二ヶ月も空いてしまうと作品の雰囲気を忘れてしまいそうになります。今までと違うと思われても読んでいただけたら幸いです。
これからは初めの頃ほどのペースではないと思いますが、更新していけたらと考えています。
『お前のせいだ!』
『あなたのせいですわ!』
めんどくさいHR前の話が終わり、午前の授業終了直後、教室内に箒とオルコットさんの声が響く。
無論の事ではあるが、織斑先生と山田先生は教室から退出した後である。
「おぉー、なんという責任転嫁……」
「聞きたい事があるのは分かるけど、今回のは自業自得ね」
「わ、私は何も言えないかなぁ……」
彼女たち二人が怒っている理由は簡単、HR前に押し掛けてきた鈴の事が気になっていたのだろう。
その事で余計な事を考えすぎて、授業中に注意五回と出席簿三回をくらっている。
流石に、今回の事は一夏に非はなく、二人の自業自得だ。
その様子をみて俺とバニングスさんと月村さんはそれぞれの感想を言いながら食堂に行こうと歩き始め――
ピタリ
「聞きたい事と言えば」
「答え合わせがまだ済んでいないんだけど」
――なかった。
実のところ、試合前に話していた内容の答え合わせについて忘れていたというわけではない。
面倒だったのだ。
彼女達は深く関わっていないとはいっても某管理団体と関わりがある。
彼らにとってみれば、俺の持っている魔法技術は危険であると同時に喉から手が出るほど欲しいものであると推測される。
魔法という物は異世界から別の法則を現実にコピーアンドペーストしてしまうというのが最も分かりやすい形だ。
そして、魔法技術において某管理団体が利用しているものも俺が利用しているものもその一点に於いて差は存在しない。
では、何が違うのか。
俺が利用している魔法は異世界から別の法則を持ってくる時、持ってきたいと考えている事象をピンポイントで観測し、コードを以て現実世界にその事象を再構築するという形だ。
だが、某管理団体の利用する魔法は第一にコードではなく魔力を必要とする……何故か?
魔力は異世界と現実世界の壁を脆くする力を持っているからだ。
彼等の使用する魔法とは、世界同士の壁に大雑把な穴を開け、そこから別の法則を持ち込む事で発動する。
コードを迂遠に表現した魔方陣は呼び起こす事象の周辺に穴を開けるための物。
俺の使う魔法では観測すると表現したが、実際使う時に観測している訳じゃない。一時的な穴を開け、流し込んだコードで欲しい事象を検索をさせているというだけなのだ。
だが、魔力を使った魔法では異世界にアクセスするためのコードも現実世界に再構築するためのコードも持っていないため、穴を開ければ開けたまま放置する事になる。
一応、世界にも修正力のような物が存在し、小規模な穴であるならば直す事ができる。しかし、大規模に魔力を利用した時、世界の壁に大きすぎる穴が開く事で世界同士が引かれ合い、対消滅を起こしてしまう事となる。某管理団体の人間が次元震と称しているものがこれだ。
ここまで話しただけでも俺の使う魔法と彼等の使う魔法の差は大きい。しかも、俺の使う魔法は万人に使用できるため、人材不足と言っている彼等にとって喉から手が出るほど欲しいものなのでではないだろうか。
故に細かいことを言わず、ただプログラムを使用した魔法技術であるとだけ言ったのだ。
魔力を使わないというだけでも狙われるかもしれないが、一番肝心な現象を起こす過程さえ言わなければ問題ないとも思っている。
どうせこの魔法技術自体は公表だけはしてしまうつもりだからだ。
「そういえば、そうだったね。二度手間になるのも面倒だし、放課後まで我慢してもらえると嬉しいかな」
「あ……あんた、まさか――」
『…………ぉみぃ!』
バニングスさんは俺がしようとしている事に思い当たったのか、俺に掴み掛かろうとした。
そう、しただ。
彼女の手が俺に触れるよりも早く、俺の体が真横に飛んだからだ。
ドンッ!
「こよみ!あんた……よくもやってくれたわねぇ!」
俺が真横に飛んだ理由……いや、飛ばされた主原因は俺の上にのって胸ぐらを掴み上げて上下に激しく振り始める。
ブンブンブン!
「ぐぇっ!ちょっ……り、鈴?!やめっ……」
「あんたが!面倒な事をしてくれたせいで!スパイ紛いの事まで国にやらされそうなの!どうしてくれんのよ!」
ヴォンヴォンヴォン!
「い……いや、それは言っちゃダメな内容なんじゃ……」
「……あ」
ゴッ!
「っ~~~~?!」
我に返ったのか、鈴は激しく振っていた勢いのまま手を離し、俺の頭は床に叩きつけられた。
言葉にならない程の痛みに悶絶しつつ、床を転がる。
「ちょっ?!」
「も、森下君。だ、大丈夫?!」
「ご、ごめん……」
◇◆◇
あの後、追いついた一夏に支えられながら俺は食堂までやって来た。
「さて、どういう関係なのか、説明して欲しいのだが」
「そ、そうですわ!一夏さんとこの方はどういった関係ですの?!」
なんというか、あれだけの事があったのに開口一番がそれとは……。
この二人はブレないな。
因みに、オルコットさんことチョロコットさんは原作通りの一夏との戦いでフラグを立てられたらしく、その名に恥じない程のチョロさを見せつけてくれている。
「関係も何も……幼馴染みだな」
「ま、そんなもんね」
苛めから助けるという場面で一夏が活躍しなかったせいか、鈴は一夏に惚れてはいない。
何事も原作通りに進むわけではないという事らしい。
まぁ、苛めから助けるような形になった俺に惚れるような事も無かったんだが……。
「幼馴染み…………?」
怪訝そうな声で聞き返す箒。
自分が一夏の幼馴染みであることを強く意識していたのだろう。他にもそういった立場の人間がいるというのが信じられないようだ。
「あ、あぁ……箒が引っ越していったのが小四の終わりごろだっただろ?鈴が転校してきたのは小五の頭だよ。で、中二の終わりに国に帰ったから、会うのは一年ぶりってところだな」
「んで、前に話したことあったろ?小学校からの幼馴染みで、俺が通ってた剣術道場の娘の話」
「あ~、そんな話もあったわね」
話し半分とでもいうかのように、鈴はラーメンを啜っている。
……興味がないんだな。
コイツは昔から興味がない話には適当な返事をして、自分のしたいと思っている事に意識を集中する。
「それよりも、 暦」
今回は俺に言いたい事が山ほどあるのだろう。
さっきの事から考えても試合の時の事だろう。
「技術に関することなら、放課後には解決すると思うぞ?」
「あ、ほんと…………じゃなくて!ソイツ等は誰よ!」
「あ、それは俺も聞きたい。暦が二人と話しているのは見かけるけど、俺は話した事ないし」
まさかのまさかであった。今一番問題視されているのは魔法技術に関する話だったと思ったんだけど。
「えっと。東京に引っ越してくる前の小一から小三までの間、クラスメイトだった月村 すずかさんとアリサ バニングスさん。今はルームメイトでもあるね」
「「よろしく」」
「あ、うん……って、ルームメイト?!」
「何故かそうなったんだよ。男同士の方が効率的だと思うんだけどね」
まぁ、ハニートラップ対策だったり貴重なサンプルを一塊にしておくといざという時に問題が生じたりするかもしれないからだろうけど。
「そんなの、寮長に文句言って変えてもらえば……」
「あそこにいる人に言えるならよろしく」
そう言って、俺が指差した先に居られるのは言わずと知れた織斑先生。
それを見た瞬間、鈴は喋るのをやめてラーメンを食べる事に集中し始めた。
……まぁ、無理だろうな。
それにしても、最近アニメ化を果たした東京レイヴンズを一話見た際に思わず原作の小説を読み返してしまいました。
またもやマイナーどころの神曲奏界ポリフォニカとクロスさせた小説をそのうち書いてみたいと考えてしまったり。
やはり、世の中には誘惑が多いものですw