狂い咲く華を求めて   作:佐遊樹

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え?(笑)待って待って(笑)
12巻読んだけどアイリスのじゃロリじゃん(笑)でもキャラ全然違うじゃん(笑)
書き直します……というかリライト版を近々投稿させていただきます……

二次創作をするなら、皆も本編には気を付けよう!


正統派のロシア美人を出せや・後編

 第一形態『白式』の性能は、十年前には突出した高性能だった――わけですらない。

 極秘開発されていた第四世代機にはすべての面で劣り、速度もオートクチュールを装備した専用機には軽々と抜かれていく。

 その中で俺が戦えていたのは機体の爆発的な成長と、()()()()()()によるところが大きい。

 織斑一夏はそういう存在として生み出された。悲しいことでもあるし、そして世界を守るという点に絞ってみれば、限りなく幸運だった。

 

「――俺は仕組まれた最強だ。それ自体の是非はともかくとしても……俺に勝てるのは、かなり厳しい条件を超えた、()()()()()()()()()だけだ」

 

 ぼやきながら、刀の汚れを振り落とす。

 轟轟と燃え盛る森林地帯。広範囲焼却攻撃を何度も繰り返されたグラウンドゼロの中心。

 

「例えば、織斑千冬は言うまでもない。あらゆる意味であの人は俺の同類だ」

 

 悲しいことだけどな、と少し笑った。心の底から、俺はそう思っていた。

 

「そして例えば、シャルロット・デュノア。自分の力と信念だけで運命なんていうレールを壊せる到達者だ」

 

 俺が心の底から尊敬する存在。俺や千冬姉のようなまがい物とは違う。

 人類が至るべき地点に、束さんのように壊れることすらなく、自分を律しつつ到達してみせた。

 

「鈴もここに入る。本当に俺は……友達に恵まれたよ」

 

 独白しながら、その友達を裏切った俺は自分を嗤った。

 そうして、視線を地面に落とした。

 

 宙に浮かぶ俺の真下。

 

「こ、の、化け物……!」

 

 悲しいぐらいにボロボロにされた、アンナ・ブレジネフと『カタストロフ・レイディ』が横たわっている。

 

「裏の国家代表だっけか。やるじゃねえか」

 

 俺は自分の身体にまとわりつく装甲を見た――第二形態『雪羅』。

 第一形態で相手取るには時間が足りなかった。最近どうも、『雪羅』を安売りしてしまっているような気がする。もっと高尚な必殺技なんだけどな、これ。ていってもこれの形態でやっと現代の最前線ISにスペックで迫れる程度ではあるんだが。

 

「ダミーの情報を流すだなんてこざかしいことしやがって……仕方ねえ。しらみつぶしに行くか」

「待て! クソッ、動け、動いてくれ――」

 

 あがこうとする彼女をしり目に、俺はウィングスラスターに点火して飛び去って行く。

 残念だがあんたとはここまでだ。

 いい夢見ろよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっわぁ……」

 

 (ショータ)の護衛にやって来たアーニャは、面白いぐらい不機嫌だった。

 全身のいたるところに包帯を巻いている。身体の動きに不自然な点はないので、全快してはいるのだろう。

 

「……負けたわ」

「戦ったんですか」

「そうよ、私、ISパイロットなの」

 

 初めて知りました、と言わんばかりに目を見開いておく。

 そんな反応には目もくれず――演技のしがいのないやつだ――アーニャは俺が差し出した紙カップのコーヒーをすごい勢いで啜る。

 

「あいつ、何なのマジで」

「……織斑一夏のことか?」

「人間じゃないわよあれ」

 

 

 俺は――笑った。

 

 

()()()()()()()()

「……ISの性能じゃない。私はあいつに負けた。性能なら絶対私の方が上だった――相棒を私が扱いきれていなかった」

 

 内心で同意する――『ミステリアス・レイディ』を遥かにしのぐ呆れた出力だった。そしてきっと、今までの戦闘の中で、あそこまで最高出力を維持しながら戦うことはなかったのだろう。

 彼女の意識外で何度も爆破が起きていた。結果があの山火事に等しい大惨事だ。人気のない場所だったのがせめてもの救いか。

 

「……それで、さ」

「はい?」

 

 デバイスに表示させていたビジネスのメールを消した。商売は順調だった。ロシアにも、ショータ・アイザワの名はだんだん広まりつつあった。コンサルタントが最も近い職業だろうか。風来坊であることも、ある種のイメージ操作に一役買っていた。

 アーニャはコーヒーカップを握りつぶした。嘆息して、俺を見た。

 

「ごめんなさい……私が、あなたの作戦を台無しにしてしまった」

 

 君のせいじゃない――咄嗟に反論しようとした。

 俺の要求は複数名の国家代表だった。それだけの戦力を当てて、なお織斑一夏を取り逃がせば、きっと迂闊に誰も攻撃してこなくなると踏んでだった。結果は違った。裏の国家代表、つまるところ更識のような暗部の者が出張ってきた。弄ばれ、児戯のように、いなされ、敗北した。

 

「……すぐ次が来る。そこで挽回すればいい」

「……ええ、そうね、そうなんでしょう。けど」

 

 瞳が揺れているのを察知した。恐怖、恐慌。怯えている。彼女は織斑一夏に怯えている。

 

「あんなの、どうやって勝てばいいの」

 

 ああ、と、思わず息を吐いた。

 一人、俺は今、一人の人間の将来を潰しかけているんだ。

 自信があった。プライドがあった。実績もあった。それらを平等に踏みつぶして無価値にしてしまうほどの、馬鹿馬鹿しくなるぐらいの敗北。彼女は今岐路に立っている。

 

 目を一瞬閉じた。計算して、はじき出す。

 

 

「信じろ、君の相棒を」

 

 

 アーニャの呼吸が少し、止まった。

 

「ISは……機体とパイロットが揃って初めて、本来の力を発揮できる、らしい。パイロットはパーツじゃない。人馬一体って言葉がある。性能で上回っていたってことは、専用機持ちなんだろ? 君は機体を信じてあげるべきだ」

 

 肩に手を置いた。隣にいる彼女の視線は虚空を見ている。俺には見えない何かを見ている。

 

「君なら――きっと、勝てるさ」

 

 慎重に言葉を選んだ。負ける気はなかったけれど、でも、彼女にも可能性があると直感が告げていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ショーショー」

「ん?」

 

 ベッドわきの床でトレーニングに勤しんでいると、ノホホンが出前のピザを片手に声をかけてきた。

 

「ルークゼンブルク公国が動いてる……って」

「何?」

 

 トレーニングを切り上げ、眉を寄せた。

 

()()第四世代機をフル投入した討伐部隊を編成して、対織斑一夏用にするんだってさ~」

「大げさだな」

 

 床に座り込んだまま肩をすくめる。アイリスのやつ、本腰を入れてきたな。

 ノホホンが画面を拡大し、俺にも見えるようにしてくれた。

 公式の場の会見か、壇上に上がった、見知った顔が燃え盛る瞳で宣言する。

 

『告げる――織斑一夏を必ず見つけ出せ。地の果てまで追い詰め、わらわの眼前に引きずりだせい!』

 

 恐ろしい形相だった。画面越しに視線が重なっただけだというのに、どっと汗が噴き出た。

 怖い。怖いわ! 何だこいつ!? 怖すぎ!

 

「怒らせちゃったみたいだね~」

「何のんきなこと言ってんだよ……マジ勘弁してくれ」

 

 身の危機を感じて、俺は頭を振った。戦場で遭遇したら本当に殺されるんじゃねえだろうな。眼前に引きずり出せって言ってるけど、生死は問わないとかじゃないよね?

 

「でもでも、ロシアにもう派遣されてるみたいだよー? ほら、織斑一夏用のダミーネットワークにその情報が来てるしー」

「あー……」

 

 牽制、ではないな。

 これは挑発だ。この布陣を知ってもなお、目的を達成するつもりかという問いかけだ。

 

 そしてアイリスは――俺が来ると確信している。

 

「織斑一夏も大変だな」

「……ほんとにねー」

 

 ノホホンがアイコンタクトを送ってきた――死ぬなよ。簡潔で、それでいてこれ以上なく奮い立たせてくれる言葉だ。

 戦端は近い。

 俺は立ち上がって、汗を流すべくシャワールームに向かう。ノホホンの腕を引いて。

 

「……ショーショー?」

「シャワー」

「一人でいいじゃん……?」

 

 彼女の眼は、言葉とは裏腹に情欲に濡れていた。

 俺は笑って受け流して、彼女が手に持ったままのピザにかぶりつく。あー! と不満げな声が上がるが、口の端についたチーズを乱暴に拭い取って、それからノホホンの唇を吸った。

 身体がぞくぞくする。これ以上ない、久方ぶりの、絶望的な戦場が俺を待ち受けている。それがどうしようもなく俺を昂らせていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あほくさ」

 

 ショータの部屋の盗聴をしていたアーニャは、イヤホンから大音量で流れる喘ぎ声に顔をしかめた。

 こんな仲の良いパートナーがいて、よくもまあ自分を誘ったものだと呆れてしまう。

 

「おい、アーニャ、代わるぜ。ルクーゼンブルク公国からの部隊が到着した、そっちに合流しろ」

 

 同僚の男の言葉にうなずき、アーニャはイヤホンを放り渡して部屋を出た。

 王女直轄部隊との謁見だ、下手な言動は首を物理的に飛ばされかねないだろう。

 

「相棒を信じろ、か」

 

 彼の言葉が繰り返し反芻される。

 自分は果たして、心の底から『カタストロフ・レイディ』を信じたことがあっただろうか。

 暗部のエースとして血みどろの戦いをし、人を殺め、血を飲んで生きてきた。女としての喜びなどとうに捨てていた。自分は人間以下の兵器に過ぎないと割り切っていた。

 

 けれど――本物の化け物と顔を合わせた時、生存本能が思い出したかのように作動した。

 怖い。怖い。怖い。あんなのは知らない。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……ッ」

 

 待機形態のネックレスを握りしめているうちに、不意に眼前に何者かが立ちはだかった。

 

「――アンナ・ブレジネフだな」

「……近衛騎士団長、ジブリル・エミュレール様ですね」

 

 事前に送られていたデータを思い出した。

 機体は純正第四世代機『インペリアル・パラディン』――『インペリアル・ナイト』に改修を施した近接型の機体だったはず。

 

 アーニャの『カタストロフ・レイディ』は第三世代機として開発された機体に、乱暴な言い方をすれば展開装甲を無理矢理混ぜ込んだ第四世代機だ。

 現状運用されている第四世代機の多くが、そうして生み出されたことになる。

 

 対して純正第四世代機とは――()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のことを指す。

 天と地ほどの差はない。だが壁は、確固として存在する。

 

「織斑一夏は、どうだった」

「……強かったです。手も足も出ませんでした」

「そうか。それで?」

「え?」

 

 それ以上にコメントを求められるとは思わず、アーニャは眉を寄せる。

 高身長故にアーニャを見下ろすような格好のジブリルは、意図してか、張り詰めていた雰囲気を緩めて見せた。

 

()()()()()?」

「――――」

 

 見抜かれていた――これ以上ない恥辱。ロシアが満を持して送り込んだ裏の最高戦力としての自分が、敵に対して心底恐怖していることを看破された。

 ずたずたにされていたプライドが、もう一度踏み弄られるような屈辱だった。

 

「まあ、待て。馬鹿にしようとしたわけではない。そうか、怖かったということは――お前を嘲り、罵倒し、弄ぶようにして撃墜したのだろう、あの男は」

「……はい」

()()()()()()()()()()

 

 テロリストの行動原理など知るわけがない、知る必要もない。アーニャにとってはそれが答えだった。

 けれどそのある種の固定観念は、ジブリルの表情を見て霧散した。

 

「何を考えている。何のために、こんな、アリス様を悲しませるようなことをするんだろうな」

 

 自分に向けられた問いではないとアーニャは悟った。これは自身への問いかけであり、きっと彼女がずっと考えていたことに違いないと思った。

 

 何のために戦っているのか。

 

 その問いは――意図してないというのに、きっと、アンナ・ブレジネフの一番奥に突き刺さっていた。

 悲しくなるほどに、アーニャはその問いに対する答えを持っていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




・カタストロフ・レイディ
 くっっっっっそ強いやばいIS
 他のssでオリ主が乗ってる機体、みたいな印象で書いてます

・ジブリル・エミュレール
 12巻に出てきたとても好みの女騎士
 かまわん、殺せ! じゃないんだよ
 高身長でスタイル抜群とか……これって、勲章ですよぉ?
 描写で明確に一夏より身長高いキャラってかなりレアじゃないですか? てかいたっけ? まあヒールっぽいですけど
 カラー口絵より本編の挿絵のほうがすごい可愛くてやばかった

・12巻読みました
 一生二次創作できないかもってレベルで今作の根幹が壊されたけど無視します
 嘘です過去編書いてなんとか整合性を……うん……
 お前なんかさあ原作と整合性取るために書きなお死し過ぎじゃない? やめたら? この仕事
 あ、イラストが(特にギロチンのやつとか)すげーよかったです
 設定もめっちゃ明かされましたね、コアの原料とか第四世代機とか暮桜の破損理由とか
 まあ暮桜の破損理由正直笑っちゃったんだけどさ
 織斑一夏君の出生がついに明かされたよ! やったね!→リアルガチにもう見たやつだった


感想評価ありがとうございます。
やっていきます。
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