「カンナ!」
クロフは回復薬を渡す
「痛ったぁ!!」
カンナの体重は軽いため
派手に吹き飛んだ。
「こんなに強いの?!ガノトトスって!
足元に攻撃出来るヤツなんだ!?」
リオレウスは足元に攻撃できない、
そのセオリーが通じない。
尻尾を避けるのは簡単(カンナには)
だが、体当たりは経験が必要だ
太刀はガードできない、
そしてカンナにはリーチがない、
リスクは高いが
「でも解ったわ、次は避ける!」
カンナはガノの足元を素早く移動、
常に尻の辺りに張り付くように攻撃。
カンナは体当たりを避け始める。
ドンドルマ管轄、密林の三番、
沖の島まで同じ地形
「凄いね、1回見ただけで」
剥ぎ取りながら
「へっへー!師匠並みにはいかないけどね」
大威張り。
クロフは派手さは無いが堅実に攻撃し、
サポートに回れるタイプ、
カンナはチャンスに一気に攻撃する、
バランスは取れている。
「カンナはどうして太刀なの?」
「師匠が太刀使っててさ、アタシにも
使ってみろってさ、あんたは?」
「片手剣渡されたから、最初は使ってた、
でも一人でトトスと戦う時大剣を…」
会話のキャッチボールが出来る、
聞く、答える、ちゃんと出来てる……
そんなことを考える、と、
「なんでニヤケてんの?」
考えてたら下から見上げて来る
「あ、あの、人と話すの苦手だったんだ…」
村での自分、過去の大嫌いな自分の事、
話すのは怖い……
嫌われる?バカにされる?嘗められる?
「あ……あの…あ……」
近い
「あのさ、引っ込み思案は損だよ?」
「損?」
「アタシらハンターなんだよ?明日死ぬかも
知れないんだよ?
言いたいことは言わないと後悔するよ?」
そうか、言いたいことは言わないと
次がある保証は無い…けど…
「でも、ケンカになったりだとか…」
「そんなのブツかって当然、ケンカも当然、
次は無いかもしれないんだから」
年下に諭される
人と話すのが苦手なクロフは
トラブルなど起こしたくもない……
ヤオザミがノソノソ歩いている
(こんな生物でも縄張り争いはする、
でも、俺には……なんか……)
ギルドに戻りクエスト完了のスタンプを
貰う。
「ベッキー、リオレウスは……」
「んー、今は下位は…無いのよ」
ベッキーは何やらゴソゴソとカウンター
の裏を探ると
「あった、はい、カンナちゃん」
出されたのは小さな手紙、読むと
「ヤッバ……師匠が来る」
カンナの顔が曇る。
「え!ナナキさん!?」
クロフが言うとなぜか
ギルドに笑いが起こった
「あいつ来るのか!」
「今度は何の話が出るか楽しみだ!」
「ベッキー!気を付けろよ!!」
上位やG級達がワイワイ騒ぐ。
「どうしよう…宿題できてないのに…」
カンナの体は小さい、覇気をなくすと
更に小さく見える。
(たしか師匠の話だと最強だけど
変態って………)
それから数日、カンナは元気が無く
口数も減っていた。
偶然に期待して森と丘の採取に
何度か行ったが………
リオレウスは現れなかった。
空振りしてギルドに戻る、と
「アッハ!ちゃんとハンターやれてるじゃん!」
「師匠!」
アルトが飲みながら手を振る、
フルフルの装備だろうか。
「え!何で!?」
「ナナキのヤツがさ、ドンドルマに
寄るって言うからついでにさ」
東の山岳地帯、ユクモ村辺りに
調査に行くそうだ。
だいたいジャンボ村とドンドルマの
中間辺り。
カンナは礼儀正しく
「初めまして、カンナです」
普段の態度と明らかに違う…
「アッハ!聞いてるよナナキから、
物覚えの良い天才だって」
アルトはカンナと握手する
「え、えぇ?師匠、ほめてんの?私を?」
カンナが珍しく照れる、
笑顔になった。
「ホッホッ、普段ふざけとるが
見るべき所はキチンと見とるよ」
ギルドマスターが話してくれる
「モンスターの動きを一度見たら覚える、
と言うことは、仲間の動きも覚えるんじゃ、
アヤツに認められたら素質があると
言うことよ」
「で…師匠は……?」
カンナは見回す。
「ホッ?さっきまでその辺に……」
その時、ギルドの反対側の方から
「きゃああっ!!!」
誰かの悲鳴
「パアァァン!!」
乾いた音……?笑い声……
「アッハ、あそこだ、ナナキー!こっち!!」
一人の男がこっちへ来る
「はい、お待ち!
アプトノスのソテー・ベルナス添え!」
は……?なに?この人……?
クロフはポカンとする。
ハンター…だよな、ギルドスタッフ
にこの人居なかったとお…
「師匠…ベッキーのお尻さわった?」
「お?久しぶりだなカンナ」
……インナーだけでトレイを持ち、
料理を運んでいる男。
歳は30くらいだろうか、
体格は師匠(アルト)と同じ位か?
黒の長髪、浅黒い肌
細い顔立ち。
そして頬に赤い手形………
「アッハ、ナナキ!懲りないねぇ」
「師匠、恥ずかしいから止めて」
男はふんぞり返り、
「何を言ってんだ?
ドンドルマと言えばベッキーの尻だ!
触らないなら何のために来たか解らん!」
(あの、弟子に会いに来たんじゃ…)
テーブルに飛び乗り変な手付きで
「大きさ、丸み、柔らかさ、張り、
大陸中でも滅多に居ない稀少種だ!!!」
大威張り。
何だか分からない理屈と迫力に
気圧される。
「ギャハハハハ!!」
「いいぞ!ナナキィ!!」
ギルドが笑いの渦となる。
小声でクロフは聞く、
「…この人、酔っぱらってます?」
「アッハ、これでもシラフ」
「この人が最強の……」
クロフがつぶやく、強そうには
見えない
「アッハ!こうならないでよ?」
アルトはナナキを指差す。
「あ…あの、クロフです…」
クロフはナナキに右手を出す、
「やっぱり君か」
テーブルから飛び降りる
………………え?
「ちょっと?知り合い?」
カンナとアルトが聞く
知らない。
「ハハ…まぁ覚えているわけないか」
ナナキは寂しそうな顔をすると
握手はしてくれたが……
クロフはずっと村にいた、
ならばナナキもジャンボ村にいた?
覚えていない。
アルトとカンナもクロフの次の言葉を
待つが出てこない、
変な空気になりかける
「よし、これは宿題にしよう!
クロフ、必ず思い出せ」
ナナキは元のテンションに戻る。
「ベッキー!クエストは!?」
ナナキが呼び掛けると
「アンタの希望通りのクエスト
確保してあるけどさぁ、
本来ダメなんだよ?早い者勝ちだし」
言いながら依頼内容を持ってきた、
森と丘のリオレイア
「明日は四人で行くとしよう」
今日はもう寝る、そう言うと
ナナキはハンターの宿舎へ向かう、
ついでにベッキーの尻を…
パアァァン!!!
次の日早朝、ギルドの前で待ってると
ナナキが遅れて来た。
クエストはリオレイア
そう、リオレイア…
「じゃレイア狩り行こう!」
元気良くナナキは言う。
インナーだけ…どこから持ってきたのか
背中に籠…大量のピッケルと虫網。
頭に麦わら帽子、農作業ですか?
クロフが固まると、アルトが
「こういうヤツなんだ」と言ってくれるが
「ナナキー!!!」
ベッキーが乱暴にドアを開ける。
「またアンタはフザケて!!
武器くらい持ちなさいよ!!」
「えー良いじゃん、俺とアルトは
手ぇ出さないし」
ベッキーは背中の籠を引っ張って
下ろすと中を探る、
剥ぎ取りナイフさえ無い
「武器無いじゃない!」
が、
素早くナナキはベッキーの後ろに
回り込む!!
背中から胸をなで…
「まったく…こんな所に肉を付けて…
もっと尻に付ける努力を……」
「アイツ照れやがって…」
軽く鼻血をにじませながら
狩り場へ向かう竜車の中、
ナナキはペイントの実を弄くっている。
「アッハ、何回叩かれた?」
クロフは不思議に思う、
覚えていない、それもあるが
もうひとつ腑に落ちない。
「師匠、あの…尻尾…」
カンナは暗い。
「無理だったろ」
何かの羽根をイジリながら
「え…」
カンナはナナキの顔を見る、
解っててやらせていた…?
何のために???
それを察した様に話す
「その代わり立ち回りは上手くなったろ、
正面には立たずにケツの辺りで
斬れるだろ?」
アルトがフォローする
「一番リスクの少ない場所を体で
覚えさせたのよ、他の飛竜系統にも
対応出来るように」
カンナの顔が明るくなる、
この人の言う通りにしてれば
間違いない
言われてみればやってる!
「ただなぁ、リオレイアはそれだけじゃあ
負けるぞ?」
「え、ダメなの?」
「体で覚えて来い」
森と丘、中央の草原にレイアはいた…
俺とカンナは大剣と太刀を構える。
咆哮! 俺にとって初めての陸の女王!!
三連ブレス!
「うおぉっ!!」緑の草原が焦げる!!
不様に転がり回避!
三回も連続でブレス?
怖い、けど これに勝てたら認められる、
そんなモンスター!!
…………だよ?
「うわぁ不死虫居ねぇ」
「上手に焼けましたー」
………………
なんだろう、この緊張感の無さは…
お互いの師匠達はレイアのいる
同じエリアで………
「アッハ、アタシも光虫とろう」
「虫網売ってやろうか?」
虫網を振り回している。
強い人って………
もちろんリオレイアは突進したり、
攻撃に行くが、師匠達は難なく避け、
のんきに肉を食ったりする。
強い人って…理解出来ない…
突然ナナキが
「よし!!だいたい解った!!」
言うと無防備に籠を下ろしレイアに
向かって歩く、武器も無しで。
「師匠!!?」カンナが声を上げる。
レイアは尻尾を薙ぐ!
「ブォン!!!」
唸りを上げてトゲの付いた塊が
インナーだけのハンターに!!!
「またふざけて…」
カンナはレウスを一緒に狩っていたころ
を思い出す。
「え…何してるんだ?!」
俺には見えた!
尻尾に合わせて後ろに跳んだ!!
これが人間の動きか!!?
案の定、ゴロゴロ転がった後、
ナナキは無傷で立ち上がると
帽子を拾い、
「じゃ、後は任せる♪」
そう言うと師匠(アルト)と一緒に
エリアから出ていった。
何だったんだ?何のために
師匠達はココに居たんだ?
その途端、レイアの攻撃が激しく感じる、
そうか…俺のためか、
初めてのレイアに慣れるまで目標を
分散しててくれたんだ…
向こうからカンナが声をかける、
「クロフ!大丈夫!?やれそう??」
「何とか慣れてみる!」
咆哮!!カンナはマトモに聞いて固まるが
俺はガードから閃光玉!
カンナは走り込み股下から斬り着ける
「アンタと狩ると楽だわ!!」
クックとちがって大きいため、こちらも
カンナの攻撃範囲を気にせずに羽根を。
「うん、何か噛み合う!!」
「これくらいで足りるか?」
「アッハ、あんまり多くても勉強に
ならないし」
二人の師匠は閃光玉を調合する。
「アルト、クロフは人も見てるな」
「ロクスさんの試験、合格するほど
とは思わなかったよ」
「素直か?」
「言われた事は基本的にやるんだ、
ただ前は自発的じゃなくてさ、
怒られるのを怖がっててさ」
「人嫌いだったしな」
アルトは軽く睨む
「クロフは…アンタやっぱり…」
「あぁ、ポッケの全滅の後、一時
ジャンボ村にもいたんだ…
その時の恩人だ」
「やっぱりな」
アルトは村長と船長を思い出す。
「クロフに言うなよ?」
「アッハ、分かってるって!」
ブレス!!ガード!!
「アッチィー!!」
クックと違い直線で飛んでくる、
可燃液ではないのに凄い衝撃、
しかも三回!
カンナはおかしな事に気付く、
ペイントの匂い。
「クロフ!!ペイントボール当てた!?」
「えっ!?やってない!!」
噛みつきをかわすが、
ホントだ、匂う。
レイアは飛び上がる、移動していく。
匂いのお陰で見失うことはない。
「師匠達かな」
大剣を研ぐ、ガードだけで切れ味が落ちた。
「多分」
ソロと違って回復薬の消耗が少ない、
パーティーも悪くないかも。
「で?カンナは素直じゃ無いわけ?」
「アイツはなぁ、言ったことに反発
するからな」
ピッケルを振りながら
「頭は危険だからケツを斬れ…
って言ってやったら…」
「アッハ、頭狙うわけね!」
石ころを集める
「そうなんだよ、変に才能あるから
人の言うこと素直に聞かない」
「それで尻尾斬れか…アンタは
教えかた上手いんだな」
「惚れたか?」
「殴るよ?」
「アイツは才能に頼りきりだ、
必ず挫折する時が来る」
「成長期だしねぇ」
「あと少し背が伸びたら回避出来なく
なる、それまでに理屈で考える
様にしないとな」
「アッハ、それで二人を組ませたんだな、
さっすがジイチャン!!」
アルトもピッケルを振る。
「毒消しも用意しとかないとな」
「えっ?カンナは狩った事…」
「無いんだなこれが、教えてる頃
レウスのクエストはあったけど、
レイアはな」
石ころと粘着草を調合しながら
「ドンドルマで自分で狩ると思ってたら、
レウスだけ狩ってたらしい」
「じゃサマーソルトは!!?」
「見たこと無いわな!!」
あっはっはとナナキは笑う。