生きる事は悩むこと   作:天海つづみ

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もがく者たち3

 

 ハンターナイフを用意、

 集合場所は墓場、

 

 こんな所があったのか…

 

 ギルドの裏、高台にわずかな平地が

 広がり、無数の朽ちた武器などが

 盛り土に刺さっている

 

 「俺とマリンはよ、毎日来るんだ」

 

 「もしかして……仲間が?」

 

 「あぁ、マリンもな」

 

 

 「イシズキ……

 何でパーティー組んでくれたの?」

 不思議だった、

 なぜかギルドに来た日から

 良く会話に入って来ていた。

 

 

 明らかにクロフとは合わないタイプ、

 明らかにクロフを嫌うタイプ、

 人を見下し努力などしないタイプ、

 

 に見えるんだけど

 

 

 

 

 

 「何となくだって言ったじゃねぇか」

 前にも聞かれた

 

 「それだけじゃ…ないと思う」

 

 

 「……あーめんどくせぇな!!」

 頭をボリボリ掻いてから髪型を直す

 

 

 

 

 

 「……理由は二つだ、一つは

 お前がここにいるヤツに近くてな」

 盛り土の一つを指差す

 

 「近い?」

 

 「引っ込み思案でオドオドしててよ、

 利用されるヤツだった」

 

 墓の中には遺体は無いが、イシズキは

 しゃがんで手を合わせる

 

 「オメェ見てると不安でな、

 俺はこの街で…最初に仲間に

 なったのはシュウだった…」

 

 「え!?」あの悪意しか感じない…

 でも納得行く、言葉の荒らさ、態度、

 船乗りとかに似ている

 

 

 「人に戦わせて手柄は自分等のモノに

 した方が楽だ、賢い、

 そんな風に考えてよ」

 

 立ち上がると

 「けどな、死なせちまった……そこで

 気付いてよ、師匠に弟子入りした」

 

 後悔…懺悔…

 

 「コイツが死んだ時に気が付いた、

 俺がカッコわりぃんだ…ってな……」

 

 

 

 

 

 「もう一つはマリンだ」

 イシズキはクロフに向く

 

 「マリン!?」

 意外、何で?

 

 「知ってっか?女ってやつは

 3人いると派閥が出来る」

 

 「派閥??」

 

 「1対2になって相手を攻撃すんだよ、

 マリンはそれが無ぇし誰とでも話せる、

 女から好かれる女って珍しいんだぜ、

 そんなヤツが認めたからな、

 気になったんだ」

 

 クロフに近付き

 「女って結構ドロドロしてんだぜ?

 二人の前じゃ言えねぇけど」

 

 小声で言うが……

 ドロドロ……って何だろう

 

 

 

 「あのよ、クロフ、その女みてぇな

 しゃべり方、やめた方が良い」

 

 「何で?」

 喋るだけで大変なのに

 

 「気が弱いってナメられるぜ」

 髪を直し

 「案外大事なんだぜ?そういうヤツ」

 

 

 

 

 

 

 マリンとカンナも合流

 

 「クロフ、早速始めてくれ」

 マリンは真剣

 

 四人で墓場の中央へ

 

 「俺が師匠から教わったのは逸らす事」

 

 「逸らす??」

 

 「私も師匠に教わったけど、

 吹っ飛んだアレか…」

 

 「うん、盾を……」

 

 訓練を始める、蹴るのはクロフ

 

 

 

 

 ………………

 

 

 

 「ガシュッ!!」

 

 「おめぇは大剣でもこれやってたのか!」

 驚く、ガードしても楽!

 

 「力を力で受けないか、なるほど!」

 今まで踏ん張ってた

 

 「私もクック位は

 ガード出来るようにならないと」

 

 

 

 クロフの蹴りでは弱すぎるが、

 それでも理屈は理解できる

 

 この訓練、蹴る方が疲れる

 何回蹴ったんだろう

 クロフはゼェゼェ息をする

 

 「ランスだと…もっと……楽だよ」

 疲れた、膝が笑ってる……

 

 

 

 俺は逸らすを教わった、カンナは…

 

 「ねぇ…カンナは…何を教わった?」

 カンナだって何かあるはず

 

 「『お前は目が良い』って何だと思う?」

 

 「???」

 

 

 

 

 

 「……多分攻撃を見切る事か…な」

 マリンが考える

 

 「見切る……?」

 

 「たとえばさ……」

 

 マリンはナイフをゆっくり振る

 

 カンナは上半身だけでスウェーする

 

 「あ、そうか、回避」

 紙一重で全部避けてたんだ

 「でも最近は避けられなくてさ、

 下手になってる」

 

 「多分、モンスターから見たら的が

 小さかったんだろ、それで早エェって

 キリンみてぇだな!」

 

 それこそがカンナの才能だった、

 

 

 そして体の成長で消えそう。

 

 

 

 

 

 ギルドに戻りクックのクエストを探すが

 

 「今は無いわ、

 リオレウスなら来てるけど」

 

 え……どうし……

 

 

 「やってみっか?」

 振り返りニヤリ

 

 「さすがにインナーだけじゃ……

 無謀じゃないか?」

 マリンは困り顔

 

 「防具はアリで行こ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 全員ハンターナイフ、防具は

 マリンがギザミ、クロフはクック、

 イシズキとカンナはレウス

 

 「じゃあまず回避とガードだけで」

 クロフが指示を出す

 

 「緊張すんなコレ!」

 ハンターナイフでは頼りない

 

 「目標はノーダメだ!」

 マリンは理想を口にする

 

 「絶対モノにしないと……」

 いくら練習しても元の体重が軽すぎて

 出来なかった…今から必要な技術

 

 

 

 

 

 

 

 トゲだらけの尻尾が来る!!

 

 「ガシュッ!!」

 

 「うおおぉ!!できたぜぇ!!」

 ブルブル震えながら感動する

 

 「こういうことかぁ!!」

 カンナは難なく身に付けたが、なんと

 自分から少し跳んで衝撃を逃がす

 

 ナナキさんが認めた理由が分かる、

 後ろに跳んだナナキさん……

 

 「私には難しいな、けど

 今までに比べたら楽だ」

 体が大きいマリンには合わないようだ

 

 ひと通り出来たみたいだし

 「じゃあここから普通に!」

 

 「やってやるぜェ!!!」

 

 

 

 しかし

 

 足元に走り込むカンナ

 「何か堅いんだけど?!!!」

 

 翼膜を斬るマリン

 「何だこれ!刃が立たない!!」

 

 「切れ味落ちるの早すぎんぜ!!!」

 

 「鱗の小さい所を狙って!回避重視で!」

 「連続攻撃は控えて!!」

 

 ハンターナイフでリオレウス……

 無謀だったか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 半日掛かって倒したが……

 

 「こっ……こんなに……強いのぉ!?」

 カンナは肩で息をする

 

 「と、砥石ギリギリ…」

 マリンも咳き込む

 

 「つれぇ!……でも解ったぜ

 これが強くなるって事か!!」

 地面に大の字

 

 「何とか……なったぁ……」

 砥石を採取しながら討伐、

 神経まで磨り減った

 

 全員が理解する

 

 

 先ずは本人の性能

 

 

 そこに武器防具が加わるだけ

 

 

 素人が最高の武器防具を身に

 着けても、クックにすら勝てまい

 

 強くなるには自分のムダを無くすこと、

 

 

 自分のどこにスキがあるのか理解する

 

 

 モンスターのどこにスキが

 あるのか理解する

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日、それぞれ考えた武器で

 

 防具は同じ、カンナはトトスの

 片手剣、イシズキ、マリンは大剣

 クロフはランス

 

 

 マリンは思い出す、

 

 そうだ、クロフのガードは切っ先を

 地面に付けて斜めにしてた…

 

 「ガシュッ!!」

 

 「出来た!!!」

 私の体だと大剣の方が合う!!!

 

 

 

 

 マリンをみてイシズキが真似する

 

 

 そうか、クロフは応用したのか、

 ぼーっとしてるようで頭イイじゃ

 ねえか……

 

 もしかしたら突進もか?

 イシズキは斜めに受ける

 

 「ガスッ!!!」

 

 やっぱりだ!!逸らす、

 こういうことか!!!

 

 明らかに自分のレベルが上がった

 

 

 

 

 尻尾、突進、噛みつき…

 カンナは全て逸らし始める、

 自分から合わせて小さく跳ぶ、

 

 目がいいの意味が解った、応用できる、

 衝突の瞬間が解る。

 

 『かわす』は出来なくなってきた、けど

 『逸らす』が出来ればガードで固まらない

 すぐに次の行動が出来る!!

 

 カンナは盾の方の手で閃光玉を

 投げる

 

 

 

 

 「凄い、皆自分のモノにしちゃった」

 これはボヤボヤしてられないな

 

 クロフの中にライバル心が現れる、

 しかし本人は無自覚

 

 

 

 

 「じゃあ攻撃!!」

 

 

 

 

 

 

 リオレウスは20分で倒れる、

 以前は一時間位だった。

 

 

 

 「はっやぁ!!!」

 カンナはピョンピョン跳ねる

 

 「ちょっと…もう?」

 マリンはレウスの顔をつつく

 

 「嘘だろ、俺らこんなに強ぇえのか!?」

 手のひらをマジマジ見る

 

 逸らすとはつまり、こちらのガードのスキ

 を減らし、行動に余裕が出ること。

 

 

 

 

 街に戻りベッキーに報告

 

 「あらぁ、リタイアしたの?」

 

 「冗談!成功よ!」

 カンナは鱗を見せる

 

 下位達が騒ぐ

 「早すぎんぜ!?」

 「何で急に…」

 「何があった!?」

 皆不思議そうだ

 

 「へっへー!!そればでもがっ!!!」

 あわててイシズキがカンナの

 口をおさえる

 

 「何でおめぇは口が軽いんだ」

 

 「あ……ゴメン」

 

 

 「腕を上げたようだのぉ…」

 ロクスは大体察しているようだ

 

 「師匠のアレを…」

 

 「教えたのか、自分だけ知ってりゃ

 自分の財産だったのにのぉ」

 ゼニスの報告通り欲が無い、

 自分だけ良い思いしようとか、

 出し抜こうとか……

 

 まぁ基本の一つに過ぎんがの。

 

 

 ギルドマスターが来る

 

 「ホッホッ、次を与えて良さそうじゃの」

 ベッキーを見る

 

 「はい、下位の中でも最高のクエスト

 解放ですね」

 

 「ギルドマスター、いよいよじゃの」

 

 クロフ達は緊張しながら聞く、

 何が始まる?

 マリンだけは理解しているようだ

 

 

 

 「では、これらのクエストを全部

 こなしたら上位の挑戦を認める!!」

 

 「おおお!!!」

 下位に歓声が上がる

 

 「先ずはこれ」

 ベッキーに紙を渡される

 

 

 

 ディアブロスの討伐

 

 

 

 「う……」

 遠くから見たことがあるクロフは

 固まる

 

 「あいつかよ…」

 イシズキも知ってるらしい

 

 「え?…何?ねぇ…何?」

 カンナは知らないようだ、

 固まった二人を交互に見る

 

 そんな三人を見ながら

 「大丈夫、私は戦った事あるから」

 ニコッと笑う

 

 

 

 

 テーブルに着きマリンの話を聞く

 

 「弱点らしい弱点は無い」

 

 「えぇ…そんなぁ」

 

 「ディアブロスの攻撃はさ、ブレスとか

 特殊な能力は無いんだけどさ…」

 

 「楽じゃネェのか?」

 

 「身体能力だけでも凄く高いのよ」

 

 「どのくらい?」

 

 「突進の早さはリオスより上、オマケに

 咆哮がバカでかくて動けなくなる」

 

 本で読んだが、逸らす…通じるか?

 

 「地面に潜って下から突き上げてくる」

 

 逸らす……下から?無理そう。

 

 「でもよ?火は吐かねぇよな?」

 

 「そっかぁ!ゲリョス装備!」

 

 「逸らすと合わされば強わね」

 

 「後は道具の準備と……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 明日からは、マリンに聞いた話を元に

 準備をする、

 音爆弾と閃光玉と……出来れば……

 武器を。

 

 宿舎に上がろうとすると……

 

 「ホッホッ、ベッキー、後を頼むぞ」

 ギルドマスターが外へ出ていく

 

 

 あっれ…珍しい、もう夜なのに

 

 「カンナ、階段の途中で止まらないで」

 マリンが後ろで困る

 

 カンナは階段を降りて

 ゼルドに何か聞きにいく……

 

 

 

 

 

 

 

 (あらあら…勘が良いのか悪いのか)

 

 

 

 

 

 

 

 「クロフ、ちょっと」

 

 「何?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二人で夜のドンドルマを走る

 

 「何?!何が!」

 クロフは手を引かれ走る

 

 「こっちこっち!!」

 

 カンナ足早い!!

 

 

 

 

 

 少し大きめの家の前へ

 

 「ギルドマスターが町長の

 家に行くって聞いたんだ」

 

 ゼェゼェする息を抑える

 「え…それ……が何?」

 

 「解んないのぉ?にぶいなぁ、

 タダゴトじゃ無いって事だよ」

 

 カンナはコソコソと家の周りを調べ、

 窓から中を見ようと背を伸ばすと

 

 

 

 

 「何してるのかしらぁ?」

 

 ビクッと振り返る……

 笑顔のベッキー

 

 「ベッキー……何で……」

 カンナは縮こまる

 

 「何って?ビールを届けに…ね」

 見ればアイルーが台車で

 樽を運んできている

 

 近付くと交互に顔を見ながら

 「大事な話だから

 ギルドに帰ってなさい……ね?」

 笑顔……だけどなぜか気圧される

 

 

 

 

 

 不審に思いながらもギルドに帰る

 「ベッキー…何かさ」

 

 「うん……怖かった」

 

 

 

 

 

 二人が帰る姿を窓から見ると

 

 「ホッホッホッ、やれやれじゃの」

 

 「全く…目が離せないわ…」

 

 「さて」

 ギルドマスターは振り返る

 

 ギルドマスター、ベッキー、町長の他に

 三人いる

 

 

 

 

 

 

 「アッハ!カンナは鋭いねぇ」

 アルトは笑う

 

 「まったく我が弟子ながら困ったヤツだ」

 ナナキも笑っている

 

 「貴方の弟子…だからこそでは?」

 奥の人物はクスクス笑う、

 貴族風の姿

 

 

 「国を動かす摂政である貴方が、

 直々にドンドルマまでお越しとは

 ……何事じゃろう?」

 

 

 奥の人物はマントを翻し

 「貴方だけではありません、四英雄の

 総力をお借りする以上、ココット、

 ミナガルデにもご挨拶は当然……

 本来ならば王が一言……」

 

 深々と頭を下げる

 シュレイド国、国務大臣にして摂政、

 王に次ぐナンバー2

 

 王が若く兄弟もおらず、

 妃も王子も居ないために、

 王の従兄であるこの男は

 第一王位継承者

 

 名を………ルキウス

 

 

 長身の細身に白い女性のような顔、

 金髪を後ろで一つに纏める、

 珍しい紫の瞳が涼しげ、

 まだ若いのに一国を預かる。

 

 

 

 アルトが話す

 「じいちゃん、悪い話と………」

 

 

 目配せして

 「……最悪の話があるんだけど…

 どっちから聞きたい?」

 

 

 

 たっぷりの間を置いてから

 

 「悪い方から聞こうか……」

 

 

 

 

 「ラオシャンロンが此方に来そう」

 

 「それは…準備しませんと」

 町長の人の良さそうな顔の

 眉間にシワが出来る

 

 

 

 

 

 摂政が挨拶に来る程の緊急事態……

 

 

 ワシの予想はハズレて欲しいが……

 

 

 「最悪の方は………」

 

 

 ルキウスは静かに話す

 「伝説が……ついに…」

 

 「うむぅ!予想通りか………っ!」

 シワに埋もれた目を見開く

 

 

 

 「ギルドマスター、俺達は防衛戦

 には参加出来ない」

 ナナキは真面目に言う

 

 「旧シュレイドの調査に行かなきゃさ」

 アルトも真剣

 

 

 「四英雄の本来の使命……

 まだ若いお前たちに託さねば

 ならんとは……

 ワシらが老いてなければ………」

 

 「アッハ!調査だよ!ヤバかったら

 引くからさ」

 

 ギルドマスターは俯く

 

 

 ナナキは出来るだけ明るく

 「それよりラオシャンロンが大きいぜ?」

 

 「なんですと?」町長が聞く

 

 「アタシがジャンボ村で見た個体、

 多分アイツだ」

 

 「なんじゃと!?」

 

 「ギルドマスター殿、貴殿の説が

 証明されそうです」

 

 ナナキは語る

 「ドンドルマの通路はラオシャンロン

 が複数通って造られた……

 

 

 

 

 

 そして…道幅と同じ位の個体が

 存在する可能性あり」

 

 「ちょ、ちょっと待って下さい!!

 道幅一杯!?」

 町長が慌てる

 

 「幅だけで50メートル越える、

 過去最大の個体だってさ」

 

 「南の小砂漠をこちらへ向かっています」

 

 「そ、そんな!大丈夫なんですか!?」

 小太りの体でオロオロする

 

 「町長、慌てるな…いつじゃ?」

 

 アルトは指を1本立てて

 「このペースなら約10日!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌朝

 ハンター、町民、ほとんどの人間が

 中央広場へ集められる、

 入りきれない人々は路地や

 屋根の上まで。

 

 「何だ何だ!?」

 「何の集まり?」

 騒ぐ者がいる中、上位やG級は静かに

 待っている

 

 小太りで人の良さそうな

 町長が前に出る

 

 5000人は居るだろう人に

 聞こえるよう叫ぶ

 

 「皆聞いてくれ!!ラオシャンロンが

 接近中だと報告が入った!!」

 

 「ええっ!!」

 「マジかよ!!」

 「ちょっと!準備!」

 「こりゃ商売になるぜ!」

 

 動揺が走る、皆騒ぎ出す

 

 「ドンドルマはこれより緊急体制に入る!!」

 

 「緊急事態につき、ギルドマスターに

 総指揮を委譲する!!」

 

 

 ギルドマスターが前に出る

 「カンッ!」と杖を鳴らし

 

 「接近中のラオシャンロンは

 過去最大級!!総員準備をせよ!!」

 

 「行商人、ドンドルマ以外の者は

 避難準備!!各商店の品は全て

 ギルドが買い上げる!!」

 

 ベッキーが前に出る

 「各商店は値段変動の

 調整に入って下さい!!」

 

 

 「デカイってどれくらい!!!?」

 声を上げる若い町人

 

 皆その人を見たあと正面に注目する

 

 

 

 「ホッホッ、クロフ前に出ろ」

 (度胸を付けてやろう)

 

 「ええッ!!!!?」

 こんな大勢の前に!?ムリムリムリムリ!!

 ブンブン首を振る

 

 「クロフ君前に出なさい」

 ベッキー……何か怖い……

 

 もじもじと前に出る

 

 

 

 

 「う……え……えと……あの」

 怖い怖い怖い怖い!!!

 背中に冷たい汗、

 膝が震える

 

 「クロフ、この中で近づいている

 ラオシャンロンを見たのはお前だけじゃ

 …お前の主観で良い、

 大きさを言ってみよ」

 

 

 

 

 

 しんと静まり返る

 

 

 

 

 

 嫌だ嫌だ怖い怖い!!ガチガチ歯が鳴る

 

 (クロフには早すぎんかのぉ…)

 ロクスは助ける術を思案するが

 

 

 

 

 

 

 「……………やま……」

 

 

 

 

 ガクガクしながらそれだけを

 ようやく絞り出す

 

 「山…とは?」

 ギルドマスターが聞く

 

 

 

 「に…にひゃ……くメートル位…の…」

 

 どっと笑いが起こる

 

 「200メートルぅ!!!?」

 「バカ言うんじゃねぇ!!」

 「ラオシャンロンはそこまで

 でかくねえぞ小僧!!!」

 

 町中ゲラゲラ笑う!!

 

 

 

 ヤダヤダヤダだから嫌なんだ……

 人前なんて、

 だから喋らない方がいいんだ……

 

 うつむき涙が出る

 

 

 

 「200メートルなんだな!!」

 イシズキが叫ぶ

 周りが静かになる

 

 (ほぉ、イシズキめ、やりよる)

 

 

 クロフは顔を上げ

 「え………………うん……」

 

 「何だあのトサカ頭」

 「今の話信じるのかぁ?」

 「頭オカシイんじゃねえ?」

 

 「カンッ!」と杖が鳴る

 

 「報告では全幅で50メートル、

 全長は200メートル以上!!!」

 

 

 全員が固まる

 

 

 「約10日ほどで来る!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「………お…」

 

 

 

 「や………」

 

 

 

 

 「ヤベぇじゃねぇか!!!」

 「ウソだろぉー!!!」

 「物資買い占めろ!!!」

 「避難!!早く!!!」

 「西だ西へ逃げるぞ!!!!」

 

 辺り一面パニックとなる

 町中が走り回る!!

 

 「周辺の村に緊急連絡!!」

 

 「各班長の指示に従い女子供は

 避難準備!!」

 

 「男衆は各施設の点検整備!!」

 

 「各商店は商品確保と調合!!」

 

 町長とギルドマスターは街の

 役職たちに指示していく。

 

 

 ガルダが叫ぶ

 「ハンター全員聞けぇい!!!!」

 

 ザンッ!!と踵が鳴り、

 上位、G級まで全員直立!!

 

 「聞いての通りだ!!覚悟はいいか!!!」

 

 「おでらで守るぞおおぉお!!!!」

 ゼルドは大剣を掲げる

 

 「ウオオオオオオオオォォォ!!!!」

 

 全員が武器を振り上げる!!

 

 




努力、もがくってカッコ悪いのよ
ただね、
それすら出来ないほど時間がなくなるんだ
あとから気付くんだ


もがける内はもがく。

それが出来る時間があるって
素晴らしいことなんだよ
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