ワンダリング・テンペスト   作:負け狐

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vsルイズ(バーサーカー)


その4

 響く爆発音を耳にしたカリーヌはピクリと眉を動かした。紅茶を淹れていたメイドは、あー久しぶりにやらかした、と呑気な声を上げている。

 

「ダルシニ」

「どうしました奥様」

 

 ダルシニ、と呼ばれたメイドは笑みを浮かべたまま。分かっているだろう、と言わんばかりのその表情を見たカリーヌは肩を竦めた。まあそうね、と呟いた。

 大変です、と部屋に飛び込んでくるメイドと衛兵を視界に入れる。何者かの襲撃だの怪物が現れただのと捲し立てている連中を見て、ああそういえばこいつらはまだ新人だったかと溜息を吐いた。

 

「ジェローム」

 

 傍らにいる執事を呼ぶ。それだけでかしこまりましたと頭を下げたその執事は、まったくと少々呆れたような顔でその新人達を部屋の外へと連れ出した。

 

「ここで働く割には心配性なのね、あの人達」

「……そうね」

 

 ダルシニの呟きを聞き、カリーヌはジロリと彼女を見た。今でこそ色々あっても平然としているが、彼女も出会った当初は酷いものであった。そのことを思い浮かべ、このやろうと目を細める。

 

「まあまあ。それで、どうするのカリンさん」

「さっき表情で察したんじゃなかったの?」

「一応は。でも、『ヴァリエール公爵様の奥方』としての意見と、『烈風』カリンの意見は違うかもしれないでしょう?」

「同じよ同じ。……あの面々が揃っていて、テファもいる。うちのバカ娘一人暴走したところで、わたしが出る必要はないわ」

「あ、ルイズちゃんだけって確信しているのね」

 

 ふーん、と笑うダルシニを見たカリーヌは、わざと言ってんだろお前と言わんばかりの表情で彼女を睨んだ。普通の人間はそれだけで竦み上がるが、長い付き合いでもある彼女は平然とそれを受け流す。

 コツコツと机を指で叩きながら、カリーヌは息を吸い、吐いた。

 

「あの状況で他にやらかすのがいるとでも?」

「アトレちゃんとかはやりそう?」

「あの娘は意外と礼節を弁えているの」

「……合成獣(キメラ)以下の信頼かぁ」

 

 自分の娘の評価としてどうなのだろう。そうは思ったが、幼い頃から世話をしてきた身としては頷けてしまうので、ダルシニはあははと頬を掻くだけで留めた。

 

 

 

 

 

 

「ミスタ! 大丈夫ですか!?」

 

 アンリエッタが背後に声を掛ける。現在の場所は先程まで談笑していた部屋ではなく、そこからかなり離れた練兵場の一角である。ルイズの一撃で吹き飛ばされた彼女達は、追撃を防ぎつつ戦いやすい場所まで誘導を行っていた。口から煙を出さんばかりに暴走しているルイズは、そこを気にすることなくされるがままに移動させられている。

 

「……済まない。不用意な発言だった」

「いえ。……確かに不用意ではありましたが、こちらがそのことを予め伝えていなかったのが遠因です」

 

 ヨロヨロと背後でふらつくビダーシャルを一瞥し、アンリエッタは気合を込め双剣杖を抜き放った。普段の喧嘩とはまた違う。あれを相手取るならば、こちらも真面目にいかねばならない。

 

「ミスタ、恐らくお気付きでしょうが、今の貴方は足手まといです」

「そのようだな。……随分と好かれているのだな、あの娘達は」

 

 精霊の契約は全て拒否をされた。ルイズとカトレア、ティファニアを辱めたやつに何故力を貸さねばならんと一蹴されたのだ。部外者とはいえ、まさか精霊と縁深いエルフが縁遠いはずのマギ族に負けるとは。そんなことを思いはしたが、逆に考えればここの人間達はエルフに勝るとも劣らない精霊との信頼関係を築けているという見方も出来る。喜んでいいのか嘆けばいいのか、なんとも微妙な状況であった。

 

「簡単な力は行使出来るが……通用はせんだろうな」

「ええ。……こういう時絶対にヴァリエールの味方をするのはどうなのよ精霊!」

 

 ルイズとアンリエッタの喧嘩の際、ルイズのホームであるヴァリエール領での戦闘時は毎度毎度こうであった。向こうからすればこれもいつもの喧嘩の延長線上でしかないのだろうが、だからといって。

 嘆いてもしょうがない、とアンリエッタは気持ちを切り替える。精霊が喧嘩程度に考えているのならば、こちらとしてもそういう戦いをすればいいだけだ。

 

「こちらの戦力は?」

 

 周囲を見渡す。同行しているのは『地下水』、エルザ、十号の三人だ。会話に参加していなかった才人とギーシュ、アトレシアとカレンデュラは出遅れたのかこちらに来ていない。

 まあいい、とアンリエッタは前を見た。ズシンズシンとこちらに歩いてくるルイズを眺め、では行きますかと双剣杖をくるりと回す。

 瞬間、横に跳んだ。ガリガリと竜巻がアンリエッタのいた場所を削り、抉る。デルフリンガーを振り上げた体勢となったルイズが、ギロリとアンリエッタを捉えていた。

 

「姫さん、避けろ!」

「言われずとも……っ!」

 

 刃の竜巻。当たれば恐らくズタズタに引き裂かれていたであろうそれを左手の剣杖から放った水で無理矢理体を反らし躱したアンリエッタは、右手の剣杖に留めていた水の鞭を解き放ちルイズへと叩き込む。

 ふん、と鼻を鳴らしたルイズは、デルフリンガーを一振りしそれを吸収した。

 

「デルフ! 少しは抵抗しろ!」

「やかましい『地下水』! 俺っちだって必死だわ!」

 

 べしゃ、と地面に落ちたアンリエッタに代わるように『地下水』が疾駆する。ナイフから生み出した氷柱を連続で撃ち出しながら距離を詰めていったが、そんなことは織り込み済みと言わんばかりに地面から打ち出された風の槌で天高く舞い上がった。

 

「『地下水』さん!?」

「私はいいから!」

 

 十号の叫びに吹き飛びながら彼女は返す。分かりましたと異形の腕を伸ばしルイズに叩き込んだ十号は、そのまま追撃と背中から蜘蛛の足骨を伸ばして。

 

「邪魔、すんなぁ!」

 

 がしり、とそれを掴まれたことで驚愕の表情を浮かべた。呪文で身体強化を施しているのか、それとも他の方法か。ともあれそのまま十号を引き寄せたルイズは、デルフリンガーから風の塊を生み出し彼女へと撃ち込んだ。ぐしゃり、と少女の体が曲がってはいけない方向に捻じれ、そのまま地面をバウンドし練兵場の外にある木に激突する。

 そのタイミングで、ルイズの腕を掴んだエルザが彼女を投げ飛ばしていた。

 

「ちぃ!」

 

 空中で体勢を崩されたルイズは、それでも呪文を放とうとデルフリンガーを振り上げたが、それよりも早くエルザがその手を捻り軌道を逸らした。明らかに当たればただでは済まない竜巻が明後日の方向に飛んでいき、彼女は思わず冷や汗を垂らす。

 

「これで――」

「これで、何よ」

 

 その一連で、ルイズは地面に着地した。握られている右手を振りほどこうともせずに、そのまま彼女は回し蹴りをエルザの腹に叩き込む。ミチミチという音が、彼女の腹とルイズの腕の両方から聞こえた。

 

「嘗めんじゃないわよ。魔法と近接、両方出来て一人前のメイジよ」

 

 絶対に間違ってる。口から胃液を出しながら、エルザは心の中でそう叫んだ。そのまま力任せにルイズは腕の拘束を振りほどき、トドメとばかりにえずいているエルザに呪文を撃ち込んだ。だらりと彼女の右腕が投げ出され、そして十号と同じように木に激突したエルザは動かなくなる。

 

「二人を犠牲に、腕一本、ですか」

「無事ですか、姫殿下」

「あの二人よりは余程。そちらは?」

「あの二人よりはマシかと」

 

 余波でボロボロになったドレスの袖を引き千切りながらアンリエッタはぼやく。攻撃で泥だらけになった髪と帽子を整えながら『地下水』は溜息を吐く。

 ゴキン、という音が響いた。外れていた肩を強引に戻したルイズが、再度口から煙を吐かんばかりの表情で吠える。

 

「……今なら」

 

 アンリエッタが呪文を放つ。一歩踏み出しながらそれをデルフリンガーで受け止めたルイズは、そのまま平然と歩みを進めた。微塵も効いていない様子であるにも拘らず、アンリエッタはそれを止めない。成程、と頷いた『地下水』も、同じように呪文を放ち始めた。

 ルイズは止まらない。一歩、また一歩と前に踏み出す。デルフリンガーで呪文を打ち消しつつ、邪魔者にトドメを刺さんと足を動かす。

 

「――ん?」

 

 その歩みが鈍くなった。自分の意志とは無関係に足が止まった。どういうことだ、と二人を見ようとしたが、首も動かない。無理矢理ねじ込んだ右腕はともかく、無事なはずの左腕も動かない。

 

「……デルフリンガー。お疲れ様です」

「いやまあ俺っちも二人の意図に気付いたから良かったけど。もし気付かなかったら」

「その時はこっちで叫んでましたよ。当たり前でしょうボロ剣」

 

 ルイズの体は動かない。何をした、と唯一動く口と思考でそう叫んだ彼女であったが、しかし即座に答えを導き出した。二人と一振りの会話から、己がどうなっているのかを理解した。

 

「デルフ……アンタ、裏切ったわね」

「いきなり暴走して客人ぶち殺そうとする奴の味方するわけねぇだろ!?」

「ちいねえさまを傷付けようとしてるのに!」

「落ち着けよ! 話聞けよ!」

 

 ルイズがフランドールである時に使っている喋る魔剣、デルフリンガーには主に三つの能力が備わっている。一つが呪文を吸収する力、もう一つがそれを使い使用者の身体能力を底上げする力。最後の一つが、吸収した力で使用者を動かす力である。元々は『使い手』限定であったらしいが、鍛え上げられる過程で己に適応すれば問題なくなったとは本人の弁だ。

 ともあれ、アンリエッタと『地下水』の魔法を吸い込んだデルフリンガーはルイズの動きを止めることに成功した。もっとも、吸い込んだ魔法が尽きるまで、の話だが。

 

「とりあえず、眠らせましょう」

「そうですね。何はともあれ、落ち着かせることが先決でしょうし」

 

 『地下水』の言葉にアンリエッタも頷く。早くしてくれ、というデルフリンガーの声を聞きつつ、では早速とアンリエッタが呪文を唱え。

 

「――ユビキタス」

「っ!?」

 

 ルイズの動かせるのは口と、思考だけ。だが、それさえあれば、呪文は唱えられる。杖を、デルフリンガーを向けることは出来ないが、それがどうした。

 

「デル」

「姫殿下! 急いで!」

 

 そんなものは関係ない呪文を唱えれば、いいだけだ。

 

「しまっ――」

「ウィンデ!」

 

 ルイズの持っていたデルフリンガーが、横合いから現れたルイズによって蹴り飛ばされた。それによって自由を取り戻したルイズは、すぐさま呪文を放とうとしているアンリエッタに肉薄しその杖を奪い取る。ついでに顎に掌底を叩き込み、脳を揺らした。

 がくりと膝から崩れ落ちるアンリエッタの杖を使い、ルイズは残る一人、『地下水』へと呪文を唱える。周囲には『遍在』により増えたルイズが三人、同じように杖を構えている。

 恐らく手加減はない。流石に四人のルイズから呪文を叩き込まれれば間違いなくどうにかなってしまうだろう。抵抗しようにも、そんな隙は既に無い。

 四方八方から竜巻が迫る。本体であるナイフはともかく、この肉体も出来れば形が残っているといいな。そんなことを彼女はぼんやりと考えた。

 

 

 

 

 

 

 四つの竜巻が地面に巨大なクレーターを作り上げ、そこに何があったのか分からないほどにズタボロになったその場所で、四人のルイズはゆっくりと視線を動かした。

 

「っぶねぇ……。おい、大丈夫か『地下水』!?」

「――屈辱です」

「助けてやったのに何たる言い草!?」

 

 尚、現在『地下水』は才人にお姫様抱っこされている。彼女の言う屈辱、は恐らくここに掛かっているのだろうと思われるが、生憎才人には分かっておらず、そして彼女自身もそれを口にはしない。

 いや顔真っ赤で何言ってんだよ、と才人と同じく到着したギーシュは一人心の中でツッコミを入れた。

 

「姫さまの回収も終わったよー」

 

 ずるり、と蔦に巻かれた状態のアンリエッタがゆらゆらと揺れている。カレンデュラが持ってきた十号とエルザの横にそんなアンリエッタを置くと、では改めてと相手を見た。

 

「……うわぁ」

「地獄」

「そうだね……」

 

 殺意マシマシでこちらを見るルイズ×四。常人であればすぐさま逃げること請け合いである。

 そんな三人の横に、『地下水』を抱きかかえた才人が並ぶ。そして同じような感想を呟き、それでもやるしかないと前を睨んだ。お姫様抱っこをしていた彼女を下ろし、ゆっくりと刀を抜き放つ。

 

「一人一ルイズか」

「無理だね」

「無理じゃないかな」

「無理」

 

 デルフリンガー装備ではないので、一応マシではある。呪文も通用するであろう。

 だからどうした、である。生きる英雄を抜けば、彼女は間違いなくトリステインで一二を争うスクウェアメイジなのだから。ちなみに三位以下はぶっちぎりで突き放されている。

 

「それでも、やるしかないだろ!」

 

 足に力を込め、一気に突っ込んだ。アンリエッタの剣杖を持っているルイズ本体へと肉薄した才人は、そのまま全力で刀を振り抜く。風の刃と剣杖とでそれを受け止めたルイズは、お返しだと杖から呪文を放った。

 体をずらしてそれを躱した才人は、頬にざっくりと切り傷が出来たことも気にせず、横一文字に刀を振るう。

 

「ああもう! 遍在だけど、久々に喧嘩させてもらうよルイズ!」

 

 ギーシュも突っ込む。『錬金』で生み出した刃を地面から這わせながら、なるべく相手に広範囲の呪文を唱えさせないよう立ち回る。

 

「カレン!」

「ん」

 

 アトレシアとカレンデュラも飛び込んだ。こちらの二人は現在力任せが一番得意な状態である。己の耐久力を盾にアトレシアがルイズに一撃を叩き込み、それをフォローするようにカレンデュラが追撃を行う。二対二ではあるが、ルイズとルイズのコンビネーションのそれより、二人の動きが勝っていた。

 そうしてルイズ四人との戦闘は、先程よりも拮抗した。これはルイズが万全ではなくなったことが多分に大きい。デルフリンガーに操られている状態で無理矢理遍在を唱えたことで、数は増えたが精神力が大幅に削られたからだ。

 とはいえ、平時ならばともかくこれで暴走しているルイズを止められるかといえば答えは否。己の限界など知らんとばかりに暴れる彼女をどうにかするには、それを叩き潰すほどの攻撃をするしかない。最も手っ取り早いのは『烈風』の一撃であるが、現在カリーヌは傍観を貫いている。そして、才人達四人ではそれに届かない。『地下水』の治療によりなんとか動ける程度に回復している十号やエルザ、意識を取り戻したアンリエッタを加えても駄目である。

 せめて全員万全であれば。そんなことを思いつつ、アンリエッタはどうするか思考を巡らせる。自身の全力を叩き込もうにも、剣杖を奪われている現状威力は半減。残りの面々は先程の通り。となれば。

 

「ルイズ!」

 

 ん、とアンリエッタは視線を動かした。そこには、大きくたわわなそれを揺らしながらこちらへと駆けてくる一人の少女が。どうやら事態を察したはいいが駆けつけるのが大幅に遅れたらしい。

 

「テファ……」

 

 少女の名を呟き、そしてこれから彼女が何をしようとしているのかに気付いてアンリエッタは目を見開いた。ティファニアは右の拳を握り込み、地面を踏みしめ力を込めている。

 そこから導き出せるのは、一つ。

 

「ルイズ! 何やってるのよ!」

「テファこそ、何言ってるの? ちいねえさまが、傷付けられるのよ?」

「カトレアさんはそんなこと言ってなかったわ! 落ち着いて!」

 

 そう思ってはいたが、どうやらまずは対話らしい。ほっと一息を吐いたアンリエッタであったが、しかし暴走状態であるルイズはティファニアの言葉など聞く耳を持っていない。彼女が来たことで距離を取った才人達と戦っていた遍在を全てティファニアに向けると、邪魔するならお前もぶっ飛ばすとルイズは睨んだ。

 あ、ヤバイ。瞬時に皆はそう判断すると、それを聞いて再度拳を握り足に力を込めたティファニアに向かって声を張り上げた。

 

「ルイズの――」

「テファ! 駄目ぇ!」

「馬鹿ぁぁぁぁ!」

 

 恵まれた肢体から繰り出されたその拳は、遍在の呪文ごとルイズの腹を抉る。まるで大砲か何かでも叩き込まれたような炸裂音が辺りに響き、そして体を『く』の字に曲げたルイズは猛烈な勢いで吹き飛んでいった。

 練兵場を飛び出し、周囲の木々を薙ぎ倒しながら、ルイズは吹き飛ぶ。そうして木々を抜けた先、ヴァリエールの城へと舞い戻ったルイズは中庭の池へと落ちた。ぼちゃん、と石を投げ入れたような音と共に、彼女は池の藻屑となる。

 

「……死んだんじゃない?」

「ルイズぅぅぅぅ!」

 

 アトレシアの色々諦めたような呟きと、アンリエッタの叫びが練兵場に木霊した。

 

 

 

 

 

 

「はっ!」

 

 飛び起きた。何がどうなったんだ、と辺りを見渡すと、ボロボロの仲間達が目に入った。

 

「……どうしたのよ、みんな」

「お前がやったんだよ!」

 

 代表して才人が叫ぶ。うんうんと頷く他の面々を見て、そうだったっけかとルイズは首を傾げた。

 記憶を辿る。が、どうにも思い出せない。何かあったような気もするが、それが何か出てこないのだ。

 

「んー」

「思い出せないならいいわよ。うん、本当に」

「あ、モンモランシー。帰ってきてたのね」

「おかげさまで!」

 

 まさか戻ってきて早速特製秘薬使うとは思ってなかった。ガリガリと頭を掻きながらモンモランシーは一人ぼやく。

 

「ミス・モンモランシ」

「どうしました姫殿下」

「ルイズの記憶が曖昧なのは」

「……まあ、あれだけ吹き飛べば記憶も飛ぶんじゃ」

 

 練兵場から中庭の池まで新しい道が出来た、と言えばその威力は分かってもらえるのだろう。実際その光景を見たモンモランシーはまずルイズの原型が残っているかの確認から始めた。

 結果として腹に青痣が出来ているだけで身体自体は無事であったルイズを、全力で向こう側から引き戻して今に至るのである。

 

「ごめんなさい……」

「いや、まあ、うん。テファは、悪くない、こともないけど」

 

 しゅん、と項垂れるティファニアを見て、どうしたものかと才人は溜息を吐いた。実際問題、あれがなければルイズは止まらなかったので、彼女の行動は正解とも言える。

 しかし城の城壁をも容易く砕く拳を少女の腹に全力で打ち込むのは如何なものか。

 

「……まあ、ルイズだしいいか」

「ちょっとサイト、アンタ今何か変なこと考えたでしょ!」

「気のせいだよ妹様」

 

 むう、と膨れるルイズの頭を撫でた才人は、とりあえずこれで一件落着かな、とアンリエッタを見た。まあ一応はそうですね、と珍しく苦笑気味に彼女は返した。

 ビダーシャルはこの一件を不問とした。元々は自分の失言が招いた事態である。何より、かつての悪魔の力を正しく使えるかもしれない相手を前にしてそんな行動はありえない。ということで、これらも踏まえて一度サハラに帰り彼の上司と相談を行うことにしたらしい。出来るだけ友好を結びたい、とは彼の弁だ。

 そういう意味では確かに一件落着と言えるであろう。周囲の被害を顧みなければ、の話であるが。

 

「ルイズが元気に走り回ってくれたから、いいと思うわ」

「……カトレアさんが良いなら」

 

 しょうがないな、と頭を掻きながら苦笑する才人を見て、カトレアは優しく微笑んだ。

 尚、それはそれとして勿論友人達を傷付けたことでルイズはカトレアに怒られ、そしてお前が暴走してどうするとエレオノールに説教され。

 

「人を散々言っておいて、自分はそれですか」

「……ご、ごごごごごめんなさい、母さまぁぁぁぁ!」

 

 全快した後、彼女は再度カリーヌにより宙を舞った。




ティファニアブロー
巨乳で美人のハーフエルフがおっぱいを揺らしながらぶん殴る
相手は死ぬ。

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