趙公明がアンニュイな訳がない   作:シアス

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術は要らない子だなんて言ってないよ

しばらく同期と姚斌さんの基礎部門に出て、一般的な瞑想や仙人としての鍛錬方法を教わった。

なぜか同期達から引かれていて、親しい知り合いを作ることの出来ない授業だったが、すごく安全で心からホッとする。

あんな無茶な修行をした後だから、ちょっと物足りないとか全然思ってないから。

本当に本当だ。

フリじゃないよ?

ビバ、成長性より安全性。

それよりも、危険な方が成長できると思う考えは間違っていると兄様に訴えかけたい。

たぶん聞き入れてはくれないだろうけど。

 

おっと、集中力が乱れてしまった。

今は、一人で黙々と瞑想をしている途中だったのだ。

それぞれに都合があるので、師匠や各部門の仙人達が直接指導する時間は思ったより少ない。

決まった日にそれぞれの教えやカリキュラムを守っているかの確認や、成長に合わせて仙道としての格の査定、他にも修行が合ってない場合の相談や、兄様による突発的なイベントなどなど数えるくらいしかない。

ちなみに兄様のイベントは俺を正式に弟子にしてから減っているそうで、先輩達から感謝されていた。

そのイベントのほとんどが俺専用になった感じがあるので、全然嬉しくないが。

 

そういえば宝貝部門だが正直言って金光さんは、いつか過労死するんじゃないかと思うほど過密スケジュールだった。

まずは宝貝の使用法や作成に関しての授業なのだが、今は凄く熱いので希望者や再受講者が多く、授業が開かれる回数がダントツで多い。

次に、発掘された宝貝の解析は、量はそれほど多くは無いのだがオーパーツ過ぎる物などが多々あり、なかなか進まないのが現状だそうだ。

そして、最も多く時間が取られるのが宝貝の開発らしい。

個人的な開発なら時間がかかるのは仕方ないかもしれないが、今は宝貝の開発は手探りが多いので行き詰った仙道からの相談や、試作実験でのトライ&エラーはやはり膨大な時間がかかるそうだ。

中でも、ネックになるのが素材らしいのだが、やはり貴重なので自身で取りに行くか通天教主様主導での大規模な採取部隊の結成などで賄っているらしい。

もちろん採取は危険が多いので、上位の仙人が駆り出される事が多く、素材が大量に必要な宝貝部門は率先して参加しているらしい。

なので、未だに妖怪になっておらず未熟な仙道である俺が宝貝欲しさに、金光さんの所に行くのは迷惑だと察した。

念願の宝貝は、まだまだ先になりそうだ。

凄く無念である。

宝貝を作りたいなら兄様や姉様達に聞けば良いと言われそうだが、方針としてはまだ早いと言われているし、あの人達って天才肌だから教わるのに不安がある。

ちなみに修行内容にも不安があるから、それが拍車をかけているのだ。

 

あとは、術部門だがお察しである。

道のりが長いのに適正が必要とか、欲しい術が無理だった時点で行かない人が多いそうだ。

どの術に適正があるか一々確かめないといけないし、そんな事よりも修行や宝貝だって風潮が流れている。

そんな事を考えていると、一人の道士から張紹さんが呼んでると伝言が来た。

あれ?失礼な事を考えているのが読まれたのか不安になりながら術部門の部屋へと向かった。

 

「何やら宝貝が欲しいそうじゃないか?正大は共に術部門を盛り上げてくれるとばかり思っていたのだが」

「あ、いや、まあ、術には現在のメインウェポンだし頼りにしてるけど、それはそれとして、やっぱり今流行りの宝貝は欲しいと言うかなんと言うか」

 

うん。なぜか口から言い訳が出てしまった。

宝貝は良い物なのだから、欲しい事自体悪い訳ではないはずなのに。

 

「まあ、この際だから言っておくが初回に来る新規を除けば、この部門を利用しているのは正大と姚斌と金光の三名くらいだ。このままでは、術が廃れるだけでなく廃部の恐れもある」

「姚斌さんと金光さんもですか」

「ああ、彼らも古い仙人で術を修めていたから、一応術派なのだよ」

 

口から出そうになったが、術部門を宝貝部門に統合した方が色々と合理的な気がするとか言わなくて良かった。

金鰲島でも上位に入る三名の心象を悪くしそうな発言は、ここでの生活を脅かしそうだからね。

 

「しかし、意外ですね。術の盛衰は気にしていたみたいですが、部門の存続も気にしていたなんて。そう簡単には無くならないと思いますよ」

「そうは言ってもだね。実績が少ないのだよ。それと何であろうと一部門のトップに立っているのに、それを下ろされるのが嫌なだけだね」

 

心配している理由が、とても俗な動機だけど、なんとも納得のいく動機であった。

 

「まあ、今回呼んだのは少しばかり術部門を手伝って欲しくてね」

「それは、お世話になったので可能な事なら協力したいですよ」

「助かる。詳しくは姚斌が来てから話そう。ちなみに金光は忙しくて無理らしい」

 

姚斌さんも金光さんも術部門に協力的なんだね。

本当に余計な事を言わなくて良かったよ。

そんなことを考えていると、すぐに姚斌さんが来た。

 

「来たな姚斌。さっそくで悪いのだが、以前から頼んでいた事を実行にうつして欲しい」

「本当にさっそくだな。これは簡単には出来ないと思うぞ」

「それでも、次のステップにうつるのに必要な事なのだ」

 

いきなり会話から置いてかれました。

俺はいったい何をされるのでしょう?

 

「ああ、すまない。正大には説明が必要だったね。簡単に説明すると、術のハードルを下げる為に、簡易的に術を発動する為の触媒を開発しようと思ってね」

 

うん。素直に宝貝作った方が良いと思ったけど口には出さないよ。

 

「その前段階として、正大には術符の作成を習得して欲しい。術符とは、紙に決められた図式をエネルギーを使って書く事によって、使い捨てではあるが爆発やら発火などの現象を起こせる札なのだ。あいにくと私の手はふさがっていて、指導できないので姚斌に頼む事にした」

 

うん。そりゃあ手で立っていたら、手はふさがってますよね。

でも、俺はこの前の飲み会で知っている。

張紹さんの手は、普通の長さまで縮めることが出来るので、普通に地面に足で立って手の長さを縮めたら可能ではないのかと?

酒宴では、片手で立って片手で飲むをやっていたので、このスタイルは何かこだわりがあるのだろうか?

 

「口で説明するよりは見て貰った方が早い。これが爆符だ」

 

そう言って姚斌さんは札を投げると、壁に張り付いた札が爆発した。

ちょっと、いきなりそういう事をされると驚くじゃないですか!

しかも、上手く遠くの壁まで飛んで行ったから良かったけど、これもし途中で地面に落ちていたら俺爆発に巻き込まれてましたよね?

あと、壁に穴が開いてるんですが!

 

「姚斌よ。自慢したいのは分かるが、いきなりは驚くだろう」

「え?それだけですか?壁に穴が出来てますよ」

「ちょうど広くしようと思ってたから問題ない。あれくらいの大きさなら収納スペースと言った所か。むしろ、もう少し大きくても良かったかもしれない」

「張紹よ。それは挑発か?威力を抑えたのだが、もっと吹き飛ばしても良かったのだぞ」

「いえ、普通に十分驚きましたから。術符って凄いですね。これは誰にでも使えるんですか?」

「ん?ああ、威力は札の制作者と使用者のエネルギーによるが、仙人なら使えると思うぞ」

 

これは、けっこう便利そうな予感がする。

教えてくれると言うのなら、興味がわいたので教えて欲しい。

でも。俺は、兄様との生活で、そんな餌にを何度も繰り返してきたんだ。

そろそろ学習している事を証明せねば。

 

「それでデメリットはなんですか?」

「デメリットか?それはたくさん有るな。まず使い捨てという事だな。次に紙だから水に弱いし、起動する前に燃やされたら効果出ないので火にも弱い。それと寝てる時にウッカリ発動させて誤爆したら目も当てられん。他には、別途で上手く紙を飛ばす術も必要で、それがないと思わぬ方向に行って大惨事になるだろう。そして最後に、慣れても一日に数枚しか作れなくて凄く疲れるという事だ」

 

うん。本当素直に宝貝作った方が良いと思います。

 

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