔にするよりも恐ろしいわ。」

「だけれどよぉ、此処にいても、何の意味もねぇ。それにな、嬢ちゃん先人として言っとく。『生きればなんかある』」

「…何があるってのよ。」

「さあ?」

「こんの!」

「だが、こうして俺たちは出会えた訳だ。なんの得もねぇがな。」

「そうね…」

「まぁ、そんな訳で死に損ないでも、生きれば何かある。」

男はルイズの体をグイッと近づけ強引に口付けをする。

 

「な、ななにすんのよ!」

「…(柔らけえ)悪いがこれが(大人の)仕事なんでな。

何があっても生きろ。とにかく前向いときゃなんとかなる。何が起こるかわかったもんじゃないが、取り敢えず此処から出るにはこうするしかない。許しは請わん。これも縁だ。」

「勝手に、なに…を…!」

 

急にルイズは頭がクラクラし始める。

 

「やっぱりな、俺の勘は正しかったか。いいか嬢ちゃん前向いて生きろよ。死んでも俺はお前さんの使い魔だ。多分!困った俺を呼べ。絶対に助けてやるよ。ジジイだかな。」

「名…まえ……」

「そういや言ってなかったな、俺ァ『ムイロ・カラサワ』なぁに、不死鳥の二つが付けられたAC乗りだ。その加護がお前さんにあらんことを。」

 

だんだんと意識が薄くなり男、ムイロ・カラサワが見えなくなる。

だが、不思議と悪い気分ではなかった。暖かく、鳥に囲まれている様な気分だった。

そして見た。

鋼鉄の鳥が美しい緑色の線を描きながら飛んでいく様を…

 

 

「うぅ…」

「!ミス・ヴァリアエール!大丈夫ですか!?」

「…ミスタ・コルベール?ですか?」

 

ルイズは身体起こそうとする。

 

「ええ、そうです。おっと、無理に起き上がらない方が良い」

「此処は?」

「医療室です。少しお待ち下さい。いま、医療専門の教師を呼びますので。」

「はい」

 

なんだか、不思議な気分だった。夢を見ていた様な、それでも、それは現実だった様な。

なんとも言えない経験をしたと、勘が言っていた。

 

「お待たせしました……」

 

 

 

あの後、様々な調査をされた。その間、ルイズはずっと不思議な気分だった。

で、最後に昇格試験のことを思い出し、近くにいたコルベールに尋ねた。そうしたら、

「まだつかれているでしょうし、その話は三日後にします。それまでは安静になさってください。」と言われた。少し、もどかしいが仕方ないかと、納得し眠りについた。

 

 

上手にいったみたいだな。

どうやら俺が心配する迄もなかった様だ。

簡単にだが伝えておくぞ。

お前さんが契約したのは俺という存在の残りカス。知識とか、経験とかと契約した感じだ。記憶みたいな嬢ちゃんが持っていても意味ない、それどころか悪影響を及ぼすものは含まれない。

まぁ、詰まる所本当に魂と契約した感じだ。

いまこうして伝えているが、多分こういう事はもうないだろう。

くどいが最後に、前を向いて生きろよ。

どうしよーもないときは俺を呼べ。

助けるぜ。

 

 

「…くださーい。おきてくださいね。」

「うーん」

医療室の者の声で目を覚ます。

日が出た直後だったからか、まだ薄暗い。

夢を見たルイズはなんとも言えない気分だった。

 

朝食が運ばれてきた。いつも食べている朝食と比べると断然こちらの方が劣る。が食べてみると意外に美味さは同等だった。

何時もと違うのは新鮮な気分で、これからはちょくちょく違うのを食べてみようかな。と考える程だ。

 

食べ終わると同時に健康診断に教師がやってきた。身体の調子は悪くなくなんの異常もないことを伝えると、怪我などをしない程度ならば動いても良いとの旨を伝えてくれた。

ベッドにいるのも退屈だったので医療室近くの庭に出た。なんとなく、そこらへんにあったベンチに座った。

 

「…使い魔ね。ムイロは魂と契約したって言ってたけど、ルーンがないとなぁ。」

 

そう、使い魔にはルーンが刻まれる。このルーンがあることが使い魔である証明なのだ。しかし、魂と契約したルイズはそのルーンがどこに刻まれているのかわからなかった。

そも、魂は見えるのだろうか。

 

「どうしようかしら…」

 

儀式が成功した事は確かなのだが、それを証明する事が出来ずどうしたものかと頭を悩ませていた。だが、何故かそれは決して悪い気分ではなかった。

 

「やめやめ、後から考えましょ。

そう言えばあの鉄の鳥?みたいなのはなんだったのかしら。ああそう、『AC』だったわね………?」

 

違和感。確かな違和感、『AC』なんて知らないはずなのに何故かすらっと答えられた。

 

「ちょっと待って私はなんで『AC』を理解しているの?」

 

おかしい、確かこれは異世界の住人であるはずのムイロが知っているはずのもの。ましてやその世界にある筈のACの設計図をルイズが知っているはずもない。それを知っているというのは、あたまりまえだが可笑しい。

 

「まさか、魂と契約するってこいう事?」

 

夢の中でムイロは言っていた。『正しく魂と契約した』と、その答えが今の『異世界の知識を蓄えた』ルイズである。

 

「…はぁー。本当にどうすればいいのよー」

 

ルイズはどうしようもなくて、手を上げ空を仰ぎ見る。そして気づいた。手に使い魔のルーンがある事を。

 

「これって、使い魔のルーンよね…もしかして、魂と契約するという事は主人の体に憑依するという事?」

 

この世界に魂を扱う魔術はまず存在しない。あったとしても、浄化ぐらいのものだ。だが、それすらも禁忌とされている。

 

「でも、憑依のことぐらいならば図書館の本にのっているかもしれないわね…まぁ、駄目元でもムイロが言ったように前を向いて進んでみるか」

 

ルイズは勘だが、確かにこの身にムイロ、ルイズの使い魔がいる事を分かっていた。目を覚ましてからルイズはヒステリックに成らずに済んだのはこの為かもしれないと、いま勘付いた。

 

「とにかく図書館ね。」

今はまず自分を理解する事が大切だ。




読んでくれてありがとうね。
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