出来るだけ説明描写入れます
「おはよー!おーい!」
ドンドン叩く音が響く、良く通る女性の声。
もう朝か?そう思い壁の隙間に目をやる、
粗末な木の壁はまだ暗い。
うちの道具屋は夜も基本的には営業している、
昼はおじさんが、夜はおばさんが店番だ。
おばさん 寝ちゃったのか?そう思った時、
「ハイハイごめんね、ウトウトしちゃって」
「アッハ、いやーこっちこそ朝早くにごめん、
船がこんな時間に…」
リン…と雷光虫が光る音がする、
同時に店から緑色の灯りが漏れる、
虫籠を軽く指で弾くおばさんを想像しながら
ああ、起きてた…青年は再び微睡む、
店の会話が遠くなっていく…
「さあ!今日は稼いで貰うよ!」
朝御飯のジャンボコーンのパンをかじる
手が止まる。
おばさんはニコニコ笑いながら大袈裟に喋る、
回復薬とガンナーが使う弾丸が
大量に売れたらしい。
売れた数を話すとおじさんも満足そうだ、
うんうんと頷き目尻のシワが深くなる、
「こりゃ忙しいわい、クロフ、お前は採取
で素材の補充だ」
自分は店番をしながら横の河で
ハレツアロワナなどを釣るのだ、
ちなみに釣りの腕前は…
交代した方が、…うーん…
背負い籠を持ち採取の準備は出来た、
後は村長に許可を貰うだけだ、
村の中央へ歩いていると、ギルドの看板娘、
パティが走って来る。
「クロフー、大ニュース大ニュース!!!」
小さな身体で身振り手振りしながら
今朝の情報を聞かなくても教えてくれる。
「知ってるよ?女ハンターが来たんだろ?」
「なあんだ知ってるんだ」
顔がふくれる、本人は自覚が無いようだが
14歳にしてかなりの美人、
なのにこんな子供じみた顔を平気でする、
愛嬌があるってこういうことか?
だがこのあとの話は確かに大ニュースだった。
ギルドガール兼スタッフ兼料理番(要は一人)
のパティによると、
大都市ドンドルマのハンター、
しかも大陸中に200人いるかどうかの、
とにかくトップクラスのG級。
しかも王立古生物書士隊の一人。
所謂エリート中のエリート。
「なんでそんな人がこの村に?」
「休暇だって言ってたらしいけど調査…とか?」
パティは直接見てはいない(まだ寝てた)が
真意はともかく凄い人が来た。
「しかもすぐにクエスト受けちゃって、私が
起きる前にディアブロス討伐に行ったんだって!」
驚愕、その一言に尽きる。
ディアブロスと言えば別名 砂漠の暴君
20メートルを越える体と大きな2本の角、
砂に潜って地面から襲いかかる、
なのに翼もある、
さらには大音量の鳴き声でハンターを
動けなくすると言う。
村長によると額の大きな角を構えて、
ブルファンゴより速く走り敵に突き刺すそうだ。
そんなモンスターが最近村の管轄である
砂漠に居座り、近隣の村との物質のやりとりを
脅かしていた。
今村に来ている数人のハンターも手が出せずに
困っていた所だ。
ハンターと言えど人間、だけどG級だから平気?
いやいや…
そう言えば、村長の姿が見えない、
パティも知らないらしい。
パティに森と丘エリアへの採取許可を貰い
村から歩き出す。
「行ってくる」
「行ってらっしゃい、気を付けてね」
「うん」
言葉数は少なく必要最低限、
表情も変わらないが、
クロフはこの一言が嬉しい、でも顔には出さない。
村長がパティに行く先言わずに
出掛ける事など珍しい、と、疑問に思いながら。
森と丘という狩猟エリア。 草原と森、崖に岩山
と初めて来る人には良い景色と
悠久の風を感じるエリア。
だがクロフにとっては仕事場であり、
村の大切な現金収入を得る
現実的な場所に他ならない。
キャンプに入る、ハンター用のベッドの毛布を
ついでに干す、
まぁ自分には関係の無い話だ、
いつものように仕事をこなし、
生活費を稼ぎ、
淡々と ただ淡々と毎日を過ごして行ければ良い。
ハンターの様にリスクを取らなければ
自分も人も傷付かない、
気分も悪くしない、
目立たずに人に迷惑掛けないように。
「あぁくそっ!」
誰に向けた訳でもない怒りが出る、
気が付けば独り言を言う、いつからだろう。
「んじゃ、行くか」