趙公明がアンニュイな訳がない   作:シアス

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これは天罰だと思います

拝啓。

炎上している兄様へ。

絶対に罠だと主張したのに聞き入れないから言わんこっちゃない事になってるじゃないですか。

あと、俺が食べるの我慢してるのに美味しそうに食べたり、俺の分のアップルパイも食べたから、これはきっと天罰だと思います。

 

違う違う。

あまりにもビックリしたから現実逃避して帰って来れない所だった。

とりあえず俺の足元からは火が噴出してないけど、いつ炎上するか分かったもんじゃない。

しかし、これ一人しか燃やせないのかな?

あっちは、まだまだ凄い火力が出てるけど、こっちはなんともないし。

だけど、いつまでも足元の模様の中にいるのは嫌な感じがするので移動しようか。

え?何この模様追いかけてくる。

とっても怖いんですけど!

 

そうこうしていると、次に進む扉が開き男女の話し声が聞こえてきた。

 

「やはり、こんなお願いを聞いてくれる者などいないですね」

「ええ、私もそう思うけど、この火炎封印を作動させる仕上げに必要なことだから」

「そうですね。実際に、あの指示に従って次の部屋に来られたら逆に困る所でした」

 

術が作動したから、こいつら様子を見に来たのか。

男も女も体の大事な部分も包帯で隠しているだけの大胆な格好である。

まあ、俺も蔦でグルグル巻きな服装だから人の事は言えないが。

しかし、一番の特徴はお互いの手を包帯で繋いでことだろうか?

だけど自由な方の手にも、足にもバンテージよろしくグルグル巻きである。

包帯が原形なのだろうか?

とても料理をする人には見えない。

 

「しかし、カウント六は火力が違いますね」

「ええ、普通の相手であればカウント二か三あたりで致命傷ですし、これなら骨も残さず無に回帰することでしょう……」

 

あ、男の方と目が合ってしまった。

部屋の角で空気になる事を努めていたのに、やはり遮蔽物が無いと隠れるとか無理ですよね。

うん。時間稼ぎにもならないと思うけど、ここは普通に挨拶して話し合いで解決できないか頑張ってみよう。

可能性がゼロじゃないなら、やる価値はあると信じたい。

 

「はじめまして。妖ゲツの趙正大です。以後お見知りおきを」

「「え?これは丁寧に、私達は白礼(はくれい)です。ようこそ御客人」」

 

戸惑われたけど、普通に挨拶を返してくれたよ。

もしかしたら良い人達で、話し合いに期待を持って良いですか?

しかし、息がぴったりだった。

双子だと思ったら二人とも同じ名前なんですね。

名付け人が手抜きしました?

待て、余計な事を考えてないで、この状況を打開する手を考えねば。

でも、何も思いつかない現実は無情だ。

とりあえず、ヨイショしておこう。

 

「良い店ですね。料理の腕も兄様が褒めてましたよ」

「「兄様?あなたは、もしかして噂に名高い趙公明の弟ですか」」

「ええ、まあ、そんな感じで」

「じゃあ、あなたもあの手紙を読んでここへ?」

 

男の方に、そう言われたが手紙なんて心当たりがない。

ここは正直に言うべきか、知ったかぶりをするべきか悩む。

えーと、どっちが正解?

 

「その様子だと知らないみたいだね」

「そうね。何も知らずにここに来たのなら可哀想だし教えてあげて」

 

あ、考えてる間に時間切れですか。

答えないが正解だったとは。

しかし、何を教えてくれるのだろうか?

 

「だいぶ前に、趙公明から手紙が来たのだけれども、その内容が金鰲島に下るか、ここから立ち退けって内容でね」

 

ちょっと兄様。

なんて上からな手紙送ってるんですか。

まるでヤクザか地上げ屋みたいじゃない。

しかし、その郵便屋さんは手紙の内容知らなかっただろうな。

知ってたら普通渡せないし。

 

「あまりにも腹が立ったから、金鰲島の使者を殺してやろうと思ったのだけど」

 

あ、やっぱりな反応ですね。

金鰲島の郵便屋さんって危険なお仕事だったのか。

とりあえず、自立しても郵便局への就職は止めておこうと心に誓った。

 

「こんな小物を殺しても意味ないと思ってね。料理でもてなして、金鰲島に下りたいけど立場や待遇について話し合いたから来てほしい。足を運んで貰うから精いっぱい御馳走でおもてなしするって感じの下手(したて)な手紙を届けて貰った」

 

あ、兄様の自信はこれだったのか。

もう、相手は傘下に入るものだと思っていたし、事前におもてなしがあると分かっていたから御馳走が食べたいと言い出した俺をここに連れてきた訳だね。

うん。実に有難迷惑です。

もしかしたら、普通に竜狩に行ってた方が楽だった気がする。

 

「そしたら、あなた達が来たと言う訳です。つまりお分かりですか?」

「えーと、俺は帰っても良かったりします?」

「あんな舐めた手紙を送っておいて、この白礼の領域にノコノコとやって来る者など生きて帰す訳がない。さあ、何も知らず無に回帰するのを憐れんで教えてあげたのです。心残りはないでしょう?」

 

いえいえ、普通に心残りしかないのですが。

やっぱり戦うしかないのね。

しかし、冥土の土産に時間をくれるなら後百年くらいサービスしてくれませんかね?

話してる途中で、炎が消えて兄様が出てきてくれないか期待してたけど無理だったか。

 

「術は正常に作動してるのに炎上してない理由が分かった」

「実は、コイツが趙公明で私達の術を跳ね除けたのかと警戒していたのだが杞憂に終わったな」

「ええ、だってコイツ土足だもの。きっと指示を全部無視したからカウントがゼロなだけ。しかし、指示に従わないと進めないようになってた思うのだけど」

「恐らく炎上している方が全ての指示に従ったからだろう。まあ、この領域の改良は後で考えるとしよう」

 

そして俺の一挙一動を警戒するよな目つきに変わった。

俺も相手の動きに注意を向ける。

それにしても、張紹さんの講義で相手の領域に入った場合の注意点を聞いた事があって良かった。

相手に指定の行動をさせたり、条件を満たすと発動する術があるって話を。

まあ、逆にルールを破ったり、その領域にいるだけで発動するのもあると聞いてたけど領域の難易度としては、こっちの方が難しいから俺は兄様と話し合って指示を無視する事にした。

たぶん、あの炎の具合から俺なら即死だったので、その選択は正解だったと思う。

だけど、本当の正解は領域外から金蛟剪で破壊する事だと思ったけど、相手が事前に帰順する意思を示す手紙を送っていたから兄様にその選択肢は無かったのだろう。

気まぐれなんだろうけど、相手は使者を殺さない事で本当に良い手を打ってきた。

最初から敵対してたなら、兄様だってもう少しは警戒してただろうし、俺も安全だったと思う。

 

「おや?来ないのですか?」

「では、こちらから行きますよ」

「「燃えたまえ!」」

 

二人が手をかざすと、そこから火球が飛び出してきた。

やっぱり炎系の術者ですか。

俺とは相性が悪いです。

帰りたいと思いなが、全力で避ける。

そして着弾点が燃え上がるが、兄様を燃やしている炎程の威力は無さそうだ。

やはり、条件を満たしてないとあの火力は出せないみたいで少し安心。

でも、自分の家に平気で火を放ったりして頭大丈夫かと訴えかけたかったが、この領域自体が火に強いらしく焦げ目も付かず、火も建物自体に燃え広がる事もなく、その場所だけが燃えていた。

俺が避けまくる事で、家が炎上して相手が火を使うのをためらう状況になって欲しかったが、無理そうである。

こうなったら倒すしか無さそうだが、俺が得意とする植物での拘束は無意味だろう。

相手は、この建物と同じく火に耐性がありそうだし、すぐに燃やされてしまうのが目に見えている。

ここは、姚斌さんに見本として貰った札に頼ることにしよう。

 

「くらえ。破壊の呪符よ」

 

俺は、相手に全力で札を投げつけた。

 

「「愚かな。自ら何をするか教えるとは」」

 

すると白礼は、放射状に炎を出した。

満遍なく放たれた炎は威力も距離も火球より無かったが札が効果を発動する間も与えずに焼き払う。

 

「まあ、そうなるよね。でも、本命はこっちだ」

 

さっき話している時に壁に貼り付けた呪符を爆発させた。

燃やされるのが分かっているのに貴重な呪符を相手に投げるやつがいるものか。

それは俺が量産している何の効果も無い呪符だ。

まあ、自身のエネルギーを使っているので、普通の紙よりは思ったように飛ばせるのでブラフ用に持っていて良かった。

 

「「貴様。何百年もかけて築いた私達の領域を!絶対に許さん」」

「じゃあ、俺は逃げさせて貰おう」

 

そう言って俺は、開けた穴から隣の部屋へと駆け出した。

この領域内にいたら、俺もいつカウントが貯まってもおかしくないので脱出を優先する事にした。

兄様?へいきへいき。

あの人ならきっと無事だから。

俺は自分の事だけで、精いっぱいなのです。

きっと涙ながらに謝れば許してくれるよね?

 

そして俺が駆けこんだ部屋は、兄様が料理を食べていた部屋だった。

となると、あっちがドリンクバーがある待たされた部屋で、その次がコインロッカーの部屋だな。

 

ん?そうだ。

縛竜索と金蛟剪を回収して来よう。

俺に扱えるかは謎だが、この状況を打破できるかもしれない希望が見えた気がする。

 




誤字脱字報告ありがとうございます。
自分でも、何回か読み直してチェックしてるのですが、やはり自分で書いた文だと見落としが多いですね。

あとは、原作では正確に明記されてなかった為、ネットでは白天君と秦天君がごっちゃになっています。
とりあえず、こちらでは、双子っぽい炎使いは白天君って事になりました。
理由としては、ワンダースワンのゲーム仙界伝弐では、敵キャラとして出てくる時に、双子っぽいキャラの名前が柏天君で、ストーンヘンジみたいなキャラが秦天君と明記されていたので、それを採用した限りです。
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