避難中のトラックの行く先にネウロイが出現する。
「どうする、迂回するか?」
「いいや、駄目だ。見つかるのも時間の問題だ。」
「これまでか...。」
そんな時だった。
「私が...私が時間を稼ぎます!」
サーニャ、そんなの無理だ。君一人じゃ無駄死にするだけだ。
「馬鹿、やめておけ。お前一人でできるわけ...。」
「でも、このままじゃ皆...。」
「じゃあ、私達も戦う!」
「駄目、そしたら皆も...。」
「でも...。」
「私の武器なら多分ネウロイの装甲を気にしなくていいはず。だから...。」
このままじゃ駄目だ、俺が引き止めないと。
「ごめんね、ザインベルグ少尉...。でも、私なら大丈夫だから。」
そういってストライカーユニットを装備したサーニャは空へと飛ぶ。このままでいいのか、俺は?だが、自然と体が動いた。
「少尉、何をして...。」
「決まってるだろ、俺も行く。」
「何言ってるんですか!生身の少尉では。」
「バカが、たった一人の幼い少女を残して逃げろ?それなら俺はここで自決した方がマシだ。」
「ですが、無茶です。ここは抑えて。」
「俺は戦場をいくつも駆けた人間だぞ?何を今更、俺はしぶとい性格でね。」
対物ライフル、ロケットランチャーを装備しトラックから降りる。
「な、なんでいるの?」
「いいか、よく聞けリトヴァク訓練生。これは上官命令だ、君のその武器でネウロイを下から攻撃しコアを発見次第無理に狙わなくていいからシールドに専念または攻撃しろ。シールドに専念した場合は俺がここから狙撃によってコアを破壊する。一人で無理なら2人でやる、それならできるだろ?」
「うん...。ありがとう、やってみる。」
こうして俺とサーニャの共同戦線が始まった。
「当たって、お願い!」
サーニャの発射したロケット弾がネウロイに命中する。それと同時にコアが露になった。
「ごめん、攻撃が集中して無理そう。」
「わかった、俺に任せろ。」
俺は即座に狙いを定めて引き金を引く。発射された弾はコアを撃ち抜き、ネウロイを消滅させた。
「流石、少佐の魔力が籠った銃弾だ。」
これは基地にいた時の話だが。
「少尉、少し話がある。」
「なんですか?もしかして婚約、とかやめてくださいよ立派な死亡フラグですよそれ。」
「黙れ、貴様のケツに銃口突きつけてやろうか?」
「勘弁してください、僕そういう趣味持ち合わせてないんで。」
「まあいい、お前にこいつを預けておく。」
「これライフルですよね?」
「ああ、もし何かあった時。皆を守れるのはお前くらいだ。私の魔力を込めてある、これならネウロイを倒せるはずだ。」
「わかりました、お気持ち受け取っときます。あと、皆のことは任せてください。」
「ふんっ、期待してるぞ。」
少佐に任されたんだ、俺がやらなければ。
「少尉、後ろ!」
「っ!?ったく...どこからともなく現れやがって畜生が。」
ここで終わるのか、冗談じゃない。まだ俺は仕事をやり終えてないんだ、ここで死ねるか。
「畜生が!」
ロケットランチャーをネウロイへと向け、引き金を引こうとしたその時であった。
「ネウロイの攻撃が...こない?」
「ったく、無茶はするものではないぞバカ者。」
「間に合ってよかったです...。大丈夫?リトヴャクちゃん。」
「はい...ありがとうございます。ラクスマン曹長。」
「私ことはイリヤって呼んでいいよ?」
「じゃあ私もサーニャって呼んでください。」
「いい所悪いが、そうもしてられないようだ。そろそろ頃合いだと思うのだがな...。このまま護衛を続ける、ウィッチは積極的に攻撃を続け、少尉はコアが露になるまで隠れていろ。コア発見次第私が報告する、では各自持ち場につけ。」
「了解。」
こうしてなんとかではあったが状況はたてなおせただろう。だが、ネウロイの数は増えていく一方である。
「そろそろか...。総員、私のもとへ合流せよ。目的地までもう少しだ。」
「了解...、んじゃいくよ皆。」
「へーいっと、行くぞエリン。」
「ま、待ちなさいよナターシャ。」
「さてと、私たちも早めにいって援護しないと。」
「うん...。」
「待って、皆...落ち着いて。包囲されたわ。」
「え...?どういうことです?大尉...。」
「熱源多数、おそらく全てネウロイよ...。」
「そんな...。」
「少佐、聞こえますか?ネウロ...に、...囲され...。」
「おい、どうした!報告は明瞭に...。駄目か。」
「どうしたのですか?」
「ああ、あいつらに何かあったみたいだ。」
「そんな!それじゃあ...。」
「いいや、私はあいつらを信頼している。私たちは私たちのするべきことをする。いいな?」
「は、はい...。」
状況は思った以上に悪いようだ、この状況の打開策はないのか。
「っ!?陸戦型ネウロイ...!少尉、逃げろ!」
「私たちで時間を稼ぎましょう。」
「ああ、わかっている。」
俺はロケットランチャーを捨て、逃げる。ネウロイの攻撃を避け、すぐにネウロイから逃れた。
「駄目だ、やつの攻撃が激しくて攻撃ができない。」
「ここは私が囮に、きゃっ!。」
あのネウロイ、建物に張り付いて攻撃をしているのか?考えろ、俺。
「まず、敵の攻撃が激しい場合はどうする?」
「そりゃあ敵の攻撃が止むまで待ちますよ。」
「たわけ、それでは相手の思うつぼだ。ならば、その基盤となるもの、もしくは足下を崩せ。敵の体勢が崩れた時こそ勝機だ。」
そうか、師匠の言ったあれはそういうことか。
「リトヴャク訓練生、聞こえるか?」
「どうしました?」
「あのネウロイの足下の建物を君の武器で破壊しろ。」
「でも、それじゃあ意味は...。」
「意味はある。逆にネウロイを狙っても奴の熱線で全て破壊される。ならば奴の体勢を崩しその瞬間に一気に叩く。」
「わかった、やってみる。」
「ふん、奴にしては上等な作戦だ。いいだろう。リトヴャク訓練生、私と曹長で守りきる。その間にお見舞いしてやれ。」
「了解!」
そして、放たれた砲撃が建物を直撃すると建物は崩壊し、ネウロイはその衝撃で身動きができなくなる。
「今だ!一気に叩く!」
その瞬間に少佐を含む三人の総攻撃がネウロイを襲い、ネウロイは消滅した。
「少佐、トラック前方にネウロイが!」
「くっ、まずった。回り込まれていたか...。」
「間に合って!」
三人は急いでトラックに向かう、しかし、それもむなしくネウロイは攻撃を始める。
「駄目だったか...くそったれが...。」
そう思った時であった、ネウロイは消滅しトラックは無事であった。
「一体何が...。」
「聞こえるか、リフナスカヤ少佐。こちらスオムス応援部隊のライカ・ヴィルヘルミナ・ラーティカイネン中佐だ。応答せよ。」
「ふっ、遅いな。こちらリーシャ・リフナスカヤ少佐。協力感謝する。」
「すまないな、道中に厄介な敵が現れたものでな。貴様の部下達も無事だ、安心しろ。」
「感謝する、君達のおかげで我々の撤退は成功した。」