でも人が成長する中で一度は必ず
考えるはず、
下位の作業は3日で終わりに
「あの6人は生きてんでしょ?」
ギルドのテーブル、カンナが聞く
「重傷4人と軽傷……かなぁ?」
クロフが首を傾げる
重傷と軽傷の境界はなんだろう
「顎の骨折と顔面大火傷は軽傷に
入るか?」
イシズキは不機嫌な顔、
シュウ達とツルむからそうなる。
「首に背骨、ランスで殴られたヤツは
頭蓋骨骨折だからね」
マリンは自分の首に手刀を当てる
「双剣使いは無事じゃねえのか?」
「そいつが背骨よ」
人間を投げつけられて無事では無い
マリンはG級のテーブルを見ると
「勝てる訳……何人いてもねぇ……」
「それが分かんないから反乱なんて
起こしたんだね」
珍しくカンナはイシズキに笑いかける
「あんたは別れて良かったね」
イシズキも少し笑う
「あいつらには反乱でも、
G級は遊んでただけだよな」
下位は今日から通常に戻る
「じゃあディアブロスの準備に戻ろう」
「途中で止まってたからな!」
「私アイテム集めなきゃ」
「それよりクロフ、武器どうするの?」
マリンが聞く、あの刃が欠けた大剣
幸い折れなかったが、ラオ戦で
ボロボロだし……
加工屋へ持って行ったら
「良く持ったが……ダメだな」
職人は首を振る
アルトに貰った大剣は役目を終えて
しまった。
手放したくない、師匠とアキシさんに
作ってもらったのに。
「どうしよう……」
ランスがあるけど相性悪かったら……
……まて、そう『聞く』だ、
幸い師匠達四英雄までいるんだ、
こんなチャンスは滅多に無い!
みんなでG級の方へ
イシズキとマリンが緊張する
アルト「使いやすいのにしな」
ナナキ「何でもいいぞ♪」
ガストン「ハンマーだ!!」
ハインツ「まず、砂漠での戦いです、
今まで砂漠で勝率が高い武器で
あることも因子となります」
見事に性格が出る……
ハインツは具体的に言ってくれた、
砂漠……ドスガレオスと戦った、
どうする……
クロフの難しい顔を見るがアルトは
助けない、
少し悩む程度で良い
「アッハ、アンタは武器作りな、
で、イシズキとマリンだっけ?」
「「は、はい!!」」
イシズキとマリンは直立で返事をする
「アタシが素材集めに同行するよ」
「「ええっ!!」」
「良いなぁ、私はぁ?」
カンナが不満そう
「俺がいるだろ♪」
ナナキは親指で自分を指すが
「えぇ~……ハインツさんがイイ」
カンナの目にはハインツの背中に
光と花が見えている
「お前は俺の弟子じゃん!!」
G級達が爆笑する
イシズキ、マリン、そしてアルトは
下位の森と丘、対象はクック
鳴き袋を狙う
「クロフの事、助けてくれたんだって?」
アルトがイシズキに聞く、
今日は大剣
「助けた?……覚えがねぇですが?」
イシズキが首を傾げる
「いつも私達を守ろうとするのは
クロフだよね……?」
マリンも不思議そう
街の広場の話をすると
「クロフが200メートルって言ったら
間違いねぇです」
こっちも大剣、素振りする
「何でそう思えた?」
アルトが聞くと
「あいつはウソつかねぇし、調子に
乗って大袈裟にもしねぇです」
アルトに正面から真っ直ぐ言う
「自分に自信がないせいか
自己主張が弱すぎて、
疑われちゃうのが可哀想」
マリンが苦笑いする
「アッハ!短い付き合いなのに
クロフの事、良く解ってるわ」
アタシよりは長いけどね
「臆病なのは良ぃですが、アイツは
ほっといたら損ばっかりするし」
「引っ込み思案が直らないしね」
「マリンは何でクロフと組んだ?」
キャンプから出て歩きながら
「最初は……カンナの愚痴言うために
二人きりになりたかったんです」
少し俯く
「そうなのかよ?!」
イシズキは初めて聞いた
「で、狩り見たら採取も上手いし
謙虚だし……この人と一緒なら、
強くなれる……かと」
ふぅん、尊敬されてる。
「イシズキ、マリン、アンタ達の過去は
ベッキーから聞いてる」
マリンはビクッとアルトを見る
「アッハ!アタシからはクロフに
言わないから安心して」
マリンは暗くなる
「お前何があったんだ?」
「アッハ!イシズキ!女に詮索は
モテないよ?」
(クロフに合うヤツは心に何かの
キズを負って苦しんだヤツだ、
この子達なら大丈夫)
……………………
「もぉーっ!ハインツさんが良かった!!」
ツインテールを揺らしながら歩く
「俺の弟子でしょカンナちゃん?」
相変わらずインナーだけのナナキ
武器はランス
「カンナはガノスの片手で良いの?」
クロフもランス、火の属性
「眠らせる方が楽じゃない?」
眠らせて、タメ3……理想……か?
「ナナキさんはどう思います?」
「あっはっは!!全部避ければイイ!!」
ふんぞり返る
この人は凄すぎて参考にならない、
いや、G級皆がそうかもしれない
「そんじゃフルフル探すか♪」
「あと光虫ね!!」
結局フルミナントソードを
作り直す事にした
「ところでクロフ、宿題は♪」
「何かが引っかかるんですが……
まだ分かりません」
知ってるはず……なんだけど
勘は悪いみたいだ、だけど人を
育てる才能があったりするかもな。
カンナ自身は気付いてないけど
調合も出来るようになったし、
堅実に片手剣でサポートしてるよう
だし
よく守ってくれたな♪
………………
夜、四人でガストンのいるテーブルへ
「おう!反乱で延びてたな」
ガストンはニコニコしているが、
G級の真ん中、緊張する
「何だぁ?オヤジから直接
話聞いてんのか?」
「幸せだなぁ!クロフ!!」
「さぁて、何が聞きてェ?」
「あの、ディあ
「はいはいはい!!ハインツさんの
事聞きたい!!」
カンナにグイッと横から押される、
カンナには緊張とか遠慮とか
無いんだろうか……
伝説の人だよ?
ガストンはハインツに目配せすると
「ふぅ」
ハインツは溜め息を一つして
「では、私が話しましょう」
「良いのか?」
ガストンが腕組みする、ニヤケながら
「もう過去の、よくある話ですから」
ニコッと笑う、それがまた美人
カンナは身を乗り出す、が、
私も私もと女性ハンター達が集まって、
クロフ達は外側へ押し出される
こんなはずじゃ無いんだけど
………………
10年ほど前
ミナガルデのギルド
一人の酔っぱらいが千鳥足で
ギルドに入る
「ここで一番強いヤツを出せ!!」
酒瓶片手に良い身なりの男が叫ぶ
ハンター達……いや、
数百人の山賊が振り返る
「あ?」
静かな夜の街 ミナガルデ
「ドガァっ!!」
蹴り出される酔っぱらい、
ドアがキィキィ軋む
「何だぁ今の?」
「月に一人は来る酔っぱらいだろ」
「いい酒だわ!!」
「ギャハハハ!!」
酔っぱらいは立ち上がると再び
「ここでぇ、いちばん……」
「ドガァっ!!」
蹴り出されゴロゴロ転がる
また立ち上がると
「つよい……やつ……」
「しつけーぞ!!」
「ドガァっ!!」
「何の騒ぎだ?」
「ギルドマスター、いつもの事でさぁ」
「ただの酔っぱらいですぜ」
「何か変なカッコよね」
「どっかの金持ちかぁ?」
「美形なのにカッコわるーい」
ハンター達は酔っぱらいの持っていた
酒瓶を見る、高い酒だ
服も庶民には買えそうにない
酔っぱらいは這いずりながら
ギルドへ
「強い……」
「この馬鹿まぁた来やがった」
「腕の一本も折るか?」
「待て!!」
ギルドマスターが叫ぶ、
ツカツカと酔っぱらいの元へ
「見た顔だな、立たせろ」
ハンター達は酔っぱらいを立たせて
顔をギルドマスターに向ける
ギルドマスターは髪を掴み
「コヤツは……」
「知ってんのか?中兄ィ」
ガストンも奥から出て来る
「噂に聞く王族の…中兄ィはやめろ!」
………………
「王族ゥ?!!」
下位達は声を上げる
名前にシュレイド…クロフは納得
ハインツはヤレヤレと言った表情で
「本当です、私は王の従兄です、
私の父は先代王の兄……」
少し顔が暗くなると
「そして……双子の兄がいます、
名をルキウス、現在第1王位継承者、
……そして……摂政」
「って事は!!」
「凄い偉い人じゃん!!」
「じゃあ、第2王位!!?」
「摂政って何?」
女達はキャアキャア騒ぐ
「それが違うんですよ、家を継ぐのは
長子と決まっていますので、
私は王族や貴族の長子を一回り
した後……
10番以下です」
「そんなに違うのぉ?!」
「ええ、ですから子供の頃から
双子なのに全然 扱われ方が
違いまして……」
兄は多くの人間に教育され、
知識、教養を身につけ、
親や家中の者の人望、期待に応え、
16歳で職務を持って王宮へ。
一方で私は兄の予備でしたから、
食べるもの、着るものさえ違い、
教育も最低限、これに嫌気が差し、
街の不良仲間と付き合っていました
「兄弟でそんなに……?」
「権力が絡むと色々と……ね」
不良達と街で悪さばかりして、
益々親は私を嫌い、家名を汚すな
と言われ続けました、
しかしそんな環境を一変させる
千載一遇のチャンスがやってくる。
「チャンス?!」
「闘技大会です」
そこで優勝を続ければ王都の兵士、
いずれは将軍になれると、
一般から広く募集されました
「アッハ、ハンターは参加出来なかった
らしいけど」
「俺らが参加したらよ!」
「ハンターの大会になるよな!!」
「人を守るのがハンターだからな!」
「人に武器は向けねぇぜ!」
周りが騒ぐ
親を、兄を見返す機会
不良仲間も揃って参加しました、
そこで私は優勝し続けた
「「「すごーい!!」」」
また女性ハンター達がきゃあきゃあ騒ぐ
……クロフはG級達の顔を見るが、
凄いと思ってなさそう
「それで将軍に……なってない……」
カンナが首を傾げる
「……はい」
剣、槍、何でも使いこなし
何度目かの優勝の後でした、
私はようやく気づいたんです、
仲間としか対戦していない事に
違和感を持ったまま表彰された後、
控え室に行くと
「今回も上手くいったな!」
「ハインツに当たるまでは
負けられねェぜ!」
「組み合わせ上手くしねぇとな!」
「アイツには優勝して貰わねェとな!!」
ハインツが控え室に飛び込む
「どういう事だ!!」
何かの不正?!
「あ……」
「やべ……」
「聞かれたか……」
「どういう事だ!!まさか、俺は……」
仲間の胸ぐらを掴むが
「そうだぜ?俺達が勝たせてたんだ」
振り払う
「……なぜ!!……」
自分は一番強いと……仲間だと……
「決まってんだろ?」
「俺達みてェな野良犬が優勝したって
一般兵で終わりだ」
「その点お前は王族だぜ?将軍だわな」
「お前には早く出世してもらってよ、
俺達を引っ張りあげて貰わねぇとな」
「皆は……本気で……」
戦ってない?私は弱い?
「やるわきゃねェだろ!!」
「お前にケガなんかさせられねェよ!」
ハインツの沈んだ顔、
仲間の一人が話す
「なぁ、ハインツ、大人になれ、
兄貴見返してェんだろ?」
「俺達が上手くやっからよ」
………………
子供の頃から仲間だと思っていた連中は、
いつの間にか大人になり、
私を利用……いいえ
私の名を利用しようとしていたんです、
ずっと私に手加減してました。
「ひっどーい!!」
女ハンター達は声を揃えるが
クロフは考える
(悪い?……これはどうなんだ?
どちらでもない気がする)
アルトはクロフの困った顔を見る
(世の中灰色の話はクロフには……
でも、ここでの経験で理解できるか?)
「出世したいなら当たり前じゃね?」
男達は言う、仲間で協力している……
ハンターと変わりない
まぁ、私も彼等を利用して優勝を
続けても良かったんですが、
ずっと仲間だと、対等だと信じていた
のに手加減され、
裏切られたと感じてしまった
「どうやら私だけが子供だったようで」
結局貴族にもなりきれず、
野良犬の仲間にもなれず、
見返すために強くなりたかった
「それでハンターに?」
「噂で聞いてました、ハンターは
王都の兵士一軍に相当すると」
「で、一番強いヤツを出せ?」
女達が不思議そうに
「世間知らずとは私の事です、
仲間を見返したかった」
拳を握ると
「一応優勝してますし、多少の
自信がありました……それで……」
ガストンを見る
「で、勝負して弟子にしたわけだ」
ガストンが笑う
「勝負になりませんよ、私の拳は
カスリもしなかったですから」
ハインツは爽やかに笑う
ガストンさんと殴りあい?!!!
無謀……
「その数年後、G級になった時に
再び闘技大会に参加しました」
「どうだったの?!」
ハインツは笑う、G級皆が笑っている
「アッハ!ハインツ、照れんなよ!」
「俺から説明するか?」
ガストンがニヤケる
「いえ、自分で……昔の仲間、
兵士になっていた7人を参加させて、
まとめて全員倒し優勝しました……
私は女装してハンターであることを
隠して」
「それって……1対7?!」
「女装!!?見たい!!」
「似合いそう!!」
「凄い美人になりそう!!」
「はい、すぐバレましたが」
190センチで女装……なぁ
女性ハンター達は騒ぐ、
凄いとかカッコ良いとか。
「あの、怖いとか……」
俺には絶対無理だ
「クロフ君、反乱の時のボウガンを
例に挙げますが、兵士7人とリオレウス、
どちらが怖いでしょう?」
「そりゃレウスだわな」
イシズキが頷く
「で?!で?その後は?」
またカンナは遠慮なく聞く
「ハンターのままです」
そして三年ほど前に四英雄になり、
その後王立書士隊へ
加盟する事になった時、
王宮へ呼び出されました
その時兄は喜んでくれまして
「仲悪そうなのに?」
「自分の代わりに世界を見て
教えて欲しいと」
何年も口も利かず、別世界の人間に、
遥か雲の上に思えた兄は……
王宮の中からしか世界を見れない……
可哀想な人になっていました
そんな兄は外の世界を知るために
王立書士隊を設立していたそうで。
(あれ?……どこかで……)
クロフは思い当たる
(アッハ!規模が違うけどね)
アルトはクロフの表情を読む
私が兄を羨ましいと思っていた様に、
兄も私を羨ましいと思っていたそうで、
いつも外に遊びに行く私を
窓から見ていたそうですよ
「じゃあ今は?」
「良き兄、良き仲間です」
また爽やかに笑う
「7人とも和解できましたよ、
私の見識不足もありましたから」
随分と気軽に過去を話してくれる、
これが過去を受け入れた人だろうか
俺は……受け入れ……られるか……
「じゃあさ次私が聞きたい!!」
「えーアタシ!!」
「お肌の手入れは?!」
「何食べたら美人になれるの?!」
女達に囲まれていくハインツ
「善悪……」
隅っこでクロフが難しい顔をしていると
「何か不思議?」
アルトが来てくれた
「師匠、さっきの話はどっちが……」
「どっちも悪くないよ」
やっぱり灰色の話が気になるか
「善悪って何だろう」
「そうだねぇ……
最後は自分で決める物かな」
村では……この子には早すぎた、
今は……どうだ?
「7人は悪……じゃないし……?」
「んー、たとえば反乱は悪い、
だけど起こした方から見れば
こっちが悪いとも言える」
指を立てる
「……立場によって変わる?」
「アッハ!正解!大事なのは自分が
どう有りたいか、どう行くべきかを
しっかり持っておく事」
指でクロフの胸をツツク
「もしかして、それが自分?」
自分自身があやふやな、霧の様な、
酷く不安定に感じる
「アッハ!アタシだってハッキリとはね、
……でも大事に思ってるものは
決して裏切らない、それが自分かな」
「大事に思う……」
俺にとって大事なモノ……
それは……?
週に1回書き込むつもりが
少し早くなってますね、
ちょっとペース落とします