Program code: IS   作:音原織那

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 書けないと思っていましたが、書けてしまいました。(笑)


code:5 同室(郷)

 授業終了後、何やら真っ白になって煙を吐いている一夏を放置して織斑先生の所に行ってクラス代表決定戦について聞いてみた。

 

『確かに推薦する者は居なかったが、今回の事は男性搭乗者の貴重な戦闘データを録る良い機会だからな。無論、クラス代表になりたいのならば立候補として扱っておくが?』

 

 つまり、ISに触れて日が浅い俺達の搭乗記録、それも戦闘データを録る事ができるのは当に渡りに船という事か。

 しかも、できる限り初戦に近いデータを取って置きたいだろうから、練習としてのアリーナ貸し出しすらも今週一杯は申請すらも却下されるだろうとの事。

 ……ふざけんな。

 そして、ちょうど良いからといって寮の鍵も渡された……女子と相部屋の。

 なんでも、急だったから部屋にマトモな空きが作れなかったそうで、男二人で一部屋とは上手くいかなかったんだそうな。

 

「……はぁ」

 

 まぁ、同室の人と挨拶をして最低限の話だけでもしなきゃダメだな。

 部屋の番号は1010……うん、此処だ。0と1だけの番号だとちょっと嬉しいかもしれない。

 まぁ、先ずはノックして同室の人が居るかどうかの確認だな。

 ……着替え中とか、入浴中とかだと目も当てらんない。

 

『ん?誰か来たみたいね』

 

 ……聞き覚えのある声だ。

 というか、聞き覚えしかない声だ。

 

「あら、森下じゃない。どうしたの?」

 

「あ~……」

 

「あぁ、放課後話をするって言ってたものね。確かに私達の部屋の方が話しやすいか」

 

「……私、達?」

 

「えぇ、すずかも同室なのよ。三人部屋らしいんだけど、同室の娘がまだ来ないのよね」

 

 因みにすずかはシャワー浴びてるから、とあまり聞きたくない言葉がバニングスさんの口から放たれる。

 ……俺は黙って部屋の鍵を見せるしかできなかった。

 無論、目を合わせる事などできようもない。

 

「だから、また後で……ん?これ、ここの鍵じゃない。届けに来てく……まさか」

 

「……その、まさからしい」

 

「なんでそんな事になってるのよ!」

 

「なんでも、部屋の調整ができなかったんだとか」

 

「それでもやり方って物が……」

 

「まぁ、ラウンジに居るから月村さんの準備ができたら呼びに来て。……流石にこのまま話しているのは不味い」

 

 主に、俺の社会的な抹殺がされるか否かの問題だが。

 

 

◇◆◇

 

 

 あのまま話していると、月村さんが出てくるかもしれないという可能性に思い至ったのか、バニングスさんはあっさりと引き下がってくれた。

 ……まぁ、部屋割りに関しては納得していないようだったが。

 ラウンジに来て買った紅茶が飲み終わる頃、月村さんの身支度が終わったらしく、バニングスさんが呼びに来てくれた。

 昨今の女性ならば、今回の様な状況なら俺はこのまま此処で一夜を明かす事になったはずだ。頭が下がる思いというのはこういう事を言うのだろう。

 バニングスさん達の部屋に入って、まず驚いたのが俺自身の荷物が既に部屋に届いていた事だろう。

 そして、届いていた荷物が俺の物だという事でバニングスさんも本当にそのような処置なのだと呆れているようだ。

 また、部屋を変えようにも寮長が織斑先生だという事を聞いて諦めモードにも入っている。

 

「……部屋の事についてはもう良いわ。それよりも取り決めが必要よね」

 

「うん。部屋が変わるまでの間、私達は大浴場の方を使う事にするね。それで、私達が着替える時は外に出て貰ってても良いかな?」

 

「問題ないよ。俺が着替える時はトイレで鍵をかけて着替えればいいよね?」

 

 というか、譲歩してもらえるだけ有り難いというものだ。

 本当に昨今の、それもオルコットのような人間なら追い出そうとするのが基本だ――

 

 ズガッガガガガガガッ

 

 ――なんの音だ?

 突然聞こえてきた破壊音に俺達は顔を見合わせた。

 取り合えず外から聞こえるようだと扉を開けてみると――

 

「ほっ、箒!頼む入れてくれ!」

 

 ――ボロボロになった向かいの扉とそこに縋り付くように膝立ちになって扉を叩き続ける織斑 一夏の姿がそこにはあった。

 

「「…………」」

 

「……一夏の事だし、同室が女子だと考えずに突入、その後に着替え中かシャワーから出てきた筱ノ之に遭遇ってところかな」

 

「なんでお前は見てきたかの様に言えるんだよ!?」

 

「違うのか?」

 

「……違いません」

 

『……なになに?』

 

『え~織斑君ってこの部屋なの?』

 

『あ、森下君もいる~』

 

「……戻ろうか」

 

「「うん」」

 

「ちょっ……暦助け――」

 

 一夏が言葉を言い切る前に扉を閉めて、鍵も閉める。

 あいつの事だ俺が居るからと転がり込んできてバニングスさん達に迷惑をかけるに決まっている。

 それにしても、社会的どころか肉体的に抹殺されそうになっているとは……。

 

「バニングスさん達が同室でよかった……」

 

「私達も織斑君が同室じゃなくてよかったよ……」

 

 ……まぁ、いきなり部屋に入ってきて着替えを見られました。なんて洒落にならないからな。

 

「まぁ、さっきの事は置いておきましょ。休み時間に聞いた事だけど……」

 

 話をガラッと変えてきたな。

 まぁ、魔法関係の事を知ってるなら話しても良いか。父さん達にもISコアの事を話した時に話したし。

 

「結論から言うけど、俺は魔導師じゃなくて魔法使いだよ」

 

「えっと、どう違うの?」

 

「簡単に言うと、魔力とかゴチャゴチャ使って完全な遠回りで現象を起こしてるのが魔導師。魔力とかを使わないで生身や機械にコードを流す事で現象を起こしてるのが魔法使いだよ」

 

「コード?」

 

「ざっくり言っちゃうとプログラムだな」

 

 プログラムと聞いて二人は固まった。

 それはそうだろう。プログラムという事はボタン一つで誰にでも起動ができる。誰にでも魔法が使えるという事なのだから。

 

「あぁ、先に言っておくけど、誰かにこの技術を教えるつもりはないから」

 

「なんでよ!」

 

「壁に耳あり障子に目あり、電脳世界に兎あり、だよ。ISなんぞを開発した人間が魔導について知るのも不味いってのに、それ以上に不味いものを誰かに教えて知られたら問題だよ」

 

「……森下君はISコアを筱ノ之博士から貰ったんじゃなかったの?」

 

「貰いはしたけど、その理由は自分の知らない技術を俺が持っているなら面白そうだっていうだけだろうし」

 

 二人はまた思考停止に陥っているようだ。

 話も一段落したことだし、そろそろ本気でISの対策を始めないとな。

 固まっている二人を横目にPCを起動させる。

 ISコア内に入っていたデータを調べたところ、余計な物が入っていたのだ。

 『コアネットワークに接続している状態でPCに接続すると、強制的にPC内部のデータを外部に送信する』というものだ。たまたま、父さんの会社のPCでやったから良かったが、俺のPCでやっていたら目も当てられない状態になっていただろう。

 ……まぁ、そのプログラムを消した後にISをマテリアルプログラム化したから、今後データが流出する可能性はないだろう。

 そんな事があったからこそ、俺はあるプログラムをISに組み込む暇という物がなかったのだ。

 構想は既にできているのだから、後はこの一週間のうちにプログラムを組み上げるだけだ。

 

「ちょっと、私達を放置して何やってるのよ!」

 

「あぁ、悪いな。来週の試合の準備をしなきゃならないんだ」

 

「パズルゲームの何処が「違うんじゃないかな」……え?」

 

 ……なっ!?

 一目見ただけでこれがゲームじゃないと気付いた?!

 隠しもしなかったし、隠す気がなかったのも事実だが……。

 

「もしかして……プログラミング?」

 

「なんで気付いたんだ?」

 

「魔法なんだからプログラムも普通の物とは違うと思ったから。あと、試合のためなんだよね?」

 

 ……カマ掛けられた。

 

「答え合わせは試合の時にって事で」

 

 その後、転校してからの事を聞かれたり、魔法について聞かれたりしたが、概ね平和に過ごせたと言えるだろう。 

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