生きる事は悩むこと   作:天海つづみ

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朝焼けの作戦

 

 

「ヤハハ…何から話そうか」

 

「先ずは今日の協定違反よ」

 

「え!協定違反?」…パティは二人の顔を見比べる。

 

村長の家、装飾などない粗末な内装、

丸い大きなテーブルの周りに切り株のイス、

しかしテーブル上にこの村では高価なランプ

があり明るい、

この家で取り引きや商談もするのだろう。

 

二匹のアイルーが村長の横に座る、

一匹は真っ白な毛並み、名前は白、

普通の方はタマ。

 

「あんた、頭黒いよ」

真っ白にアルトが言うと

 

「にゃああっ!!」と手で隠そうとする

 

「この子ブチ無いですよ」

とパティは不思議そうに見る。

 

「アッハ、う・そ♪」

 

その様子を糸目で見ながら

 

 

「先ずは、ですか……ヤハハ、バレてるし」

 

「バレたね……で?その真意は?」

 

「クロフを弟子にして頂きたい」

 

 

「予想通りだが酒の上の話かい?」

アルトの目が鋭くなる、

テーブルの向こうから睨む。

 

 

「ヤハハ…オイラは本気で…」

 

 

 

ダン!!!!

 

 

アルトが立ち上がる

「それはあんたの

後始末を手伝えってことか!!!?」

 

テーブルを越え殴らんばかりに。

 

壁に映るアルトの影が大きくなる、

パティは怯えて後ずさる、

二匹はテーブルの下へ。

 

「ヤハハ、全部お見通しですか、

先ずは協定違反からですね」

落ち着いて答える。

 

 

 

 

村長は語り始める、

通常ハンターには常に二匹のアイルーが付く、

このアイルーはギルドマスター(村長など)が

契約して、ハンターが力尽きた場合に限り、

どんな状況下であろうと救出する

通称【猫タクシー】を組織する。

 

  

これこそがギルドのハンターと村の勇者を

明確に分けている。

 

村の勇者はモンスターに負ける事は

死を意味する。

 

それが常識。

協定違反はギルドとしての運営の信用を無くす

危険な行為。

 

もっとも今回はメラルーに関する方だけ、

しかし信用は揺らぐ。

 

村長は二匹のアイルーと一緒にアルトの後を

追いかけた。

 

予想以上に狩りは上手くて簡単に角を折る。

 

 

「ヤ!こりゃ急がないと、手順は分かってる?」

 

「にゃ!任せろにゃ!」

 

村長は砂漠から森と丘の集落へ。

 

白は事前に渡された炭粉でメラルーに化け、

何でもいいからディアブロスの素材を盗み

森と丘の族長に渡す。

 

タマは砂漠の集落から白の代わりになる

猫族を見付けて、

万が一アルトが倒れた時に備える。

 

 

 

朝焼けの作戦が決行される。

 

準備時間が無いとは言え上手く行くと思った、

 

 

が、二つの誤算が発生。

 

一つはアルトが不審に思って狩りを放棄、

森と丘へ行ってしまった事。

 

「アッハ!あんな怪しい猫初めて見たよ」

白が俯く。

 

もう一つが白の化け方が予想以上に下手

だったこと。

 

 

狩りの最中にメラルーの攻撃を受ける事は多い、

 

が、通常はハンターのポーチを狙う、

 

だが白は真っ先に折れた捻れた角を

取ってしまった。

 

その上炭粉で真っ黒にしたのは良いが、

体の前面だけ、後ろは真っ白。

 

猫が角を頭上に掲げながら二足で逃げる。

 

「ヤハハ、まさかそんな状態だったのか」

 

「にゃにゃにゃ…」

いくら器用でも

手の短さはどうにも出来ない。

 

不審に思ったアルトは狩りを放棄、追跡する。

 

森と丘へ白が角を持ったまま入る。

 

アルトは躊躇う、

 

「一度に複数の狩り場に行くのは

クエスト違反だしね、密猟とか」

 

しばらくするとクロフが入って行くのを見た。

意を決して入る。

 

クロフが毛布を干してから1番に行くのを見て、

一応見付からないようにキャンプに入り、

エリア1へ、

 

「キャンプから1番に出ようと見たらさ、

まだクロフは歩いてんのよ。」

 

8番にクロフが移動する

 

「そしたら2番から怪しい猫が走って来てさ、

水辺で体洗い始めたわけ」

アルトは笑いながら言う。

 

「水に入りたく無いんだろうね、

手でちょこちょこ洗うからマダラの

ブチになったよ」

 

体を洗うブチ猫の首根っこを掴み振り向かせ

 

「おい!」死に神のごときハンターと目が合う。

 

にゃぁぁ怖かったにゃ。と白。

 

「アッハ!なに聞いても喋らなくてさ、

角も無いし、でも考えれば猫が行くとこって

猫族の集落しか無いわけじゃん」

 

クロフに捻れた角を族長が渡す、

 

アルトと出逢う

 

その辺りは?アルトが聞く。

  

「ヤハハ、族長に聞きました、暴れたそうで」

 

「加減はしたよ」

 

 

 

 

あの…パティが久しぶりに口を開く

「協定違反してまで村長は

何がしたかったんですか?」

 

「ヤハハ、解らない?」

 

 

 

「まったく手の込んだことを…村長はね

アタシとクロフを会わせようとしたのよ」

 

「それだけ!?」

 

二人とも頷く。

 

「え!え?なんで……」狼狽えるパティ

 

アルトは語る

「アタシがこの村に来てさ、村長の薦めで

弟子にさせようとする、会わせようと

したらあの子(クロフ)どうする?」

 

 

「逃げますね 、会っても喋らないし

喋ろうとしない」

 

「アッハ!正解!あの子コミュニケーション

苦手だし」

人が嫌いか自信がないか、

人と目を合わせない。

 

 

 

つまりどちらが先でも後でも、村に帰ってきて

クロフがディアブロスの素材を

持って帰った事実があれば、

「アタシが問い詰める、

嫌でも話をするしかないってわけ」

 

「ヤハハ、それが一緒に帰った来たから」

 

「固まった訳ですか…」

 

これが顛末。午後から居なくなったのは…

「ヤハハ、この子たちの回収と族長に

話を聞きに行って」

 

「川で洗われてたにゃ」

 

白は身震いする、嫌だったのだ。

 

 

「嬉しい誤算になったよねぇ?」

 

「オイラの作戦が上手くい」

 

「まんまと踊らされたよ、

アンタが思う以上にね!」

食い気味

 

パティが不思議に思う。

えっと、それは、良い話?かな?

あれ?なんだろう、何かがおかしい。

 

アルトの目が鋭くなる。

 

 

「ヤ~、もう遅いからパティは寝」

 

 

ダァン!!!!

 

 

「パティにも聞く権利があるだろ!!!!」

 

そうだ、後始末?何?クロフとどんな関係が?

パティはまだ本題に入っていないことに

気付いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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