魔法使い二人と筋肉が行く!! 作:マユ太
あれから、地上に舞い降りた三人は焚火を囲うようにお互いに顔を突き合わせ、今後の相談をしていた。
「とりあえず、あの城下街に行ってみようぜ。
言葉が通じるかどうかは分からねぇが、俺達の腕っぷしなら傭兵だろうが何だろうがやって行けるさ」
「クックック、そうだな。
何故ならここには人種の限界を超え、不老となった『生きるバグキャラ』のハイヒューマンの怪物たちが居るからな」
「いやいや、不死身の真祖の吸血鬼に言われたくねぇよ」
ニヤニヤと笑う真祖のエヴァンジェリンと突っ込みを入れるラカンの二人を見ながら目の前で燃える炎の暖かさを噛み締めるナギ。
外に吹いている風の冷たさと炎の暖かさ。自分の皮膚をつねる事で感じる痛み。
彼はここが今の自分にとっての現実となってしまったのだと理解した。
しかし、彼はこの異常事態に不安は感じているが悲観や絶望はしなかった。
「で?リーダー。
お前さんはどうする?」
「私は、お前が望むのなら森にログハウスでも建てて、隠居生活をしてもいいがな。
勿論、ログハウスはこの筋肉ダルマに建てさせるが……」
「おい」
そう、目の前には自分が手塩にかけて制作した最強のNPC達が支えてくれているのだから。
「じゃあ、とりあえず城下町に行こう。
言葉が通じれば仕事探し、通じなければ……その時に考えよう」
こうしナギを含めた怪物集団《紅き翼》のリーダーという設定のナギが下した決定によって城下町へと向かう事になった。
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一晩野宿をした後、城下街にやって来たナギ率いる《紅き翼》は街の上空からコッソリ入り込む事で潜入に成功した。
ナギは街の作りから文明レベルは低いと想像していたが、街の明かりに使う街灯や住民達の服装を見る限り想像していたよりも低く驚いていた。
だが、そんなナギとは対照的にNPCであるエヴァンジェリンやラカンは特に違和感がないらしく見慣れた街並みで安心しているようだ。
気持ちを引き締めたナギは道を行きかう人々の声…正確には使われている言語を聞き取る為に耳を澄ませる
「ガセフ、今日はオーガ退治だ!!気を抜くなよ!!」
「はい!」
「オロロロロ!!」
「アンタ大丈夫か!?」
戦士風の
彼等の言葉が理解できると分かったナギは安堵の息を吐く。
「ナギ、オーガだってよ。
モンスター退治すれば金になるかもしれねぇな」
「そうだな…。
何処かにモンスター退治を依頼している場所があるかもしれない。
まずは、そこを探そう」
「だが、文字の問題はどうする?
そこら辺に設置されている看板の文字が全く読めないぞ。
異国の人間であると言えば、怪しまれる事はないかも知れないが金の価値も分からんし、足元をだいぶ見られるのではないか?」
ラカンの意見に同意してモンスター退治を請け負う為の施設へと向かう事を決定したナギであったが、エヴァンジェリンの言葉に足を止めてそこら辺に設置されている木造の看板を見つめた。
しかし、エヴァンジェリン同様に言語は理解できても文字を理解する事はナギにも出来なかった。
確かに彼女の言ったように足元を見られる可能性は高い。
しかし、このメンバーで金を稼げるとしたらモンスター退治しか想像が出来ない。
「報酬を差し引かれても授業料と思えば我慢できる。
今後差し引かれないように三人で勉強すればいいだけだ。」
よって、ナギは起こりうるかもしれないデメリットに目を瞑り。
衣食住を満たす為にモンスター退治を請け負う組織を探す為に歩き出した。
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周囲の人々から感じる奇異と好奇心の混じった瞳に晒されながらも、ナギ達は哀れな
「エヴァ、頼むからさっきみたいなことはなしで頼む」
「ああ、俺様もアレには同情した。
下手したらアイツは子孫を残せないんじゃないか?」
「……フン。
この私の尻を触ろうとしたのだ。
あれでもやりたらん」
そう、街を散策していたナギ一行の紅一点であるエヴァンジェリンに痴漢を働こうとした男が居たのだ。
男はその道のプロであり、彼らの業界では《無音の凶手》と呼ばれる変態だった。
気配を遮断し、女性の
男に触られた女性は数知らず。
一度狙った獲物は絶対に触る。
それが男の信念であった。
しかし、男はエヴァンジェリンに触れる事は出来なかった。
男がいつも通り狙いを定め、接近して手を出そうとした瞬間。
エヴァンジェリンは彼の腕を真祖の吸血鬼のパワーであらぬ方向へと捻り上げられたからだ。
男の初めての敗北。
そして、エヴァンジェリンは腕を捻り上げながら絶望のオーラを漂わせて男に言った。
『モンスター討伐の仕事を紹介してくれる組織の場所を教えるか、ここで死ぬかを選べ』
男は気絶しそうな意識を腕の痛みで無理矢理繋ぎ止められる拷問のような時間を過ごしながら冒険者組合の場所を白状した。
色々な液体を漏らしながら男の情報に満足した様子を見せたエヴァンジェリン。
男はこれで助かる、もう二度と痴漢はしないと心の底から誓ったその瞬間。
エヴァンジェリンの白魚の様な美しい脚が……彼の
男は一瞬ビクン!!と跳ね上がったがそのまま意識を失って地面に崩れ落ち、エヴァンジェリンはゴミを見るような目で一瞥すると、ナギとラカンを含む股間を抑えた衆人観衆を無視してスタスタと何事もなかったかの様に冒険者組合に向かっていった。
ちなみにその後、彼は女と男を超越した存在となり、その道のカリスマになるのだが……当然、この時は誰も想像はしていなかった。
ナギが男の惨劇を思い出して震えていると何かに気づいたラカンはニヤリといやらしい笑みと視線をエヴァンジェリンに向けた。
「なんだその気色悪い笑みは!?
殺されたいのか筋肉ダルマ!!」
エヴァンジェリンはそのニヤニヤした表情に苛立ちを覚え怒りをぶつける。
事の成り行きを見ていた冒険者達も入り口付近で行われている茶番に視線が集中する。
「いやー。だって、アレだろ?
好きな男以外に触らせな…ぶべぇ!?」
「き、貴様―!!それ以上言ってみろ、先ほどの変態同様に潰してやるぞ!!」
ラカンの言葉を遮るように放たれる渾身の右ストレートを左頬に浴びせた後、ジャケットの襟を引っ掴み、ガクガクと前後に振りまくるエヴァンジェリン。
彼女のその表情はリンゴの様に紅く、妖艶な巨乳美女が見せる乙女の様な仕草に冒険者達は萌えた。
「ウハハハハハ!!やっぱりな、そうじゃねぇかなーとは思ってたんだよ」
「うるさい、うるさい!!今すぐ殺してやる!!
涙目になりながらさらにラカンをガクガクと激しく揺さぶるエヴァンジェリン。
周りの冒険者達はそんなエヴァンジェリンに胸をキュンキュンさせ、心を鷲掴みにされていく。
ちなみに、周囲の視線にいたたまれなくなったナギは途中から騒ぎが収まるまで外で空を眺めていた。
凪の魔改造メモ
:ハイヒューマン
凪がアバターの種族を変更する際に会社のツールで作った種族。
基本ステータスが最弱である人種が限界を超える事で至る上位種という設定。
寿命と言う概念が無くなり超人的な魔力と身体能力を誇るが致命傷を与えられれば死ぬ。
;真祖の吸血鬼
ネギま!の設定と同じで、魔法によって生まれた人工吸血鬼。
高い不死性を持っており、腕が飛ぼうが腹に穴が空こうが高速で回復する。
ヤツメウナギにはならない。