Program code: IS   作:音原織那

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code:9 公表したが、好評ではないようだ

 某日某所、一人の男が叩きつけるように電話を切った。

 

「……クソッ!」

 

 親戚の少女からもたらされた情報は男にとって無視できないものだった。

 

『イギリスの代表候補生が模擬戦で二人目の男性操縦者に成す術もなく敗北した』

 

 代表候補生が敗北したというのはいいだろう。代表候補生といえども人間だ、勝てない相手も存在する。

 だが、負けた相手が二人目の男性操縦者、森下 暦であり、成す術もなく敗北したという点が問題であった。

 自身の仕事であるIS関係の記事を書くに当たって、多くの情報を調べてきた。

 IS戦での強さというのは基本的にISの搭乗時間がものをいう。

 だが、世界初の男性操縦者が発見されてから二ヶ月も経っていない。

 しかも、二人目の男性操縦者の存在が判明したのは更に短く一ヶ月前。

 実機に搭乗した時間なぞ知れている。

 にも拘らず、その少年は代表候補生に勝利したらしい。それも成す術もなくと言わせる程に圧倒的に。

 聞いた話では織斑 一夏も追い詰めるまではいったらしいが、それはブリュンヒルデの弟だからで納得できてしまう。

 だが森下 暦、彼はダメだ。

 観客ですら何をしたのかわからない、そんな事ができるのは確実に新技術と言えるだろう。だが、親戚の少女から聞いた話によると彼の機体は完全にIS学園で解析されており、処理能力とエネルギー量が多い以外は打鉄にすら劣る性能だという。

 これは記事にするしかないと考え、先程もIS学園に電話をしたが、大した情報は得られなかった。もしかすると、目を付けられたかもしれないが、そんなことはどうでも良い。

 

「なにか、情報は…………ん?」

 

 男がそう呟いた瞬間、電源が落とされていた筈のPCが起動した。

 デスクトップ画面に移行する様子を見せないそれは、一つの曲を流し始めた。

 

「な、何だ?」

 

 その曲の名前は『デイジーデイジー』時期外れなクリスマスソングだった。

 そして、曲が終わる頃。それまで曲を流したまま何も写さなかったPCのモニターに言葉が現れた。

 

『貴殿方は運が良い』

 

 ただそれだけ、ただそれだけの言葉を表示して曲が終わる。

 そして、それと共に再び男のPCの電源は落とされた。

 

「………………なんだったんだ?」

 

 しばらく呆然としていた男であったが、我を取り戻すと急いでPCを立ち上げる。

 その後、デスクトップに現れていた一つのファイルに狂喜乱舞することになる。

 

◇◆◇

 

 鈴が転校してきた翌日、またもIS学園に……いや、世界に激震が走った。

 その日放送されたニュースは皆、現実に干渉することのできるプログラム、正式名称『現代魔法』についての物だけであったからだ。

 話を聞くだけならば眉唾物と笑うだけで済むはずが、笑うことができなかった。

 偶々ではあるが、PCが勝手に起動した後にデイジーデイジーを流し始める瞬間がいくつかの場所で監視カメラに撮影されていたからだ。

 彼等が知る事はないが、彼等のPCが起動したのも音楽を流し始めたのもある一つのコードによるものだった。

 

『クリスマスショッパー』

 

 よくわかる現代魔法の作中でそう呼ばれていたソレは、クリスマスの日の深夜に起動していないPCをひっそりと起動させ、デイジーデイジーを流すというだけの物だ。

 実際のところは姉原 美鎖がシリコン基盤製の擬似的な魔導書を作成するために多くのPC同士を一時的に連結させるために使用したコードであったが、今回は用途が違う。

 俺はPCを起動させる条件として、先日の模擬戦の事について調べている人間の最も近くに存在し、現在起動していないPCという風に指定した。

 そして、起動したのPCに音楽とメッセージを流しながら、模擬戦に使用した技術、即ちコードについての説明とセントエルモのコードをPC自体が発光するように作り替えたものをデスクトップに置き土産として残した。

 

 それだけだ。

 

 それだけではあるが、なんの仕掛けもされていないPCにプログラムを入れて起動させるとPCそのものが光り始める様子がニュースで流れれば何も言うことができないだろう。

 当前のようにIS学園には問い合わせが集中し、教師全員が対応するために本日の授業は休講と相成った。

 

 故に、俺自身も今日は休みとなるはずだったのだが――

 

「……で、何か弁解はあるか?」

 

「また……仕事が増えちゃったんです」

 

 ――ソレを許さない怒れる担任と涙目の副担任がいた。




 基本的に始まりの部分ばかりを考えすぎていたために、ストーリーを考えるのに時間が掛かってしまいました。
 以後、卒業研究の合間に話が書けたら投稿しますので、定期的に投稿は難しいかもしれません。
 まぁ、考え付いたストーリーを書き綴るだけでもありますので、途中で別の作品が更新されることもあるかと思います。
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