「おお、産まれたねぇ」
双眼鏡で見ながら言う
「雛の時ってピィピィ言わないんですね」
こっちも双眼鏡
あの卵が孵化して雛が3匹、
リオレイアが肉を与えている
「クックの雛は言うよ」
やっぱりクックは鳥なんだ…
覗きを終えて沖の島へ
「上に注意しといて」
アルトは壁を見回す、クロフはリオレウス
を警戒する
「師匠、何かあります?」
「ダメだな、完全に埋まってる」
快晴、辺りには人と変わらない程の大きさ
と素早さを持つカニ、ヤオザミが2匹、
爪で地面の細かいエサを器用に食べている
「ここは状態が良いよ、建物の
形は残ってる」
「あ、師匠」
空を指差す
「ん?」
見ると3番の向こう、上空に影
「あっりゃ見つかったか」
「え、この距離で?」
「あいつ目が良いんだよ、来るかぁ?」
師匠も空を見る
緊張する、足を引っ張ったら命に関わる
影はスウッとエリア中央の方へ飛んでいく
「あら、メスの方へ一目散か、
パティを見た時のアンタだねぇ」
「しっ師匠!っそ、それはどっどういう!」
耳まで赤くなる
「アッハ!冗談よ」
からかうと楽しいわ、
色恋には縁がない子だし…
…あるか……
「さて本題に入ろうか!」
二人で歩き出す。
「ヤ、今回のクエストなんですが…」
「何か言いにくいの?」
「実は密林にガノトトスが出まして…」
「珍しいわね、リオレウスが警戒中に
他のモンスターって」
「それじゃ採取どころか…」
クロフは困った顔になる
「ヤー、もしも戦いになってしまったら…」
「リオス夫婦は今は絶対に
移動しないし、できないです」
クロフはアルトを見る
「別に問題無いんじゃない?」
「ヤ、ですがガノトトスが岸の獲物を…」
「言いたい事は分かったわ、獲物が少なく
なれば村にも危険が及ぶって訳だ」
徒歩で5分の狩場だし
「ヤー、なので様子を見に…」
「ハッキリ言いな」
「出来れば…ガノトトスを倒して
貰いたいんですが…」
「下位のレベルじゃあないな」
最悪三頭クエスト
ただでさえレウスが警戒中に、
他のモンスター狩るのか
利点があるとすればガノトトスは
別名水竜、大きな翼がヒレとなり
頭はサメそのもの、
尻尾もヒレで、空は飛べないが
水中に適した体なので、水辺にしか来ない
なので水辺のエリア北側3番と西側の
4番だけで戦える。
しかし戦ってる最中にレウスが来れば…
「乱戦必至だわな」
アルトは腕組みする
「アタシ一人なら両方イケるけど」
マジですか?
「クロフ庇いながらじゃ自信ないな」
クロフは困った顔になる。
「あぁ、アンタが悪い訳じゃなくてさ、
状況が特殊なんだよ」
フォローを入れるが
クック装備は火に強いが水には弱い、
苦戦するのは目に見えてる
片手剣も相性が良いとは言えない…
クロフにとって試練だわ。
「あくまでも様子をみるだけだ、
倒す為には戦わない、
それで良いかな?」
「緊急ですし師匠一人でやったほうが…」
自信なんてあるわけない
「緊急事態は起こるものだよ、
出来ればアンタにやらせたい」
狩りに想定外はよくある事。
「ヤー、とにかく何とかしていただき…」
「じゃあ採取クエストで、
第2目標をガノトトスでは?」
「ヤ、ではそれで」
「じゃ4番行ってみよう」
意気揚々と師匠は歩く、
弟子はビクビクしながらついていく
岩のトンネルを抜け様子をみる
いた…水面に背鰭が見える
ピシュー、プシューと音がする
「いい?アンタの装備は水に弱い、
絶対にブレスは食らうな」
「はい、なんとか避けてみます」
師匠が音爆弾を投げる
キィン
「ザッバァァー!!!」
驚いて水面から飛び跳ねる
「「デカぁ!!」」二人とも叫ぶ
ちょっとデカすぎる!アタシはともかく
クロフは苦戦するぞ。
ビシューと水を高圧で吹き出し下から上へ
「横回避!!!」
アルトが指した方へ回避する
転がった後、自分がいた場所を見て
ゾッとする、地面が抉れている、
こんなもん食らったら
属性なんて関係ないんじゃ?
また水面から顔を出し、下から上へ
また避ける、後ろの木の枝葉が
面白いように斬れる。
何度か繰り返した後、
「バシャァァ!!!」 水面から飛び出し
「ドサッ!」 地面に乗り上げ
「ズリズリ」 少し地面を這いずると
立ち上がった
キラキラと陽光を反射する魚の様な鱗
しかし………
「「デカぁぁ!!!」」
二人で叫ぶ
「ヤッバ!よりによって最大クラスかぁ」
何でこんなモンが!!
え?どうしよ?クロフは届かないぞ!
クロフが剣を振り上げても腹に届かない、
ドスガレオスより大きいサイズ、
必然的に足を攻撃、
歩く足踏みだけでもダメージはあるが
気にせず斬る。
アルトは貫通弾を撃ちまくる
尻尾の振り回し!
クロフは見えている、見えているが…
「ブオオオン!!!」
唸りを上げて、まるで巨大な平手打ち
が飛んでくる!!!
「バァーーン!!!」
「ぐあっ!!」
リーチがとんでもない!長すぎる!
ガードがほとんど意味無い!
真横に吹き飛ばされ起き上がる
「師匠どうしたら!?」
「股下抜けるように回避しな!!」
戦いの最中に声を掛けられる
ようになったか、
だけど……
打つ手がクロフにあるか………
あ!そうだ!力を逃がすんだ!
アルトの蹴りの対応を思いだし…
「バァーーン!!!!」
「ぐぅぅっ!!!」
攻撃範囲が広すぎ!!
僅かにカスっただけでも衝撃が、
クックの尻尾位はある!
「クロフ!一旦引くぞ!!」
すぐ隣のキャンプへ、狭いため
大型モンスターは来られない。
「やりずらいです!!」
フルフルの時を思い出す
「ガンナーにとっては的だわ」
ナニコレ?でじゃびゅう?
ま、冗談はさておき
「どうするクロフ?続ける自信ある?」
「正直手も足も出ません、
剣士はどうやって戦ったら…」
「あいつは回避が上手くないと
近付くことさえ難しいからな」
「師匠は…」
「アタシは尻尾の振り回しを溜めながら
紙一重で避けて、頭が来たら殴る」
クロフの得意技は前転回避からの斬り上げ、
でもあのデカさじゃ一回で懐に入れない。
それに恐ろしい攻撃がヤツにはある、
体験させたいが…
「やってみます」
よし!そうこなくちゃ!
沖の島が見える北側の3番へ向かう
「チッ…」
アルトは小さく舌打ちする
リオレウス!水面にヒレが見えるが
お互いに戦う意思は無いようだ。
「さて、想定内だねぇ」
アルトは肥やし玉とペイントボールを
リオレウスにぶつけて引き返す。
「レウスがいたわ」
「いきなり入らなくて良かったです」
4番で待機してて正解だった
すぐにレウスは2番へ行ったようだ
「んー、アタシは適当にレウスの足止め
するから、アンタも適当にやってみな」
「適当って…」
「無理と解ったらリタイアして良いよ、
引くのも勇気だ、生き残れ」
「…やってみます」
一対一の勝負! 痺れ罠を設置、
音爆弾を投げる
「ブシューーー!!!」
もう見慣れた、避ける、
トトスがジャンプ、陸地に来る。
ここからだ。
噛みつき!
しかし前転で避ける、大振りだから見切る
のは容易い、
足の間で斬る、鱗が硬くないから斬れるが
…これダメージあるのか?…
尻尾の振り回し!
頭の方へ回避!
よし!尻尾2回避けた!尻尾の振り回し
は2回で1セット、懐に入る!
一瞬トトスは体を引いた…
「えっ?」
「ドッ!!!!」
……クロフの記憶は途絶えた。
「ドザァ!!」………ガラガラガラ………
白とタマが遠ざかる
「いっだぁ!!!」
………え?キャンプ?
何が起こった???何された???
ダメだ!何も解らなかった!
これじゃ何も学べない。
急いで4番経由で3番へ
2番
「ドサァッ!!!」
「グゥルルル!」
墜落したリオレウスがジタバタもがく、
「飛ばないでもう少し付き合ってよ」
アルトは閃光玉を調合しながら言う
「恨みは無いけど弟子の邪魔しないで♪」
言葉は通じる訳ないが、アルトにとって
下位のレウスなど遊びで十分、
攻撃せずに、じゃれている。
3番
痺れ罠に引っ掛かる、チャンス!
斬る斬る斬る!!!
罠は限界、壊れる
一回離れようとする、トトスは一瞬体を引く、
これ!これだ!ガード!!!
「ドンッ!!!」
吹き飛ぶ!ゴロゴロ転がる!
見てからじゃ間に合わない!
距離を置いて回復薬を飲む。
何だよアレ!体当たり?
体を動かし確認する、打撲だけのようだ
割りとゆっくりしたモンスターのようだ、
飛び掛かりや突進はしない?
ブオオオン!!!
いや!その必要ないかも!
攻撃範囲がデカ過ぎる
辺りの木々を叩き折りながら平手打ちが
飛んでくる
早い、タイミングが掴めない、
師匠の方法を試すか?
無理だ!紙一重であの尻尾を避けるなんて!
どうする…
ブレスをかわして飛び込む
また体を引いた
思いきって前転回避!!!
アルトは5番から7番へ入る。
こっちと合流したか、まだ雛がいるし
母親は殺したくないよなぁ…
しかし
「え?何してんのアレ?」
リオレイアは3番の出入口の辺りで
動かない、雛をほったらかしで。
リオレウスも降りてくるが、
まったくアルトに注意を払わない。
何だ?何が起こった?
クロフはそっちで戦ってるのか?
何だ?
突然ガノトトスの動きが止まる
え?瀕死か?そんなわけ…
いきなり走り出す!水の中へ飛び込み、
沖の島の方へ行ってしまった。
…なんだろ?…
クロフは剣を研ぎ備えるが、背鰭は
遥か彼方へ行ってしまった。
クロフが何かやったのか?
アルトはリオス夫婦の横を注意しながら歩く
2頭とも3番の出入口を見たまま動かない。
何だこれ!?
クロフは気付く、あり得ない違和感。
普段は命に溢れた密林なのに、
鳥の声がしない、ヤオザミのガチガチ
いう音も、大型昆虫の羽音すらない、
ただ水の音がするだけ、
おかしい……
水面を見渡す、何も…
なんだ?あれは?
4番へ抜ける岩のトンネル、その右、
西の方に島がある…?
いや…あんな所に島なんてないはず。
ザプン
見ていると近くの水面に、突然大剣の
ようなモノが静かに現れた。
と、
7番からアルトが出てきた
「クロフ、あんた何かやっ………え?」
アルトは静けさに気付き動きを止めた、
なんだこれ?静か過ぎる…
直後
「ザバアアァァァ!!!」
水中から巨大な何かが出てくる、
二人ともガノトトスだと思ったが、
角度的に見えているクロフは気付く
ガノトトスじゃない……
正面から見ているのに理解するのに
数秒を要した
これ…顔?…頭?…トトス並み………
……デカイ………ア…アア……
硬直したクロフを見てアルトが走り寄る
「え!ウソだろ!!ラオシャンロン!!!?」
蒼い巨大な頭がエリア3に入ってくる!!!
「クロフ!!!逃げ……」
クロフは膝をつきガチガチ歯を鳴らしている
根元的感情、恐怖!!
(顔?顔頭?大剣が角?蒼いあおいあおあ…)
圧倒的存在感、生命力!!
ズシン!!!
巨大な塊、力の塊、人間など道端の
石ころ以下だろう、
そんなモノが近付いてくる
クロフの視界は巨大な頭で一杯、
なのにまだ手が届かない距離、
それが示す圧倒的命の差。
ズシン!!!
たった一歩が絶望的な力の差を
思い知らす
「チィッ!!!呑まれたか!!!!」
アルトはボウガンを捨てクロフの襟首を
掴んで走り出す!!
「走れ!!クロフ!!!」
クロフの口からは「あうあう」と言葉に
ならない声しか出ない!
まともに走れる訳もない!!
「オオオオォォォー!!!!」
アルトは雄叫びを上げ、クロフを
引っ張りながら走る!!
2番に向かう坂を
クロフを引き摺り駆け上がる!!
「おおりゃあぁっ!!!」
2番に入った直後、
ドガアァ!!!と後ろから轟音と振動。
逃げきった!!
「しっしし師匠!!あっあああれ!!!」
クロフがようやく我に返った、
アルトはゼイゼイ言いながら
猫族の集落に走っていく。
「にゃあーデッカイにゃー」
猫族は珍しそうに崖下を見下ろしている
「族長居るか!」
アルトは厳しい声になっている
恐る恐る族長が前に出る
「ここにアレが居る伝承はあるか?!」
「分かりませんにゃ!」
「今日飛行船を見たものは?!」
飛行船ってナンニャ??
にゃあにゃあ騒ぎ出す
「たまに空に浮いてるピンクの三角!」
族長の首を掴んで揺さぶる
「み、み見てないにゃぁああ!」
「完全に未確認の個体か!」
「クロフ!すぐ村に戻るぞ!」
蒼い山はバキバキと大木をモノとも
せずに、密林の東に進んでいく。
クロフは冷静に見つめる
どう見ても200メートル以上あるような…
さっきのトトスの…何倍……?
「師匠、あれは…」
「ラオシャンロン、歩く天災、しかも…」
アルトは思い出す、あれは
ミナガルデの防衛戦、
巨大な甲殻種の背中を…
「……デカすぎる………」
「緊急事態だ!!!」
アルトは叫ぶ
「ヤ!アルトさん!何かおかしいですよ!」
聞けば村周辺の鳥達や虫が姿を
消した、と
ゼイゼイとしていた息を整え、
「解ってる!ラオだ!ラオシャンロンが出た!!!」
「なんだとぉ!!!」
村中騒ぎ出す
「東に向かったが一応避難準備!!」
「村長!伝書鳩全部!!」
「ヤ!パティ!」
その日、近隣の村と遠くドンドルマまで連絡
が、文字道理飛んで行った、
内容
ジャンボ村から東へ、蒼老山龍、
過去最大級、警戒、判断せよ。
四英雄