三番にレイアは移動した、
すぐ隣のためクロフ達の方が早く着く
リオレイアは背中を向けながら降りてくる
「あっ!!!」
クロフは何かに気付く
「え?!何?!」
「尻尾!尻尾に!!」
三連ブレス!
カンナは股下を抜けて尻尾を見る
「うそ!凄い!!」
全身緑色のリオレイア
その尻尾にピンクの線が書かれている
(竜車の中でペイントの実を…
ナナキさんだ、あの一瞬に…)
「ここを斬れば良いのね!」
リオレイアとリオレウスは同種の雄と雌、
斬れる場所も恐らく同じ、
尻尾が切れない私に
勉強させようとしてるんだ!
振り回し!!
目の前を通過するが手は出せない、
(もしかしたら…)
クロフは納刀して
「カンナ!!三連ブレスの時!!」
カンナは理解したように頷く
一方キャンプ
「これだけあれば足りるだろ」
「アッハ、あんたも優しいねぇ」
閃光玉、回復薬グレート、
解毒薬まで作っておいた
「後は釣りでもしながら待とうぜ?」
「アタシは見てくる」
双眼鏡片手に
(甘いのは御互い様じゃね?)
クロフはリオレイアの正面を動き続ける
そうかクックと違って
突進の途中で止まるのか。
レイアが振り返る
そこから更に方向転換して…
レイアは突進!
追いかけるのか…
クロフは囮になっている、
ブレスの時に尻尾を斬るカンナ
解る、他の部分に比べて刃が深く入る
これなら!!
レイアが二歩下がる
その動きに二人は一瞬止まる
初めて見る動き
(何だ?)
そこから
「バシィッ!!!」
空中へジャンプしながら一回転
その動きで尻尾を下から上に振り上げる
通称サマーソルト!!
カンナは派手に吹き飛ぶ!
「うっぐぁ!!!」
地面に背中から落ち、転がる
「カンナっ!!!!」
しかもサマーソルトの恐ろしいのは
「あっぐ…」
カンナは何とか立つが
あれ…目眩?…吐き気?
しまった!!毒だ!!
視界が定まらない!!
そのまま倒れる。
どうする?逃げるか?
一人で戦うか?
クロフは考える。
にゃあにゃあ騒ぎながら
素早くネコタクがカンナを載せる。
「おぉいクロフ!こっち!」
アルトが呼んでいる
そうだ、生き残る、
ハンターならば生き残って学ぶ、
それなら……
クロフはキャンプに向かって走り出す。
カラガラガラ…ドザァ…
「ぎゃうっ!!」
………あれ?
「あっはっは!意外と粘ったな、
もっと早く来るかと思ったぞ」
釣竿を上げてこちらを見るナナキ。
「師匠……」
地面にペタンと座ったまま
「何を学んだ?」
竿を片付けてカンナの方へ
アルトとクロフが入ってくる。
「レイアしか見て…」
「違うな…尻尾だけ見てただろ」
(言いたいことは言わないと…
後悔する………)
「いえ、カンナも予備動作には気が
付きまし…た…」
クロフが口を挟む。
(うわ、言っちゃった!最強の人に!
怖い、怒る?怒るよね……)
アルトはニヤケる
(アッハ!クロフ!
言うようになったじゃない!!)
「じゃあそこからどうした?」
ナナキは腕組みして聞く
「避けられると思って…」
カンナは俯く
「だけど……肩……と……」
「お前は目がいい、人はともかく
モンスターはよく見てる」
ナナキはカンナの前にしゃがみこむ、
「だけど小ささに頼りきりだ、
ロクスさんにも言われたろ?」
「どうしたら…」
カンナは泣きそうになる
「レイアのナナメ後ろ……とか?」
クロフが言う
二人の師匠は顔を見合せる
「アッハ!しっかり回復して
行ってきな!」
もらった解毒薬も持って行く。
キャンプから出ていく背中を見ながら
「アルト、聞いてたハナシと違うぞ?」
ナナキは首を傾げる
「アッハ!また成長してるわ、人に意見
出来るようになってる」
またカンナは暗い、
気付いてしまった、自分の弱さに。
『レウス狩り』
こんなアダ名を付けられ舞い上がってた、
レウスが狩れれば大体同じと思ってた。
「違う…」
レウスに慣れすぎて、
レウスしか狩れない…
それに………
「何が?」
「え……?」
「今違うって」
「あ……あぁ…レウスと行動が…」
「どのへん?」
クロフは聞きたい
「レウスはね、飛ぶの。
飛んで上空からブレス吐いたり
飛び掛かってくる」
「怖いね、手が出せない…」
「あぁでも狙いが正確すぎて
前転で回避出来るのよ、
それに閃光玉で簡単に落ちるし」
九番の細長い通路のようなエリア
ノシノシと緑色の巨体は歩く
いつも突っ込むカンナだが
「広いところに誘導しよう」
クロフの言葉に黙って従う、
クロフには少々気持ち悪い。
咆哮!!ガードから斬り…
ブレス!
「カンナ!!」
今度は正面じゃなく横から走り込むが、
一回斬っただけでレイアが突進、
連続で斬れない。
カンナは納得いかない顔、だが
「抜刀斬りだけで良いよ!!」
クロフは叫ぶ。
カンナだってそんな基本は知っている、
だけどプライドが邪魔をする、
レウス狩りのプライドが。
涙が出てくる
私は強い、新人の中でも最強…
ソロでリオレウスなんて余裕……
見下していた…自分以外……
四英雄の弟子だって……
調子に乗ってたの私だ……
リオレウスだけしか………
それに…………
「ううぅ、うぐぅぅ…」
戦いながら泣き始める、が!
「カンナ!!横!!」
クロフは横に手を伸ばし指差す
反射的に横に回避………あ!!!
サマーソルトで飛び上がって…
降りてくる、尻尾が!目の前に!!
「ここかぁ!!!」
カンナは一気に斬る、かなり深い
手応え!!
クロフは気付く。
この攻撃……もしかして……
「真後ろよりも横だわ!!」
カンナは嬉々として攻撃
じゃ俺は反対がわ!!
「クロフは自閉症みたいだったぜ?」
また釣りをする
「小さい頃の愛情不足だったのよ」
ゴロゴロしている
「そういや女の子いたろ」
「あぁ、パティか…アンタまさか…」
「カンナと同じ位の歳だよな…」
「手ぇ出したらクロフに代わって
アタシが殴るよ?」
拳を握る
「またクロフには借りを作ることに
なる、見損なうな」
四番
閃光玉で動きを止めると攻撃しやすい
……と思ってたらそうでもなく、
暴れるために細かいダメージ。
特に噛みつきの時、反動で尻尾が
動き、つまらないダメージ。
二歩下がる!!カンナは構える!
サマーソルト!!
「ここだぁぁ!!!」
クロフは閃光玉を投げる!
ドザァっ!!!
「グルルル……」
墜落してジタバタもがく。
尻尾を斬りながら
「これで堕ちるんだぁ!!!」
カンナは斬りまくる。
やっぱり!!
「予想当たった!!」
と、
バサッ!!!
は??
突然レイアは50メートル程も跳び
着地する。
何が………
「切れたぁ!!!」
カンナは叫ぶ。
見れば尻尾の先端
(とは言っても人間位の)
が落ちている。
やったやった♪とはしゃぐカンナ、
「まだ油断は……」
ビックリして跳び上がった?
レイアは足を引き摺り…飛ぶ。
「アッハ!いきなり逆鱗出たかぁ!」
帰りの竜車の中、クロフのポーチ
を見る。
無事に討伐完了。
「初めてで出るのズルい」
カンナは鱗だった
「まあいいや、尻尾切れたし♪」
カンナは笑顔
「うんうん、我が弟子たちよ、
成長したなぁ」
「クロフはアタシの弟子だ」
ナナキは相変わらず
「あの、ナナキさん尻尾の線…」
「おお、あれな、分かりやすいだろ♪」
言いながら鳥の羽根を取り出す、
「これ、返しずらいな……」
「なんか見覚えあるけど…」
カンナは手にとってマジマジ見る。
ペイントの実で染まったピンクの羽根、
まだ少し手に付くし……
「あれ?コレ羽根ペンだぁ!」
「丁度良い道具が無くてな♪」
「朝、こんなペン持ってました?」
背中の籠に?
「ベッキーの胸ポケットから♪」
笑いながらナナキは変な手付き。
………あの時か!!
まったく油断ならない人だ…
そう言えば俺が知ってる人のはず…
「クロフ…今日は何を学んだ?」
ナナキが真顔で聞く。
「アタシの台詞だろ!」
ナナキの頭をペシッと叩く
クロフは背筋を伸ばす。
「まだリオス種よりもクックとかで経験
を積んでおいた方が安全かと…」
ナナキはアルトをみてニヤリ、
アルトも笑う。
「うん、やっぱりお前は慎重すぎる、
でも一番生き残る」
ナナキは頷く。
「師匠!私は?」
ずいっとカンナが身を乗り出す
「しばらくクロフに従え」
「何で!!!!」
納得いかない!!
「今までは上手く行ったが…お前は必ず
挫折する、その時死にかねない」
「なんでぇ!!!」
顔を真っ赤にして怒る。
アルトが言う
「ねぇ、カンナ。自分で気が付いてない?
成長期なんだよ、
今防具、キツくない?」
「……………ちょっと……」
「ナナキはね、心配してるの、
これからアンタがぶつかる壁に」
アルトはカンナの目を真っ直ぐ見る。
「……壁……」
ナナキが真剣な顔になる
「責任の大半は俺にある、
お前を回避ばかりのハンターにした」
カンナの太刀を見て
「お前は体が小さい、ガードしても
吹き飛ばされる、だから太刀を勧め、
目の良さもあったから…」
カンナは泣きそうで俯く。
「本当は自分でも気が付いてるよな、
背が伸びてきてること」
肩に手を置く
「私、弱くなるのやだぁ……
やだああああ…………」
泣き出す
「弱く……?」
クロフには分からない
「クロフ、頼みがある」
ナナキはクロフに向き合う、
緊張……。
「カンナは背が伸びたら…今までの
様に回避出来なくなる、戦いかたを
根本的に変えなきゃならなくなる
かも知れない」
「それは…しろうと…に?」
「戻るかも知れない、武器も変わるかも
知れない、
なのに今までの調子では……」
「無謀な…」
「そう、ただの突撃になる…だから」
クロフに頭を下げる
「カンナを守ってくれ」
「えっ?あの、えっ?」
最強の…雲の上の人に…
畏れ多いってこういうこと……?
「アッハ!アンタの知識で助けてあげな」
「知識?」
「道具の知識、
後はロクスさんに頼んであるから」
「すまん、よろしく頼む!」
現役最強が深々と頭を下げる。
こんな形で自信を失う事があるとは、
今まで積み重ねた強さが無くなる
なんて…
ギルドに戻ると
「じゃ」と言いながらアルトは拳を出す
「え?もういっちゃうの?」
何日か教えてくれると思ってた
「アタシらも忙しい身になっちゃって」
申し訳なさそうに拳をぶつける。
「じゃ行くからな、カンナ…」
カンナは下を向いたまま後ろを向く、
強いとは言っても14歳なんだと思い直す
「ロクスさん、お願いします」
「あぁ、ワシも何とかして
やりたいと思っとった」
クロフがロクスに聞く。
「あの…師匠は自分の成長が…
邪魔になるって言うか……」
上手く説明出来ない
「この娘(アルト)は運動神経がな」
「アッハ、アタシお嬢様で足が遅くて
回避苦手で、…いきなりカンナほどの
強さにはなれなかったし…」
俯くカンナを見ながら
「天才故の悩みだよな…」
「じゃこれからカンナは…」
基本から…やり直し?
「さぁな、この子次第じゃの」
ユクモ村に向かう二人、
ガーグァと呼ばれる大きな地鶏の車、
竜車に比べると小さいが速い、
乗り心地は最悪……
クロフになにが返せるか
「最強の四英雄が駆け出しの
クロフに借り二つとはなぁ」
「アッハ!書士隊への推薦だよ!」
「あいつ入りたいのか!?」
「ハンターになった理由が
『色んな遺物見たい』 だからね」
「どうしたもんかな…」
次の日
クロフ、カンナ、そしてロクスは
森と丘の採取に来ていた。
クロフは荷車を引かされ疲れている。
「ロクスさん、これは?」
重かった。
ロクスは無言で被せた布を捲る
アイアンソード、鉄刀、ハンターナイフ、
アイアンランス、ライトボウガン等々
ロクスはカンナを見る
「解るな?」
「自分に合う武器を見つけろってことね」
カンナは真剣
「一つ聞かせろ、お前はハンターで
何を目指してるんじゃ?」
「師匠! だから太刀を…」
「なんじゃ!ナナキめ、本当の武器さえ
教えとらんのか!」
「「え??」」
二人で顔を見合わせる、
そう言えばクロフは武器を持った
ところさえ見ていない
「あいつはランス使いじゃ」
「はぁあ!!!?」
カンナ声を上げる
太刀と全然違うじゃん
やれやれと首を振り、
「始めるぞ!!」