あれから、どれだけの時間が経っただろう。502とその他精鋭ウィッチ達によるオラーシャ解放戦が始まり、成功し、そしてネウロイが殲滅された。
ウィッチ達はそれぞれの国へと帰り、そして避難していた人々達も祖国へと帰り始めていた。
そんな中、俺はというと。ウィッチ達の両親の避難先を調べ、そして両親と連絡を取り合い、再会させるという仕事に就いていた。
「久しぶりだな、ザインベルグ中尉。いや、ザインベルグ大尉。」
「この声は、リフナスカヤ中佐ですか。」
「ふんっ、元気そうで何よりだ。」
「そんな風に見えます?この書類の量。でもまあ、ウィッチ達のためにもやらなければいけないんですけどね。」
「仕方あるまい、私も手伝おう。」
こうしてほぼ不眠不休で作業を行い、一日でほぼ全員のウィッチが家族の元へと帰っていった。だが、中には家族の誰かと死別したウィッチもおり、泣き崩れることも少なくなかった。
「私達がかける言葉などどこにもない、今はそっとしておいてやれ。」
それが中佐の言葉だった。
作業も終わり、ようやく休息がとれると思った時。
「大尉、時間はあるか?」
「ええ、どうしたんですか。」
「久しぶりに会えたのだ、私が喫茶店で何かおごってやろう。」
「それはありがたいですが奢られるほどでは。」
「何を言う、いいから来い。」
そう言われて俺は珈琲を飲む、そんなときリフナスカヤは。
「その、何だ...。少しばかり真剣な話なのだが...。」
「何です?真剣な話って。」
「ああ、もう...。単刀直入に言う、私と付き合え!」
「へ?」
「そのままの意味だ、たわけ!二度も言わせる気か!?」
「落ち着いて、ここ公共施設。ね?」
「ふん、貴様が鈍感だからだろう。」
「それは本気みたいですね...わかりました。僕達付き合いましょう。」
「そう、それでいいんだ。」
彼女の表情が少し和らいだ気がする。戦時中はずっと張りつめていて氷のようだった、だがそれも今では少しずつだがその氷が溶け始めてるんだろう。
それから少しが過ぎ、彼女はコーネリア大佐や他ウィッチと共にウィッチ保護団体を発足し、様々な厄介事からウィッチを保護する活動を始めた。そんな、中俺はというと。紛争やら何やらを抑止したり。よからぬ企みをしている奴らの暗殺などを任務として活動していた。人々はその時の俺をロビンフッドと称して、戦争や政治の厄介事の抑止力となっていた。もちろん、襲撃などはない。何せロビンフッドがこの俺であるなんて誰も知らないのだから。師匠に教えられた通り、こういう時には変装をするというのは忘れていないし顔を隠している。
そんなときだった。
「ん?リトヴャク大尉からだ。」
「どうしたんだ?リーシャ。」
「私達を特別講師として授業に出てほしい。と。」
「どうする、ヨハン?」
「決まってる、出てあげよう。」
こうして俺とリーシャはサーニャが務める小学校へと特別講師として授業に参加した。
久しぶりに再会すると、サーニャは微笑んで歓迎してくれた。
「久しぶりだな、そして...成長したな。」
「うん...。それと、お久しぶりです中佐。」
「中佐はよしてくれ。もう皆軍を辞めているだろう。別にリーシャで構わんよ。」
今回の授業内容はウィッチについて、そしてネウロイとの戦いの歴史ということだった。2時間連続での特別授業ということだ。
サーニャ、リーシャの両者の体験談。そして何故か俺の経験まで話すことになった。
「俺の経験なんて教育によろしくないんじゃないか?」
「そうでもないよ?だってあなたは私のヒーローだもん。」
「ま、あの歳じゃそう見えてもおかしくなかったのかねぇ。」
「そうだ、サーニャはこれからどうする気なのだ?」
「私はピアノ奏者と先生を両立させようかと。今は教師が足りないので少しでも...と。」
「そうか、偉いな君はいつも。」
「その...それで、リーシャさんとヨハンさんって結婚するんですよね...?」
「ああ...。」
「そっか...そう、だよね...。ううん、おめでとう。」
「サーニャには絶対いい人がいてくれる。まあ、もし何かあったら俺に言え?泣かせるような奴ならケツに銃弾ぶちこんでやる。」
「もしかしてお前はそういう趣味に目覚めたか?」
「生憎、そういう趣味はねぇですよって。」
そう言いながらお茶をし、そして俺達は帰路についた。
お互い仕事が落ち着いた時、リーシャとの間に子どもができた。リーシャは強がるくせになかなか可愛い一面もあるんだなとわかった。それを言ったら蹴られた後に銃口ケツに向けられるんだけど。
それからというもの、時が過ぎていきウィッチ達の安全が護られつつ世界も平和を保っていく。そんななか、リーシャは無事に出産して家族の温かさを再認識する。俺達はもう両親はいないが、でも新しく家族はできた。だからこそ、それを守っていきたい。
ある日、庭で茶を楽しむ俺達。
「なあリーシャ。」
「ん?どうした?」
「今日も空は蒼く澄み渡ってるな。」
「ああ...あの頃と何も変わらないな。」
「こうやって安心してお茶ができるのはいいことだね。」
「ふふっ、そうだな。これが、私たちが守った空...か。」
そう微笑むと彼女は
「そうだ、今度皆で茶会でも開かないか?なんというかあいつらの顔が見たくなってな。」
「いいね、それ。」
この蒼い空の下で今日も、人々は過ごしている。そして、彼女の氷のように張りつめていた表情は完全に和らぎ、とても優しい表情に変わっていた。僕はそれを見るだけで、とても幸せだ。これからもこの優しい彼女を守っていきたい。笑顔で溢れる家庭を築いていきたい、ただそれだけが僕の幸せだ。