就職活動が未だ終わりません。
就職活動が終わってしまえば、それなりの速度で投稿することが可能になるのでは……などとかんがえています。
少々文章の書き方に変化が生じてしまっているかもしれませんが、楽しく読んでいただけたら幸いです。
「……で?」
前日に聞いた言葉が、目の前で繰り返される。
前日にこの言葉を発したのは金髪の少女であり、その後ろにいた紫髪の少女の笑顔は恐ろしいものだった。
試合の日から部屋に戻らず、翌日の放課後になって帰ってくるという時点で迷惑をかけていたのだから仕方がないといえば仕方がないのだが。
「はい。なんでしょう?」
「……昨日一日、何をしていた?」
「ウサギに出会いまして、話した後にご飯食べてましたね」
そして、本日その言葉を発した織斑先生は深く溜め息をついた。
世界に二人しかいない男性搭乗者の片割れ、それも未知の技術を抱えた存在が行方知れずになったのだ。溜め息をつくのも仕方ない。
……まぁ、俺のせいなんだが。
「すいません。こうするしかなかったもので……」
その言葉に織斑先生は全てを理解したのか、もう一度溜め息をついた。
ISのコアを手に入れた当初に考えていた通り、俺には後ろ楯と言えるものが存在しない。
森下工業の社長の息子などという肩書きはあってないような物だ。完全な下請けをやっていた会社が世界中から狙われても問題がないような力など持っている筈もないのだから。
国から要請されれば、最悪断る事もできずに会社すらも潰されてしまう。
そうならないために、俺は現代魔法の存在のみを世界に見せつけたのだ。
そうする事で、いざとなったらモルモットにしてしまえば良い人間という印象から、関係者を含めて手を出してしまえば技術そのものが完全に闇に消えてしまう筱ノ之 束以上に厄介な存在という印象に変えることができた。
「あれが何かだけは公表しますので」
「……まぁ、いいだろう。昨日の事もあるからな、教室までは私と同行してもらう。……山田君も副担任なのだからコソコソしないでください」
「あ、はい。職員室にいた他の先生方がそんな感じでしたので……つい」
軽く見回せば、分かりやすすぎるほどに興味津々といった顔でこちらを見ている先生方が。
……まぁ、こんな話が聞き取りやすい場所で話しているのだから仕方ないといえば仕方ないのかね。
「中国に無理矢理転入生を捩じ込まれた件で仕事が増えていたからな。その原因となった理由くらいは聞きたいのだろう」
転入生……?
……もしかしなくても鈴が来る時期が早くなったらしい。
予定では一ヶ月は先だったと思うのだが。
「さて、そろそろ教室に行かねばな」
織斑先生のその言葉に、職員室にいた先生達は急いで机の上を纏めて飛び出していく。
……この人、事実上の独裁者なんじゃないだろうか。
元操縦者にしては権限がありすぎるし、ブリュンヒルデだからといって権限を渡しすぎるのは……あぁ、ウサギか。
あれと関わってしまったが故に、軽視することができなくなったのかもしれない。
ならば、織斑先生もウサギによって普通の道を歩めなくなった被害者なのかもしれないな。
「……なんだ?用がないなら早く歩け、時間が押している」
……おぉ、思わず同情の視線を向けてしまった。
それに気がついたのか、織斑先生の右手が出席簿に伸びる。
「了解しました!」
余計な事を考えるものじゃないな。
命がいくつあっても足りない。
◆◇◆
初めてアイツを意識したのは多分、転校してすぐに苛められていたのを助けて貰った時の事だろう。
可愛らしい顔立ちとあたしよりも幾分か低い背丈を見て、見かけによらず元気な女の子だという感想を持ったものだ。
だが、それこそが全ての始まりだと思う。
ソイツの名前は森下 暦、普段は物静かで頼りなく見えるが、いざという時の行動力と腹黒さは誰にも負けない……そんな少年だった。
私と暦、一夏と弾の四人で行動する事が多かった私達は、必然的に彼が起こした結果を目にする事が多かった。
だが、その被害に会う事がなかったからこそ楽観視できていた。
それをあたしは実感した。
なぜなら――
「こよみぃ!」
バンッ!
――今、あたしがIS学園に居るという事こそがその結果でもあるからだ。
「うぉっ?!な、なんだ…………って、鈴?」
「あ、一夏じゃない。久し振り……で、暦は?」
「おま……一年ぶりの再会でそれかよ。暦ならまだ来てないぜ」
元々、中国の代表候補生であるあたしが、IS学園に転入する事は決まっていた事だったけど、もう少し猶予期間といえるものがあった。
だが、それも二日前までの話。
暦が披露したという技術を逸早く手に入れたかった中国は、元々転入予定であったあたしが暦と友人関係であった事に目をつけた。
後は簡単だ。
抗議文と共にあたしを転入生として捩じ込む書類をIS学園に送り付け、国はあたしにスパイ活動を命じた。
まぁ、そんな事する気なんて全く無いんだけど……暦には一言言ってやらなきゃ気がすまないってもんよ。
「そ、なら待たせてもらうわね」
「いや、その必要はない」
目を閉じて、壁にでも寄りかかろうと移動するが、返ってきた言葉に違和感を覚える。
男の声ではなく女の声、それも覚えがある声と威圧感。
記憶のなかで該当するのはただ一人。
「ち、千冬……さん」
「織斑先生、だ。もうすぐHRを始めるのだが」
気がつけば、あたしは自分の教室へと走り出していた。
ま……また後で来るんだからっ!