あれから、どれだけの時間が経っただろう。502とその他精鋭ウィッチ達によるオラーシャ解放戦が始まり、成功し、そしてネウロイが殲滅された。
ウィッチ達はそれぞれの国へと帰り、そして避難していた人々達も祖国へと帰り始めていた。
そんな中、俺はというと。ウィッチ達の両親の避難先を調べ、そして両親と連絡を取り合い、再会させるという仕事に就いていた。
「ザインベルグ大尉殿。」
「どうした?」
「リトヴャク大尉、そしてエイラ・ユーティライネン大尉、アウロラ・ユーティライネン大尉がこちらに到着しました。」
「りょーかい、んじゃそうだな。温かい飲み物とお菓子でも用意してあげな。」
「了解です。」
俺は書類や名簿を隅々までチェックし、サーニャの両親の疎開先を探すのであった。
「おう、来たぞ我が姉弟よ。」
「って...お前まさかねーちゃんに何かしたのかよ!」
「おいおい誤解だ、勘弁してくれ。」
「その...、ザインベルグ少尉...いや、今はもう大尉でしたか。お久しぶりです、サーニャです。」
俺はその瞬間、少しばかりだが胸が高鳴ってしまった。そりゃあもう...おそらく6年程前だろう最後に見たのは。そこから、凄く成長しているからな。
「大きくなったな、サーニャ。」
「えへへ、そうかな?」
「それに、少しばかり表情が柔らかくなった気がする。成長したな。」
「そんな、照れます...。」
そんな時、俺の横腹に蹴りが入る。
「ってぇ...何しやがる。」
「お前サーニャとどういう関係だ!えぇ?答え次第でもう一発、今度は更にきついのいれてやるからな!」
「うーん、いいねぇ。私の妹も乙女なものだ、そうだな、年頃の乙女は難しいものだぞ、我が姉弟よ。棘のように鋭いが触るととても脆いガラス細工のように。」
「って、何感心してるんですか姐さん。というか今仕事中な。」
「こら!話そらすなぁ!」
なんだかんだありながら、飲み物を飲んで菓子をつまみ、あれから何があったかをお互い話す。
あれからサーニャはというと、ブリタニアに渡り、少ししてから501に配属されたという。そこからエイラとは親友となり、そして共に戦い続けていったという。まあ、エイラが妬きもち妬くのもよくわかった気はする。
んで、姐さんと俺は502であの後もなんとかやっていった。のだが、俺は途中で506の一件での鎮圧やら暗殺やらを依頼され、偽名で渡り、そして506を守り抜いた。と、ほんと大変な仕事ばっかこなしてよく生きて来れたものだね俺も。
「さてと、俺は仕事に戻るからあんたらは少しばかり休んでいきなさいな。」
「私も...手伝う!」
「しゃーねぇなぁ...私も一緒にやるよ。」
「なんなら、ねーちゃんも頑張ろうかね。」
「おいおい、今来たばかりで疲れてるだろ?」
「一人より、皆の方が上手くいくから...。私が501で学んだこと。」
「そっか、それなら任せようかな。俺は各ウィッチに両親の所在がわかったと伝えて再会させる。皆はサーニャの両親の所在を名簿の書類から調べてくれ。」
「わかった。」
「うん...。頑張る。」
「そんじゃ、妹の可愛い親友、いや、それ以上の子のために頑張ろうかね。」
「おい、ねーちゃん!」
「まあまあ、そう言うなよ。」
こうして何時間も作業を行い、そして両親や家族との再会を喜ぶウィッチもいれば、残念ながら家族が死亡してしまったのを聞いて泣き崩れるウィッチも少なからずいた。声をかけようとした軍人にアウロラは
「やめとけ、今無関係な私たちが声をかけても逆効果だ。今はそっとしてやれ、時間が解決してくれるさ。この子達だってずっと戦ってきたんだ、現実を受け入れてたくましく生きるだろうさ。」
姐さん、やっぱ大人だなぁ。
「そうか?もっと褒めてくれていいんだぞ?」
「こら、調子乗るなよねーちゃん。」
「ったく、イッルは冷たいなぁ。あの時はもっと可愛げあったのに。」
「そろそろ夜だし、お前ら寝てていいぞ?」
「まだ私頑張る...。」
「サーニャ...。ったくしょーがねーな、今日だけだかんなー。」
「んじゃ、私も酒入れて頑張るとしますかね。」
「酒はやめてくれ、吐いて書類お釈迦になったら洒落にならん。」
「ちぇっ、皆冷たいなぁ...お姉さん悲しくなってきたよ。」
「アウロラ大尉、手伝ってくれてありがとうございます。」
「サーニャちゃん...。おねえちゃん感動した。こんな優しくて可愛い天使のような子がいるなんて。あぁ、もうおねえちゃん泣けてきちゃう。」
「ちょっ...えぇ...。」
アウロラがサーニャを抱きしめるとエイラは嫉妬し始める。
「あぁ!サーニャに何てこと...いや、その...ねーちゃんサーニャばっかずるいってば!」
どっちなんだよ、というか...。
「すまないが遊ぶくらいなら寝てくれ。その方が明日つらくないぞ?」
「わーったよ、んじゃ寝るぞ皆。」
「うん...。それじゃあおやすみなさい。でも、無理しないでね?」
「おう、おやすみな。」
俺は夜中もずっと、探し続けた。そして、サーニャの両親の名前を発見した。今はオストマルクに移動してたのか。そこで安心して俺は眠りについた。
「はっ!?寝てたのか...。ん?毛布?」
「おはよう、大尉。」
「サーニャ、おはよう。この毛布かけてくれたのサーニャか?」
「うん...。」
そう言いながら彼女は少しもじもじしている。
「ありがとな、昔と同じで優しいんだな。」
俺は頭を撫でてやるとサーニャは恥ずかしがりながら。
「もう子どもじゃないんですよ...?もう。」
そう言うので少しからかってやろうと。
「それじゃ、大人のレディーとして扱ってもいいのかな?」
「えっ...それは...。」
そんな時であった、鈍い痛みが横腹を直撃する。
「おまえサーニャに何やってんだー!」
「ぐはっ!?いや、これオラーシャジョークだから。」
エイラが飛び蹴りを放って来た、いてぇ...さっきまで気配なかっただろ...。
「はっ、私の未来予知でいつでもどこでもわかるんだぞ。次はもう無いからな!」
「エイラ、乱暴しちゃ駄目でしょ。」
「サ、サーニャ...でも。」
「めっ!」
「わかった...。」
「そんで、いいニュースがあるんだけど。両親の居場所見つかったぞ。」
「本当...!?」
「ああ、会いに行こう。」
こうして、居場所を伝え、両親にも連絡をとった。そして次の日にサーニャと両親は再会した。
「お母様!お父様!」
「サーニャ、よかった、無事で!」
「この時をどれだけ待ち望んでいた事か...。」
家族とまた会えるなんて、いいな。俺も、こんな気分を味わいたかった。
「ありがとうございます、おかげで娘とまたこうやって。」
「いえいえ、これが仕事ですから。」
「それで、これからどうするの?大尉は。」
「そうだな...軍で結構稼いだし、星について勉強したいなぁって。」
「そっか...でも、行く当てはあるの?」
「無いよ...。でも、一人だって行きてけるさ。」
「そんな...。」
「それじゃあ、私たちの養子になる。というのはどうかな?」
「養子、ですか...?」
「いいじゃない、サーニャ。お兄ちゃんできるわよ?」
「そ、そんな...恥ずかしいよお母様。」
「それで、もしよければ。」
「でも、そんな迷惑は...。」
「いえいえ、娘が世話になりましたから。それくらいは迷惑でもなんでもないですよ。」
「そんな、でも...」
何故だろう、涙が流れてきた。どうしてだろう、何だろう、このこみあげてくるものは。
「ありがとうございます...お母さん、お父さん...。」
泣きながら膝をついて言うと、両親は笑顔で慰めてくれた。
「よかったな、お前。」
「うぅ...ぐすん。お姉さん感動で涙が止まらないなぁ。」
「よければそこのお二方も、お茶でもどうです?」
「そ、そんな...。」
「一緒にお茶しようよ、エイラ。」
「な、しょうがねえな...今日、だけだかんな...。」
「それじゃあサーニャちゃんと同じように優しそうなご両親のご好意を受け取ろうじゃないかイッル。」
こうして近くの喫茶店でお茶をしつつ色んな話をした、とても楽しい時間だとどんなに歳を取っても思えるだろう。
気づけば夕方となり、基地で事情を説明し一泊することとなった。
「それじゃあ気をつけてね、エイラ。」
「その、サーニャ。もし何かあったらすぐ言えよ?駆けつけるからな!それとお前、サーニャ泣かせたら絶対許さないからな!」
「あいよ、泣かせる気もないけどもしそんなことしたらお前噛み殺してきそうだしな。」
「ああ、お前のこと噛み殺してやる。」
「お前は野生動物か何かか...。」
「おら、挨拶はそのへんにしていくぞイッル。時間だぞ。」
「あいよ...。その、サーニャ。また、会えるよな?ずっとずっと...その大切な...あぁもう...いつでも手紙書いてくれよな!」
「うん...ずっと...ずっと、大切な友達だから...。」
そうしてスオムス行きの汽車は行った。その後俺は正式に養子となり、2人とも軍を抜けて家を購入し、そしてサーニャはウィッチとして戦ったことを考慮され特別待遇を受け再びウィーンへ留学。俺はというとウィッチでも何でもなかったため独学で大学へと入学し星についての勉強を始めた。時々サーニャから手紙を貰い、両親と共に読むのが楽しみとなっている。なんと、501の隊長だったミーナ大佐もウィーンにて歌手をやっており、サーニャのいる学校での講師も務めているという。2人は時々会っては話をしているという。
それから数年し、サーニャは学校を卒業しピアニストと小学校の先生を同時に務めるようになった。俺はというと、あれから大学を卒業して星についての研究者となり日々惑星の観察を行なっている。それでいて、世界はというと、全世界で平和条約が結ばれ、そしてウィッチを紛争やら何やらに使用しないというウィッチ保護条約も結ばれた。それと同時にコーネリア大佐やリフナスカヤ中佐、ジャンヌ中佐をはじめとした元ウィッチ達がウィッチ保護団体を発足し、世界平和へ向けて動き出していたのであった。
そして、ウィッチとネウロイの戦いからウィッチについての知識などを風化させないため学校での歴史として教える事が全世界で義務づけられた。
ある日のこと、俺は家族皆で星を見に行った。とても澄み渡る夜空で、心が洗われるようだった。
「なあ、サーニャ。星は綺麗か?」
「うん...。」
「その、さ...サーニャ。」
「ん?」
「俺達、結婚しよう。」
「えっ...?」
「歳が離れすぎてるのはわかる、でも...俺は君の事が好きだ。君の優しくて、それでいて、純粋なそんな君が好きだ。だから、生涯を共にしたい。」
「...わかった。私たち結婚しましょ?」
「いいんじゃないか?お似合いだ。」
「ええ、とてもお似合いよ。」
「なっ!?いつから聞いて...!」
「ふふっ、式は盛大にしないとね。」
「ああ、私がピアノを演奏しよう。」
「あ、あはは...話早すぎないかな。」
「ふふっ、でも...すごく星が綺麗だね。」
サーニャに手を握られ
「ああ、そうだな。どうだ?あの時と、変わらないか?」
「うん...何も変わらない。でも、変わったのは空を飛びながら見れてたかそうでないか。」
「そっか...やっぱり名残惜しいか?」
「うん...でも、こうやって遠くの星を見上げるのも悪くないかなって。」
「そっか...。それじゃあ俺がまるで空を飛びながら星でも見てるかのようなそんなもの作ってやるよ。」
「本当?」
「ああ、俺を誰だと思ってるんだ?星の研究のプロだぞ。」
「ふふっ、じゃあ期待しちゃうね。」
そう言って夜空を見上げ続けた、多分、いいや...もっと昔から変わらない綺麗な夜空だ。
そして結婚式当日、501だったり面識のある元ウィッチだったりを呼んで結婚式では当然、エイラに何度も脅されたけどね。
そんな感じで結婚をし、サーニャとの間に子を授かった。とても繊細で抱きしめたら砕けてしまいそうだったからなんだか怖かったけどね。サーニャが出産するまでは家事やら何やら全て僕または両親がやって全力でサポートした。そして子どもを出産し、僕達はとても幸せになった。
子どもと一緒に星を見に行ったり、遊んだり、世界はこんなに素晴らしいものなのかとそう感じることばかりだった。
それから数年が経ち、僕は元ウィッチの助言を貰いつつ、ストライカーで飛びながら星を見る体験ができる装置をつくった。その建物に入り、ストライカーを模したものを履いて、透明な台座に腹をくっつけ脚を伸ばし、そして建物では上の前方向に星の映像を、下には上から撮影した街の映像を流してまるでナイトウィッチの体験ができるという発明をした。これには元ナイトウィッチ達にも好評で、歴史の体験授業などにも使われることとなりノーベル賞を獲得した。
「ねえ、あなた。これ見て!」
「ん...?宮藤芳佳医院長、不治の病とされた病の特効薬を開発。成果をあげる。へぇ、宮藤さんってあの501の。」
「うん...。あれから芳佳ちゃん、医学を勉強し直して家を次いだ後に大学病院を作ったんだって。それからは教授も務めたりと凄いみたい。」
「へぇ...そりゃ凄いや。」
「扶桑かぁ、行ってみたいなぁ。」
「そんじゃ、今度行ってみるか?旅行だ旅行。」
「うん!」
新婚旅行はブリタニアとロマーニャ。サーニャの思い出の地を再び訪れたんだ。
それからどれくらい月日が流れただろう、子どもは結婚し、そして孫ができ...
「ねえサーニャおばあちゃん!」
「ん?どうしたの?」
「おばあちゃんとおじいちゃんが出会った頃のお話して!」
「そうねぇ...いいわよ。」
「あれは僕達が丁度50年前の話、だったかな。はっはっは、あの頃のサーニャはとても恥ずかしがり屋さんでね。」
「もう...、そんなにだった?」
「ああ、それで...どこから話そうか。」
今も、そしてこれからもこの空は蒼く、どこまで澄み渡っているだろう。空って、いいものだ。そう思うだろ?サーニャ。
「ええ、あなた。あの頃と、何も、何も変わってないわ。そして、この空で皆とはずっとずっと繋がっているもの。」