こうして私とシャフノフスキー大尉は先行し、ネウロイの捜索を行なった。
「シャフノフスキー大尉、ネウロイを発見できたか?」
「いえ、もう少し待ってください。」
大尉の固有魔法は熱源の感知が容易になる、つまり熱源を視認する魔法であるのだ。
「リフナスカヤ少佐、遅れました。我々も同行します。」
「そうか、心強いぞリーシャ少尉。」
リーシャ少尉に続き、イリヤ曹長、アナスタシア中尉、ナターシャ少尉も合流する。
「アナスタシア中尉、音から何かわかるか?」
「...ここから北西の都市部から...する。」
「大尉、北西部を中心に捜索だ。」
「了解です!」
北西部の都市に向かい、警戒をしている時であった。
「見つけた!ネウロイ、ここから600m、位置にして10時の方向です。」
「了解した、私と大尉が先行する。それに続きリーシャ少尉、イリヤ曹長、ナターシャ少尉は隊形を組み、アナスタシア中尉は後方から狙撃を。」
「了解!」
総員が指示通りに動く、大尉の銃撃がネウロイに命中したのか手応えが見られた。銃弾の命中した部位から姿が露になる。
「駄目!装甲が硬い!私の火力じゃどうにもならない。」
「任せて...」
アナスタシア中尉の対物ライフルがネウロイに命中するも手応えは先ほど以上ではあるが大した損害とはならない。
「ならば!」
私は固有魔法、温度操作によってネウロイ表面を熱する。温度にして100度を超えているだろう。私の能力ではこの少し上が限界だろうな。ここから急激に冷却しその装甲を砕いてくれる。しかし、ネウロイも抵抗を見せ私に攻撃を集中させる。
「っ!隊長!ここは私が!」
「すまない、イリヤ曹長。」
「ですがあまり長く保ちませんよ?」
「わかってる、だが充分だ。」
シールドを得意とするイリヤ曹長の防御によって魔法に集中できるがそれでも時間が足りない。
「ここは私たちが!」
「いくぞ、オラーシャ軍の誇る」
「フォーメーション・シベリアン・デルタブリザード!」
この陣形は大きな円を描くような陣形で飛行し、攻撃を分散させるものだ。その飛行の美しさと意気の合った飛行、そしてその形が三角形を描くようなものであることからこの名前となった。これは幼なじみであるリーシャ少尉、ナターシャ少尉、そして彼女らが訓練兵時代のときに面倒をみていたシャフノフスキー大尉だからこそできる技だろう。
「ネウロイの気があちらに逸れた、これならっ!」
「おらおら私たちが相手だ!」
「先行しすぎるなよー?ナターシャ少尉。」
「き、気をつけますってば大尉!」
そんな中、私は集中させ一気にネウロイ表面の温度を氷点下程に下げる。
「今だ!アナスタシア中尉。」
「んっ...了解。」
アナスタシア中尉の狙撃からはじまり、三人とイリヤ曹長、私の総攻撃により装甲を削っていく。
「見つけた!沈めぇっ!」
大尉の攻撃によりネウロイは核を破壊され消滅した。
「ふぅ...危なかったぁ。」
「とんだ強敵でしたね、大尉。」
「ああ...。」
「ほんとどうなるかと思いました、オラーシャの氷帝の名は伊達じゃないですね!」
「よしてくれ、曹長。では帰還するぞ。今回のネウロイのデータはオラーシャ軍に報告しておく。」
こうして帰還した私は執務室に戻り今回の戦闘のデータをまとめていた。
「失礼します、少佐。」
「大尉か、呼んで悪かったな。」
「いえ、おつかれさまです。はい、これコーヒーです。」
「悪いな、何から何まで。」
「いえいえ、今回のネウロイは強敵でした。」
「あぁ...少しでも私たちが強力なネウロイを倒しておかなければな...。あれほどのやつをひよっ子が相手にするのは無理だろうからな。あがりが来るまであと2年弱...か。」
「もう、悲しいこと言わないでくださいよ。私だってそうなんですから。」
「あと2年で決着は、無理そうかもな。」
「はい、あのカールスラントも今は危険な状態だと。」
「まさかあのカールスラントがこうなるとはな。非情に心苦しいことだ。」
せめて私たちだけでも、この町、この国を守ってみせる。もう私のようなものを生み出さないためにも...な。