改行失敗など、恥ずかしいかぎりです。
「アンタさぁ、口が利けないわけ?」
青年は黙りこむ、
エリア9番を二人で歩く、
ツノはクロフが持ったまま。
集落で族長と女ハンターが確認する。
クロフは蚊帳の外。
見たこと無い猫族が持ってきたこと、そいつは
タダで置いて行ったこと、
その上ジャンボ村の村長から今朝
「ヤハハ、今日この集落にディアブロスの素材
を持ってるヤツが来る、
タダでくれるからクロフに渡して」
「にゃ?それは取り引きかにゃ?」
「お使い……かな?」
「タダかにゃ?」
村長は少し考え
「ヤ!わかった、明日マタタビ50個ね。」
クロフが持ってるのもあげると告げ、
帰ったとの事。
つまりこの取り引き自体が村長に
仕組まれたもの、
クロフの20個は もののついで。
だけど一番の被害者は、
「あー腹立つ、
あの竜人村長ってなに考えてんの!」
これじゃあクエスト内容はともかく、
ギルド責任者である村長自身が
協定違反をした事になる。
「そのうえ口下手で話にならないヤツいるし!」
傷つく。
「名前は?」
聞いてくる、人に名前を聞くときはまず………
「名前!!!!」
ビクッと体を震わせ、
「クロフです………」
「アッハ!名前あるじゃない」
自分はアルト、フルネームは長くて嫌いだから
アルトで良いよと答える。
長い?
「あの…」
「何?」
怖い
「さっきの…あの…ブチの……」
「多分アイツは使いだよ、村長の。
放り投げずに掴んでおけば良かった」
そして
「村長に話を正さないとね、
事によったらブン殴る」と村に帰る事にした。
名前が長いって事は………
「あの…………」
「何?ハッキリ言いな」
だから怖いってば
「あの…キノコ…」
「キノコがどうした、ハッキリ言え!」
「キノコ…採りたい…で」
「採るぞ」
食い気味。
再びエリア8 入ると…またあの猪ブルファンゴ!
しかしクロフは恐れずキノコ採取に入る。
え?こいつバカなの?
アルトは見ているとファンゴは走り出した。
助けないと!クロフに言おうと見ると。
クロフはスッと立ち上がり三歩ほど後ろに下がる。
ファンゴは急に曲がれない、
クロフとキノコの間を走り抜ける。
目の前を猛スピードで通過すると、
クロフは再びキノコを取る。
え?偶然?
ファンゴは向き直り再び突進、
またクロフは避ける、無表情のまま平然と。
(コイツ誰に教えられた?)
また全部は採らずに少し残す。キャンプへ。
「クロフ」
毛布を畳みながら青年は振り向く、
目は合わせない。
「誰に教えられた?」
クロフはただ挙動不審になるだけ。
「さっきのファンゴの避けかただよ!」
村長に…帰ってきた言葉はそれだけ。
アルトは納得出来ない、
あれは殺さない避け方だ。
ランポスからどう逃げる?の質問には、
「ジグザグ……………」
正解…確信する。
普通村単位で狩りをする場合多人数で戦う、
だがクロフの答えは一人か極少人数の場合、
間違いない、コイツはハンターの基礎を
自然に教えられている。
……そして人嫌い。
ジャンボ村、ジャングルの川辺の小さな村、
貧しいが近年交易船が定期的に
来るようになり、豊かになりつつある。
パティが昼の強い日差しの中、
手を振りながら走ってくる。
デスギア装備のハンターに「お疲れ様でした」
と挨拶するとクロフに大袈裟に
「おかえり!良いもの採れた?
持ってあげてるの???」
ツノは持たされているが
「うん」
それだけ答える、籠の中身からキノコ類を
取り出して見せる。
……へーえ、この子…
「パティ…だっけ、村長いる?」
怖いデスギアが問う。
「フラフラしてます」
村の中央、クエストボードがなければギルド
と言うより船着き場。
船乗り、乗ってきた行商人達が少ない
テーブルとカウンターを囲んでいる。
なんだこの村?おかしい。
アルトはこの村の異常に気付く。
船乗りと同じテーブルに鼻が異常に高く、
耳は長く尖り、
人間の数倍長生きする竜人がいる、
手足の作りも人と似ているが違う、
ちなみに糸目。
パティが呼ぶと振り返り固まった、
この竜人が村長。
クロフとアルトが一緒のところを見て
なぜ動きが止まるのか、
デスギア装備は今朝見ているのに。
アルトは何かに気がついたようで、
「よーう村長!今朝ブリだな」
「ヤハハ…ディアブ」
「誰かさんのお陰でクエスト放棄だよ!」
食い気味
「村長、後で話がある」と告げる。
アルトはパティとハンター用の小屋に向かう、
今夜の寝床の準備だ。
途中パティは振り返り、
道具屋に向かうクロフを悲しそうにみる。
夕方、仕事を終えた村人と船乗り達が集まり、
愚痴と天気、相場の話をしている、
酔っぱらい達が一様に歓声を上げる。
「おおおおぉー!」
何事かと人が自然と集まる、
その中心にアルトがいた。
ふんわりした長袖にスカートを着た
まるで貴族かお姫様、
村の真ん中に突然大輪の花が咲いたようで
質問攻めにあっていた。
この村にブラウスと
フレアスカートを知るものはいない。
私服は更に色気がある、しかも所作が綺麗で
笑い方も上品、
見とれてボンヤリしているオヤジもいる。
「じゃ姉さんがあのポッケの古龍を?!」
「いやあれは仲間が…」
ワイワイと騒ぐ酔っ払いを掻き分けてパティが
ビールを持ってくる。
アルトにはまったく似合わないがジョッキで
ビールはハンターなら普通らしい。
世の男は古今東西 美人の女性が酒を飲む所を
下心や淡い期待、色々な感情を持って見る。
このお姫様はどう飲むだろう、
きっと両手に持ってちびちびと…
衣装のお陰でパティがメイド、
そしてメイドが仕える王女がアルト、
とにかく絵になる。
が
アルトは「ガシッ」っとジョッキを鷲掴みに
すると片手で、
「ゴッゴッゴッッ」
喉を鳴らしながら一気に流し込み飲み干した。
「ぶはぁ、うまあぁ!」
高価そうな服の袖で乱暴に口を拭う。
テーブルにダァン!とジョッキを置き、
最後は豪快に「げふぅ」とおまけ付き。
(おっさんだ)
(オッサンダゾ)
(中身はタダのおっさんだ)
見ている一同が一瞬固まると、
「おぉ!いい飲みップリだのぉ」
色黒でナマズのようなヒゲを生やした
太った船長が言う、と、また歓声が上がる、
「いいぞ姉さん!奢るぜぇ、
パティちゃん!お代わりだぁ!」
威勢のいい船乗り達が 囃す。
いつの間にか「姉さん」で統一されたようだ。
しばらくして村長が何処からか帰ってきた、
村の騒ぎを嬉しそうに眺める。
「ヤハハ、久しぶりに賑やかだ」
「どこいってたんですか!」
洗い物と料理、給仕に
忙しく動くパティに怒られた。
村の女達もアルトの周りに集まり
服の作りと縫い目を見せてもらったりして、
「あたしにゃ一生買えないねぇ」
「おめぇにゃ似合わねぇよ」
「アンタの稼ぎが悪いからさぁ!」
辺りから笑いが絶えない。
「なんだよぉ、こんな美人が同じ船にいたのかよ、
防具脱げば良かったのに」
「アッハ そりゃアタシだって女だよ、
少し位用心するさ」
アルトは肉をかじる、これも豪快に。
「あんな怖い防具より何かこう…分かんないかなぁ」
すっかり日が落ち月明かり、
ほとんどの人は家に帰る。
蝋燭は高価だし、薪も節約したい。
喧騒が過ぎた後、
小さな篝火に照らされたアルトが
「さぁて、パティ、手伝うよ。」
「え?そんな、いいですよ(拒否) 」
そんなパティの言葉を受け流し片付けと
洗い物を手伝う、
パティは驚く、手際が良すぎる。
「パティは働き者だね」
「料理は苦手ですけど」
「まぁ慣れだよねぇ」
大分飲んだ赤い顔の美人が皿を洗う
「早いですね洗うの」
「そりゃアタシもやってたし」
「え!アルトさん元ギルドスタッフ?」
「アッハ!そうよ?意外過ぎる?」
二人が作業を終えてテーブルに着く、
既に酒を飲みながら村長が待っている、
二匹のアイルーと一緒に
アルトは先ほどとは違う冷徹な声で話始める
「村長、言い訳をきこうか?」
「ヤハハ……オイラの家で」