準備ができたため、俺と師匠はアジトへ向かう。
「そこの者、止まれ。」
「お前達、神からの教えは?」
「魔女を滅するは平和への道しるべなり。」
「そうか、よし。通れ。」
「ありがとうございます...。」
そして通り過ぎると同時にこちらを見ていないことを確認し背後からナイフで喉を掻き切る。
「かはっ...!」
「悪いな、貴様らは問答無用で皆殺しだ。」
俺と師匠はまず声を出されないように喉を切り裂き、そして次に心臓を一突きし止めを刺す。
「行くぞ、時間がない。」
「ああ...。」
俺と師匠は薄暗い通路を歩き、集会の部屋へと向かう。
「今のうちに目を慣らせておけ...。」
「ああ。」
俺はこの間に暗順応させておく、まずは敵の配置とサーニャの居場所。それを見て行動を考える必要がある。
「あと、部屋に入ったら光は見るな?目を慣らせたままにしておけ。」
「ああ、わかった。」
そして問題の部屋に入った。すると大声で叫ばれていた。
「ようこそ我が同盟の諸君達!今日は一大イベントだ、ウィッチ一人を捕縛し、そしてウィッチとしての能力を失くし、真っ当な人として生まれ変わらせてあげようではないか!」
その声と同時に歓声があがり、そして準備が進められた。俺は怒りに震えながらも自分を抑え様子を伺っていた。まず、信者達の壁が面倒だ。なら俺にできることはあの子の近くにいる数人を射殺しあの壁を師匠がアサルトライフルで殲滅する。くらいであろうか、だが生憎そんな大きい銃火器は持ち合わせていない。しかし、師匠は俺に合図を送り俺は場所につく。後ろの方で銃に手をかけ、相手の場所を確認する。師匠にもう一度合図を送る。
「魔法力とは、あがりと呼ばれる一定の年齢に達した時に失っていく以外にもうひとつ方法がある。それは純潔でなくなることだ。」
そして再び歓声があがる、気味が悪い。どうりであの師匠でさえ嫌う訳だ。さて、仕事開始だ。甘さを捨てろ、感情を捨てろ、情けを捨てろ、ただ目的のためだけにこの時間を生きろ。覚悟は決まった、行くぞ。
信者の幹部が触れようとしたその瞬間に師匠が何らかの仕掛けによって電気を落とす。
「な、何だ!?」
「鼠でも入り込んだんじゃないでしょうかね?」
「よし、見てこい!」
信者数人が電源のある場所まで行くため部屋を出る。
「ふむ、ならば楽しみは後だな...っ。」
俺は電源が落ちてから、数秒で目を慣らし信者幹部数人を瞬く間に眉間を撃ち抜く。次に、師匠は手榴弾を信者の中に投げ込み爆破させる。
ありがとよ、師匠。これで道はできた、俺は走りながら信者を次次に撃ちサーニャの元までかけよる。
「...!?あなたは?」
「静かに、すぐに解く。」
「っ!?後ろ!」
「死ねぇい!不届きものが!」
「ちっ。」
俺はマガジンを捨てて装填する時間は無いと感じ、体術とナイフで襲いかかる一人を処理する。その間に数人に囲まれていたみたいだ。
「囲んで殺せ!」
「人類を反逆した愚か者めが!」
「ぐちゃぐちゃうるせぇよ下衆共が、女の子一人を化け物扱いして下衆なことした貴様らが反逆者だろうが。ゴミ虫風情が。
「受け取れ、馬鹿弟子!」
俺は銃を受け取ると同時に周囲の信者数人を撃ち抜く。
「こちらは粗方ではあるが片付いたぞ馬鹿弟子。お前は?」
「こっちも終わった、サーニャを救助した。出るぞ。」
「うむ、一度護衛に引き渡した後に建物ごと爆破する。」
「一体いつそんな物騒な仕掛けやってきたのさ。」
「私に抜かりなどない。これは貴様もわかっていることだろう?」
「あいよ、んじゃ行きますか。」
「ごめん...ごめんなさい。私のせいで」
「何言ってんのさ、ヒーローは遅れてやってくる。ってな。」
「うん、私すごく怖かった。怖かったよぉ。」
「大丈夫、泣かない泣かない」
「話の途中だが敵さんだロリコン。」
「あいよ、そしてその呼称やめんさいな。」
「ロリ...コン?」
「良い子はそんな言葉、知らなくていいよ。いや、むしろ知るべきじゃないね。」
俺は銃を取り出し、敵と銃撃戦を行なう。マガジンはまだあるが少し不安だな、敵も目が慣れて来ている頃だろう。
「貴様達もこれで終わりだ。」
「逃げられないぞ、この人類の敵め。」
「どうするんすか?師匠どの。」
「ふんっ、私を誰だと思ってる?伏せろ!」
俺達は伏せる、それと同時に爆弾が爆発する。おいおい、危ないっての。
「たわけ、私とて何かあった時のための打開策くらい考えている。そして一つ言っておくがはやく出ないと建物潰れるぞ?」
「は?」
このアマ、やることなすこと無茶苦茶だ。
「何、邪魔者は私が皆殺しにする。お前はお姫様を連れて走ることだけを考えてろ。」
「はいはい、わかりましたよ。んじゃ、俺にしっかり捕まってな?」
「うん...。」
少しだけ頬を赤くさせ、サーニャは俺に背負われる。
「さて、出口だ!」
「構えぇ!」
「待てッ!」
オラーシャの軍が周囲を囲んでいた、だが俺達とわかると銃を降ろす。
「無事だったか、良かった。」
「ええ、リフナスカヤ少佐。なんとか...ね?あと、この建物崩れるから少し避難したほうがいいかと。」
「ああ、了解した。リトヴャク訓練生、話がある。そして、後はわかるな?」
「はい...罰ならいくらでも受けます。」
まあ、こればかりは仕方ないよね。
「んで、これって裏口から脱出とかされないんです?」
「安心しろ、とっておきを用意してある。」
「はあ...。」
とっておきってなんだろう。俺がそう思った時、遠くから銃声が聞こえる。おそらくは狙撃だろう。
「残念、逃がすと思った?このナターシャ・ディアス様は見逃さないわ!」
「目標、確認...。命令に従い殲滅。」
「あんた、もしかしてアナスタシア中尉?なかなかやるじゃん。」
「ん...。あなたも精度と早撃ちの技術がなかなかのものだと思うわ。」
「へぇ、じゃ...あんたは私のライバルね!」
「...?」
こうして裏口から逃げた者は全員足を撃たれ、身動きできなくなったところを捕縛され、国連に送られた。数週間後、少佐の報告によると捕虜からの情報で魔女狩りの会は残党も処理され、これで魔女狩りの心配は無くなった。一方、サーニャはというと一週間の謹慎だけで済んだようであり。問題の他訓練生は涙ながらに謝り和解したようだ。
そしてある夜のこと。散歩をしていた時だった。
「おやおや、大尉どのにサーニャちゃん。」
「うっわ、最悪。あんたに会うとか今日の夜間哨戒絶対ネウロイ出るわ。」
「あのなぁ...人を疫病神みたいに言うな。」
「冗談よ、冗談。オラーシャジョークってやつ。」
「まったく洒落にならんよ。」
「その、あの...ありがとね。サーニャちゃんを助けてくれて。」
「何、当然だろそんなの。」
「ありがと...。」
「何かしこまってんのさ。ちっと時間あるかお二人さん。」
「ナンパのつもり?あいにく私たちは夜間哨戒前でね。」
「いいよ...。」
「えっ!?」
「あはは、そんで大尉さんはどうすんのさ。」
「はいはいわかったわよ。言っとくけど監視さ。あんたがこの子を襲わないように。」
「だからあんたの中での俺のイメージって何なのさ。」
「ほら、さっさとしな。」
「あいよ、じゃあ食堂で温かいものでも飲みながらな。」
「うん...。」
こうして三人で食堂でホットミルクを入れる。そこでサーニャはピアノに座り演奏を始める。
「久しぶりだなぁ、サーニャのピアノ聴くの。お姉さん楽器とかやったことないからわからないけど。すごく落ち着くし良い音、きっとこの優しい音ってサーニャちゃんが優しいから出せるんだろうね。」
「えっ、そんな。恥ずかしいな...。」
「おやおや、照れてるねぇ。」
「うっさい、黙ってなさいあんたは。」
「うぃっす。」
どうやら俺はお邪魔みたいだな。そう思いミルクを飲み干し外に出る。
「いい眺めだな...。」
かすかに聴こえるピアノを耳に入れ、寝転がり星空を見上げる。
「いい景色だ...。本当にいい景色、あの頃と何も変わってないや。」
目を瞑って考えていると、いきなり肩を蹴られて寝ていたことに気づいた。
「ほら、起きなさいな。風邪ひくよ?」
「あんがと、ピアノの音といいこのいい景色といい堪能してたら寝てたとさ。」
「...ピアノ、どうだった?」
「上手だったよ、この空を見上げながら聴いてたら昔を思い出してさ。」
「昔...?」
「ああ、俺って昔から夜空が好きでさ。こんな綺麗な景色が昔から今まで、そしてこれからも、ずっとずっと遠くまで続いてるんだって考えるだけで不思議で、それでいてわくわくしてさ。だから眺めることが好きだった。よく家族で見にいってさ、でも...もうできないんだなって。変わっちゃったんだなって。」
「...。」
「あぁ、ごめんごめん。変なこと言って。ほら、任務だろ?これから。」
「うん。」
「頑張れよ。」
「ほら、あんたはさっさと寝なさいな。んじゃ、行くよサーニャちゃん。」
「うん...。おやすみなさい。」
「ああ、おやすみ。」