全体の構想の半分も書いておらず、
このペースだと後16ヶ月……
孤独が好きか?
そんな言葉……
聞こえたこともあった
久々に一人で森と丘へ来てみる、
師匠と出会ってからは滅多に
一人で狩場に来なくなった
巣穴の5番
多分ここから始まった
ハンターを始めた場所
『お?良いもの出たねぇ』
あの時突然師匠が現れた
速攻でディアを倒して来たらしい
ここに来ると思い出す
「ランポス三頭に必死で……」
呟く、最近は独り言も言わなくなった
あの頃と比べると人を怖いと思う事
も少なくなったし、話し方も少しは
解るようになった
『毎日人と話す事よ』この意味が
分かった、人と話したから
今の自分が分かる、
自分がどんな人間か解るようになった
ハンターとしても上位まで来たし……
採取しながら考える
師匠はハンターの天辺に居る、
自分が強くなるほど師匠の強さが
理解できる、どんどん遠くなってる。
あそこまでは……
行けなくてもイイかな?
村の守りと道具屋が出来れば……
採取を終えて村に帰ると
「お帰り、お兄ちゃん」
パティが出迎える、これを聞くたびに
思う事がある
「なぁクロフ?目標は見付かったか?」
クエストが無いためインナーのイシズキ
「うん、それはあるんだよ」
こっちは普段着
「ねぇ?ハンター辞めるとか
言わないよね?」
下から見上げてくる
そんな目で見ないでよカンナ
「私はクロフのやることに口出ししない
けど……できればね」
マリンのインナー姿は……
筋肉凄い……
「うん……ハンターは続ける、
また大笑いしたいし」
三人、特にカンナの表情が明るくなる
「でも…もうひとつある……
毎日パティにお帰りって言われたい」
パティの顔が赤くなる、
クロフの事だから分かっていないが
プロポーズのセリフにも聞こえる
「…この村でハンター続けるって事か?」
腕組みするイシズキ
「えーっ!G級はぁ?!!」
「ここで……お別れになるの?」
小さくなるマリン
「だから迷ってる……」
どうするべきだ?
………………
数時間前
クロフが採取に向かった後
「カンナ、オメェもこっち来い」
「んー、何?」
パティと話すのを止めてテーブルに
「これからの事だ、話しておこうぜ」
真剣な顔のイシズキ
「これからぁ?」
とりあえず座る
「クロフ……
村に残るかも知れないでしょ?」
腕組みしてるマリン
「!!…ううぅーっ!!」
うすうすは考えていた事を
いざ言われると……眉間に皺が
「クロフが決める事だぜ?まず各々が
これからどうするべきか」
「考えておくべきよね」
「解散すんの?!やだよ私!」
立ち上がる
「クロフが決める事だ……強制は
できねぇよ……」
「イシズキ!!!アンタは解散したいの?!」
そうじゃねぇよ……俺がクロフと組んだ
理由はな、死なせたヤツと
似てたからだ
引っ込み思案でオドオドしててよ、
ほっといたらシュウ達に利用
されたりよ、心配だったし……
同じ事は繰り返したくなかったからな
「贖罪…だね」
マリンが空を見上げる
「あぁ、でも尊敬もしてんだぜ?一人で
酒飲んでキリンの話聞いたりな、
あの責任感の強さがよ」
笑顔で楽しそうなイシズキ
マリンも話し始める
私は過去の自分と決別するために、
過去の自分を越えたい、
上位になりたいと思って組んだんだ
最初はただ知識を教えて貰えれば
イイかなって思ってた
けど気に入っちゃったからね
「マリンも好きって事ぉ!?」
ライバルが増えるのか?!
パティの目もキツくなる
両手を前に出し首を振る
「違うよ!その好きじゃないよ!
イシズキと同じ、人として尊敬してる」
「俺とマリンはハンター続ける、
ドンドルマに戻るつもりだ」
「クロフが残るなら反対はしないわ」
「解散したくない!!クロフと
一緒に居たい!!」
また泣きそうになる
「私はお兄ちゃんに危険な事は
してほしくないけど……」
カンナの前にジュースを置くパティ
「それは心配なさそうだぜ?アイツは
無理と分かったら即リタイアだしな」
パティに向かって笑う
「なにより安全重視だしねぇ、
初めて戦うモンスターは大体ね」
「最初は臆病だと思ってたけど、
アイツはミエ張ろうとか……無いよね」
下を向くカンナ
自分の強さを一切自慢しない、
自分を大きく見せようなんて考えない
だから平然とリタイアもする
そして…強くても……G級になろうとか
威張ろうとか考えない……
「で!だ、……カンナ、オメェどうするよ?」
「G級……なりたいけど……」
私は何でなりたいんだ?
四英雄の弟子だから?
私は……
チビって言ってた連中を見返したい…
見栄じゃん!!ただの見栄じゃん!!
目標なんて呼べるものか?!
そんなきっかけなんて今はどうでもイイ
どうでも良くなった、
クロフと一緒に居たい!
G級になりたい!
「うううーっ!!」
唸るカンナ、
小さな子供の葛藤のように
「イシズキもマリンもドンドルマに
戻る……」
「あぁ、師匠もいるし」
「仲間の墓もあるし…離れ難いわね」
「うぐうぅぅ……クロフの意見に
合わせるぅぅぅ……」
下を向き、シカメっ面で拳を握る
二人はホッとする、もっと機嫌が悪く
なるかと思ったが、
クロフを困らせたくないと考えて
自分を抑えたようだ。
昨日の一件で成長したかも
………………
村長も帰って話に入る
「ヤー、オイラはクロフが上位になった
だけでも十分だよ」
元上位ハンターの村長、悪くない
「私もお兄ちゃんに居て欲しいし」
話し合うが、クロフが村を出る理由が
見付からない
カンナは歯軋りするが
ガマンするしかない
「あ、伝書鳩」
クロフが指差す
上空を一回り旋回すると、
降りてクエストボードに
パティが脚から手紙を取り出す、と、
「……え……?」
「ヤー、何?どうしたのパティ」
船長からとか?
パティが読み上げる
「緊急、巨星と新星堕つ
……四英雄敗北…王立書士隊本部」
「「「「ええーっ!!!!」」」」
一斉に立ち上がる!
「敗北って!!師匠達が負けた?!!」
アルトは無事なのか?
「マジか!!あの人達が?!
バケモンのG級の中でも最強だぜ?!」
「ちょっと!巨星と新星って……」
カンナを見るマリン……まさか
「ガストンさんと…まさか師匠!!?」
カンナが村長を見る、この意味は?
「ヤー……堕ちた……」
腕組みして下を向く
「どうやら…命を落としたようだね…」
「やだああぁぁあぁぁ!!!!」
ナナキが死ぬ?信じられない!!
運命や流れは突然に、または
気付かぬ内に動き出す
「クロフ、ドンドルマに向かう理由が
出来たね……」
村長が真剣な顔で
「うん…パティ……もう一度行くよ」
あの人達には多くを教えて貰ってる
無言で抱き付くパティ
いつもなら真っ赤で照れるクロフだが
「大丈夫、危なくなったら逃げるから」
パティの頭を撫でながら
「やだぁ……行っちゃやだぁ……」
シクシク泣き出す、思えば泣き虫だった
筈なのにずっとガマンしてたんだ
「うそだぁぁあぁぁあ……」
マリンに抱き付き泣き出すカンナ
「まだそうと決まった訳じゃねぇよ、な?」
イシズキもなだめる
「今は船が来るまでは動けない、村長、
大工仕事とかもあったらやるよ?」
「ヤハハ……ありがとう!」
見違えるほど男らしく
なったじゃないか、
あの小さくてヒョロヒョロだった子が
クロフが次に帰って来たら……
オイラが居なくても……
オイラの贖罪も……終わる
数日後
船の出発の日
「何じゃあ!?この人数は?!」
船長が驚く、
クロフパーティーは勿論だが、
この辺りからポッケまでの辺境地域、
そこに散っていたギルドナイトと
書士隊が集まっている、
行商人も合わせると……
この交易船が空以外の唯一の
交通機関らしい
「こんなに乗るのぉ?」
カンナが心配する、ざっと20人
「すみません、我々全員に緊急召集
が掛かりまして」
ギルドナイト達も頭を下げる
「……四英雄敗北って……」
クロフがギルドナイト達を見る、
何か知っていることは……
「我々も信じられません……」
青い服の一団も動揺しているようだ
「港町でもその話で持ちきりでよ!」
「信じてねぇヤツばっかりだぜ?!」
船乗り達
「こりゃあギリギリだのぉ」
「ヤハハ、安全にお願いしますよ?」
「わかっとるわい」
村中が集まっている
「父さん、母さん、行ってきます」
「必ず生きて帰って来いよ……」
ヨシが頭を撫でる
「あんたの帰る家はここにあるからね」
メヒコは涙を浮かべて抱き締める
「ホラ、パティ!」
村中に言われ泣き顔のパティが
前に出るが
「やだぁ!!行っちゃやだぁぁぁあぁ!!」
美人が膝を着き泣き崩れ、ボロボロと
涙を流す
聞けばクロフに会おうとドンドルマに
行きたがったのを、何度も止められ、
この数ヶ月ガマンしていたそうだ。
やっと会えたのに……
たった2週間で……
「……おいクロフ……」
このまま出発して、もしもの事が
あったら後悔するはず、
これ以上泣かせるのは辛い
「クロフ……こういう時はさ……」
パティにとって親以上、恋人以上……
特別な存在、泣き止ませるのは……
イシズキとマリンは何も言えない、
クロフしかいない
気の利いた事をバシッと……
言って欲しいが……
「大丈夫、必ず帰って来るから……」
これしか言えない
ズカズカとカンナが前に出る!
パティの前でしゃがむと
「パティ!!顔上げて!!」
パティの顔を両手で無理やり
自分へ向ける
「?」
鼻水まで出してる台無しの美人
「クロフは私が守る!」
一同「え?……」
「必ずクロフに
『ただいま』っていわせる!!」
クロフを指差し
「コイツを必ずココにもどす!!
アンタに『おかえり』っていわせる!!」
「カン……ナぢゃ……」
「立って!!」
カンナに助けられながら立つパティ
カンナが抱き締める
「浮気したら私が殴る!!」
「……え?」
「絶対に死なせない!」
「……うん……」
カンナは離すと
「今度帰って来た時は私と勝負だよ!!」
「……」
今度は無言でパティが抱き付く
「お兄ぢゃん……クロフをお願いね」
涙と鼻水で台無しの美人が
泣きながら笑顔を作る
「任せて!!」
「時間じゃ!!行くぞ!!」
船に乗り込む
「いっでらっじゃい!!」
泣きながら手を振る
クロフ達も
「行ってきます!!」
カンナが声を張り上げる
「泣かないで待ってなぁ!!!」
船が動き出す
「おいクロフ、イイとこ全部カンナに
持ってイカれたぜ?」
ニヤケるイシズキ
「何か言うことあるでしょ?」
マリンに横目で見られる
一番前にクロフは出るが
「あ……えと……」
「バシッ!!」
カンナに尻を叩かれる
「あっあの!!」
全員が注目する
「パティ!!帰ってきたら……
私の人生における後悔や反省を、
モンスターハンターのフィクションに
織り交ぜて描いてきましたが、
私自身の現実の経験がネタ切れですので、
私の分身であるクロフ君を中心にした
物語は、ここで一回区切りとさせて頂きます。
ここからは外伝に入ります。
あ、クロフの最後のセリフは想像して
楽しんで下さい。