Program code: IS   作:音原織那

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今回は昨日投稿できなかった分と、明日から何日か暇がないかもしれないと言うことで、いくらか増量させていただきました。


code:4 御嬢様

 まだ平穏を感じる事ができた海鳴での日々、確かに彼女達のような髪をした女子がクラスに居た気がする。

 確か……その二人の名前は。

 

「ドSの茶髪女子の友達だったバーニングさんと月村さん?」

 

 そうそう、彼女等にくっついて回っていた男子がそんな事を言っていたような?

 何故だろうか、彼ならばこの場にいても違和感がないとすら思えるんだが。

 

「バ・ニ・ン・グ・ス!それにドSって誰の事よ!?」

 

「え?いつも付き纏っていた神風君がそう言ってた気がするんだけど。ドSっていうのは……ねぇ?」

 

「えっと、私に聞かれても……」

 

 ふむ?この二人はあの事を知らないようだ。

 俺が海鳴から此方に来る前に、茶髪の女子こと高町 なのはが金髪ツインテールの女子を縛り上げた上にピンク色のビームで撃ち抜いていた瞬間を見た事があるという経緯を話すと二人の態度は一変し、顔を少しひきつらせ、授業ももうすぐ始まるという事で挙動不審になりながら自分の席に戻っていった。

 

 ……なんだか、悪い事をした気がする。

 

 

◇◆◇

 

 

 休み時間が終わり、授業が始まった。

 そう、入学式が有ったその日にも関わらず授業があるのだ。

 流石エリート育成学校……もう少し怠けてくれても良いんだよ?

 しかも、初回の授業が法律上でのISの扱いという意外とハードな内容。今まで、ISに関する知識を学ぶ必要の無かった男子には辛い状況じゃないだろうか。

 ……まぁ、ISコアを渡された時点で無関係じゃなくなった俺は法律関係から基礎理論まで、吸収できる事はできる所から吸収してきたから問題ない。

 問題があるとすれば……そう、一夏だ。

 確かに入学前に参考書が届きはしていたが、あの短期間で覚えるには量が多すぎた。

 故に、前の席で訳も分からず、真っ青な顔で回りを見渡している様な状況が出来上がっているのだろう。

 

「織斑君、何かわからないところがありますか?」

 

「あ、えっと」

 

「わからないところがあったら聞いてくださいね?なにせ私は先生ですから」

 

 あまりにも挙動不審だったのだろう、授業を担当していた山田先生が気を効かせて声を掛ける。

 ……というか、なんで担任の織斑先生が授業をやらないんだ?

 まさか、実践や武器の知識ばかりで法律とかの面倒なことは教えられな――

 

 ギロリ……

 

 怖っ……余計なことは考えない方がいいな。

 気が付けば、一夏が何かを決心したかのように大きく息を吸い、先生に目を向ける。

 

「先生!」

 

「はい、織斑君!」

 

 自己紹介の時も思ったが、恐らく山田先生は新任なんだろう。いきなりSHRを受け持った後に授業、先生としての本分を全う(まっとう)出来る事に喜びを感じているらしく、返事をする声にも力が入っている。

 だが、それは一夏に対しては無駄な望みかもしれない。

 あの様子から考えるに恐らく――

 

 

「ほとんど全部分かりません!」

 

 

 ――分からないなら分からないなりに恥を掻き捨てて自分の無知をぶっちゃけようとしているだけなのだろう。

 聞くは一時の等という精神の下発言したんだろうが、今の状況は不味い事に気がついてないようだ。

 

「……え。ぜ、全部、ですか……?」

 

 喜色満面だった筈の山田先生は自分の教え方が悪かったのだろうかと途端に顔面蒼白になって回りを、否。俺を見た。

 

「ほ、他に今の段階で分からないという人はいますか?も、森下君はどうですか?」

 

 既に顔色が悪いというレベルですらない。此処で俺が一夏と同じ事を言えば倒れてしまうんじゃないだろうか?

 まぁ、理解できてるし問題は無いんだが。

 

「いえ、とても分かりやすい授業でした。今の段階で分からないことはありません」

 

「そ、そうですかぁ……」

 

 俺の言葉に気が抜けたんだろう。山田先生は気が抜けたように顔を緩ませた。

 ……まぁ、その隣で『う、嘘だろ?!裏切ったな、暦!』とでもいうような驚愕の視線で俺を見ている奴がいることの方が気になるが。

 

「……織斑。入学前の参考書を読んだか?」

 

「参考書……?」

 

「はぁ……。他の者の机の上にある一際厚い本の事だ」

 

「……あ」

 

「なんだ?」

 

「古い電話帳と間違えて捨てました」

 

 ズガンッ

 

「必読と書いてあっただろうが馬鹿者!」

 

 ……此処まで来ればもうギャグだな。

 織斑先生と一夏のコントをやってるようにしか見えん。

 

「後で再発行してやるから一週間以内に覚えろ」

 

「いや、あの量は……」

 

「やれといったら?」

 

「……やります」

 

 おぉ、見事に調教されている。

 

「森下」

 

 ……げっ。こっちにまで飛び火してきたぁっ!?

 

「はい」

 

「お前は本当に理解できているんだよな?」

 

「俺の事はあの人から何か聞いてるんじゃないんですか?まぁ、ISコアを渡されたのが小学校の時ですので、調べられることは調べてましたよ?保身の為に」

 

 ザワッ

 

「……そうか。すまんな」

 

「いえ、構いません」

 

 ん?何に対しての謝罪だ?

 まぁ、いいが。

 取り合えず、文句を言うこともできずに沈んだ一夏は山田先生に放課後、補修をして貰える事になったようだ。

 

 

 そして授業が終わり、また休み時間へ。

 

『ちょっとよろしくて?』

 

 ん?あの金髪縦ロールは確か、チョロリアことセシリア オルコットだったか。原作通り、一夏に絡みに行ってくれた事はありがたい。

 休み時間が終わるまで束の間の平穏を味わうことが出来るだ――

 

「ちょっといい?」

 

 ――うん、まぁ予想はしてたよ、予想は。

 さっきの休み時間では話を途中で切り上げる形になった訳だし。

 

「何かな?」

 

「さっきの話をあっちに居る時に誰かに話さなかったのはそういう事?」

 

「……その話は放課後に何処か場所を変えてしない?」

 

「……そう。分かったわ」

 

 今のやり取りから、どういった範囲にしろ俺がオカルト的な何かに関わっていると分かってくれたようだ。

 だが、俺からしてみれば彼女達に聞きたい事がある。

 

「俺からも聞きたい事があるんだけど」

 

「何かな?」

 

「あそこって大学までエスカレーターだったと思うんだけど。なんで此処に?」

 

「あぁ、私は機械なんかに興味があるっていうのとこれからの事を考えるとISに関係した勉強はしておかなきゃいけないと思ったからだね」

 

「私は家の会社にISを扱う部門があるからっていうのもあるけど、将来のために知識は必要になってくると思ったからね……っていうか――」

 

 ……うわぁ、流石に予想外だな。ある意味なし崩し的に入学してきた俺と一夏とは志そのものが違うな。

 

 ガタガタッ

 

「――え?」

 

『あ、あ、あなた、本気でおっしゃってますの?!』

 

「何があったんだろう?」

 

 誰かが転げ落ちる音と突然の叫び声に俺達は話を中断した。

 ……まぁ、叫んでいるのがオルコットさんな時点で一夏が関係してるんだろう。

 先程まで俺の事をいくらか警戒していた様子の月村さんとバニングスさんが一夏の居る方に目を向ける。

 

『おぅ、知らん。代表候補生ってなんだ?』

 

「「「……うわぁ」」」

 

「ねぇ、確か織斑君って森下君と中学が同じだったよね?」

 

「うん、まぁ……友人だけど、あそこまで無知だとは知らんかった」

 

 いや、原作ではそんなシーンもあったが俺や弾とやっていたゲームはISの国家代表が使用していた機体が出ていたわけだから、基本知識くらいは持っていると思ってたんだが。

 

「あれは……無知っていうより、考えを放棄してるんじゃない?」

 

「あぁ……そうかも」

 

 キーンコーンカーンコーン

 

『また後で来ますわ!覚えてらっしゃい!』

 

「あ、私達も席に戻らなきゃ」

 

「じゃ、放課後にね」

 

 ……忘れてなかったのか。

 

 

◇◆◇

 

 

「それでは、この時間は実践で使用する各種装備の――あぁ、その前に再来週に行われるクラス対抗戦に出場する代表者を決めねばならんな」

 

 ……それって授業時間に決めるんじゃなくて別に時間をとって決めるようにするべき内容なんじゃないのか?

 まぁ、考えすぎるとまた睨まれるからやめとくけど。

 

「クラス代表は……まぁ、言ってしまえばクラス委員長みたいなものだ。クラス対抗戦に出場する他には教師の手伝いや生徒会の開く会議に出席したりと様々な事を行って貰うことになるだろう。一年間変更はないからそのつもりでな」

 

『はい!織斑君を推薦します』

 

『わ、私も!』

 

 ……始まったか、因みに織斑という苗字の生徒はこの学校にお前しかいないと思うぞ。

 他人事のように捉えていると痛い目に――

 

『私は森下君を推薦します!』

 

『私も!ISコアを持ってるって事は専用機持ちだし!』

 

 ――遇うのは俺らしい……。

 いや、奴と違って俺にはまだ挽回の余地が……!

 

「ふむ、では候補者は織斑 一夏と森下 暦だな……他にはいないか?自薦他薦は問わないぞ」

 

「お、俺?!」

 

 ……ようやく気がついたのか。

 自分から来たくて来た訳じゃないからと、茅の外から見ようとする節があるな。……まぁ、構わないが。

 

「織斑、席につけ。邪魔だ。他に居ないのか?居ないならこの二人で」

 

「ちょっ、ちょっと待った!俺はそんなのやらな――」

 

「自薦他薦は問わんと言った。他薦された者に拒否権などない」

 

「いや、でも――」

 

『「待ってください!」』

 

 ……声が被ってしまった。

 だが、俺が他薦から抜け出すにはこの方法しかない……!

 

「あー、オルコットさんだったか?悪いが先に言わせてもらいたい」

 

「なんだ森下。他薦に拒否権は無いと今織斑に言ったが?」

 

 ……おい、なんだよ一夏。その『頑張れ暦!お前ならやってくれる!俺はお前を信じてるぞ!』とでもいうような視線は。

 俺の場合、お前の救世主にはならないんだが。

 

「はい、推薦されたのは構いません。ですが、理由の中に専用機持ちだからという言葉が有ったために一言言わせて欲しいんです」

 

「……なんだ?」

 

 ある意味の茶番を織斑先生も見抜いたのだろう。少々、顔が笑っている。

 

「織斑先生はご存じかもしれませんが、俺は今回の入学に当たって専用機の一時貸与を学園に行い、その機体情報の全てを提供させていただきました。その対価として、以降俺の専用機の情報を詮索しないという契約を行わせていただきました」

 

 ザワッ

 

 周りの生徒がそれを聞いて驚きの表情を浮かべる。勿論、先程まで息巻いていたオルコットさんやバニングスさん、月村さんも信じられないといった表情で俺を見ていた。

 

「あぁ、そう聞いている」

 

「それによって、俺の機体情報は調べればすぐに分かってしまいます。何よりも俺の機体は情報処理能力とエネルギー蓄積量を除いて打鉄以下のスペックしかない事を此処で明確に述べさせていただきます」

 

『え、それじゃあ……』

 

「此処まで聞いて、まだ俺を推薦する人がいるなら手を挙げてください」

 

 手を挙げる人は、いない。

 

「以上です。オルコットさん、続きをどうぞ」

 

「え、あ、はい」

 

 何とか乗りきった、という感じだろう。

 一夏はまたも『裏切ったな!』という視線を向けているが、俺も我が身が可愛い。

 先程まで息巻いていたオルコットさんも出鼻を挫かれて多少落ち着いているようだし、原作道理にはならないとは――

 

「そのような選出は認められません!第一、男がクラス代表だ等といい恥さらしですわ!わたくしに、このセシリア オルコットにそのような屈辱を一年間味わえと?!」

 

 ――おぉう。

 俺の予想は見事に覆されたようだ。一夏なんて『このままヒートアップしてくれれば俺も推薦から逃れられるんじゃないか?』等と輝いた顔をしている。

 

「そもそも、実力から行けばわたくしがクラス代表になるのは必然。それを物珍しいからという理由だけで極東の猿にされては困ります!先程の男を見たでしょう?!他薦されたにも関わらず、機体を理由に辞退する。そんな軟弱者など良い恥晒しです!わたくしはこのような島国までISの修練に来たのであって、サーカスを見に来たわけでも猿回しを見に来たわけでもありませんわ!」

 

 おぉ~、すげぇ。一息で言い切ったぞこの貴族様。

 俺自身については事実を言われただけだし気にしちゃいないんだが、一夏はそうでもないようだ。

 黒子(ほくろ)で魅了しそうな位(笑)輝いていた顔は無表情に変わり、今にも立ち上がって掴み掛かりそうな状態である。

 ……原作では此処まででもなかった気がするが。

 

「大体、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけない事自体、わたくしには「イギリスだって大してお国自慢ないだろ、日本と比べりゃ古くさい上に、世界一不味い料理で何年覇者だっての」なぁっ……?!」

 

 ……あいつ、以外と日本好きだからなぁ。

 まぁ、あの国の料理と和食を比べられて和食が不味いなんて言われたらイラっとするし、似たようなもんか。

 前に一度食ったことがあるが、あの国の料理は……雑だ。

 

「決闘ですわ!」

 

「おう、良いぜ。四の五の言うよか分かりやすい」

 

「言っておきますけど、わざと負けたりなんかしたら小間使い――いえ、奴隷にしますわよ」

 

「侮るなよ、真剣勝負で手を抜くほど腐っちゃいない……なぁ?暦」

 

 うわぁ、本当に奴隷とか言ってるよ。国家代表候補生がそういう事いっても良いのかって…………え゛?

 

「お、おい一夏。なんで俺まで入ってくんだよ」

 

「お前、悔しくないのかよ?あそこまで言われて!」

 

 えぇー、原作より怒ってたのってそこ?

 悔しくもなんともないんだがなぁ。

 

「ハンデはどれくらいつける?」

 

「あら、早速お願いかしら?これだから男は」

 

「いや、俺がどれくらいハンデつけたら――」

 

 ゴンッ

 

「――ってぇな!何しやがる暦?!」

 

「……お前、素人がアマチュアにハンデ付けるとか何いってんだよ?」

 

「うっ……じゃぁハンデは要らない」

 

「えぇ、そうでしょうとも。寧ろ私がハンデを付けなくても良いのか迷いますわ。日本の男子はジョークセンスがあるのですね」

 

 ……こいつと一緒にされたくないんだが。人生の半分がフラグ建築士とギャグでできているような男だし。

 

「さて、話は纏まったようだな。それでは勝負は一週間後の月曜日、放課後に第三アリーナで行う。織斑と森下とオルコットは準備をしておくように」

 

 ………………え゛。




因みに転生オリ主(笑)の彼は名前が神風羽男と書いてかみかぜイカロスと読みます。どこから聞いても自爆特攻を行う人間にしか聞こえません(笑)
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