生きる事は悩むこと   作:天海つづみ

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ドンドルマギルド

 

 

 「今さらクックなんてふざけんなっての!」

 

 ギルドマスターから二人で始めるなら

 クックで練習してこい、と言われて

 下位の森と丘へ

 

 ツインテールとかいう髪を揺らし

 前を歩く、太刀を背負うが…

 

 

 (あれ?……太刀が短いような…

 言ったら怒るよなぁ……)

 

 「何よ!じろじろ見んな!!」

 

 (何でこんなに怒る?)

 

 「あのさ、何で怒…るの?」

 

 「当たり前!!ギルドに来て早々に

 ロクスさんに不合格って言われたんだよ!!」

 (このアタシが…)

 

 「なのにアンタみたいなトロそうなのが

 合格って……」

 

 クロフは少し考え

 「…ロクスさんの技、見せて貰ってないの?」

 

 「技?何?」

 

 「太刀の技」

 クロフは手刀で表現する

 

 「なんのこと?」

 

 「ランポスを…」

 

 「ランポス偶然倒したアレ?」

 

 「偶然!?」

 クロフは意外そうな顔をする

 カンナさんには偶然に見えたのか?

 

 「え???」

 カンナはクロフの目を真っ直ぐ見る

 

 人の目を見てくる、

 クロフには怖くて難しい。

 

 フルミナントソードでクロフが説明すると

 

 「え!あれ凄い技術だったんだ!!」

 カンナは動きを真似る

 「武器を最小限の動きだけで…」

 何度も繰り返す

 

 二人とも気付く、

 見せて貰えた事を、達人の領域を。

 

 

 それがどれほどの幸せかを。

 

 

 ギルドに来たハンターに技を見せて、

 反応を見て

 技量を判断していたんだ……

 

 

 

 「何であんたは見えたの?」

 

 真正面から見てくる、迷いのない

 まっすぐな目

 緊張する、師匠を思い出す。

 

 「分かんない、偶然かも…」

 

 「でもアンタ凄い!」

 ピョンピョン跳ぶ、さっきまでのトゲがない、

 普通にしてれば可愛い子供だが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 クックを発見、ペイントボールを投げる

 

 「よっしゃ!!行くよ!!」

 カンナは走り出す

 

 尻尾の振り回し!しかし…

 

 「えっ!!!」

 クロフは声を上げる、

 

 カンナは低い身長を更に低くして走る、

 尻尾は紙一重で当たらない、

 難なく足元に潜り込んで斬り付ける。

 

 

 受け流す、逸らす、じゃない!

 回避能力自体が高い!!

 

 クロフは尻尾を回避しながら一撃離脱を

 繰り返すが、カンナは連続で斬る。

 

 「ちょっと!邪魔!!」

 

 「え!?えっ!?」

 

 カンナの範囲に入らないように

 気を使うが、

 カンナは全く気にしない。

 

 クックがクロフに向く、突進!!

 足元のカンナは!!?

 

 

 

 「なんでぇ!!?」

 見えた、カンナの嘘みたいな動き。

 

 クックの突進…その足の間をすり抜けた、

 …………クックに正面から……

 前転回避した………凄い!!!

 

 ロクスさんの言ってた才能、

 カンナさんは小さい事が才能なのか。

 

 クックの攻撃を難なく避け続けるカンナ、

 懐に飛び込むのが上手い!

 

 ハンターの期間は同じ位だ、けど、

 回避能力が違い過ぎる。

 

 まだ駆け出しのハンターなのに、

 ほとんどダメージ無しで倒してしまう。

 

 ……カンナさん凄い……

 

 

 

 

 倒れたクックの近くで

 採取を始める。

 

 「薬草って全部採るんじゃないんだ?」

 

 「うん、葉っぱだけにすれば植物の

 回復も早い」

 

 「うちの村だと根っこ意外は全部だわ」

 正面にしゃがみこむ

 

 「狩場は村にとって収入原だから、

 維持、管理が大切だって教えられたよ」

 

 「うっわ、うちの村はいいかげんだわ、

 素材の回復なんて考えた事無い」

 

 「キノコなんかはきちんと胞子を落として

 おけば、早いと次の日に出るよ」

 

 「ホントにアンタは採取とか才能あるんだ」

 

 初めて言われた、これって嬉しい。

 

 「才能……かなぁ、ずっと仕事で」

 照れる。

 

 「師匠の言葉だけどさ、才能って努力の

 先にあるらしいから、仕事でも続けたら

 才能になったんじゃない?」

 

 (…才能…あるの?おれに?)

 

 

 

 キャンプに向かって歩く

 

 「あの…聞いていい?」

 怒るかな

 「ハンターになったのは…?」

 

 「うん?師匠がさ、フラッと村に寄ってさ、

 ランポスの群れを全滅させたのよ、

 カッコ良くてさ、頼み込んだの」

 

 手を胸の前で組み空を見る、

 少し顔が赤い、

 

 

 ちなみに胸と呼べる部位は無い

 

 

 さすがにこれを言ったら……

 

 

 「ナナキさん…最強って聞いてる」

 

 「でしょ!防具無しで勝つんだもん」

 ピョンピョン跳ねながら嬉しそうに

 

 「その技を教わった?」

 防具無しって怖くないのか?

 

 「んーん、避けろって言われただけ、

 目が良いから出来るはずだって」

 

 言いながらカンナは自分の目を

 指差す。

 

 

 「それだけ!?」

 

 「アンタは?」

 

 「え?俺?」

 

 「当たり前でしょ!アタシに聞いたんだから

 アンタも答えなさいよ!」

 

 「休暇で師匠が来たとき、明け方に

 急に部屋に入ってきて

 アンタは今日からハンターだって……」

 

 「え?四英雄が自分から?」

 

 「なんでだろ、今でも解んないんだ」

 

 

 カンナは思う

 (コイツ実は凄いヤツなん………?)

 

 

 

 

 

 ギルドへ戻りベッキーへ報告して飲み始める

 

 「アンタは飲めるんだぁ」

 目を丸くする、クロフを軽く見下していた

 が年上なんだと考え直す。

 

 「カンナさんは飲めないの?」

 俺も味は分からない

 

 「さん付けってやめてよ、カンナでいいって、

 それにアタシまだ14だよ、飲めないもん」

 

 「14?」

 まさかパティと同い年?そのわりに…

 言ったらブッ飛ばされそうだ。

 

 「ちっちゃいって思ったでしょ」

 軽く睨むが

 「まぁいいわ」

 果物を絞ったジュースを飲み始める

 

 「それよりアンタのこと教えてよ」

 

 「えっと、ジャンボ村から来たんだ」

 

 「東の辺境よね、師匠はアルトさんよね」

 

 「ねぇねぇ、アタシらにも聞かせてよ」

 女性のハンターが集まる

 

 「大変だったでしょ、カンナと組むって」

 片手剣を持つ女性に話し掛けられる

 

 「大変って?」

 初対面…緊張…

 

 「この子モンスターしか見てないのよ」

 中には男か女が分からないほどの体格、

 筋肉の……女性……か?

 

 「モンスターしか………?」

 クロフは解らない。

 

 「味方を気にしないで振り回すだろ?」

 

 「あ!」思い当たる。

 

 「だからカンナはソロは得意だけど、

 パーティーが苦手なんだよ」

 

 「それって凄い事じゃ…」

 

 「ルーキーの中じゃアタシが最強よ」

 カンナはドヤ顔。

 

 

 

 「彼女はいるの?」

 ズイッと前のめりになりながら聞いてくる

 

 

 

 「…………あ!」パティが浮かぶ…

 

 「ええーっ、いるのかよ」

 若い男のハンター達まで集まる

 

 嫌な気分じゃないけど慣れない空気、

 怖い………

 

 クロフ一人では話に自信は無い、

 こんなに大勢と話すのが初めて…

 

 「凄いよクロフ、採取のやり方」

 カンナがいてくれるおかげで話は続く、

 太刀の技に差し掛かった時…

 

 

 「よぉ!!!俺らと組めよ!」

 会話の中に入ってくる、

 贔屓だろうと言ってきた四人

 雰囲気が悪くなる、皆良く思って無いようだ

 

 「俺らと組んだら良い目見られるぜ?」

 クロフを見る

 

 「え…んーと…」

 

 苦手なタイプ、馴れ馴れしいのは良いが

 高圧的、イヤだ、この場を逃れたい。

 

 船乗りを思い出す。

 

 が、

 

 「止めなさいよ!!!」

 カンナは睨み付ける

 

 (助かった………)

 

 

 「なんだコラ チビ!!文句あんのか!!!?」

 

 ダン!!と立ち上がり

 「そのチビに頼りきりのザコが調子に

 乗んじゃねえ!!!」

 

 クロフと同年代の男四人に見下ろされる

 が、カンナはまったく引かない。

 

 (カンナ………口悪い……)

 

 

 「お?お?ケンカかぁ??」

 周りも囃し立てる、早くも賭けの話に

 なり、G級達も集まる。

 

 カンナに100ゼニー!

 俺はドラグライト!!

 秘薬の調合教えるぞ!!

 レウス狩りに料理5品!!!

 ワイワイ始まる

 

 次々カンナに賭け始めるが……

 

 「おい!!誰かやつらに賭けるヤツ

 いねぇのか??」

 

 誰一人賭けない、男四人にカンナが

 勝つと信じている。

 

 「チッ!!行くぞ!!」

 四人は出て行った、立つ瀬がない

 

 「今のは…?」

 

 カンナは座り表情も戻る

 「シュウとその仲間、弱すぎんの!」

 背中を侮蔑の目で見る。

 

 「装備見ると弱く無さそうだけど」

 

 レウス装備までいたが…

 

 「自分で勝ち取った素材ならね、

 あいつら人のクエストに付いていって

 戦わないのよ」

 

 若い双剣使いが言う

 「人に戦わせて自分はなにもしない、

 寄生ってやつらだよ」

 

 「そのくせさぁ勝ったら自分の手柄、

 負けたら人のせいにするのよね」

 かなり筋肉質の女が言う

 

 「強さは?」

 

 「四人掛かりでクックがやっと」

 カンナは果汁を飲む

 

 師匠の言ってたクックを

 『最近じゃ一人で狩ってないやつ』

 この事か……

 

 

 

 「何でこう…んと、ギルドに…」

 上手く言えない

 

 「ギルドのルールには違反してないの、

 あくまでも1つのクエストに4人まで、

 お互いに行くと決めたら行って良し、

 帰ったら解散」

 飲み干したジョッキを置くカンナ

 

 「だから1回行ったら皆2度と組まないのよ」

 片手剣の女が言う

 

 「だからアイツらは何も知らない

 新人に寄生する他ないわけさ」

 双剣使いが言う

 

 

 

 「それが恥ずかしい事だと気付かない?

 ……んーと……気付けない?

 言ってくれる人は居なかったの?」

 

 俺がやったら師匠に殴られそう…

 

 

 

 「あらぁ、そこは人それぞれよ」

 ベッキーがビールを持ってきた。

 

 「本人が恥ずかしいと思えるならハンター

 辞めてると思うわ、言ってくれても

 うるさい程度にしか感じないだろうし」

 

 ベッキーは片手を頬に当てて

 「難しいわよね、モノには言い方もあるけど

 受け取りかたもあるし」

 

 「ホッホッ、お前達は泥臭く努力して失敗を

 繰り返したじゃろ?

 それをカッコ悪いと思うヤツは成長せん、

 結果あぁして生きるしかない訳じゃ」

 いつの間にかギルドマスターが来ていた

 

 努力すれば話題も出来る、

 話が出来れば成長もする。

 師匠の言った通りだ。

 

 

 

 

 「クロフ君、まだ会ってない人を紹介

 したいの、こっち来て」

 ベッキーが手招きする

 

 「あ、まだ顔見せてないんだ」

 カンナが言うが……

 何だろう。

 

 

 

 ベッキーに奥の方に連れて行かれる、

 暗い部屋に大きなテーブル

 

 緊張……何………

 

 良く見るとテーブルの上に……岩?

 

 そして…イビキ?…え…何?

 

 「ほら起きて!姉さんの弟子よ!」

 

  「んん??あぁ…起こすな」

 

 「あんだあぁ??」

 

 「だから姉さんの弟子だってば!!」

 

 ベッキーがランプを点ける

 

 「なあああ」(濁点を付けて)

 

 テーブルから岩が落ちる、

 いや脚甲?…防具?…デカイ!!

 

 

 

 これ人の足!!!?

 

 

 

 そして二人の人物が立ち上がる!!

 見上げる!!2メートル、いや、もっと!

 

 「おめぇがクロフがぁ!!」

 

 「フム、細いな」

 

 二つの巨大な人影に

 見下ろされる

 

 一人はモジャモジャの頭、色黒、

 ギョロりとした目、そして全開で

 歯を剥き出し笑う、

 言葉が濁点だらけ

 まるでブルファンゴ!!

 

 「オデがゼルドだぁ!!!」

 

 

 もう一人はスキンヘッド、白い肌、

 目は鋭く眉間のシワが深い、

 眉が八の字で睨んでいるような

 困っているような、

 ヒゲが青い

 まるでドスランポス!!

 

 「おれはガルダだ」

 

 でかい!!身長はもちろんだが幅が凄い!!

 腕なんてクロフのウエスト位ありそうだ

 存在感、迫力が凄い!!

 

 これがドンドルマ専属の赤鬼青鬼か!!

 怖い怖い怖い!!!!

 

 「あああのよよろしくおおねがいしまます!!」

 (早口、裏声)

 怖い!!!デカイ!!!

 

 「フム、分からない事は何でも聞け」

 ガルダが言う、顔怖い。

 

 「ヨロジグなぁ!!」

 ゼルドは頭をグリグリ撫でる

 いたいいたい、手がデカイ!!

 

 そうか、師匠はこれで育ったんだ

 なんか納得出来た…

 

 

 

 「じゃ二人とも、お休みなさい

 ごめんね、起こしちゃって」

 

 二人とも同じように寝始める。

 

 

 部屋を出る

 

 

 「この二人こそドンドルマの顔だし、

 姉さんの家族だから紹介しない訳には

 いかないからね」

 

 「何で寝て……」

 

 ベッキーが察して話してくれる

 「徹夜で緊急事態に対応してたのよ」

 

 「あの、専属……」

 

 「あ、説明するわね、専属ってドンドルマ

 に常駐…つまり、いつもいるの、

 そしてドンドルマの危機に対して

 出動するの」

 

 「危機?」

 

 「例えばドンドルマの近隣の村が

 モンスターに襲われたとするわね、

 その村はクエストを発注出来るお金

 がない、さぁどうしましょう?」

 指を立てる

 

 「クエストにならない…

 ハンターは…タダでは…うーん」

 

 「その村はドンドルマに向かう商隊の

 通り道、その村が無くなると、ドンドルマ

 にとって損失に繋がる」

 指をくるくる回す、師匠と同じクセ…

 

 「そういう時に出る人……?」

 

 「そう!報酬無し、失敗は絶対許されない

 もちろん猫タクさえ安定して出せない」

 

 「え…いやだ…それ怖い…」

 無理だ、力尽きたら終わり!!?

 

 「昼夜も無し、モンスターの種類も数も

 情報無し…そんな場合に出るの」

 

 「え?それじゃ対策も準備も………」

 鳥肌が立つ

 

 「そうよ、いつ何が出てきても、多数でも、

 全て撃破する使命の二人なのよ♪」

 

 「G級の中でも…トップクラスですよね、

 ……そんな事出来るの」

 ロクスさんといい化け物だらけ………

 しかも師匠とガストンさんも………

 

 「あ、でもその代わり、全部ドンドルマ全体で

 面倒見るのよ、武器防具の費用、飲み食い、

 ぜーんぶ♪」

 

 それは魅力的だけど、一体どれだけ

 強くなったらそんな領域に……

 

 「だから周辺の村の信頼が厚くて、

 みんなドンドルマを通して取引するの」

 

 

 

 「あ!!!師匠が助かったのって!!?」

 

 「正にそれよ!報酬ないでしょ?」

 

 ベッキーは嬉しそうに笑う。

 

 

 「この人達に鍛えられたんだ……師匠…」

 

 「そう!蹴りを手甲で受け流して…」

 ベッキーは動きの真似をする

 

 思い出すが…

 あのデカイ足で蹴られるの…?

 

 「よく吹っ飛ばされてたわ♪」

 ニコニコ笑う。

 

 

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