妖怪はじめました
苦節百年。
ついに人化が完璧になり妖怪と名乗れるようになりました。
ちょっと御姉様達の変わりようを思い出すと、自分もああなるのではと恐怖に震えた時期も有ったけど、至って普通だったと言っておこう。
よく誰も似ていない兄弟姉妹とか言われるけど、キャラがかぶらないのは良い事だ。
しかし、妖怪になって今までを思い返すと苦しい修行の日々ばかりピックアップされる。
兄様、頼みますから漫画で見た修行を試してみようと思わないでください!
あと、修行だと
そして、先輩達が俺を見かけると合掌してた理由が分かった。
張紹さんに聞いたら、兄様のあれは持ち回りで誰かが被害に合ってたらしいのだけど、ここ百年は俺に集中砲火してるので皆感謝しているのだと。
そんな事実知りたく無かったよ。
感謝するくらいなら、負担を分担して欲しいと言ったら皆逃げ出して地味に切ない思いをした。
でも、その修行にかこつけて外に狩りに行ったりして美味しい物が食べられるリターンが有ったから、そこまで悪くは無かったと思っておこう。
それに狩りに関しては白礼宅に行った時以上の問題も起こらなかったので、美味しい物が食べられる点だけを考えれば良い事じゃないかと思えてくる。
ただ、やっぱり黙認の代償として通天教主様や他の上位な仙人達にお土産として持って行かないとマズそうだったので、御馳走タイムは狩りに行ったその日だけだったのは少し不満が残ったが、日々謎肉だけで我慢している者達もいるので十分だと思うことにした。
そして術に関してだけど、まず白礼から得た領域系の術だけど兄様が聞き出し張紹さんが精査した結果、時間対効果が悪すぎる為資料に残すだけで採用にはならなかった。
後は作り手や使い手によって、完成する領域が違ったり効果も違ったりする可能性が有った為に普及させるには安定性が欠如していたのも問題らしい。
ハードルの高い術がさらに高くなったと言うべきか、苦労して完成させてもそよ風が吹く程度の効果しかなければ試しに作ってみようと思う人もマレかと。
まあ、自分も作る予定だけど、上位陣の仙人達もいずれ作る気は有るみたいだ。
それと、白礼の俺に対する態度が冷たい。
領域を少しばかり破壊したのは悪かったと思うけど、あの場合は俺を殺そうとしてたからお互い様だと思う。
ぶっちゃけると、領域を倒壊させたのは兄様なので抗議はそちらにお願いします。
え?無理だって?だから俺に当たっているだと、なんて理不尽な。
次に、金光さんから時間が有る時に、周囲を明るくする術と光の屈折を操作する術を習った。
明るくする術は少し難しいだけだったけど、屈折に関しては無理です。
あんな常に計算し続けて光に干渉する術とか、凡人には無理だ。
でも、それをマスターすれば透明に見えるらしいので、恐ろしい相手から逃げやすくなるし状況が悪い時は隠れるのにも便利そうだから是非ともマスターしたい。
簡単に出来ない事が分かっているし妖怪は寿命長いらしいから千年くらい修行続けたらいつかは出来たら良いなーって感じに留めておこう、過度の期待は絶望を助長するから。
それに透明に成れたら良かったと思う日なんてそう簡単に来るとも思えないので、焦らなくても大丈夫だろう。
でも、そんな高度な術を教えて貰った代償として明るくする術が楽に出来るようになる触媒の開発を頼まれたのは必要経費だよね。
張紹さんに頼まれていた触媒開発の実験としては悪くない対象だと思うし、仙人界は夜に火を灯さないと暗いから、その触媒が開発できればちょっと生活環境が良くなる気がする。
最後に、姚斌さんから習った破壊の呪符は一応週一くらいで安定して作れるようになった。
まあ、これは触媒を作る上でエネルギーの変換や作用を知る為にやっていたので、安定して作れるようになって調子に乗った俺は、どのような模様がどんな効果になるのか改造したり実験を繰り返しいたら呪符が爆発した。
ちょっと痛いでは済まないダメージだったので今は効果が確定している模様しか使っていない。
この爆発を姚斌さんに話すと、痛い目を見た経験があるから改造とかは自分でしたくなかったと言っていた。
いや、そんな重要な事聞いてないんですけど?
どうして教えてくれなかったのか問い詰めたら、言ったら改造しなかっただろうと返ってきた。
まったくその通りです。
だから、そのお礼と言ってはなんだけど、開発した自分の周囲では爆発しない呪符が他の人が使っても正常に作動するのかテストを行って貰う。
とっても渋っていたけど、強気で行ったら引き受けてくれた。
まあ、渋る気持ちも分かるし、引き受けてくれた姚斌さんの勇気と、俺を信じてくれた事も合わせて黙っていたのは許すことにするよ。
だって、この手榴弾は安全装置が付いていてピンを抜いて持っていても落としても投げても使い手の近くでは絶対に爆発しませんとか言われても俺なら絶対に信じないね。
一応自信は有ったし無事に成功したから良かったけど、万が一って世の中にはたくさんあるから。
実験で得た結果は、他の人が使っても同様な効果が得られたし、使い手が違っても制作者の近くでは爆発しない事が分かったのは収穫だ。
あれ?いつの間にか、俺も体を張らされてる?
そんなこんなで、いまいち実感はないけどステータス面でも術に関しても成長は有ったと思う。
いや、あんなに時間かけて苦労したのだから、成長したと思わないとやってられない。
しかしながら、まだまだ兄様や御姉様達に追いつける気がしないのは気のせいだろうか?
上を見てたら自信がががが……。
うん。この事は深く考えると自己崩壊しそうなので明後日の方向に放り投げて、別の事を考えよう。
そういえば、俺にも後輩が出来ました。
金鰲島に入ってくるその他大勢とかじゃなくて、趙公明の弟子と言うか派閥と言うか預かりみたいな感じの奴らだ。
これで無茶振りが分散してくれると助かるのだけど、そんな高望みなどしないで道連れが出来た事を喜ぼう。
まあ、二人ともまだ妖精なので、実際に修行に連れ出されるのは先の事だろうけど。
片方は、包丁の妖精で、もう片方はまな板の妖精である。
そう、ビーナス姉様が五百年以上愛用していた調理器具が妖精になったのだ。
包丁の方は、呪われてるんじゃないかと思うほど見た目が禍々しい刀剣で、これを使うと血抜きが効率的だと兄様が持ちだしてる時点で普通の包丁では無いと思ってたけど、妖精になるとは思ってませんでした。
まな板の方は、大きすぎるし普通の板よりは丈夫だと思っていたけど、これが妖精になるとは驚いた。
双方とも、俺と同じく龍脈のエネルギーを吸っていたし、多くの幻獣・霊獣や竜の血肉を啜った事で、妖精になった可能性が高い。
ビーナス姉様は、愛用の器具が無くなったのは残念そうにしていたが、新しくできた仲間として歓迎していたし、名前も付けていた。
二人とも嫌そうにしていたのは、俺の目の錯覚だと思いたい。
包丁の方は
「私は包丁じゃなくて立派な武器で刀剣のつもりだったのだが」
「俺だって本来はまな板じゃねーよ」
そんな事をつぶやきながら、かつての扱いに
まあ、ここで暮らしていたら、それ以上に悩む日々が続くので、適当に励ますことにする。
「きっと調理器具だった方がマシだと思う日が来るから頑張れ!」
「それは不吉な励まし」
「返って不安しか感じない」
うん。こいつらとは仲良くできる気がする。
「ああ、正大。こんな所にいたのかい。今日の修行は、危険な場所に行くことになるので準備したまえ」
「嫌だ。行きたくない」
「仕方ない。雲霄。いつものように拘束しておいてくれ」
「やめろ。はなせ」
俺は、もう声に出して抗議したが、皆慣れたものでいつものように準備が進んでいく。
そして、連れて行かれる俺の耳に後輩達の声が聞こえた。
「私は、しばらくは包丁のままで結構です」
「俺も、まな板の方が安全な気がする」
突然読む人が増えて驚きました。
やっぱり、ヤングジャンプで連載している封神演義外伝が面白いからかな?
しかし、魔家四将は、せっかく出番が有ったのにあの扱いは泣いて良いと思う。
最初に見た時は、とても強そうな奴らが派遣されて来たって感じたし、強者オーラが有ったし、見事な激戦だったと感じたのに、どうしてこうなったのやら。