ドンドルマ管轄 旧沼地
一面の泥濘と湿地に寒い洞窟、
そして晴れる事の無い霧
「解毒薬は皆あるよね?」
「おぅ!それよりクロフ、お前の
フルミナントは電気だ、通じねえぞ?」
イシズキはリオレウスの大剣
「私の剣の毒はどうなんだろう」
マリンはソロで倒したこともあるが、
効果が薄い気がする
「頑張らなきゃ……」
カンナは初の片手剣
ガノトトスの素材を使った睡眠武器
あとは簡単な作戦
『寝かせて溜め斬り』
「ゲリョス装備作るだぁ?」
ナガエにビールを奢る
「イシズキ、今さら
俺の言うこと聞く気になったか?」
「師匠に前に、ゲリョス装備に
ついて聞いた事忘れちまって…」
「まず電気や毒を軽減する、
それにスタミナの消費が少なくてな、
双剣だけでなくハンマーの
溜めにも最適だ」
「うんうんそれで?」
更にビールを追加
「ただし火に弱い、そこは気をつけろ」
「それは覚えてるぜ」
料理も持ってこさせる
「そんな効果があったんだ…」
四人で何度か狩っているが、
クックやリオス系ばかり狩ってたせいで
防具候補に挙がらなかった。
久しぶりの大剣…緊張する
「この前の死んだふりにも
気を付けないとね」
うっかり斬りかかってカンナは
吹き飛ばされた。
「あれは私も食らった事あるよ、
吹っ飛ばされた」
マリンでも吹っ飛ぶ
「死に物狂いでカマしてくるからな」
いた…霧の中に大きな
ニワトリのようなシルエット
斬りかかると尻尾を振り回す!
「伸びんの邪魔!!」
カンナは避ける、以外に広い
カンナは足元に転がり脚を
「かったぁい!!」
初めての片手剣は感触が違う、
全身ゴムのようなのに
ゲリョスは毒を吐きながら走り回る、
(速ェ、これに追い付けたらキリンにも!)
「オラァッ!!」
イシズキは振り返りに抜刀斬り
一撃離脱を繰り返し四人は
効率良く攻撃する
ゲリョスは数回跳ねると動きを止め
トサカを嘴へ打ち付ける
カッ…カッ…カッ……
「マリン!これ!」
カンナは叫ぶ
「そう!!ガード!!」
クアァッ!!!!
突然沼地に閃光が溢れる
なんて芸の多い…
モンスターなのに閃光まで使う
「ガードあるって楽!」
「まったくだぜ」
カンナとイシズキは今まで閃光を
避けられなかった
「ガードがあればタダの隙だ!!」
カンナが何度も斬りかかる、と、
突然ゲリョスは倒れる
「死んだふり!?」
「いや…寝てるぜ」
「やったぁ!利いた!」
「じゃ、やるよ!」
クロフとイシズキは頷く
大剣最大の攻撃、溜め斬り
事前に習ったように
マリンに併せて振りかぶる。
「「「せーの!!!」」」
頭に溜め3 ×3
「良い戦法だと思う?」
クロフが考えた
「爆弾よりも効率上がるかもね」
マリンも満足そう
「寝てれば溜め斬り楽だぜ!」
「キリンって何回寝るかなぁ」
とにかく次はこの戦法でいける、
……かなぁ
「みんな素材足りた?」
剥ぎ取った素材を見る
「十分だろ、今までのもあるだろ?」
イシズキはカンナに言う
「私、素材売ってないはずだから
足りるはず」
「私はその気になればいつでも」
マリンは大分素材があるようだ
加工屋に頼み
皆でゲリョス一式になる。
「……これは…」
「まぁ、分かってた事じゃねぇか、
ウチの師匠見れば…」
「どうにも丸いと言うか…」
「アッハハ!!デブ!!」
カンナは楽しそうだ、指を
指して笑う
「何で女用は普通なんだよ!!」
「イシズキ、兜もかぶらなきゃ」
マリンに言われる
「くっそ…」
イシズキは髪の毛を潰す
とにかく防具の準備は出来たが
「キリンのクエスト…もう無いよね…」
クロフは俯く
「いいさ、それならフルフルとか
行けば良いんだよ」
「そうだぜ!狩りの選択肢が
増えたじゃねえか!!」
「イシズキがマトモな事言ってる~」
「あらぁ、別のパーティーが行っちゃた
わよ、今回はツイてなかったわね。」
ベッキーは笑顔で言うが……
「セドリック達が行ったか…」
マリンは考える、成功するだろう、
ハンター歴もそれなりにあり、
何度かパーティーを組んだ、
リーダーのセドリックは上位検定を
確実に合格すると言われる。
「あの下位の最強パーティーかよ」
戦いたかった……もう一度…
あのステップをぶん殴ることばかり
考えてきた。
「なんかさ、成功率高いんだって」
何回斬ったら寝るか知りたかった
クロフは……暗い
「おいおいリーダー、気にすんなよ」
イシズキが笑顔でフォローする
次の日 装備の性能の確認に、
密林のフルフル討伐
「なんだこれ!凄い楽!!」
フルフルの尻尾をランスでガード、
スタミナ消費が少ない
「何回乱舞できんだよコレ!!」
イシズキは双剣で斬りまくる
「回避も楽だよ!!」
カンナは走って太刀で一撃離脱
「イシズキ!何で今まで作らなかった!?」
マリンがフルフルの向こうから聞く
「そりゃカッコわりぃもん!!」
「バチィッ!!!」
電撃でイシズキは弾かれるが
立ち上がる
(ホントにダメージ少ねぇ…)
「すげぇなコレ!!!」
ちゃんと属性とか合えば、
こんなに楽に狩れるんだ
………でも…各属性の防具と武器も
揃えるって……気が遠くなる。
「ねぇ、キリンって睡眠属性
以外は弱点無いのぉ?」
キャンプで防具を洗いながら
「カンナ、何でキリンのクエストが
競争率高いと思う?」
マリンは返り血を洗う
「何で?」
「上位から聞いたことあるんだけど、
属性的に弱点が無いんだって」
ゲリョス装備は水を弾くため
血も簡単に落ちる
「火、水、雷、氷、
まともに利かないそうだよ 」
「それって……防具も」
カンナは微妙な顔
「そう……」
マリンも
「それが理由か……」
くじ引きの謎が解けた。
「じゃあキリンの装備って凄いんじゃ?」
各属性揃える手間が減る!
「クロフ、凄ぇけどよ…」
カンナとマリンに振る
視線を送られ
「私は着る勇気が…ない」
「私もハズカシイよアレ」
「上位やG級の姉さん達にいるだろ?」
イシズキが説明する
「あ、あの目のやり場に困る装備か…」
カンナとマリンに………
ムキムキと……ツルペタ?
「…クロフ、今失礼な事考えなかった?」
マリンが睨む
「何でもないです…」
下を向く
「絶対いまコイツ考えたぜ!」
「クロフやらしい~♪」
「そんな、あの、…」
照れるし恥ずかしい…
こんな時どんな態度が正解?
ナナキさんの様になれたらどんなに
楽だろう…
「とにかく電気を使うモンスターだけ
でも楽に狩れるだけ…良い……」
「真面目か!」
イシズキが突っ込む
真面目って……なんか俺……
真面目?……かなぁ
パティや師匠、ゼニスさんだったら……
「…ぶふぉお!!!」
吹き出す
「クロフ、ひっぱたいて良い!?」
カンナに笑顔で胸ぐらを掴まれる
数日後 ギルドマスターの部屋
セドリックのパーティーは
全滅したとネコタクから報告が入る
「ホッホッ……笑い事ではないわい」
「キリンだけではなかったんだのぉ」
「キリン討伐の途中で別の
古龍が飛来したそうです」
ベッキーはネコタクからの情報を
伝える
「フム、将来有望な
パーティーの全滅とは痛い」
「わげぇやづにじんでほじぐねぇ」
「うむ、ゼルド、ガルダは準備待機、
ベッキーはギルドナイト本部と
書士隊に監視の連絡を」
「セドリック達の事は
どう伝えたものかのぉ…」
ロクスの試験を合格した一人なのだ、
惜しい人材。
「そのまま伝える他あるまい、
ただし、もう一体は内密じゃ」
ギルドマスターは目を伏せる。
「この前ゼニスが来たのも…のぉ」
「うむ、アルトがこの前東で発見した、
古龍らしき生物の追加調査じゃ…」
「ギルドマスター……こりゃワシの
気のせいなら良いがの…」
ロクスの顔が険しくなる
「気のせいではない、
ラオシャンロンといい
各地の古龍が活動を始めとる」
「……ヤツか?」
「それだけは……避けたい」
ギルドの紋章を見る
セドリックパーティーの全滅は
ギルド内に伝わった
「実際は上位に近いやつらだぜ?」
「キリンは人食わねぇらしいのに?」
「攻略だって出来てるだろうに…」
「えぇ!?イイ男だから狙ってたのに!」
下位は騒ぐが上位とG級は
落ち着いている、大体何があった
のか予想しているが…
「じゃあキリンは討伐しかけて…?」
「そりゃ無傷って訳じゃねぇよな?」
「今チャンスじゃん!!」
「ちょっと不謹慎だよあんたたち」
クロフ達も察する事は出来ない、
所詮は思慮も下位レベル。
「ホッホッホ、原因は調査中じゃ」
時にはバカな位の方が、空気が
重くならんで良いか…
数日後
「し……し、失礼します!」
ギルドの入り口で声がする
皆で声の主を見る
子供……学者っぽい服を着た子供?
頭に四角い帽子を被った少年
「ホッホッどなたかの?」
「あ、……ぼく……あ、わたくし、
王立古生物研究書士隊から
遣わされました、マルクと申します!」
ビシッと気を付けの姿勢だが……
どうみても10才位…
「うむ、その遣いが何用じゃ?」
全員が気付く、ギルドマスターの
しゃべり方が変わった、
声色も違う
コレは何かあるぞ…
「北の塔へ直接調査を受けまして
遣わされました、護衛をお願いします」
「護衛か…」
ゼルドとガルダは…出せん…
他のG級に…古龍がいるかもしれん…
「はい、ナナキ様の紹介により、
クロフ殿カンナ殿に御同行を…」
(ちっ!まずいのぉ)
ロクスは思う、この二人ばかり
特別扱いしとるように思われる、
ギルド内の空気や派閥が
不安定になる
(まずいわね…)
カンナちゃんの態度が最近マシに
なってきて下位も安定してたのに
(うーむ)
これで偶然キリンでも狩ってきたら
確実にヒビが入る…
「アルト様からの伝言です」
『クロフ、書士隊の勉強しなさい、
塔でザコ以外は狩り禁止』
一気にハンター達の目付きが
弛む。
(杞憂じゃったか)
「ホッホッホ、良かろう」
「アルトらしいのぉ」
「弟子は可愛いのね姉さん」
ギルド内もそれなら納得、
と緊張が解けた。
「あの…イシズキとマリンも…」
「はい、お連れ様も歓迎です」
「俺達ゃオマケか?あ?」
「イシズキ、態度が悪い」
マリンが睨む、と
「だって子供だぜ?何だよこの
上から目線!!」
ギルド内の全員が思う
子供はお前だ
それよりも
「みんな、必要と思われるものの
準備と…マルクさん」
「なんでしょう?」
丁寧に向き直る
「必要な物を言ってください」
(おぉ、ちゃんと反省してるわい
成長したのぉ)
最近通ったこの道をまた通るとは、
悔しい気持ちを思い出して暗くなる。
アプトノスを操作しながら聞く
「ええと、マルクさんはまだ若いのに
どんな仕事を??」
「普段は本部でひたすら原稿の
写しを書いて…」
「あ!狩りに生きるとか書いてんのって」
カンナが聞く
「はい、ボクた……私達です」
キチンと座り毅然としているが
「ギルドじゃないから緊張しなくて良い」
マリンは優しく言う
「た、助かります」
一気に弛む。
「けどよ、何で本部のヤツが調査よ?」
「最近古龍の動きが活発で、
先輩方も調査に駆り出されちゃって、
それで先月、遂にボクにも」
「人手不足なんだぁ」
「この辺りの村が担当でした」
皆思う
(ランポス一頭にさえ……
勝てないだろう子供まで使うのか)
「あの、マルクさん」
「マルクで良いですよ」
ニコニコと良く笑う少年
「古龍とかの本も書いてるんだよね」
「はい、写したことあります」
「教えてもらえる?」
「おぉ!そうかこいつなら知ってんのか!」
「私聞きたい!!」
「私もだ」
「コホン!えー…ではまず概略から」
小さな教授は揺れる竜車で語り出す
「古龍とは存在そのものが自然、
または自然災害に成りうる存在です」
四人はキリンを思い出す、
雷ってなぁ……反則だよ
「代表的なのは風を操るクシャルダオラ、
存在そのものが炎であるテスカト種、
姿を消すオオナズチ…」
まだまだイッパイいるのか……
あれ?ラオシャンロンも…確か古龍?
「バキバキ……」
大きな音が響く、森のトンネルを
横から突き破った影
ダイミョウザザミ!!
四人は飛び降りる
「え!あの!?」
「マルクさんは伏せてて!!」
「いょっしゃ!!俺らの仕事だ!!」
「コイツ寝るのかな?」
「とにかくやるよ!!」