Program code: IS   作:音原織那

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code:3 原作開始!……あれ?

 視線。

 熱い視線から観察するような視線まで、多くの視線に晒されている。

 前の方で餌をやらないでください、お手で触れないでください的な動物園の大熊猫を彷彿とさせる状況にいる一夏は既に思考を放棄しだした頃だろうか。

 

「全員揃ってますね?それじゃあ、SHR(ショートホームルーム)を始めます!」

 

 元気な声でハキハキと自己紹介をしていく一年一組の副担任、山田 真耶先生。……なんだろう何処か親近感が湧くな。

 先生に促されて一人一人自己紹介をしているのだが、全員が全員話を聞いていない。声を掛けても直ぐに気付く事なく、何回か呼び掛けられて漸く自己紹介をしていく有り様。

 徐々に先生が涙目になり始めた頃にソレは起きた。

 

「お、織斑君?」

 

 無視。シカト。言い方は色々あるだろう。

 多くの人が声を掛けても気付かない原因が、声を掛けても返事どころか身動きすらしない。

 実際のところは思考放棄してしまったのが原因なんだろう。

 

「織斑君!織斑 一夏くんっ!」

 

「は、はいっ!」

 

「あ、あの、ね。大きな声出しちゃってごめんね?今自己紹介、『あ』から始まって今『お』の織斑君なんだよね。ごめんね?自己紹介してくれるかな?」

 

 ……もう、いっぱいいっぱいという風にしか見えない。何度も念押しをして、何とか立ち上がってくれて一夏を見てほっとしている。

 だが、一夏にまともな自己紹介ができるとは思えない。

 

「織斑 一夏です」

 

 名前を告げた後、ゆっくりと回りを見回し、冷や汗をかき始める。

 何かを決心したかのように大きく息を吸い込み、叫ぶ。

 

「以上です!!」

 

 ズガッ!

 

「げぇ!ま、魔王!?」

 

 鈍い音と共に一夏が机に叩きつけられる……が、直ぐに跳ね起きてバカな事を言い始める。

 ……この空間はギャグ仕様にでもなっているのか?

 普通なら、怪我するし、そうでなくても暫くは起きれないと思うんだが。

 

「まったく、誰がトラウマを作り出す事の得意な砲撃手だ」

 

「せ、せ、せんぱぁい!!無理です。私には無理だったんです!先輩の代わりなんて勤まらなかったんですぅ!」

 

 あ、山田先生が壊れた。

 まぁ、あそこまで酷いと仕方ないのかもしれないな。

 そして、もしかしなくても知ってるのか?魔王。

 

「……はぁ、諸君。私が織斑 千冬だ。君達新人を一年で使い物になる操縦者に育てるのが私の仕事だ。私の言うことはよく聴き、よく理解しろ。出来ないものには出来るまで指導してやる。逆らってもいいが、私の言うことはよく聞け。いいな」

 

『キャーーーーー!千冬様よ!』

 

『ずっとファンでした!』

 

『御姉様に憧れてここに来たんです!北九州から』

 

 北九州て……普通の高校ならまだしも、IS学園じゃ珍しくもないよな。

 

「分かったのなら返事をしろ!」

 

『はい!』

 

 おぉう、独裁政治。

 あながち一夏の言っていた魔王発言も間違ってないんじゃないか?

 

「それで?まともに自己紹介もできんのか」

 

「いや。千冬ねぇ、俺は――」

 

 ズパンッ!

 

「織斑先生だ」

 

『もしかして、織斑君って千冬様と親戚?』

 

『い~な~。変わって欲しい』

 

 変わって欲しくないし、寧ろ君らの位置と俺の位置を変わって欲しい。

 ……生徒のざわめきはどうでもいいらしい。

 呆れたように一夏を見た後、織斑先生はゆっくりと回りを見回し、俺に視線を向けてきた。

 ……あー、やっぱり始めから知っている人には効かないんだろうな。

 山田先生もわかってたみたいだし。

 

「……まったく。そこのコソコソしてる男子!お前も自己紹介してみろ」

 

 その一言で、俺が携帯で流していた認識阻害のコードが意味をなさなくなった。

 回りに居た女子が急に俺という存在を認識し始めたからだ。

 まったく、パンダになりたくなかったから早めに来てコードを流してたってのに。

 

「……森下工業テストパイロットの森下 暦です。そこのギャグ要員と同じでISを動かせてしまったために此処に来ました。皆さんが気になっているであろうISコアに関してですが、突如現れたウサギに渡されました」

 

 ウサギという言葉に反応した人間が数名。あの人を見た事があるか、話を聞いたことがあるのだろう。

 まったく、どうしてIS学園なんかに来なきゃいけなくなったのやら。

 

 

◇◆◇

 

 

『ISコアを個人所有している男子!第二の男性適合者か?!』

 

 ある意味で突然だった。織斑 一夏のIS起動が発表されてから二日と経たない内に、電波ジャックを起こした束さんが468番目のISコアをとある男の子に渡したのだと大暴露。

 流石に俺の名前は出さないでくれたが、男性適合者確認試験の実施が早まってしまった。

 このままでは、場合によってはISコアを取り上げられてモルモット。なんていう未来さえありえるのだ。

 どうするべきか考えていたが良い案が浮かばず、仕方ないので両親にぶっちゃけた。

 まぁ、それが最善だったんだろう。

 父の職業が銀行マンではなく工業会社の社長だったというのも驚いたが、ISの台頭に合わせて上手く波に乗ったが故に会社が急成長したんだそうな。

 ……それが原因での引っ越しという事だったらしい。

 流石になんの実績もない企業にISのコアを任せる訳にはいかないとパーツや武器の製造だけに留まっていたらしいが、そろそろ実機を使った試験もしたい。

 そこに今回のニュース。しかも、張本人が自分の息子ときた。

 

『ISは作ってやるから武器と一部パーツのテストを頼みたい』

 

 大雑把に言ってきた内容はそんな感じ。

 まぁ、一企業が作る事のできるISなんてのは打鉄をベースにパーツを取っ替えただけの物だが、そこに俺は一つの要望を出した。

 

『処理速度とエネルギー量だけを主軸において、武器はテスト品以外はブレード一本で』

 

 端から見れば自殺行為も良いところだろう。ある意味で打鉄よりも低い性能の物を専用機にしてIS学園に行くというのだから。

 しかも、システム関係については自分で手を加えるから弄らなくても良いというのもパーツばかりを扱っていた企業としてはあまり気を使わなくても良いのだから両手をあげて喜んでいた……社長である父以外。

 

 心配する父に大丈夫だからと説得をし、どうにかこうにか丸め込んで出来たのが、IS名『code』だ。

 何故その名前にしたのか、父も企業の人間も不思議に思っていたが詳しい事を聞いてくる事はなかった。

 ISを作っている最中に、父が政府側に話を通したらしく。めでたく、俺のIS学園への入学と今後の未来が首の皮一枚で繋がったというわけだ。

 

 

◇◆◇

 

 

 回想をしている内に、自己紹介も全て終わっていたらしく、一夏と箒が連れだって教室の外に出ていくのが見えた。

 ………………あれ?

 このままだと俺がパンダとして視線を独り占めする事になるんじゃ……。

 

「久しぶりね。あんまり話した事はなかったけど、覚えてるかしら?」

 

「久しぶり、あんまり変わってないね森下君」

 

 まぁ、杞憂だったようだ。

 声のした方向を見ると、何処かで見た事があるような金髪の女の子と紫髪の女の子が立っていた。

 

 

 

 ………………………………ん?

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