趙公明がアンニュイな訳がない   作:シアス

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閑話 信じて貰えないかもしれないけど、本当にアンニュイなのさ

side趙公明

 

ああ、実にアンニュイだ。

アニメでは二作品とも出番が無かったし、午前の会議では金鰲島に劇場やカラオケ施設を建てる案は却下されるは、あげくのハテに連載をもくろむマンガのネームは通天教主様にダメ出しされてしまった。

 

まったく、このネームの良さが分からないだなんて、実にアンニュイだ。

こうも気だるげだと午後は仕事を休んでアフタヌーンティーとしゃれこみたくなる。

 

え?そもそもオマエ仕事してるのか?だって?

 

バカを言っちゃいけないな。

この僕ほど働いている仙人は数えるくらいしかいないよ。

 

まずは、金鰲島に所属する妖怪の指導や修行のカリキュラムの作成だ。

歌って踊れて作曲もこなせる仙人を育成するカリキュラムは却下されてしまったので、仕方なく個々に合わせて作り直す作業を延々としている。

やはり妖怪だからなのか自身の高い能力に頼った力任せな脳筋が多いので、宝貝や術が使えない者が多く、そのため瞑想や自身のエネルギーをコントロールする修行をあてがう者達が多い。

ひと昔前なら、そんな修行もしなくても良かったのだが、仙人の力を増幅させ奇跡を起こす宝貝が主流となりつつある今、これらの者達は一握りの強者以外は廃れた存在となっていくだろう。

 

次に、金鰲島の方針を決める会議である。

妖怪をなるべく一つの勢力にまとめ上げる為にどこを攻略・説得するのか、どこと敵対してどこと友好を量るのかと。

それとエネルギーや資源や食料をどう集めるか。

あとは、島内のインフラや施設の建設などが話し合われる。

まあ、僕としては思う存分に戦えるように誘導しているのだけれどもね。

 

最後に仕事の割り振りだね。

おそらくこれが重要なのだろう。

その者の実力を見極めて、どのような仕事を与えるかは実に難しい。

僕自身が出向けばある程度は解決できるのだが、それにかかりっきりになると他の業務に支障が出る。

なので、支障が出ないようにあらかじめ仕事や、僕が出来ない時の代役を割り振っているのさ。

ぶっちゃけると大変なのは嫌だから他の者達に押し付けられるこの仕事はぶっちぎりで重要なのである。

 

他にも宝貝の開発やら、作詞作曲、ネームや原作のネタを温めたり、舞踏会を開いたりと大忙しなのさ。

 

分かってもらえたかな?

 

「そこの侵入者くん」

 

その問いかけに、少しの静寂の後、無機質な声が返ってきた。

 

『さすがだ。この私の存在に気付くとは』

「それは僕のセリフさ。ここは金鰲の中枢とも言えるが、こうもたやすく侵入できるとは」

『それは重要な事ではない。今日は趙公明に頼みがあってきた』

「光栄に思うのだが、なぜ僕なのか聞いても良いかな?」

『そなたが始祖の存在を知っており、なおかつそのもくろみに無関心だからだ』

「驚いた。始祖はそのような事まで知っているのか?」

『私は、ゆえ有ってこの世界を観測している。だから知り得たのだ』

 

始祖の存在は、ちょっとした切っかけで知る事ができたのだが、まさか向こうから接触があるとは。

本当にちょっとした切っかけである。

妖怪の中には、服飾や建築や料理、果ては宝貝の作成など、天才などの言葉で片付けて良い訳がない知識を持った者が複数あらわれた。

そして、自分達でも簡単に作る事ができない宝貝を発掘した時に、僕は、これらが何者かに与えられたのだと確信した。

その後、複数の聞き取り調査や脳の一部を支配する宝貝の開発により、太古の時代天より降り立った者達の知識や記憶が表に出た者がそれを才能だと思っている事を知ったのだ。

 

『単刀直入に言おう。世界を何度も滅亡させている要因の一つが目覚めた。それを金鰲に引き入れて監視して欲しい』

「それほどの存在を監視?」

『彼自身の力は大した事はない。ただし、人間界に関わると世界を滅亡させる要因となる。だが、今までの観測によると仙人界にいる間は影響が少なかった』

「だから金鰲なのか。だが、そんな回りくどい事などしないで、その彼を始末するなり封印するなりすれば問題ないのでは?」

『彼は一度目覚めると、世界が滅亡するまで何度でも蘇る。封印しようともまたすぐに現世に戻ってくる。ちなみに魂魄を破壊されても復活できるようだ』

「それはまた厄介な」

『今は、まだ魂魄体のままだが放っておくと人間に憑依する傾向にあるようだ。彼を追う為にこれを渡そう』

 

そう言って侵入者は、何かの画面が付いた玩具のような物を投げてよこした。

 

『それが有れば彼の居場所を知る事も対話することもできるだろう。有効に活用して欲しい』

「まだ引き受けるとは言ってないのだが。僕としては引き受ける理由がない」

『やはり、こちらのもくろみに無関心か。だからこそ、そなたを選んだのだが。ならば報酬として、この映像宝貝の設計図と、新藤崎 竜先生への紹介状でどうだろうか』

「喜んで引き受けさせて貰おうか」

『……。まあ、いい。最低でも千年は人間界に接触させないで欲しい』

「任せてくれたまえ。報酬の分は頑張らせてもらうよ」

 

そして侵入者は、設計図と紹介状を渡すと消えた。

これは予想だが空間を移動したのだろう。

恐ろしい使い手だが、機会があれば戦ってみたいものだ。

 

おっと、今は設計図と紹介状と世界を滅ぼす要因が先だな。

まずは設計図に目を通す。

 

ふむ。必要な知識や材料を集めて組み立てるのに千年はかかりそうだ。

今は忙しいから、もっとかかるかもしれない。

まあ、これは地道に取り掛からせて貰おう。

 

次に紹介状だ。

何々、最低でも千年立たないと使えないようにしてあるだって?

これは困った。

これさえ有ればすぐにでも、僕は少年雑誌の連載マンガ家になれると思ったのに。

それに、これが千年後に使える証拠もない。

あ、追伸が有った。

何々、その紹介状が使える証拠として、この紙にイラストのリクエストを書くと新藤崎竜先生がその絵を描いてくれるだって?

それが本当なら少しは信じて良いのかもしれない。

しかし、何をリクエストするか、それが問題だ。

これも後でゆっくり考えよう。

 

最後に、世界を滅ぼす要因だが、どうやって金鰲に引き入れようか。

うーん。良い案が思い浮かばない。

報酬も中途半端だし、なんだかアンニュイ(めんどう)になってきた。

こんな時は妹達とアフタヌーンティーでも……。

妹達?

侵入者くんは、今彼は魂魄体だと言っていた。

それなら彼を弟にできるかもしれない。

 

そして、僕は新しく増えるであろう弟と、どうやって遊ぼうか考えると自然と笑みがこぼれた。

 




誤字脱字のチェックをしてないので、後で修正するかもしれません。
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